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2008年10月31日 (金)

ノリが全てと言わんばかりのCannonball Adderley

Mercy "Mercy, Mercy, Mercy" The Cannonball Adderley Quintet (Capitol)

まぁ何とも楽しいアルバムである。1曲目が"Fun"で2曲目が"Games"というのはジョークのようでもあるが,冒頭から強烈なノリでぶちかますCannonballのライブ盤である。

昔のジャズ喫茶には小難しい顔でフリー・ジャズを聞いている連中もいたが,そういう人種はこういう音楽が掛かると顔をしかめていたものである。やれ哲学がない,やれ思想がない。まぁ言いたいこともわからんではないが,楽しいだけのジャズがあってもいいじゃんと私は思う。それがCannonballの哲学であり,思想なのである。

そもそもジャズという音楽の間口が広いのだから,いろんなタイプのジャズがあって当たり前であるし,自分の嗜好に合わないからと言って見下すかのような態度を示すのは大人げない。別にそうした音楽が聞きたいなら自宅で聞いていればいいのだ。ジャズ喫茶はあくまでも「公共の場」なのだから,どんな音楽が掛かろうと文句が言えた筋合いではない。まぁジャズ喫茶そのものが死滅寸前のものとなって久しいが,そういう人種もだんだん減ってきてはいるかもしれないが...。

閑話休題。"Fun"に"Games"ときて,次がタイトルトラック「お慈悲を,お慈悲を,お慈悲を」というのがまたまた笑える展開である。こういう音楽は堅苦しく考えず,踊ったもん勝ちって気もするがどうだろうか?この曲を書いた人間が"Directions"を作曲したのと同じ人間とは到底信じ難いが,もしかして,Joe Zawinulって二重人格傾向を示すAB型か?冗談はさておき,このスローなファンク・チューンを聞いて乗れなければ,どんな音楽で乗るというのだろう?「人形は顔が命」とは人形の吉徳のキャッチコピーだが,この五重奏団にとってはノリがいのちなのである。

まぁここまでやると行き過ぎじゃないかという気がしないでもないが,これでいいのだ(バカボンのパパのようである)。聴衆のノリもいかにも黒人的。オーディエンスが白人中心だったら,"Sticks"に聞かれるが如きゴスペルチックな手拍子は叩けまい。聴衆もこのアルバムを熱い(あるいはむさ苦しい)ものにした一つの要因である。こんなもんをしょっちゅう聞いていたら頭がおかしくなりそうだが,たまのストレス解消には効くという点では私にとってはハードロックと同じ効果を持つ不思議なジャズ・アルバムである。星★★★☆。ちなみにこのアルバムは亡父の遺品である。父もストレスがたまっていたのだろうか?

Recorded Live in July, 1966 at "The Club"

Personnel: Julian Cannonball Adderley(as), Nat Adderley(cor), Joe Zawinul(p, key), Victor Gaskin(b), Roy McCurdy(ds)

2008年10月30日 (木)

懐かしのMiles Davis@オープンシアターEast

Quiet_elagance "Quiet Elegance" Miles Davis(Legendary Collection)

いました,私。この時のよみうりランド,オープンシアターEast。そういう意味で非常に懐かしい。日頃から私はブートレッグはできるだけこのブログでは取り上げないようにはしているが,そういう懐かしい音源の場合は別である(と一貫性がない)。これはブートながら,ゴールド・プレスCDという珍しいパターンだが,結構中古盤屋で安値だったので買ってしまった。

このときはMilesがGil Evans Orchestraとのダブルビルのライブで来日した時である。そのときのGil Evans OrchestraにはBilly Cobhamも参加した強烈なもので,どちらかというとGilの方が記憶に残ってはいるものの,このMilesバンドもカッコよかったということは覚えている。しかし音源として改めて聞き直してみるとどうか?

Milesは元気にラッパを吹きまくっているが,どうもリズムがしっくりこないのである。Al Fosterのドタバタしたドラムスはこういうファンクネス溢れる音楽にはもう無理が出てきているように思えるし,Tom Barneyのスラッピング・ベースの切れが悪くてどうにも居心地が悪いのである。また,Mike SternとJohn Scofieldの2ギターも威力を発揮しているとは思えないのである。

私はこの後も80年代はMilesのバンドが来日するたびにできるだけライブに足を運んだが,Bob Bergがいた頃がライブは一番楽しめたかもしれない。この頃の演奏は若干過渡期的な感覚が強いので,演奏としてのそんなに無茶苦茶悪くはないとしても決して高くは評価できないなぁ。そもそも"Hopscotch"とか"Star on Cicely"って曲が面白くないし。ということで,このアルバム,ライブの場にいたという事実だけで記憶には留めるべきだが,これを聞くならほかの"Decoy"あたりの公式盤を聞いている方がずっと乗れる。ということで星★★★。

それにしてもこのブートのタイトル,何とかならんものか。メガディスク系のブートはタイトルがどうもねぇ。全然QuietでもElegantでもないのに,どうしてこういうタイトルになるのかそのセンスは私の理解を越えている。

Recorded Live at オープンシアターEast on May 29, 1983

Personnel: Miles Davis(tp, key), Bill Evans(ss, ts, fl, el-p), John Scofield(g), Mike Stern(g), Tom Barney(b), Al Foster(ds), Mino Cinelu(perc)

奥深き鹿児島の食事

仕事でたまに鹿児島にお邪魔する機会があって,その都度,黒豚とんかつだ,鶏飯だとこのブログにも書いてきた。しかし,またまた強烈な食事をさせて頂く機会があったので紹介したい。

Img_0075 今回頂いたのは鹿児島黒牛・黒豚・若しゃものせいろ蒸しである。私はてっきりしゃぶしゃぶだと思ったのだが,蒸すにつれ上段におかれた肉のせいろから下段の野菜や魚貝に肉汁がしたたるというこの調理方法にはまいった。はっきり言って肉の素材を楽しむにはしゃぶしゃぶよりいいと思わせる料理である。

写真は蒸した後の状態だが,これを食すれば,地場の食材がいかにうまいかわかるというものだ。しょうもないレシピなどなしでも素材だけでうまいのである。曰く,地元の皆さんはしゃぶより蒸しですとおっしゃっていたが,食すればわかる。これには参った。これだけうまい食材が揃っている鹿児島の皆さんは幸せである。どんどん地産地消を広げて頂いてもいいが,日本国民にもっと広くこのうまさを知らしめなければならないと私は強く思ってしまった。

Img_0077_2 これだけで参っていたら,先日誉めた鶏飯も「あんたは本当の鶏飯を知らん」と言われてしまったので,このせいろ蒸しを頂いた後,,ちゃんこ屋さんへ移動してメニューに載っていない鶏飯を食した。前回頂いた鶏飯もうまいと思ったが,今回の鶏飯が何が決定的に違ったかと言えば,その出汁のうまさである。化学調味料臭さゼロ,まさしく鶏の出汁が見事に出た鶏飯を食し,私は完全に昇天モードである。写真だけではうまそうに見えないかもしれないが,これまた真剣にうまかった。

それでもってよせばいいのに私は鶏飯を三杯頂いてしまい,その後ラーメンを食べに行くという気は完全に失せた。それはそれで残念ではあるが,今回は参りましたということでのご報告である。鹿児島恐るべし。日本の食はまじで奥が深い。

2008年10月29日 (水)

Jack DeJohnette New Directions:これぞメンツの妙

New_directions "New Directions" Jack DeJohnette(ECM)

今や私もかなりのECMレーベル・オタクとなってしまった。もちろん,コンプリートではないし,New Seriesも一部自分の好みの音楽以外は買っていない。大体どれぐら保有しているのかも正確には把握していないが,それでもカタログの半分ぐらいはあるかなって感じではある。そんな私がジャズ・キャリアの中でもかなり早い時期に入手したECMレーベルのアルバムがこれだが,なんでこれだったのかっていうのははるか昔のことでもはや記憶が曖昧である。昔は背伸びをしてジャズを聞いていたのも事実だから,当時はこのアルバムもよくわからなかったというのが曖昧ながらも私の記憶の片隅に残っている感覚である。このメンツ,サウンドであるから,キャリアの浅い若造が理解できなくてもそれはある意味当たり前なのだが,今にしてこれを聞けば,このメンツの妙がよくわかるというものだ。

DeJohnetteとAbercrombieにはGatewayというバンドがあったから,2人については意外性はない。しかし,そこにECMのレーベル・カラーとは異なるEddie Gomezが加わるのがまず「ヘェ~」である。私は正直言ってGomezのベースの音があまり好きではないのだが,ここではECM的サウンドにより,いつものGomez的な音が控え目になっているのは私にとっては助かるし,ここでのGomezは実際悪くない。

しかし,このアルバムを更に凄いと思わせるのがLester Bowieの参加である。私は今も昔もArt Ensemble of Chicagoというバンドの魅力が理解できないのだが,その中ではLester Bowieは例外的に好きである。当時,Bowieがこういうスペシャル・ユニットで演奏するということは珍しかったと思うが,Bowieが見事な演奏でこのアルバムを優れたものにしていることに感銘を受けてしまうのだ。このアルバムはBowieが参加したことで明らかに緊張感が増している。サウンドとしての個性は,現在ならBill Frisell的とも言えそうな,アタック感を敢えて消したAbercrombieのギターに負うところも大だろうが,鋭さの根源はやはりBowieである。

もちろん,DeJohentteはDeJohnetteでシャープなドラミングでバンドを煽っていてこれまたたまらない。この音,誰がどう聞いてもDeJohenetteのものである。この個性は大したものだし,2曲のメンバー共作を含めて,全ての作曲に関わっている彼の作曲能力も同様に大したものである。

今でもECMは立派な作品を出し続けているが,この頃のECMレーベルの作品というのはレーベル参加者によるスペシャル・ユニット的なものも多かったように思う。そうしたテンポラリーな組合せにもかかわらず,こうした優れた音楽を作り出していたということは凄いことだと思わせる。最後をDeJohnetteがピアノを弾く"Silver Hollow゛で締める構成の妙も含めてプロデューサーManfred Eicher恐るべし。久々にこのアルバムを聞いたが,録音後30年を経過した今でも刺激に満ちたアルバムであった。私の嗜好にバッチリあってしまったので星★★★★★。

Recorded in June, 1978

Personnel: Jack DeJohnette(ds, p), John Abercrombie(g, mandolin), Lester Bowie(tp), Eddie Gomez(b)

2008年10月28日 (火)

Pat Metheny Group年末年始にBlue Note東京に登場!

