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2008年8月31日 (日)

私もスイングジャーナルを買うのはやめにしようと思う

これだけインターネットで情報が取れる時代になってしまうと,雑誌が従来果たしてきた役割というのはどんどんネットに取って代わられることは仕方がないと思う。そうした中で,私は長年(約30年である)に渡ってスイングジャーナル誌を購読してきたのだが,もうそろそろ卒業させてもらうことにしたい。ブログのお知り合いのcrissさんも同じようなことを書かれていたが,私も便乗である。ちなみに私が初めて同誌を買ったときの表紙はDexter GordonとWoody Shawだったと記憶している。出会いはそれほど鮮烈に記憶していても,冷めてしまった気持ちはもとに戻せない。

私がジャズを聞き始めた頃はジャズに関しては何の知識もなく,同誌から情報を吸収するか,ジャズ喫茶に通う以外に適当な方法がなかったわけだが,以来30年近くジャズを聞いてきて,自分なりの審美眼も身に付けたし,歴史についても相応の知識は得てきたと思っている。

私の同誌との決別への気持ち(大袈裟な!)を更に強くさせるのが,同誌における自称「ジャズ評論家」たちのおべんちゃら記事の羅列である。批評性に乏しく,星★★★★以上を連発する彼らの書いている記事など読むに値しない。短い文章の中にも,哲学を感じさせてくれる人がいなくなってしまった。こうした傾向はベテランの批評家が逝き,硬派のライターが同誌を離れてから顕著になったが,はっきり言ってプロとしての自覚があるとは到底思えないのである。連発される同誌の星★★★★には「優秀」だという意味は全くないし,もはやバイヤーズ・ガイドともなりえない。その点,5つ星など滅多に出ないDown Beatはまだまだ批評性を保持しているし,新しいミュージシャンへの目配りもしっかりしていてまだまだ信用できると思ってしまう。

今や,ゴールドディスク選定はレコード会社の広告費とリンク(吐き気を催すようなVenusレーベルのジャケがいつも巻頭近くを飾るのも不快である)し,歴史的な録音の復刻にも不熱心となった同誌が,今後のジャズ界においていかなる役割を果たすというのか。特定の記事さえ(輸入盤紹介と新譜リリース予定+海外ニュースぐらいのものだ)立ち読みすれば十分な雑誌へと堕落したスイングジャーナルはこうして長年の読者を失うこととなったのである。そんな同誌がばらまく情報より,お知り合いのブロガーの皆さんの情報の方がはるかに有益である。

まぁ目くじらを立てるようなことでもないが,駄目なものは駄目なのである。浮いた金は何に回すか考えよう。さらばSJ。

2008年8月30日 (土)

Elvis Presley Comeback Special超拡大盤!

Elvis "Complete '68 Comeback Special - 40th Anniversary" Elvis Presley (RCA)

Elvis Presleyが高らかに音楽界への復帰を宣言したと言われるNBCでの特別番組の模様を収録したアルバムの超拡大盤である。

60年代のElvisと言えば,はっきり言ってしまえば毒にも薬にもならない青春映画(若大将シリーズと同じで,それはそれで楽しめるが...)に出演して,もはや50年代の危険で悪~い感じから離れたイメージを打ち出していたのだが,やはりElvisは゛King of Rock'n Roll゛であるべきであって,健康優良児的というより,皮ジャンが似合う男でなければならないということを実証しているドキュメンタリー・アルバムである。

私はElvisに思い入れがあるわけではない(特に一国の首相経験者が選曲したコンピレーションが出たときは冷めた)が,ここでの彼の様々な音楽への取組みは,その音楽性の幅広さを知らしめて非常に楽しめる。激しいロックからバラード,ゴスペルまで何でもござれである。この芸の広さというのがそもそも素晴らしい。例えはちょっと違うかもしれないが,日本で言えば美空ひばりの芸風のようなものである。

