"Last Date":DolphyにとってのSwan Song
"Last Date" Eric Dolphy (Fontana)
何とも懐かしいアルバムである。私が最初に聞いたDolphyのアルバムは"Out to Lunch"だったが,その頃は私もジャズを聞いて日が浅く,何がいいのかよくわからなかった(今では好きだが...)。しかし,そんな私にもDolphyってのは凄いと思わせたのがこのアルバムである。即ち人生で2枚目のDolphyのアルバムが本作であったわけだが,私はこのアルバムをずっとLPで聞いてきたから,ジャケとしては写真(上)のものよりも,イラスト版の方に親しみを感じるので,ついでにそっちもアップしてしまおう。いずれにしても最初は"Out to Lunch" は??だった私を,「Dolphyファンこそ必聴のColtraneのVanguardボックス」という記事をこのブログに書かせるまでのファンに仕立てた発端はこのアルバムなのである。
このアルバムについては既に語り尽くされているので,何を書いていいのか困るが,いずれにしても,この演奏の約一ヵ月後に亡くなるとは信じがたいDolphy畢生の名演であることは間違いない。このアルバムを聞いていて思うのは,Dolphyがバスクラ,アルト,フルートの全ての楽器において名人の領域に達していたということである。中でも"You Don't Know What Love Is"のフルート演奏は慄然とする美しさであり,私にとってはこの曲こそが本盤のハイライトと言ってもよい。あとづけになるがこういうのを「白鳥の歌」と呼ぶのではないか。逸話によれば,Dolphyは本当に練習熱心だったということであるから,その研鑽の賜物がこうした名人芸につながっていると考えるべきであろう。Chico Hamiltonのバンドにいた人間がこんなになってしまうなんてのはある意味驚きだが,人間はこうして長足の進化を遂げられるのである。もちろん天賦の才能もあっただろうが,誰にとっても努力は重要なのだということをDolphyは実証している(説教臭い?)。
Dolphyはモダン・イディオムとアバン・ギャルドの中間をうまく行き来できる稀有なミュージシャン(でも完全にフリーにはならない,あるいはなれない)であったが,そういった特性がこのアルバムにもうまく記録されていて,ややクセがあると思ってDolphyを敬遠している人でも受け容れやすいものとなっているのではないか。普通,バンド・メイトにMisja MengelbergやHan Benninkの名前を見つけただけで身構えるが,な~に,このアルバムでは心配無用である。彼らもちゃんと4ビートに徹し,フリーにはならない演奏をしている。
そして最後を締めるのがあのDolphyの名セリフである。"When you hear music, after it's over, it's gone in the air and you cannot capture it again." けだし名言である。しかし,音楽をCaptureはできなくても心に留めることはできる。そうした心に留まることができるのがここに収められた演奏である。やっぱDolphyはいいわ。星★★★★★。
Recorded Live in Hilversum, Holland, on June 2 1964
Personnel: Erc Dolphy(as, b-cl, fl), Misja Mengelberg(p), aque Schols(b), Han Bennink(ds)
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