Pat Pat Metheny Groupが年末年始のBlue Note東京に出演するそうである。公演は12/30からスタートし,大晦日にはカウントダウンをやった上,元日,2日を休んで1/8までの連続出演ということである。う~む,それにしてもPatも稼ぐねぇ。

今回はPMGとは言ってもPat,Lyle,Steve,Antonioのクァルテットであるから,いつものPMGとは性格は大分違ってくるだろうし,場所柄バリライトを使うという訳にもいかないだろうが,それでも彼らのライブをクラブで見られるというのは千載一遇のチャンスと言えばそのとおりである。大昔,まだメジャーになる前に中野の「いもはうす」に出たことがあるはず(ECMフェスティバルで1979年にJohn Abercrombie,Egberto Gismontiと来た頃?)だが,グループとしてはそれ以来ホール(or野外)でしかやっていないのではないだろうか?

しかしチャージは強烈に高いので,厳しいと言えば厳しいが,それでも行きたいなぁ。つくづく罪作りなお方である。ところで,PMGとしての新作はいつ出るんだろうなぁ。そっちもよろしくと言っておこう。

もはや同情したくなるJohn McCain

もはや米国大統領選は決着だと思われているこの時期になって,またもJohn McCainの足を引っ張る馬鹿げた事件が発生した。報道によれば,McCain陣営の女性運動員が、Barack Obamaの支持者とみられる黒人男性に暴力をふるわれ、金を奪われたなどと虚偽の通報をしていたと明らかにしたとのことである。女性は警察に対し、背の高い黒人から「McCain支持者に焼きを入れてやる」と脅され、ナイフでほおにBarack Obamaの名前のイニシャルである"B"の傷を付けられたと証言していたそうである。

この報道を見て,即座に「怪しい」と思うのが一般的な感覚だと思うが,結局あっという間に虚偽であることが明らかになってしまった。曰く,この女性運動員の銀行口座に通報のような動きがない,あるいは防犯カメラにATM利用の実態が写っていない等々,ちょっと考えれば現代の警察捜査を考えればすぐにばれそうな嘘をつくこの運動員,相当に頭が悪いとしか言いようがない。そもそもこれで同情票が入ったところで,「歴戦の英雄」John McCainは喜ぶまい。

苦戦を強いられるJohn McCainにとっては,こういうのを「泣きっ面に蜂」と言わざるをえないが,ここまでくるとこの私でさえ同情したくなってしまった。余計なことをやるのはSarah Palinだけではなかったというのが,John McCainにとっては本当に不幸である。こんなことが続いているようでは,本当に今回の大統領選挙はBarack Obamaの地滑り的圧勝が現実味を帯びてきたと言わざるをえない。4年に1回の「政治ショー」なのに,これほど先が見えた勝負は面白くない。

2008年10月27日 (月)

Burt Bacharachのライブは究極のイージーリスニング

Bacharach "Live at the Sydney Opera House" Burt Bacharach with the Sydney Symphony Orchesra (Verve)

今年2月に来日したBurt Bacharachのライブを見逃したことは,彼の年齢を考えれば再来日は難しいであろうから,私にとってはかなりの痛恨事であったが,そんな私の渇きを癒してくれるアルバムが登場した。ジャケには記載はないが,これは来日直前(のはず)のオーストラリア公演の模様を収めたライブ盤である。これが何とも緩やかに時間が流れていくかのような,究極のイージー・リスニング,あるいはヒーリング・ミュージックだと言ってもよい音楽である。

ここに収められているのはBurt Bacharachの代表的な曲ばかりである。それもメドレーで多数の曲が演奏されているが,上述のように本当にゆったりした気分でそうした曲を楽しむことができるのは,曲のテンポやリズムが決して激しいものにならないせいもあろう。そういう意味では刺激はゼロ(本当にゼロだ)なので,若い人たちにはこのゆるやかさには耐えられない部分もあるに違いない。しかし,私のような中年以上の人間にとっては,曲の懐かしさもあるが,このゆったり感こそが極上のリラクゼーションを提供してくれるものと言えよう。もちろん,私だって毎日この音楽を聞いていたいとは思わないが,ストレスがたまったときにはこういう音楽を聞いてリラックスすることもよきチェンジ・オブ・ペースになるに違いない。

私が知らないだけかもしれないが,参加しているミュージシャンに有名どころは見当たらない。しかしヴォーカリスト3人のうち,男性のJohn PaganoはまるでQuincy Jonesとやっていた頃のJames Ingramのような魅力的な声を聞かせていてうっとりさせられてしまった。この人,随分昔にソロ・アルバムも出しているようだが,決してメジャーな人ではないと思う。それでもこんなに魅力的な歌唱を聞かせるのだから,アメリカのポピュラー音楽界は人材が豊富である。

まぁ,最後に聴衆にまで歌わせる"Raindrops Keep Fallin' on My Head"等は明らかに鑑賞音楽としては蛇足だが,その場にいた人にとっては記憶に残るものとなろう。日本でも同じようなことをやっていたのかと気になるところだが,これはCDとしてはやり過ぎである。しかし,それでもBacharachの素晴らしい曲を楽しめ,行けなかった彼のライブを追体験できるアルバムとしては歓迎したい。いろいろケチの付けようはあるが,星★★★☆ぐらいにしておこう。

ところで,クレジットを見ていて気がついたのだが,このバンドにはギタリストがいない。なるほど。Bacharachのサウンド・カラーはギターを入れないことにも秘密があるのかもしれないと今更ながら思ってしまった。

Recorded Live at the Sydney Opera House, Australia on February 6, 2008

Personnel: Burt Bacharach(p, vo), David Coy(b), David Crigger(ds, perc), Bob Shrock(key), Dennis Wilson(reeds), Tom Ehlen(tp, fl-h), Josie James(vo), John Pagano(vo), Donna Taylor(vo) with the Sydney Symphony Orchestra

2008年10月26日 (日)

これはいい!:吉田美奈子と渡辺香津美のデュオ・アルバム

Nowadays "Nowadays" 吉田美奈子/渡辺香津美(ewe)

これは素晴らしいアルバムである。吉田美奈子のヴォーカルと渡辺香津美のギター(多重録音あり)のデュオで演じられたロック,ジャズ・フィールドにまたがる曲の数々が何ともスリリングな響きを醸し出している。

この編成だからと言って静謐な響きを予想すると,軽く裏切られる。何てたって冒頭はDoorsの"Light My Fire"である。これまた吉田美奈子のディープ・ヴォイスが魅力的に響き,それを香津美の適確なバッキングが支えている。そしてDuke Ellingtonの"Sophisticated Lady"をはさんで演じられる3曲目のHorace Silver作"Opus De Funk"は吉田のスキャットにユニゾンでかぶさる香津美のギターがカッコよ過ぎで,ここで私は悶絶した。その後も次から次へと展開されるめくるめくデュオ・ワールドである。これはたまらん。

このアルバムのよいところは,渡辺香津美が時ににディストーションをぶちかまし,ヴォリューム・ペダルもうまく使いながら,単なるデュオ・アルバムに終らせていない点である。ギターとヴォーカルと言えばJoe PassとEllaか,Jack WilkinsとNancy Harlowかという感じだが,このアルバムは全く違うオリジナリティを感じさせる。

選曲としてはDuke Ellington関係の4曲というのが突出しているが,Joni Mitchell関係も2曲("Both Sides Now"と"Goodbye Pork Pie Hat")をやっていて,吉田美奈子の声を聞いていると,煙草の吸い過ぎでディープな声になってしまったJoni Mitchellその人を想起させると言ってはほめ過ぎか。

私はこのアルバムを全面的に支持するが,一点だけ問題があるとすれば,吉田美奈子の英語の発音である。彼女は子音が連続すると(F-R等が典型的),途端にカタカナ英語のように母音がさし込まれるように聞こえてしまうのが難点である。これさえなければ満点でもよかったが,そこを減点して星★★★★☆。しかし,私の中では間違いなく今年のベスト・アルバム候補の一つとなった。ジャズ,ロック,ポップス等を幅広く聞いている人は確実に気に入るタイプの音楽と思う。

Recorded on July 6, 7, 8, 9, 28, 29 and 30, 2008

Personnel: 吉田美奈子(vo),渡辺香津美(g)

2008年10月25日 (土)

Dave DouglasによるJoni Mitchellへのオマージュ?

Dave_douglas_moving_portrait "Moving Portrait" Dave Douglas (DIW)

日米でこれほど評価,知名度に違いがある人は珍しいと言ってよいDave Douglasであるが,以前にも書いたが彼をフリー・ジャズにカテゴライズしている限り,日本で人気が沸騰することはあるまい。単に彼はフリーもできるというだけであり,本質的にはフリーの方が比率としては低いにもかかわらずである。そんな彼がまだデビューしてそれほど時間が経っていない時期に,DIWレーベルにワンホーン・アルバムを吹き込んでいるとは全く知らなかったが,中古盤屋でたまたま見つけて即ゲットである。これが予想以上によい。

このアルバムのライナーにはDave Douglas本人によるJoni Mitchellへのシンパシーが記述されており,事実ここでもMitchell作品が3曲("Roses Blue", "My Old Man", "The Same Situation"という渋いセレクション)演奏されているが,Mitchellと音楽性を同じくするという感じではない。むしろミュージシャンとしてのリスペクトに溢れた演奏と言う方が正しいだろう。いずれにしてもDouglasとJoniというのはあまり結びつかないわけだが,Dave Douglasのようなミュージシャンからも尊敬されるJoniというのはやはり凄い人なのだということがわかるような気がする。

演奏としては新主流派的な響きが支配的であり,ここでも全然フリーではないDouglasが聞ける。リズム・セクションとの相性もよく,これは私はかなり気に入ってしまったのだが,中でもピアノのBill Carrothersが主役のDouglasを食わんばかりの快演を展開しているのが素晴らしい。Herbie Hancockが好きな人なら,ここでのCarrothersは間違いなく気に入るだろう。総体的に見れば,もっと激しい展開もあってよかったようにも思うが,そもそもトランペットのワンホーンが好きな私は星★★★★☆を謹呈してしまうのである。Dave Douglas,コンベンショナルな路線でも若い頃からイケていたのだ。

今にして思えば,Douglasにこんなレコーディングの機会を与えたDIWレーベルは大したものだが,Douglasをフリー・ジャズにカテゴライズしているのがこのレーベルを運営するレコード・ショップだというのがどうにも解せない。一体何を考えているのやら。こういうこともできるのだと認識されれば,Douglasの日本における人気はもっともっと上がるはずなのになぁ。

Recorded on December 29 and 30, 1997

Personnel: Dave Douglas(tp), Bill Carrothers(p), James Genus(b), Billy Hart(ds)