このセットは超拡大盤4枚組ということで聞くのも大変だが,Sit Down Show,Stand Up Showに留まらず,リハーサルの模様まで入っているというのだから恐れ入りました。しかも某ショップでならば,1枚900円以下(!)である。一家に1枚Elvisというのであれば,このアルバムでなくてもよいかもしれないが,久々に勢いを取り戻すとともに,まだまだ若々しいElvisの声や歌唱を楽しむには好適なアルバム。但し,女性観客の悲鳴がやかましくてげんなりする瞬間もあるし,歌唱も荒いところはあるのだが,これだけのセットが出たということを評価して星★★★★☆。

尚,どうでもよいことだが,ボックスを開けると赤いリボンが入っているのは何なのだろうかねぇ。

2008年8月29日 (金)

追悼:Isaac Hayes

Hayes ある雑誌を読んでいたら,そこにIsaac Hayesの訃報が掲載されていて驚いてしまった。死因は不明ながら68歳というのはちょっと若過ぎる死である。

私はHayesの熱心なファンというわけではなく,今も昔もHayesと言えば゛Shaft゛なのである。「黒いジャガー」という邦題を持つこの映画で,Richard Roundtreeの登場とともに流れる「シャフトのテーマ」の格好よかったこと。子供心にワクワクしたのも懐かしい。振り返ってみれば,私とソウル/R&Bとの出会いはこの「シャフトのテーマ」だったと言っても過言ではないのである。

この真っ黒けな感覚を出すにはそれなりのエネルギーが必要だったのだろう。ここに掲げたWattstaxでのライブ盤での写真を見ても,脂ぎった黒さを感じさせるではないか。

Pimps こうしたHayesを追悼するには,私としてはやはり「シャフトのテーマ」しかないのである。Wattstaxのライブ盤に収められた同曲でもいいのだが,ここは黒人アクション映画のテーマ曲ばかりを集めたナイスなコンピレーション盤゛Pimps, Players & Private Eyes"(それにしても凄いジャケである)に収められたオリジナル「シャフトのテーマ」でIsaac Hayesを追悼し,彼の冥福を祈りたい。Isaac Hayes,きっと冥界でも真っ黒なんだろうなぁ。

2008年8月28日 (木)

S.M.V.:丁丁発止という感じではない

Smv "Thunder" Stanley Clarke/marcus Miller/Victor Wooten (Heads Up)

この3人の共演アルバムと聞いたら,買って後悔するかもしれないなぁと思いつつ,やはり手を出してしまうのが人情である。3人の中ではVictor Wootenが一番の若手ということになるが,それでも私が彼を初めてChicagoの前座で出ていたBella Fleck & Flectonesのライブで見て目が点になってから,もう18年が経過しているのだから,時が経つのは早いものである。

私がこのアルバムを聞くに際して期待したのはタイトルの如き雷の轟音のような丁丁発止のバトルだったのだが,思ったよりそうした臨戦モードには入っていない。そういうところが,このアルバムを評価する上でのポイントになるのではないかと思う。

私としては実のところ,技の博覧会のようなものを期待したのだが,それっぽい瞬間がないわけではないが,このアルバムは思ったよりもおとなしい。一曲目なんて,そのオープニングの仰々しさには思わず笑ってしまったが,その笑いが継続しないのである。まぁ,このアルバムは企画アルバムであるから,あまり小難しいことを言っても仕方ないし,そもそもベース3本のアルバムってどうなのよって思いがあるのも事実であるから,評価の対象とすることにもやや抵抗がある。でもお金を出して買ってるわけだからねぇ...。

アルバムの中で一番激しいのは"Tutu"かなって感じだが,このメンバーで来日してしまうとのことだから,ライブの場ではより激しいやりとりが見られるだろう。それでもこのアルバムを聞いていて,「おい,おい,そこまでやるか」という感覚,あるいは思わず膝を乗り出す感覚に乏しいというのは事実である。私としてはやはりもっとビンビンやって欲しかった。ということで星★★☆。それにしても"Lopsy Lu"は懐かしかった。

