Burt Bacharachのライブは究極のイージーリスニング
゛Live at the Sydney Opera House" Burt Bacharach with the Sydney Symphony Orchesra (Verve)
今年2月に来日したBurt Bacharachのライブを見逃したことは,彼の年齢を考えれば再来日は難しいであろうから,私にとってはかなりの痛恨事であったが,そんな私の渇きを癒してくれるアルバムが登場した。ジャケには記載はないが,これは来日直前(のはず)のオーストラリア公演の模様を収めたライブ盤である。これが何とも緩やかに時間が流れていくかのような,究極のイージー・リスニング,あるいはヒーリング・ミュージックだと言ってもよい音楽である。
ここに収められているのはBurt Bacharachの代表的な曲ばかりである。それもメドレーで多数の曲が演奏されているが,上述のように本当にゆったりした気分でそうした曲を楽しむことができるのは,曲のテンポやリズムが決して激しいものにならないせいもあろう。そういう意味では刺激はゼロ(本当にゼロだ)なので,若い人たちにはこのゆるやかさには耐えられない部分もあるに違いない。しかし,私のような中年以上の人間にとっては,曲の懐かしさもあるが,このゆったり感こそが極上のリラクゼーションを提供してくれるものと言えよう。もちろん,私だって毎日この音楽を聞いていたいとは思わないが,ストレスがたまったときにはこういう音楽を聞いてリラックスすることもよきチェンジ・オブ・ペースになるに違いない。
私が知らないだけかもしれないが,参加しているミュージシャンに有名どころは見当たらない。しかしヴォーカリスト3人のうち,男性のJohn PaganoはまるでQuincy Jonesとやっていた頃のJames Ingramのような魅力的な声を聞かせていてうっとりさせられてしまった。この人,随分昔にソロ・アルバムも出しているようだが,決してメジャーな人ではないと思う。それでもこんなに魅力的な歌唱を聞かせるのだから,アメリカのポピュラー音楽界は人材が豊富である。
まぁ,最後に聴衆にまで歌わせる"Raindrops Keep Fallin' on My Head"等は明らかに鑑賞音楽としては蛇足だが,その場にいた人にとっては記憶に残るものとなろう。日本でも同じようなことをやっていたのかと気になるところだが,これはCDとしてはやり過ぎである。しかし,それでもBacharachの素晴らしい曲を楽しめ,行けなかった彼のライブを追体験できるアルバムとしては歓迎したい。いろいろケチの付けようはあるが,星★★★☆ぐらいにしておこう。
ところで,クレジットを見ていて気がついたのだが,このバンドにはギタリストがいない。なるほど。Bacharachのサウンド・カラーはギターを入れないことにも秘密があるのかもしれないと今更ながら思ってしまった。
Recorded Live at the Sydney Opera House, Australia on February 6, 2008
Personnel: Burt Bacharach(p, vo), David Coy(b), David Crigger(ds, perc), Bob Shrock(key), Dennis Wilson(reeds), Tom Ehlen(tp, fl-h), Josie James(vo), John Pagano(vo), Donna Taylor(vo) with the Sydney Symphony Orchestra
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