2008年10月24日 (金)

SuperJewel Boxは使いにくい

Sjbs_s 最近CDを購入していて気になるのが新しいタイプのプラケース゛Super Jewel Box゛である。この新しいタイプのプラケースは,21世紀の新しい光ディスク・フォーマットに向けて新たにデザインされたものらしいのだが,私は従来のJewel Boxの方が長年使い慣れてきたこともあり,はるかに使いやすい。

Super Jewel Boxは基本的に全てが透明仕様であるから,確かに様々なパッケージやカーバー・アートの見せ方に向くかもしれないのだが,問題なのはものにもよるだろうが,CDのブックレットが取り出しにくくてイライラすること甚だしいことである。神経質な人であれば,ブックレットにしわがつくのも嫌がるだろうが,このケース,どうやったらちゃんとブックレットを取り出せるのかよくわからないのである。私が不器用なだけかもしれないが,これはやはり困る。

私の場合,収納スペース向上(家人が不満たらたらなのだ)のため,プラケース仕様のCDは全てフラッシュ・ディスク・ランチのソフト・ケースに入れ替えているのだが,Super Jewel Boxはソフト・ケースへの入替えさえもやや困難にさせているのである。これもはっきり言って困ったものである。

そもそもこのSuper Jewel Boxになってありがたがっている人はほとんどいないだろうし,紙ジャケ天国日本においては少なくとも紙ジャケという付加価値をつけた方がCDは売れる。また,海外においても,デジパック仕様や紙ジャケが増加しつつあるから,Super Jewel Boxががいつまで生き残るのかは不明である。そもそもCDという媒体そのものの運命も怪しいと言われる昨今であることはさておき,こんな使いにくいデザインというのは工業デザイン的に見てもまずいのではないかと思うのだが,このように考えるのは私だけなのだろうか?でもやっぱり使いにくいのだ。何とかして欲しいものである。

しかし,普通のJewel Boxだろうが,Super Jewel Boxだろうが,どうせソフトケースに入れ替えるんだから別に問題ないやんと言われてしまえばそれまでなのだが,この入れ替え作業,それなりに暇がないとできないのである。だから買ってきたCDはプラケースのまま「積んどく」状態になって困っているのだ。まぁ一般の方々にとっては,それがどうしたって問題かもしれないが...。

2008年10月23日 (木)

"Last Date":DolphyにとってのSwan Song

Last_date "Last Date" Eric Dolphy (Fontana)

何とも懐かしいアルバムである。私が最初に聞いたDolphyのアルバムは"Out to Lunch"だったが,その頃は私もジャズを聞いて日が浅く,何がいいのかよくわからなかった(今では好きだが...)。しかし,そんな私にもDolphyってのは凄いと思わせたのがこのアルバムである。即ち人生で2枚目のDolphyのアルバムが本作であったわけだが,私はこのアルバムをずっとLPで聞いてきたから,ジャケとしては写真(上)のものよりも,イラスト版の方に親しみを感じるので,ついでにそっちもアップしてしまおう。いずれにしても最初は"Out to Lunch" は??だった私を,「Dolphyファンこそ必聴のColtraneのVanguardボックス」という記事をこのブログに書かせるまでのファンに仕立てた発端はこのアルバムなのである。

Last_date_2_2 このアルバムについては既に語り尽くされているので,何を書いていいのか困るが,いずれにしても,この演奏の約一ヵ月後に亡くなるとは信じがたいDolphy畢生の名演であることは間違いない。このアルバムを聞いていて思うのは,Dolphyがバスクラ,アルト,フルートの全ての楽器において名人の領域に達していたということである。中でも"You Don't Know What Love Is"のフルート演奏は慄然とする美しさであり,私にとってはこの曲こそが本盤のハイライトと言ってもよい。あとづけになるがこういうのを「白鳥の歌」と呼ぶのではないか。逸話によれば,Dolphyは本当に練習熱心だったということであるから,その研鑽の賜物がこうした名人芸につながっていると考えるべきであろう。Chico Hamiltonのバンドにいた人間がこんなになってしまうなんてのはある意味驚きだが,人間はこうして長足の進化を遂げられるのである。もちろん天賦の才能もあっただろうが,誰にとっても努力は重要なのだということをDolphyは実証している(説教臭い?)。

Dolphyはモダン・イディオムとアバン・ギャルドの中間をうまく行き来できる稀有なミュージシャン(でも完全にフリーにはならない,あるいはなれない)であったが,そういった特性がこのアルバムにもうまく記録されていて,ややクセがあると思ってDolphyを敬遠している人でも受け容れやすいものとなっているのではないか。普通,バンド・メイトにMisja MengelbergやHan Benninkの名前を見つけただけで身構えるが,な~に,このアルバムでは心配無用である。彼らもちゃんと4ビートに徹し,フリーにはならない演奏をしている。

そして最後を締めるのがあのDolphyの名セリフである。"When you hear music, after it's over, it's gone in the air and you cannot capture it again." けだし名言である。しかし,音楽をCaptureはできなくても心に留めることはできる。そうした心に留まることができるのがここに収められた演奏である。やっぱDolphyはいいわ。星★★★★★。

Recorded Live in Hilversum, Holland, on June 2 1964

Personnel: Erc Dolphy(as, b-cl, fl), Misja Mengelberg(p), aque Schols(b), Han Bennink(ds)

2008年10月22日 (水)

恥ずかしながら初めて聞いた゛Rainbow on Stage"

Rainbow_on_stage "Rainbow on Stage" Rainbow (Polydor)

私は小学生の頃Deep Purpleの゛Live in Japan (Made in Japan)"を聞いてハードロックに目覚めてしまったことは以前,このブログにも書いた(Deep Purple:私の洋楽の原点の一つ)。その原体験が強過ぎたということもあり,徐々にプログレに関心が移っていった私としては,Richie Blackmoreが脱退後のPurpleには興味が持てなくなっていたし,ましてやRainbowにも関心はなかったと言ってよい。

しかし,私はストレスがたまるとハードロックが聞きたくなる性向があるようで,先週仕事が結構きつかったところに,日頃よく利用するCDショップで,本アルバムの再発盤を手頃な価格で見つけるに及び,妙にムラムラとしてきてゲットしてしまった次第である。

それでもって結論はと言えば「Ritchie,私が悪かった」と言いたい。このアルバムが発売されてから30年以上になるわけだが,その間,このアルバムを無視してきたとは何とももったいない限りである。何ともよくできたハード・ロックのライブ・アルバムではないか。特にその後のPurpleにある意味飽きを感じてきた人間にとっては,このバンドでのRonnie James DioやCozy Powellとの共演が妙に新鮮に響くのである。

そもそもRainbowのレパートリーに特化し,昔のPurpleやBlack Sabbathでの名前にほとんど頼っていないことも好感が持てる。そうは言ってもRitchie Blackmoreの演奏はどう聞いてもBlackmoreのままであり,バンド変われど「三つ子の魂百まで」状態である。ハードでスピーディなリフやハンマリングに時折叙情性を見せるところが何ともRitchie Blackmoreである。

録音は日本と欧州でのものが混ざっているらしいが,確かに雰囲気が違うように思えてやや違和感はあるが,結構楽しめてしまったので星★★★★。

Personnel: Ronnie James Dio(vo), Ritchie Blackmore(g), Cozy Powell(ds), Tony Carey(key), Jimmy Bain(b)

2008年10月21日 (火)

James Taylorのカバー集:もはや国民的歌手である

Covers "Covers" James Taylor (Hear Music)

昨年も素晴らしいライブ・アルバムを発表して,大いに私を喜ばせてくれたJames Taylorであるが,1年を置かずに発売されたこのカバー・アルバムでも素晴らしい歌唱,演奏を聞かせる。このアルバムのバック・バンドを務めるメンツが集まってしまうという事実だけで,James Taylorという歌手が米国ポピュラー・ミュージック界においてどういうポジションにあることがわかろうというものである。やはりこれはどう見ても「国民的歌手」である。そう言う意味で先日けなしたJ.D. Southerとはそもそも器が違う。

まぁ選曲としてはどうなのよって感じの曲がないわけではないが,ソウル系,カントリー系,ロックンロール系,SSW系と幅広い中で,Taylorの個性に合わせられているのは立派である。このアルバムでカバーされている曲は必ずしも有名曲ばかりではないが,有名曲であってもTaylor色に染められていて,あたかも彼のオリジナルのように響いているのである。単なるロックンロールになりがちな"Hownd Dog"がこうなるか!という感じである。

まぁこれがTaylorの個性ということになるのだろうが,やはりこの人は大したミュージシャンである。多分,ファンの心の琴線に触れるのは,ここにあるような選曲ばかりではないと思うのだが,ここはTaylorの選択を尊重することにしよう。トータルで言えば十分に星★★★★には値するナイスなカバー・アルバムである。演奏のライブ感も楽しめるところがまた素晴らしい。ジャケのアップ写真はもう少しなんとかなりそうなものだが...。

Personnel: James Taylor(vo, g, hca), Steve Gadd(ds), Jimmy Johnson(b), Michael Landau(g), Larry Goldings(p, el-p, org), Luis Conte(perc), Lou Marini, Jr.(fl, cl, sax), Walt Fowler(tp, fl-h, key), Arnold McCuller(vo),  David Lasley(vo), Kate Markowitz(vo), Andrea Zonn(vo, vln), Yo-yo Ma(cello), Caroline Taylor(vo), Jeff Babko(p, org)

Sarah Palinの悪あがき:SNL出演とは笑止千万

CNN等のメディアでも報じられていたが,10/18放送のSaturday Night LiveにSarah Palin本人が登場したようである。最近,同番組ではTina FayがSarah Palinの真似をして受けているようなのだが,それを受けてか,今回の共和党候補の不人気ぶりを受けてか知らないが,本人まで出演してしまったというのだから笑えるというより,失笑せざるをえない。

そもそも米国メディアが次々とBarack Obamaを支持する姿勢を打ち出し,もはや今回の大統領選挙の結果は見えたようなものだが,メディアが共和党を支持しない理由にSarah Palinが副大統領候補として相応しくないからだと書かれていることは衆知の事実である。今回のSNL出演で人気回復を図れるとは常識的な判断能力を持つ人間なら思わないはずだから,ついにSarah Palinあるいは彼女のブレーンたちもやけを起こしたと考えるのが妥当であろう。

現在のCondleezza Riceの先代の国務長官(共和党政権下である),Colin PowellまでObama支持を打ち出しているのでは,McCain~Palinにとって万策尽きたというのが実情だろうが,今回のPalinのSNL出演は彼らにとどめを刺す契機になったとも言えるのではないか。あまりの無見識,無配慮,マヌケぶりにメディアもColin Powellも完全に愛想を尽かしたと言ってよい。