Personnel: Stanley Clarke(b), Marcus Miller(b, b-cl, ts, as, synth), Victor Wooten(b), Butterscotch(vo), Chick Corea(p), George Duke(key), Ruslan Sirota(key), Karlton Taylor(key), Ariel Mann(synth), Ronald Bruner, Jr.(ds), Derico Watson(ds), Poogie Bell(ds), J.D. Blair(ds), Kevin Ricard(perc), Patches Stewart(tp), Steve Baxter(tb),

2008年8月27日 (水)

旅の道連れ:Brad Mehldau

Aot3 "The Art of the Trio Vol.3" Brad Mehdalu (Warner Brothers)

旅から戻ってきて,またまた音楽の話である。私はiPodにBrad Mehldauの主要なアルバムを突っ込んでおり,海外出張や旅行のときにはiPodを持参するというパターンであるが,今回の旅の道連れもBrad Mehldauであった。

私がBrad Mehldauにはまるきっかけとなっとのは「トリオの芸術」シリーズ第1弾、それも冒頭の"Blame It on My Youth"であったが、本当にずっぽしMehldauの世界に入ってしまったのはこのアルバムである。何がいいか、と問われれば、この「間」がいいとしか言いようがないのだが、とにかくこうしたピアノを30前のピアニストに弾かれるということが私にとっては信じ難がったということである。

いずれにしてもRadioheadやNick Drakeをジャズの世界に昇華せしめることができるということ自体がMehldauのピアニストとしての魅力を物語っていることは間違いない。私には、こうした曲がスタンダード以上に魅力的に聞こえるのだが、皆さんにはどうだろうか。ライナーには小難しいことがいろいろ書いてあるが、ここはそんなことは無視してこのピアノ世界に身を委ねるべきであろう。オルゴールと連動した"Young at Heart"のような演出過剰な曲がなければ完全に星★★★★★だったのだが、この過剰演出を私は好まないので星★★★★☆である。しかし、それを除けばこのアルバムは素晴らしい。ECMファンも納得しうる傑作として評価したい。

Personnel: Brad Mehldau(p), Larry Grenadier(b), Jorge Rossy(ds)

2008年8月26日 (火)

不調に終った釧路川源流での釣果

旅から戻ってきた。今年の北海道(道東)は非常に気温が低く,天候も今一つという感じであった。何せ最高気温が17℃ぐらいであるから,肌寒いどころの話ではなかった。朝の最低気温は屈斜路は9℃なんて日もあったようだから,これは尋常ではない。地元の方曰く,今年は夏がほとんどないままで終ってしまったという話も素直にうなずけてしまう。

こうした天候であるから,釧路川源流での釣りの方も,今イチというか,ほとんど成果なしという状況であった。一家3人で虹鱒×1,雨鱒(エゾイワナ)×1という寂しい結果である。

しかし,当たりはびんびん来ていて,私はえさのミミズをたっぷり食いつぶされた方であるから,これは釣り人の腕が悪いということである。それにしても,そうした当たりと格闘していて,私の右腕はパンパンに張ってしまったのだが,釣りってスポーツよねぇと妙な感心の仕方をしてしまった。

まぁそうは言いながら,随分と楽しめたバケーションではあった。空港への道すがら,地元のボランティアの方に教えて頂いて,最後に訪れた某所の美しさに息を呑むほどであったが,あの美しさと静寂を守るためにはメジャーになって欲しくない場所である。とやや気を持たせる書き方であるが,観光地化して欲しくないという思いを強く持つほど,素晴らしい場所が北海道にはまだまだ残っていることの証左と言えよう。

ということで,旅モードは本日で打ち止めとし,明日からは音楽ネタに復帰したいと思う。

2008年8月25日 (月)

釧路川源流における釣果やいかに?

