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2008年8月20日 (水)

The Saxophone Featuring Two T's:タイトルに偽りあり

Two_ts "The Saxophone for Two T's" (Novus-J)

このアルバムにはリーダーの記載がない。国内盤の帯がなければ,ジャケ裏面のミュージシャンの写真を見なければ,誰が参加しているかもわからないという本質的には極めて不親切なアルバムである。参加者全員がほかのレーベルとの契約を抱えていたという事情はあるとしても,国内レーベルの制作によるものだから,発売された当時は専門誌に取り上げられるだろうという思惑もあっただろう。それにしてもこれほど不親切なジャケにはあまりお目に掛かれないと皮肉を言いたくもなる。逆に言うと,こうしてある程度エスタブリッシュされたミュージシャンを集めないと,アルバムをプロデュースできない(あるいは発売したとしても売れない)というのが実態だったと考えざるをえない。まぁベースのMicheal Formaneckを除けば,ジャズ・ファンなら顔を認識できる人ばかりだが,世の中必ずしも顔でミュージシャンを認識できる人ばかりではないはずだ。そこがまず気に入らない。

それ以上に気に入らないのがタイトルである。"Featuring Two T's"と書けば,全曲でBob MintzerとMichael Breckerのテナー・バトルが聞けるのかと期待するはずだが,2本のテナーでやっているのは3曲だけで,ほかはMintzerだけというのは詐欺と言われても仕方がないはずである。プロデューサーの小川隆夫と熊谷美広はフィーチャーしているのは曲の"Two T's"ですと開き直るかもしれないが,こういうタイトルの付け方は商売としてはあるとしても,やはり金を出して購入する消費者の立場としては納得がいかないのである。

気に入らない点その3はこのアルバム,ご丁寧に英文ライナーがついているが,無署名というのは一般的にありえない。こうした文章には責任を持つべきであって,署名は義務である。おそらくは「英語のお得意な」プロデューサーの一人の英作文と想像するに難くないが,これも気に入らない。

ということで,音楽以外のファクターに対する文句を書いたが,このアルバムは様々なテナー・ジャイアンツに対するオマージュと言うべき作品だと,演奏そのものはこれだけのミュージシャンが集まっていれば,相応のレベルが確保されるのは当然である。このアルバムのためにオリジナルを揃えたBob Mintzerとしてもそれ相応の取組みをしたはずであるし,演奏自体はそれなりに気合が入っているので,その点はある程度評価しなければなるまい。しかし,中途半端な"Three Pieces"のような曲を入れるのはあまり誉められたことではない。

一方のBreckerは"Giant Steps"や"Two T's"で熱いソロを聞かせるが,メドレーの中の一曲として演奏される"Body & Soul"は何とも違和感がある出来である。まだまだBreckerもこのアルバムが録音された段階ではバラード表現を確立していないと思わせる一曲である。

いずれにしても,私はこのアルバムの演奏そのものを全面的に否定することはないとしても,やはりプロダクション(あるいはその哲学)には大いに疑問を感じざるをえないのである。これはミュージシャンの責任ではなく,あくまでもプロデューサーの責任である。やっぱり気に入らない。星★★。

Recorded on November 29 & 30, 1992

Personnel: Bob Mintzer(ts), Michael Brecker(ts), Don Grolnick(p), Michael Formaneck(b), Peter Erskine(ds)

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