今回のMcCain~Palinの不人気ぶりは当然日本でもわかっているにもかかわらず,某局のアナウンサーは「今回の大統領選挙で"人気沸騰゛のSarah Palinがそっくりさんと共演」等とニュースで紹介していたのもまさに不見識。アナウンサーというのはもう少し知性がある人種だと思っていたが,彼らにあるのは「やまいだれつきの」知性だと言っておこう。ジャーナリストとしての矜持なき者がニュースに出るのは誠に見苦しい。

そもそもTina FayによりどれだけPalinがおちょくられているかについては,下記のURLの画像を見てみればわかるはずだ。おちょくられる理由を作ったのはPalin本人であることはKatie CouricによるPalinへのインタビューを見れば理解できる。

http://www.youtube.com/watch?v=tjZW4z9zqqY

2008年10月20日 (月)

待望!Rachael Yamagataのセカンド・アルバム

Elephants "Elephants...Teeth Sinking Into Heart" Rachael Yamagata (Warner Brothers)

あの傑作デビュー・アルバムから4年,Rachael Yamagataのセカンド・アルバムはメジャーのWarner Brothersからであるが,こんなアルバムをレーベル初作にして大丈夫なのかと思わせるイメージを持つアルバムである。

このアルバム,オリジナルは2枚組で1枚目が"Elephants",2枚目が"Teeth Sinking Into Heart"というコンセプチュアルな作りになっているのだが,日本盤はRachaelが曲順を変更して敢えて1枚ものとして発売されている。私が購入したのは輸入盤の2枚組であるが,どちらがいいのかは微妙としても,Rachaelやプロデューサーの意図を理解するためには私は輸入盤の方がいいと思う。

ではなぜ微妙なのか。1枚目の"Elephants"はストリングスも交えたかなり静謐系の内省的サウンドであるのに対し,2枚目の"Teeth Sinking Into Heart"はロック的なバンド・サウンド主体であるからである。この1枚目がある意味ではかなり「暗い」と思われても仕方がないところがあり,これを1枚続けて聞かされると辟易としてしまうリスナーがいても不思議ではない。よって,曲順を変えてある程度メリハリをつける国内盤のやり方もありだとは思わされるのである。しかし,私のように1枚目の内省的な音楽にも強い魅力を感じる人間にとっては,やはり輸入盤仕様でも全く問題ない。面倒なのはディスクを代える手間だけである。iPodに突っ込んでしまえば,それも問題にならない。1枚目のサウンドは私が結構ひいきにしているRay LaMontagneとの連関性も見出せる(彼も参加している)ということで,やはりこれはたまらん。そう言えばほぼ時を同じくしてRay LaMontagneの3rdアルバムも発売されたし,こちらも早く聞きたい!!

2枚目のディスクは1枚目に比べると完全にロック化していて,このギャップに驚かされると言えばその通りである。しかしこういうコンセプトだと思えばいいのである。しかし,冒頭に書いたように,レーベル移籍第1作でこうしたコンセプト・アルバムを打ち出すことにはかなり勇気が必要だったはずであり,そうであるがゆえに,セールス的にもどうなのかと余計な心配をさせられてしまう。デビュー・アルバムに比べるとキャッチーさにはやや欠けるような気もするし,これで売れなくてまたレーベルを転々とさせられ,次のアルバムはまた4,5年後っていうのは勘弁してっもらいたい。女性シンガーソングライター好きの私としては,今後のシーンを支える存在として彼女にはもっともっと活躍して欲しいのである。

ということで,2ndアルバムの発売を喜び,今後の彼女の活躍を期待してちょいと甘いが星★★★★☆としよう。贔屓目入り過ぎかな~。

ところで,ジャケットにはパーソネル情報が記載されているが,文字が小さ過ぎて,最近明らかに老眼が入っている私には読み取れないので,別のサイトからの情報を転載するが,間違っていたらごめんなさい。

Personnel: Rachael Yamagata (vo, g, hca, p, glockenspiel), Ray LaMontagne (vo,  g), John Alagia (g), Mike Bloom (g, dobro); Cameron McGill (g, p), Mike Mogis (g, org, key),  Josh Grange(g), Mark Goldenberg(g), James Valentine(g), Michael Chavez (g), Kevin Salem(dobro), Kimberly Salistean(vln), Donna Carnes(vln), Lorenza Ponce(vln), Antoine Silverman(vln), Becky Doe(vln), Chris Cardona(viola), Cynthia Ricker(viola), Jane Scarpantoni(cello), Oliver Kraus(cello), Tracy Sands(cello), Peck Allmond(fl), Owen Kotler (cl), Marilyn Coyne (oboe), Robert Carlisle (Fr-h), Daniel Clarke (el-p), Nate Cambell(marimba), Pete Donovan (b), Catherine Popper (b), Davey Faragher(b), Jen Condos(b), Chris Giraldi(ds), Jon O'Reilly(ds), Sean O'Keefe(ds), Jay Bellerose(ds), Jason Boesel(ds), Than Luu(perc), Matthew Cullen (gong), Maria Taylor (vo)

2008年10月19日 (日)

JD Souther:何と25年振りだそうだが,これはかなり微妙。

Jd_souther_2 "If the World Was You" JD Souther (Slowcurve)

6番目のEaglesとも称されるJ.D.Southerはソロでもいいアルバムを残してきたが,そのJDが25年ぶりに放つアルバムである。28年ぶりにフル・オリジナル・アルバムを出したEaglesについて酷評した(記事はコチラ)私であるから,このアルバムとて大して期待できないかなぁと思いつつ,それでも買ってしまうのが「性」ってやつである。

一聴して,JDの声は年の割にはまだまだ瑞々しさを保っていると思わせるが,彼にどういう心境の変化があったのかはわからないが,ジャズ・コンボが伴奏をつけているのには驚かされる。それが成功していればいいのだが,私としてはどうも首をひねらざるをえない出来である。何がって,こういう伴奏で歌うことについての必然性を全く感じさせないのである。Boz Scaggsがコンボをバックにジャズ・スタンダードを歌ったアルバムがあったが,あれはあくまでもスタンダード集であって,Bozの声でそうした曲を歌うとどうなるのかという楽しみがあった。しかし,このアルバムは全部JDのオリジナルであるから,そもそも性格が違う。

私はJDの書く曲は好きな方だと思うが,この伴奏とはやはり合わないだろうと言わざるをえないのである。よって,彼のシーンへの復帰は祝いたいのはヤマヤマなのだが,私の期待する彼の姿とは違い過ぎた。また,ここでテナーを吹いているJeff Cooffinなるプレイヤーも雰囲気を壊しているって感じだなぁ。JDには悪いが,このアルバムを聞くぐらいならセルフ・タイトルのアルバムや"Black Rose"を聞いている方がはるかに楽しめるのである。星★★。

Personnel: John David Souther(vo, g, ts), Jeff Cooffin(ts, ss, fl), Rod McGaha(tp), Chris Waters(p), Dan Immel(b), Jim White(ds), Marie Borderon(vo), Sylvia Elena Garcia(vo), Marisol LaBoy(vo)

2008年10月18日 (土)

恥知らずな政治家:中山成彬

問題発言を連発して国土交通相を辞任し,次の衆議院選には出ないと言っていた中山成彬が「出るだ,出ないだ」と言っているのは誠に見苦しいの一言である。

このアホなオッサンは今だに「地元の支持者から強い出馬要請が寄せられている」等と寝ぼけたことを言っているようだが,もはや自民党宮崎県連からはそっぽを向かれているということにも気付かず,このように発言すること自体,恥知らずと言わずして何と言おうか。こういうのを「未練がましい」というのである。挙句の果てに「混乱させるつもりではなかったのだが、申しわけない」と陳謝したってどういうことであろうか?

未練たらたらで優柔不断な男ってのは女性から最も嫌われるタイプだと私は思うが,このオッサンがいまさら出馬したところで,宮崎県民のどれだけが投票すると思っているのだろうか?そのまんま東(この男のメンタリティもこの芸名で呼んだ方がよかろう)が国政に色気を出して,県民からどういう反応を以って迎えられたのかということを中山は見ていなかったとでも言うのだろうか?

今回の中山の行動,発言はまさしく宮崎県民,ひいては日本国民を愚弄する行為である。こんな厚顔無恥なアホに血税から給与が払われていると考えるだけで虫酸が走る。北朝鮮拉致被害者家族会の方には申し訳ないが,こんな男を夫にしているヨメの中山恭子自体の信用度も甚だ怪しいものだと言わざるをえない。人を見る目がある女性はこんなアホが夫であるだけで恥だと思うだろうし,妻としてこのアホを黙らせられないようでは北朝鮮と真っ当な交渉などできるわけなかろう。

いずれにしても中山のように矜持のかけらも持たぬ人間は今後一切政治に関わるべきではない。少なくとも表舞台でこれ以上の恥をさらすのはやめた方がいい。自民党はこの男が出馬するといったら本当に公認するつもりだったのだろうか?そもそもこんなアホの発言を擁護する町村信孝のような男が派閥の領袖なのだからやりかねないと言えばやりかねないが。

そもそも町村派幹部が、中山が立候補するなら、「勝てる候補として派閥として当然応援する」と語ったという信じられない報道もあったから,この町村派というのは正常な判断能力を持たないアホ集団であると言わざるをえない。こうした発言に対して宮崎県民はもっと怒りを示すべきであると声を大にして言いたい。

とにかくメディアに顔を出して労害をまきちらすのはもうやめにして,悠悠自適な老後を過ごせばいいのであると中山には言っておく。あ~情けない。

2008年10月17日 (金)

話題沸騰:Jesse Van Rullerを聞いた

Silk_rush "Silk Rush" Jazz Orchestra of The Concertgebouw Featuring Jesse Van Ruller (55 Records)

ジャズ関係のブログのお知り合いの皆さんが絶賛しているアルバムがこれである。私もブログのお知り合いであるすずっくさんから「これは聞いていないの?」と聞かれて,素直に「はい,聞いてません」と答えた(爆)ものの,それから気になっていろいろな皆さんのコメントを拝見し直すに及び,これはやはり聞いておかねばなるまいと一念発起(大袈裟なっ!)しての購入と相成った。

私はJesse Van Rullerについては名前はよく知っているし,Fleurineのバックで演奏している彼の演奏も聞いたことがあるにはあったが,これまでちゃんと聞いたことがあるわけではない。言い訳がましく言えば,何らかのトリガーでもない限り,追い切れない,即ち私の中でのプライオリティは決して高いとは言えないミュージシャンの部類に入っていたのである。