昨年の夏に初めて屈斜路湖から釧路川源流をカヌーで下って,私はこの場所の素晴らしさにはまってしまったのだが,この記事がアップされる頃にはまたまた釧路川源流にやってきているはずである。

ここでの楽しみは,中洲にカヌーを留めて行う投げ釣りである。調子がよければ虹鱒や雨鱒ががんがん食うが,警戒心の強いやまめはなかなか厳しい。昨年はビギナーズ・ラックなのか,実力なのかしらないが,私の娘のところにばかり当たりが来ていた。私にもそこそこ当たりがあって,非常に楽しめてしまったところが,ここにはまる理由である。

今年の釣果は旅が終えてから報告することとしたいが,今年もうまく行けばうまい虹鱒の塩焼きにありつけるはずである。さてさて,結果やいかに。

2008年8月24日 (日)

もはや初秋の道東にて

この記事がアップされる頃には,私は道東を旅しているはずである(この記事は出発前に書いている)。今年は念願かなって,知床への旅である。しばし都会の喧騒を忘れて,知床の大自然を満喫したいものである。

旅の記録はまた改めてということにしたいが,iPodやiPhoneは持って行っても,イベントが多過ぎて,音楽を聞いている余裕はないだろう。見掛けによらず,私はワイルド・ライフが好きなので,自然に囲まれた時は,自然に身を委ねたい。

ということで,音楽の話はちょいとお休みである。

2008年8月23日 (土)

「偉大な生涯の物語」:真面目な宗教映画である

Greatest_story 「偉大な生涯の物語(The Greatest Story Ever Told)」('65,米,United Artists)

監督:George Stevens

出演:Max von Sydow, Dorothy McGuire, Charlton Heston, Claude Rains, Telly Savalas, David McCallum, Gary Raymond, Michael Anderson, Jr., Jose Ferrer

長い休みでもない限り,なかなか見られない映画がある。特に1本3時間を越えるようないわゆる超大作は特にそうである。この映画も3時間20分,更にはイエス・キリストの生誕から復活までを描くものであるから,襟を正して見なければならず,これはおいそれとは見られぬ作品である。

私にとってはやはり゛Shane゛のと呼びたい名匠George Stevensが巨費を投じて撮ったこの作品は,かなりストレートに新約聖書そのままにイエスの生涯を描いたものであり,決してギミックに溢れたスペクタクル巨編ではない。よって,かなり真面目に対峙しなければならないものであって,キリスト教の宗教感を持たない人にとっては,何が面白いのかは理解できない部分が多かろう。

主役のMax von Sydowは,この世で最も難しい役と言っても過言ではないイエスの姿を真摯に演じていて好感が持てるが,やはり映画そのものが真面目過ぎるので,エンターテインメント性を求めると裏切られることは間違いない。そうした面を埋めるため,多数のカメオ出演者を登場させているのであろう。John Wayneなんてセリフ1行で,何のこっちゃという感じだが,それに比べれば,Sidney Poitierなんて目立ったものである。全編を通じて,あそこにもあんな人が,そこにもこんな人がという感じであるが,そこはキリスト教が強い影響力を持つ米国である。彼らのほとんどはノー・ギャラなのではないかと,ついうがった見方もしてみたくなる。

繰り返すが,これは真面目な宗教映画であって,キリスト教を信仰しない人間が見ても,「ふ~ん」という反応しか示せまい。意外や意外,ロザリオを鞄に忍ばせる私は結構敬虔な気持ちになってしまったが...。

ということで,映画の性格上,私はこの映画に星を付けることにはためらいがあるが,興行的には惨敗を喫したというのが,この映画の性格を示しているものと思う。同じイエスの時代を描いていても,それを背景として使った゛Ben Hur゛のようには行かないのである。

2008年8月22日 (金)

バラエティに富むのもいいが,ここまでいくとねぇ...

Mecca_for_moderns "Mecca for Moderns" The Manhattan Transfer(Atlantic)

私はマントラのキャリアのピークは1970年代後半から83年頃だと思っているのだが,そうした時期に発売されたアルバムで,チャートでも最も上昇した作品である。このアルバムも実家に眠っていたものを久々に引っ張り出して聞いてみた。前作゛Extensions゛に続いて,本作もJay Graydonのプロデュースによるものだが,この頃はGraydonのプロデューサーとしてのピークでもあった。一聴してGraydonの音になっているのはある意味大したものであるが,こういう音は賞味期限を過ぎれば飽きられるのも早い音とも言えよう。日本で言えば,一時期あれだけ栄華を誇りながら,今や凋落著しい小室哲哉的にも思える。どれを聞いても伴奏パターンが同じに聞こえてしまうのだ。 