まぁそんなところに,今回は格好のトリガーというか,すずっくさんからの突っ込みが入ったおかげでこのアルバムを聞いたのであるが,一言で言えば見事なソロ・フレーズの構成力と言うことができる。テクニックは十分あるし,これだけフレージングの妙を聞かせられれば,いかに私がヘボなギタリストの端くれと言えども,Jesse Van Rullerの実力はよくわかった。こういう人にちゃんと注目してこなかった自分の不明は恥じねばならないが,だからと言って今から追いかけるというのは彼のアルバム枚数からするとかなり厳しい。まずはこのアルバムをしっかり聞いた上で,次に何を買えばいいのかは皆さんにアドバイスを求めることとしよう。

いずれにしても,ビッグバンドの作品,かつライブで全面的にギタリストをフィーチャーしたアルバムというのは記憶にないが,これだけでもかなりチャレンジングな企画である。しかもJesse Van Rullerのオリジナルばかりというのも,当人としてはプレッシャーもかかるところであろうが,それをものともしないこの人の技術は本当に大したものである。アレンジャーは他人に任せたというのもおそらくは正解で,そこまでやってはソロに集中できなかったであろうと思わされる。

アレンジメントも結構モダンな響きを打ち出すのに成功しているし,このビッグバンド,オランダという国がジャズでもかなりのレベルにあることを実証している。コンセルトヘボウと言えば,クラシックの世界ではアムステルダム・コンセルトヘボウ・オーケストラであるが,このビッグバンドもそのレベルゆえに,きっちりしたスポンサーシップに支えられているということであろうか。いずれにしても大したものだ。

ライナーにあるパーソネルを見ても,あくまでもJesseはこのビッグバンドの一員という扱いなのも奥ゆかしい。ジャケ写真は日本でのセールスを意識したものなのかよくわからないが,それでもFeatured SoloistとしてJesse Van Rullerはほぼ完璧な仕事をこなしている。このアルバムは欧州ジャズのファンだけでなく,より幅広いリスナーに聞かれるべきものと思う。星★★★★☆。

ところで,オランダには私は行ったことがないのでわからないが,BimhuisはFred Herschもライブ盤を残している場所だから,同地の有名ジャズ・クラブって感じだろうか。コペンハーゲンにカフェ・モンマルトルがあり,アムスにBimhuisありである。う~む。ちょっと行ってみたいなぁ。

Recorded Live at Bimhuis, Amsterdam on March 2, 2008

Personnel: Henk Mertgeert(cond), oris Roelofs(as ss, cl, fl), Jorg Kaaij(as, fl), Simon Rigter(ts), Sjoerd Dikhuizen(ts, cl), Juan Martinez(bs, b-cl), Jelle Schouten(tp, fl-h), Ray Bruinsma(tp, fl-h), Rini Swinkels(tp, fl-h), Ruud Breuls(tp, fl-h), Jan van Duikeren(tp, fl-h), Jan Oosting(tb), Jan Bastiani(tb), Hansjorg Fink(tb), Martien de Kam(b-tb), Jesse Van Ruller(g), Peter Beets(p), Frans van Geest(b), Martijn Vink(ds)

2008年10月16日 (木)

Pretendersの新作は正統派ロックだが,曲のクォリティがなぁ...

Pretenders "Break up the Concrete" The Pretenders (Shangri-la)

私にとってはPretendersと言えば今も昔も"Learning to Crawl"である。あの名曲満載のアルバムこそが,私は彼らの最高傑作だと信じているが,その後は彼らの活動をフォローしてきたわけではない。しかしCrissie HyndeはBob Dylanの30周年記念ライブとかでもカッコいいおばちゃんぶりを発揮していたし,私の中ではやはり気になる人たちではあった。

そんなPretendersの新作であるが,私をこのアルバムの購入に走らせたのはJim Keltnerの全面参加という点である。Jim KeltnerとPretendersの組み合わせはやや意外ながら,上述のDylanのライブにもKeltnerは参加して,Crissieとも共演しているはずだから,まぁ考えられないことはない。Keltnerはオールラウンドなプレイヤーであるから,ここでもバンドにきっちり同化しているのは大したものである。もう一つのポイントはJames Walbourneというギタリストとの共演だが,この人Pernice Brothersというバンドのメンバーらしいが,ここでは非常にソリッドなギターを聞かせていて,このロック魂あふれるアルバムに貢献している。

冒頭からいきなりの「南無妙法蓮華経」には思わずのけぞるが,その後は正統派ロック・サウンドが全面的に展開されている。サウンド的には私は文句はないのだが,このアルバム,いかんせん曲のクォリティが今一歩なのが残念である。ここに"Learning to Crawl"所収の曲のクォリティが加わればよかったのに...と惜しまれる。星★★★☆。

ところで,このCDには帯が付帯されていて,そこには"Soak this Handmade seed paper in water overnight and plant under a thin layer of sil. Keep moist. Seedlings may sprout in 1-4 weeks."と書いてある。ってことはこれを植えると何かが生えてくるということだが,一体何が生えるのやら。裏ジャケに映った可憐な白い花だろうか?ものは試し,やってみることにしよう。結果は追ってご報告としたい。

Personnel: Crissie Hynde(vo, g), James Walbourne(g, p, accordion, vo), Jim Keltner(ds, vo), Eric Haywood(pedal steel, vo), Nick Wilkinson(b, vo)

2008年10月15日 (水)

懐かしのCrusadersの日本ライブだが...

Crusaders ゛Live in Japan゛ The Crusaders (Crusaders→GRP)

このアルバム、出た当時は"Ongakukai"という訳のわからんタイトルで発売されていたはずであるが、それがGRPレーベルに権利を移転して発売されていたとは全然知らなかった。たまたま行った中古盤屋で安値で拾ったものである。700円だったら、駄盤でも損をしたとは思わない。

しかしである。このアルバム、駄目である。何がってCrusadersらしさがあまり感じられない。選曲もJoe Sampleのソロ・アルバムからが多過ぎて、これではCrusadersというよりもJoe Sample&Friendsである。演奏のレベルが低いと言うのではない。私が言いたいのはCrusadersというグループの存在意義が低下しているということなのである。これだったら、Joe Sampleがソロで来ればいいのだということである。

また、このアルバム、コンサートの模様を完全収録するというのはいいが、しょうもないMCまで2分あまりも収録する必要はあるまい。そんなことにこだわるのはあまりに馬鹿げている。

このアルバムを更に駄目にしている別の理由としてしょぼい録音がある。この「線の細さ」致命的である。どうせ再発するならミキシングを見直すぐらいの対応が必要であった。

と悪口ばかり書いているが、Crusadersのファンは廃盤化したこのアルバムを探したくなるのは当然である。Alphonso Johnsonの鋭いベース・ラインやRoland Bautistaのしっかりしたリズム・ギターはその魅力を認めるべきである。だとしても私はこのアルバムを聞いたときの違和感はやはりぬぐいがたいレベルであった。星★★。最後に書いておくがBarry Finnertyというギタリストはかなりのイモである。この人がいなければ、もう少し評価も上がったかもしれない。

まぁ700円だからいいや。

Recorded Live at NHKホール on January 18, 1981

Personnel: Wilton Felder(ts), Stix Hooper(ds), Joe Sample(p, key), Barry Finnerty(g), Roland Bautista(g), Alphonso Johnson(b), Rafael Cruz(perc)

2008年10月14日 (火)

Han Benninkが4ビートを叩く!

Home_safely "Home Safely" Han Bennink / Curtis Clark / Ernst Glerum (Favorite)

最近の輸入盤ショップで結構な売上げを記録しているアルバムである。このアルバム,ショップではHan Benninkの...というかたちで紹介されていることが多いようだが,収録されている曲はピアニスト,Curtis Clarkのオリジナルばかりであるから,まぁトリオによる共同リーダー作と考えてもいいのではないかと思う。表のジャケに写っているのはClarkだろうから,実のところはClarkがリーダーだったと考えてもいいだろう。

それでもってHan Benninkである。Han Benninkと言えばやはりフリーのイメージが強いのは事実であるから,彼がこうした演奏でブラシまで使ってサトルな4ビートを聞かせるということにはやはり驚きがある。しかし,よくよく考えてみれば,Han BenninkはDolphyの゛Last Date゛においても,きっちりしたドラミングを聞かせていたし,何もフリーだけの人ではないというのは明らかである。フリー・ジャズのプレイヤーというのはきっちり弾けた上でフリーに演奏するというのが基本なのは山下洋輔だって,更には完全ハードコアと思われているJohn Zornだってそうなのだから,Benninkがこうした演奏を聞かせたとしても不思議ではない。

そうした前提のもとでも,このアルバムでのHan Benninkにはイメージを覆されること甚だしいのは事実である。どういう経緯でこうした録音が行われたかは大変興味深いところではあるが,このアルバム,1994年に録音されながら,マスタリングは2003年に行われており,その間,どういうことになっていたのかというのも関心が向いてしまう。

ただ,全編を聞いてみると,非常に落ち着きのある演奏だとは思うが,カクテル・ピアノ一歩手前って気もして,実はいいのか悪いのかよく分からないのである。確かに店頭でこのアルバムが掛かれば,気になってジャケットをチェックしに行くタイプの音源ではある。しかし,それを冷静に自宅で聞き直してみるとどうもピンとこない。確かにこの演奏悪くないのにである。多分にこの演奏にはジャズの魅力の一つである「熱さ」が不足しているためではないかと思うのだ。私はこのアルバムを聞き込んでいるわけではないが,やはりちょっとアルバムとしては作りが甘いような気がする。今後評価を見なおす時が来るかもしれないが,今のところは星★★★。私としてはどうせBenninkが叩いているのだったら,意図的な破綻があってもよかったのではないかと思っている。

尚,余談だが,上掲の本アルバムのジャケットのClarkの写真の背後にひげ男がボーっと写っているのだが,あれは一体誰なんだ?ここにアップした画像ではそこまではわからないだろうが,ご興味のある方はご自分で手に取って確認してみて下さい。まぁ,それがどうしたという話だが...。

Recorded in January 1994

Personnel: Han Bennink(ds), Curtis Clark(p), Ernst Glerum(b)

2008年10月13日 (月)

怒涛の新譜ラッシュで記事のアップが追いつかない

秋も本番になると音楽シーズン到来ということで,沢山の音楽CDの注目すべき新譜が発売されたり,これから発売されることになっている。私にとって,この秋最高の注目作はRachael Yamagataがあの傑作デビュー・アルバム(素晴らしいRachael Yamagataのデビュー作という記事を以前書いた)から4年ぶりにリリースするセカンド・アルバムであるが,そのほかにもJames Taylorによるカバー作品集,J.D. Southerの25年ぶり作品,Jim Keltnerを迎えたPretendersの新譜,Dan Pennのデモ音源を集めたらしい新作,Otis Reddingのライブ発掘作等々枚挙に暇がない。

その多くは私は既に入手済みなのだが,いかんせんちゃんと聞いている時間がなく,記事のアップが滞りそうで恐い。そのほかにも入手するアルバムは新譜だけではないしなぁ。

それにしても,こうして書いていると全然ジャズの新作が含まれていないことに今更のように気がつく。巷では゛Kind of Blue"の50周年記念ボックスというのが出ているが,あれも既にブートで発掘済みの"Kind of Blue"セッションの模様がようやく公式盤に収められている程度のものであろうから,音源としては魅力はないし,CDの2枚目なんて゛1958 Miles゛そのまんまで,「なんじゃそりゃ」感が非常に強い。更にはボックス・セットにいまさらブルーのアナログLPを付けられても困る人の方が多いのではないかと思いたくもなる。Columbia/Legacyの復刻作というのは,どうもよくわからない編集方針で???と首を捻らざるをえないところがあるのだが,いかに私がMilesのファンと言ってもこれでは食指が動かない。

まぁジャズ界ではブロガーの皆さんの情報とショップからのメール情報を頼りにするしかないが,どうも「おぉっ!」というような新譜がないのは残念である。こういうことを言っていると自分がまたブートに走りそうで恐いのだが,いずれにしてもこの秋はしばらくロック系の記事ばかりになりそうな気がする今日この頃である。そう言えば,Bob Dylanの"Bootleg"シリーズもあったなぁ。あれって限定の3枚組と通常盤2枚組の価格差が大き過ぎて,さすがに3枚組の購入は躊躇してしまった。Dylanは今回は諦めて,持っているアルバムを聞き直すことで我慢しよう。そんなことをしていたら,また新譜を聞く時間がなくなるんだって(爆)。悩みはつきない私である。

2008年10月12日 (日)

Dave Holland:バンド一新の結果やいかに?

Holland_pass_it_on "Pass It On" Dave Holland Sextet (Dare2 / Emarcy)

しばらく前に購入していながら,なかなかアップできていなかったアルバムである。

これまで鉄壁のコンビネーションを誇ったDave Holland Quintetであるが,今回発売された新作では,Robin Eubanksを残してメンバーが一新され,3管編成のセクステットとなっているところが,最大の注目点である。これまでのバンドは活動期間が長く,行くところまで行ったとHollandが判断したかどうかはわからないが,レベルの高い活動を継続するHollandのことであるから,期待が高まるのは当然である。

このアルバムでもDave Hollandのリーダーシップのもと,なかなか優れた演奏を展開しているが,前のクインテットに比べると変態度はやや薄れたというか,よりコンベンショナルな響きが増しているのは編成のせいと考えてよいかもしれない。ピアノも入った3管編成と言えば,Art Blakey & the Jazz Messengersという代表的コンボがあるが,今やHollandが目指すのはBlakey的なバンド・リーダーということかもしれない。

メンバーはピアノのMulgrew Millerの参加がやや意外である。Millerと言えば,中堅中の中堅(誉め言葉なのか,けなしているのかわからないなぁ)であるが,ここでも全く破綻のない演奏ぶりである。アルトのAntonio HartはRoy Hargroveのコンボでの活躍が記憶に残るが,最近は活動に華がないというか,どちらかというと低迷していたという感じだろうか。トランペットのSipiaginはCriss Crossレーベルでの活躍が目立つものの,まだメジャー化はしていないという人である。そこに最近,いろいろなバンドでの活動が目立つEric Harlandと番頭役Eubanksという編成は,ある意味いろんなタイプの人を一つのバンドに突っ込んでしまいましたという感じがするのだが,ここでの目的はそうしたバンドでもちゃんとHollandの統率力が機能することを見せつけたいかのようである。Hollandが目指すはジャズ界の野村再生工場かと冗談の一つも言いたくなるような編成である。

しかし,演奏のクォリティは現代的ハードバップとして非常に高いし,またこのアルバム,通勤途上で聞いても音がよいように思えるのである。ここではHollandのアコースティック・ベースが生々しくとらえられていることも私の好感度を上げる要因である。そうは言っても,前のクインテットとどちらが好きかと言われればクインテットだよな~とは思うが,ちょっと同じメンツでの活動が長くなり過ぎてやや食傷気味だったのも事実である。リスナーがそうなのだから,Hollandも同様だったのだろう。まぁ3管のメンツはHolland Big Bandのメンバーでもあるから,見ず知らずの仲であったわけではないし,ピックアップしてバンドにしてみましたって感じか。それでこの完成度ということなら,やはりHolland恐るべし。星★★★★。

Recorded in July 2007

Personnel: Dave Holland(b), Antonio Hart(as), Robin Eubanks(tb), Alex "Sasha" Sipiagin(tp), Mulgrew Miller(p), Eric Harland(ds)

2008年10月11日 (土)

レアであること以外に本当に存在意義があるのか?

On_the_corner_meets_benny_bailey "On the Corner Meets Benny Bailey" (Jazz 4 Ever)

レア本にも記載される幻盤だそうである。先日ふらっと立ち寄ったCDショップで再発盤を売っていたものだが,私の好きなトランペットのワンホーン・アルバムであり,Tom Harrellの゛Sail Away゛もやっているので,ものは試し購入してみた。CDのオリジナル盤は中古のコーナーで14,000円というふざけた値段で売っていたが,まぁ幻ゆえに仕方もなかろうが,どういう人が買うのだろうか。

しかし,このアルバム聞いてみて思うのは,そんなに優れものの演奏かねぇというものである。確かに演奏に破綻はないし,Baileyのトランペットもそれなりであるが,私にはバックを務める゛On the Corner゛というトリオの硬い音色(ドイツっぽいと言えばドイツっぽい)に違和感があるとともに別にフレージングだって大したことはないと感じてしまうのである。そもそもトリオ名にMilesのアルバム・タイトルを頂くなら,それなりの強烈な路線なのかと想像もしようものだが,演奏は極めてコンベンショナルで,グループ名と演奏の不一致感も私の不満を強める要因である。

結局このアルバム,レアであるがゆえに価格が高騰しているのはわかるが,内容はそれほどのものとは到底思えない。同じワンホーンでレアということであれば,先日取り上げたTom Harrellのライブ盤を捜すことにコレクターや音楽愛好家としては時間を費やすべきである。自分が購入するCDが全てよいわけではないのは当たり前だが,所謂レア本だけを当てにしてはならないという好適事例。星★★。まぁショップのポップに騙される私に審美眼が欠けているという点については反省せねば。やはりできるならば試聴できるものは試聴するのが正しい。

Recorded on August 15-17, 1995

Personnel: Benny Bailey (tp), Bernhard Pichl (p), Rudi Engel (b), Sebastian Netta (ds)

2008年10月10日 (金)

不朽の名曲:木綿のハンカチーフ

Photo 「木綿のハンカチーフ」 太田裕美(CBSソニー)

太田裕美がこのブログに出てくるとは何とも唐突だが,先日TVを見ていたら彼女がこの歌を歌っていたので今日のお題はこの曲である。

加齢とともにどんどん涙もろくなっていく私だが,映画館で泣いても,歌を聞いて泣くことは稀である。しかし,この歌を聞くと条件反射のように涙がこぼれてしまう私である。

歌謡界で考えられうる最強タッグ,松本隆と筒美京平のコンビが生み出したこの曲は,リリースから30数年を経ても,歌謡界に燦然と輝くエバーグリーンだと言いきってしまおう。男女の心情のコール&レスポンスという形態も新鮮だったが,4分弱の曲に見事なドラマを描き出した松本隆の詞が何と言っても素晴らしい。

よくよく聞けば本当に悲しい歌であるが,筒美京平の曲はメランコリックな響きはないのに,松本の書いた詞にまさにジャスト・フィットし,この4分間のドラマを更に素晴らしいものにしているではないか。詞の悲しさと曲のメロディー・ラインのギャップが何とも言えないのだ。

そして私は太田裕美が最終コーラスで「あなた最後のわがまま贈りものをねだるわ。
ねえ涙拭く木綿のハンカチーフください。ハンカチーフください」と歌う瞬間に確実に落涙の瞬間を迎えるのである。木綿のハンカチーフ下さいと言いたくなるのはこの私の方である。私はこの歌を自らカラオケで歌っていても涙で目がかすんだと言う信じられない経験をも持つが,それほど聞く者をドラマの世界に誘いこんでしまう魅力がこの曲にはあるということだと私は思っている。私をこのように感動させるこの曲は,誰が何と言おうと星★★★★★では足りないぐらいの不朽の名曲である。1975年,「およげたいやきくん」ゆえにチャートのトップになれなかったというのも何ともいじらしいのである。

でも曲をかけると泣いてしまうので家族の前では聞けない...。

2008年10月 9日 (木)

やはり強烈だったKing Crimsonの"USA"

Usa "USA" King Crimson(Island / E.G.)

King Crimsonの音源は次から次へと出てくるし,このアルバムも何度も再発されているから,最近では全然ありがたみはなくなった。私が購入したのはこのアルバムの30周年記念盤であるが,当時はこのアルバムがずっと廃盤状態だったので,ようやくという感覚が強かったと記憶している。

まぁこのアルバム,なんでDavid Cross入りの演奏なのに,Eddie Jobsonがオーバーダビングしているんだとか,なんだかんだと批判が多いのも事実であるが,昔はCrimsonのライブはこれとあの音のヒドい"Earthbound"しかなかったわけだから,普通のセンスでいけばこちらに依存するということになるわけである。私は中古盤LPでこの演奏を聞いていたが,やはりCD化されたときは嬉しかったものだ。

もちろん,今となってはこのアルバムでなくても,更に強烈な"Great Deceiver"というボックスが出てしまっているから,このアルバムの意義は大分下がったとは言え,久々に聞いてみたらやっぱり燃えてしまった。このアルバムは,(おかしな表現だが...)最初の解散前の演奏ということになり,演奏もロックの境界を越えつつあるような領域に入り込んでしまったまさにバンドとしての爛熟期のものと言うことができるかもしれない。インスト・ナンバーなんて,完全なインプロビゼーションであり,どこまで行ってしまうのかという感じなのである。

まぁ,それでも私は歴代Crimsonの中では,John Wetton~Bill Bruford入りのCrimsonが一番好きなので,ここに収められている演奏でも十分に楽しめてしまう。リズムは強烈だし,Frippのソロは切れている。よって,"Fracture"と"Starless"が追加収録された新装版CDにはやはり興奮してしまったのである。但し,追加曲とクレジットされている冒頭の"Walk On...No Pussyfooting"は演奏前のサウンド・エフェクトに過ぎないのであって,これを追加曲と言い張るFrippの商魂には思わず引いてしまう。

いずれにしても,私は復活後のCrimsonも評価しない訳ではないが,ボーカリストというか,声についてはAdrian Belewより,John Wettonの方が絶対いいよなぁと思っているので,やはり復活前のCrimsonの方が聞く頻度は高い。それでもちょっとテンションが高過ぎてしょっちゅう聞いていたら発狂しそうになるというのも一方では事実である。だからこのアルバムも頻繁に聞いているわけではないのだが,久々に聞いたらやっぱり燃えてしまったというのが正直なところである。つくづくレベルも高いが,テンションも高いバンドであった。星★★★★。

Recorded Live in June, 1974

Personnel: Robert Fripp(g), David Cross(vln, key), John Wetton(b, vo), William Bruford(ds), Eddie Jobson(vln, key)

2008年10月 8日 (水)

Paolo Fresu対ノルウェーのバリサク・トリオ

Subtrio "Live at Sting" Subtrio Featuring Paolo Fresu (Dravle)

このアルバム,今年の8月頃に日本に入ってきていたはずである。しかし,一向に店頭で見つけられず,ネットでも見当たらないという状態が続いていたのだが,ようやく某店で入手できた。よって,まだ新譜扱いとさせてもらう。

ピアノレスのバリトン・サックス~トランペットのクァルテットと言えば,誰もがGerry Mulligan~Chet Bakerのバンドを思い起こすはずであるが,編成が同じでも,時代が変わるとこうも音楽は変わるものかと妙に感心をさせられるアルバムである。このアルバム,ノルウェーのSubtrioというバリトン~ベース~ドラムスという変わった編成のバンドが,Paolo Fresuを迎えて吹き込んだライブ・アルバムなのだが,Mulliganクァルテットが対位法,あるいは室内楽的な響きさえ持っていたのとは異なり,かなりホットな演奏が収められている。何てたってFresuである。ここでも吹きまくっている。

収録されている曲は,基本的にスタンダードか有名/無名ジャズ・オリジナルなのだが,プレイヤーの資質によって,この編成でもこうなってしまうんだというのが何とも楽しい。なぜか゛Line for Lions゛が2回収録されているのは蛇足のように思えるが,まぁご愛敬ということにしておこう。

いずれにしてもFresuのソロイストとしての魅力は十分に味わえる佳作である。星★★★★。

Recorded Live on December 9, 10, 11, 2004

Personnel: Paolo Fresu(tp, fl-h, electronics), John Pan Inderberg(bs), Svein Folkvord(b), Stein Inge Brekhaus(ds)

2008年10月 7日 (火)

"Draw the Line":今聞いてもイケている

Aerosmith ゛Draw the Line" Aerosmith (Columbia)

一時の低迷期を経て,完全復活を遂げたAerosmithであるが,バンドとしての黄金期は゛Rocks゛からこのアルバムに至る時期であることに異議を唱える人はそう多くはあるまい。しかし,Steven Tylerなんてもう還暦なのにまだまだ現役なのだからそれも大したものである。

このアルバム,冒頭のスライド・ギターをうまく使ったタイトル・トラックの心地よい緊張感に痺れる。ロックはこうでなくてはならないと思わせる演奏である。そこからアルバムは約35分というこれまた適切な長さのパッケージを通して,何ともカッコいい演奏が続く。ただ,いつ聞いてもこのアルバム,私にとってはタイトル・トラックの印象が強過ぎて,ほかの曲がかすんでしまうのがやや残念と言えば残念である。それほど"Draw the Line"という曲は優れものなのである。

いずれにしてもヘビーなロック・アルバムとして,この作品の魅力はリリースから30年以上経過した今日でも変わっていないと思うし,今聞いてもイケているのである。星★★★★。

ところで,Aerosmithと言えば私にとっては米国NBCのTV番組,゛Saturday Night Live゛の人気エピソード"Wayne's World゛への出演が忘れられない。Mike MyersやDana Carveyが出ていた頃のSNLはまだまだ本当におかしかったが,番組出演時のAerosmithをクスリ・ネタでおちょくるMike Myersは最高であった。私にとってAerosmithは"Wayne's World゛と切り離して考えることはできないのである。映画版゛Wayne's World゛にも出ちゃったぐらいだから,やはり反応はアメリカでも同じだったということであろう。

2008年10月 6日 (月)

レベルが低くて笑ってしまうSarah Palin

米共和党の副大統領候補、Sarah PalinがVice Presidential Debateを終えて,「毎日のように、もっとメディアと話したい」と述べ、これまで避けてきた取材に積極的に応じると宣言したそうである。

討論会前に受けたインタビューで「ロシアはアラスカから見える」等と語って世の失笑を買ったSarah Palinは「何についても必ず酷評されるので閉口していた」と語ったそうだが,自分の頭の悪さ,見識のなさを棚に上げてこのように語ること自体馬鹿げている。

大体このような人を副大統領候補に据えるJohn McCain自体が,おぶちゆうこ君を国務大臣に据えるどこかの口の曲がった首相と,同じようなメンタリティを持っていると思わざるをえない。一時的な人気取り施策はいずれボロが出ることはSarah Palinが実証している。おぶち君もPalinのようにならないように気をつけることだが,ろくな活動も発言もしなければ,ボロも出ないか。

いずれにしても,Palinがメディアともっと話すというのであればどうぞ,どうぞと言っておこう。わずか5日で辞任したなかやまなりあき君(既に自民党県連からも無視される存在と成り下がったうつけ者と言っておこう。政治家としての自覚も責任感も皆無。次回落選確実だから,次回衆議院選挙への不出馬を決めたのはこれ以上惨めな姿をさらしたくないという思いか。)と同様の失言連発で,McCainの首を締めること必定であろう。そもそもJohn McCainも金融危機を理由にPresidential Debateの延期を申し入れるなど,「戦争の英雄」とは思えない敵前逃亡を図るような姿勢が情けない。こうした危機的状況にこそ,大統領としての資質を世に示すチャンスだとどうして考えられないのだろうか。こういうのを見ていると,所信表明演説で所信を語らぬどこかの口の曲がった首相とのメンタリティの同一性を更に強く感じてしまう。

現在のところ,米国大統領選においては民主党優勢は間違いないところだろうが,それにしても今回の共和党陣営レベルが低過ぎて,お話にならない。今回ばかりは地滑り的勝利を民主党が収めるかもしれない。いずれにしても,Sarah Palinは米国のトーク・ショーでは徹底的におちょくられているんだろうなぁ。David Lettermanはどう言っているのか気になるなぁ。

2008年10月 5日 (日)

まだまだ続く米国金融業界のローラーコースター状態

先日このブログで「ローラーコースター状態の米国金融業界」と書いたばかりのところに,Wells FargoによるWachovia買収という強烈なニュースが飛び込んできた。私はその記事にもWellsによる逆襲はあるのかと書いたが,こういう展開になるとは思っていなかった。既報のとおり,Wachoviaの銀行部門はCitiによる買収が当局も絡んで進んでいたが,私としては先の記事でも書いたとおり,CitiとWachoviaではカルチャーが違い過ぎると思っていたので,合併するならWellsの方がずっとWachoviaにとってはいいと思っている。

このニュースを見ていて思い出すのは,住友信託がUFJ信託を統合する方向で話しが進んでいたのに,急転直下UFJホールディングスが三菱東京FGに寝返ったために話が頓挫した件である。話としてあまりに似ていると思うのは私だけだろうか?日本では訴訟沙汰となったわけだが,今回の一件でいい笑い者にされかねないCitiも訴訟に打って出るのは確実のように思える。しかし,株主は正直で,Wellsとの合併報道によりWachoviaの株価は急騰しているから,株主の選択としては明白ということである。

WellsとWachoviaの合併が進めば,これまでビジネスが西海岸中心で,東海岸にはフランチャイズを持たなかったWells Fargoのプレゼンスは一気に上がることになる。Goldman SachsやMorgan Stanleyが銀行業に業態転換をして,米国銀行業のランキングはわけがわからなくなってきたが,ことリテール金融という観点では,完全に米国は4強(Bank of America,JP Morgan Chase,Citigroup,Wells Fargo)時代に突入したということになる。その中でWachoviaをかっさらわれて,Citiがやや弱体に見えるが,まだまだ巻き返しを図る買収を打ち出すかもしれない。

いずれにしても本当に今回ばかりは動きが激し過ぎて頭がクラクラしている。

"I am Sam":Beatlesトリビュートとしても素晴らしいサントラ

Iam_sam "I Am Sam: Music from and Inspired by the Motion Picture" Various Artists (V2)

私の音楽リスナー人生においてThe Beatlesが果たした役割は大きい。ステレオ装置がまだ買えなかった頃,FMのエア・チェックで全曲録音を目指したことも今となっては懐かしい。それでも"Revolution No.9"とかが放送されることはなかったので,それは果たせなかったが,結構いい線まではカバーできていたはずである。彼らの曲が全て名曲だとは思わないし,今となっては私は"Rubber Soul"以降のアルバムしか聞かないが,それでもやはり彼らの音楽はエバー・グリーンであることは間違いない。ある意味思い入れが強過ぎるために,彼らの音楽をこのブログで彼らの音楽を取り上げることはなかった。

そこでこのアルバムの登場であるが,これもThe Beatkes自身のアルバムではない。しかし,本作は映画のサントラという体裁を持ちながら,非常に優れたBeatlesトリビュート盤となっている。そもそも本作に参加しているメンツを見ると,決してビッグ・ネームばかりではないものの,アメリカン・ロックやSSW好きは反応すること間違いなしである。また,彼らがかなり原曲アレンジに忠実にBeatlesナンバーを歌うのはかなり好感度が高い。どの曲がいいかはリスナーの嗜好に任せればいいと思うが,冒頭のAimee MannとMichael Pennの"Two of Us"からしてかなりいいし,全編を通じていい演奏が続くので,最後まで安心して聞けるのである。これはやはりよく出来たトリビュート盤,サントラ盤である。

確かに原曲アレンジを重んじ過ぎという指摘もあるかもしれないし,参加するミュージシャンならではの解釈で聞きたいという考え方もあるだろう。しかし,The Beatlesの原バージョンがそれを越えた位置にあると思えば腹も立たないし,私はこのやり方で正解だったと思う。星★★★★☆。

私は残念ながら映画は未見なのだが,かなり泣かせてもらえるそうだから,DVDでも買ってみることにするか。泣ける映画にこんなサントラが付いたら更に泣いてしまうではないか。

Participating Artists:Aimee Mann, Michael Penn,SarahMcLachlan,Rufus Wainwright,The Wallflowers,Eddie Vedder,Ben Harper,Sheryl Crow,Ben Folds,The Vines,Stereophonics,The Black Crowes,Chocolate Genius,Heather Nova,Howie Day,Paul Westerberg,Grandaddy,Nick Cave,Neil Finn, Liam Finn

2008年10月 4日 (土)

AmazonとCiticardが提携解消だそうである

Amazon20070216 シティカードから突然メールが届いた。Amazon.co.jpとの提携を解消するとのことである。彼らの提携関係がアナウンスされたのは2007年2月のことだから,2年足らずでの提携解消ということになる。メールによれば,今年の12/16以降は無条件にカード退会処理が行われるそうである。

思うに,新規顧客獲得のために2,000円のキャッシュバックをつけた(シティ得意のパターンで,無条件ではなく,Amazonで買い物をすればである。)のはよかったと思うのだが,おそらくはキャッシュバック目当ての買い物はされても,その後のカード利用が進まなかったのではないかと想像する。結局Amazonのポイントそのものがあまりありがたみを感じるようなものではなく,私もそのカードを申し込みながらも,2,000円のキャッシュバックだけゲットした後の通常決済には別のカードを利用していたというのが実情である。

結局のところ,このカード,利用することのメリットをエンド・ユーザが感じることができなかったというのが実態ではないだろうか。少なくとも私にはそうだった。カードは使われてなんぼのものであるから,利用頻度が高まらなければ無料化した年会費の回収もおぼつかないということになり,サブプライムに揺れるシティ側から提携の解消を申し出たのではないだろうか?詳しいことは今度インサイダーに話を聞いてみることにするが,まぁいずれにしても,よっぽどの不採算であったということだろうな~。

そう言えば,シティカードは取引明細のEステートメント化を一方的に通達してきたこともあった。コスト削減を図るのは大いに結構だが,こうしたやり方は昨今の゛Customer Empowerment゛というトレンドに反している。最終的な選択権は顧客が持つものであるというセンスが,残念ながら彼らには欠けていると言わざるをえない。

いずれにしても,このカードは化石のようなものとして,記念に取っておくことにでもしよう。

2008年10月 3日 (金)

マイルスを聴け:文庫本なれどもこりゃ重い。

Photo 「マイルスを聴け!Version 8」中山康樹(双葉社)

おなじみ「マイルスを聴け!」である。ほぼ2年おきに改訂が行われるこの本も,Version 8まで来た。出る度に買っている読者の立場からすれば,差分だけ出してくれればいいのにと思ってしまうが,それでは印税収入が入ってこないということで,この本もページ数がどんどん膨れ上がっていく。今回はなんと1,100ページを越えている。これでは通勤途上で読もうにも,鞄に入れると重くてたまらん。とは言いつつ,格好の暇つぶしにはなるので,ここのところ毎日持ち歩いている。

今回のバージョン・アップで加えられたのは89枚だそうだが,Bar D2のマスターも書かれているとおり,80年代の音源が圧倒的多数のようである。また,ページ数も80年代が450ページ近くあり,ここを読むだけでもかなりの体力を要する。80年代のMiles Davisってどうなんだろうという気もするし,私は゛You Are Under Arrest゛以降はちょっとというクチなので,こんなに音源が出されてもという気がしないでもない。しかし,世の中がデジタル化したのと同期して,Milesのブートレッグの数も飛躍的に増えるというのは,これはまぁ当然のことなのかもしれない。

Miles関連のブートの世界では私の関心はLost Quintetと70年代の音源に向かうので,60年代後半と70年代の音源のチェックに最も力が入るが,次のバージョン・アップでは新規で追加したページと改訂したページに何らかのマークでも付けてくれるとありがたいのだが。そんなものは自分でチェックしろって?確かにねぇ。でもまた全部読むのも面倒だし...。是非何とかして欲しいものである。

2008年10月 2日 (木)

何とも素晴らしいTom Harrellのワンホーン・ライブ

Sail_away "Sail Away" Tom Harrell / Kenny Werner / Andre Ceccarelli / Paul Imm (Musidisc)

先日,自己のグループでの来日も果たしたTom Harrellであるが,彼のラッパは歌心に溢れていて,このブログにも「Tom Harrellの素晴らしいメロディ・センス」という記事を書いたことがある。そのHarrellのアルバムにはContemporaryレーベルにも同じタイトルのアルバムがあるのでややこしいが,こちらはフランスMusidiscレーベルから出たライブ盤である。このアルバム,入手が現在は困難なので,ある人におねだりしてコピーをして頂いたものである(決してほめられた行為ではないが,廃盤では仕方ない,と開き直る)。

そもそもHarrellとKenny Wernerというコンビが渋いが,このアルバムを更に魅力的にしているのはTom Harrellのワンホーン・アルバムということであろう。このフォーマット,Harrellの歌心を楽しむには最適である。ドラムスはAndre Ceccarelliがかなり控え目に叩いているが,この人のシンバル・レガートがこれまたいい雰囲気で,Harrellとの相性が何とも素晴らしいのである。

ライブだからといって,全然ハード・ブローイングなところがなく,ある意味淡々としているところが夜楽しむには最高な雰囲気を醸し出している。何てたって,一曲目は"Yesterdays"というのも渋い。このアルバムはやはりいいわ。こんなアルバムも,ブロガーの皆さんの情報がなければ見逃すところだったというのがこわいが,ようやく聞けたことで満足,満足。喜んで星★★★★★を謹呈してしまおう。

ところで全くの余談ながら,このアルバムにはTom Harrellのオリジナル"Baffalo Wings"が入っているが,実は私はバッファロー・ウイングという料理が大好きである。ニューヨーク州バッファローにあるAnchor Barを発祥とするこの料理,ビールに合うことこの上ない。ちなみに私がナイアガラ観光のついでに立ち寄った元祖Anchor Barで食べたのが"Suicidal"。つまり自殺に近いほど辛いという激辛ウイングだったが,あそこまで辛くなくてもこの料理はうまいから,注文する時はミディアムかホットで十分だろう。まぁAnchor Barでなくても,アメリカのバーなら大体メニューにあるが,結構うまかったのはボストン近郊のニュートンという町にある"Buff's Pub"かな~。店はかなりシャビーだが,ここのウイングは結構よかった。

この料理,作り方は極めて簡単なのだが日本では滅多にお目に掛かれないので,もっぱら自分で作っている私である。ソースはアメリカで買ってきたFrank's Red Hot Sauceというのを使っているが,最近は別のブランドのソースも日本で手に入るようになったようだ。また作ろうっと。なんだか余談が長くなってしまった。

Recorded Live at Alligators in Paris on April 26, 1991

Personnel: Tom Harrell(fl-h), Kenny Werner(p), Paul Imm(b), Andre Ceccarelli(ds)

2008年10月 1日 (水)

David Gilmourの新作ライブで亡きRichard Wrightを偲ぶ

David_gilmour ゛Live in Gdansk" David Gilmour (Clumbia)

Pink Floydのという接頭辞がどうしても付いてしまうDavid Gilmourであるが,彼が2006年にリリースした゛On An Island"に合わせて行ったツアーのライブ音源が発売になった。しかもツアーの最終公演として、ポーランドのグダニスク造船所で5万人の観客を前に行われたそうだが,伴奏にはオーケストラまでついているというまぁ何とも豪華な演奏である。

私が購入したのはDVD付きの3枚組輸入盤であるが,このDVD,少なくともライブ映像には日本語字幕までついている。しかし,演奏中大したMCもないので,字幕はあって困るというものではないが,別になくてもよいという程度である。

Wright このライブが重要なのは,今は亡きRichard (Rick) Wright(2008年9月15日逝去,享年65歳)の姿を収めていることである。ここでのWrightは2年後の死を全く想像させない演奏ぶりであり,こういうのを見ていると人の人生はつくづくはかないと思わされてしまう。私はPink Floydに関しては,大した思い入れはないが,彼らのファンはこの映像を見て,Wrightを偲ぶべきであろう。Pink Floydのライブ映像は壮大な規模を誇ったが,Wrightの死により今後のPink Floydとしての演奏はかなり厳しくなったのではないだろうか。Live 8でRoger Watersも入れてPink Floydを再編していただけに,Pink Floydの本格的な復活を願う人々にとってはこの死は惜しまれるものであろう。

Wrightのことはさておき,演奏についても触れよう。ここでの演奏はある意味アダルト・オリエンティッド・ロックだと言ってよい。なぜならば,テンポはミディアムが中心でロックの強烈なビート感はないからである。一言で言うとたおやかなのである。よって,私のような中年オヤジには気持ちよく聞けるが,逆に刺激には欠けるのも事実である。しかし,共同プロデュースも兼ねるPhil Manzaneraを含むバンドのクォリティは極めて高く,演奏は楽しめてしまうので私としては文句はない。オケを入れる意味がどのぐらいあるのかよくわからない部分もあることはあるが,まぁ最終公演としてのお祭り的な感覚だと思えば,それも気にならない。

この作品を評価するポイントは,本作に何を期待するかによって大きく変わるはずである。ちゃんとPink Floydナンバーも演奏されているし,とにかく見ていて安心,聞いていて安心,絶対損はさせませんという感覚は確実にあるから,私のような人間にはこれでも結構である。しかし,音楽に新奇性を求めたり,強いアタックを求めるリスナーには確実にスリルが足りない。よって,私は映像込みで星★★★★は付けてもいいと思うが,おそらくは賛否が分かれるのではないかと思わせる作品である。

Gilmour 尚,余談だが,映像に映るDavid Gilmourの顔はその筋の方のようで結構恐いものがある。紳士然としたRichard Wrightとえらい違いで,この2人がバンド・メイトというのは笑える。

Recorded Live at the Gdansk Shipyard on August 26, 2006

Personnel: David Gilmour(g, as, vo, banjo, etc.), Richard Wright(key, vo), Phil Manzanera(g, vo), Jon Carin(key, g, vo), Guy Pratt(b, vo), Steve DiStanislao(ds, vo), Dick Perry(ts, key) with the Baltic Philharmonic Symphony Orchestra, Zbigniew Preisner(cond), Leszek Mozdzer(p)

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