そうしたJay Graydonはさておき,このアルバムを端的に表す言葉は「多彩」だと思うのだが,逆に言うとあまりに何でもありで節操がない。マントラというグループが,様々な音楽性を吸収したグループであるから,1枚のアルバムにもさまざまな要素が詰めこまれるのはある程度仕方がないのとしても,ここまでくると捉えどころがないとも言えてしまうのではないかと思う。LPで言えばA面に当たる5曲はポップな曲が並んでいるが,B面に相当する後半4曲はジャズ的な要素が強い。しかし,その後半4曲の中でも,全編スキャットで歌われる"Kafka"が異様に浮いているのである(実はこの曲は好きなのだが...)。

ポップなA面においても"(Wanted) Dead or Alive"のように全然いいと思えない曲が入っているのが何とも惜しい。冒頭2曲が好調なだけに,この曲はいかん(というか好かんと言うべきか)。 

それに比べれば,キラー・バラードの"Smile Again"やアカペラで余韻を持ってアルバムを締めくくる"A Nightingale Sang in Berkeley Square"等は今でもそのよさは変わっていないことを考えれば,どうもこのアルバム,トータルなプロダクションに難があると考えるべきだろう。「バラエティに富む」という表現は良くも悪くも解釈できるが,私にとっては一貫性がないということで,どうも落ち着かないのである。上述のとおり,LPならA/B面で性格が変わってしまっているし,各サイドに座りの悪い曲が含まれていることが,このアルバムの難点である。

そうは言ってもSteve Gaddらしいドラミングがほぼ全編で楽しめるし,決して悪い演奏ではないのだが,やはり私には今一つ納得がいかないアルバムである。星★★★。やはりConsistencyというのは重要なのである。 

Personel: The Manhattan Transfer<Tim Hauser, Janis Siegel, Cheryl Bentyne, Alan Paul>(vo), David Foster(p, key), Victor Feldman(p, el-p), Mike Boddicker(key),Yaron Gershovsky(p), Milcho Leviev(p, key), Steve George(key), Jay Graydon(g, key), Steve Lukather(g), Al Viola(g), Dean Parks(g), Abe Laboriel(b), Steve Gadd(ds), Mike Baird(ds), Richie Cole(as), Tom Scott(as, Lyricon), Don Roberts(ts), Jerry Hey(tp), Jon Hendricks(vo)

2008年8月21日 (木)

Jerry Bergonzi対Joachim Kuhn

Signed_by"Signed By:" Jerry Bergonzi & Joachim Kuhn(Deux Z)

私がJerry Bergonziに対して持っているイメージは,熱くブロウするのだが,決してそれが過剰にならない適切なレベルに維持されているというものである。Bergonziのアルバムを全部聞いたわけではないので,断定的に言うことはできないが,そのBergonziのアルバムでもかなりクールなイメージが強いのがこの作品である。

そうしたイメージを与えるのが,Joachim KuhnというBergonziとあまり結びつきそうにないピアニストととのデュオ・アルバムということであることは明らかだが,それにしても異色の共演である。この共演を仕掛けたのは本作のレーベル,Deux Zのミュージカル・アドバイザーであるDaniel Humairだと思われる。Humairはライナーを執筆するだけでなく,ジャケのペインティングも行っている(いろんな才能があるもんだ)。

収録された曲目は"Yesterdays"と"Our Love Is Here to Stay"以外はBergonziとKuhnのオリジナルもしくは共作である。全編を通じて,かなり落ち着いたトーンで淡々と演奏されるので,このアルバムはいつ,どういうタイミングで聞くのが適切なのかはよくわからないのだが,久々に聞く限りはBergonziらしくはないが,なかなかいい演奏であった。星★★★☆。Bergonziに関しては一家言をお持ちのBar D2のマスターのご意見を伺ってみたいものである。

そう言えば,Bergonziにはこのレーベルに"Peek a Boo"という色使いは違うが,同じような感じのジャケのアルバムがあったような...。あれも実家に眠っていたはずである。発掘はいつになることやら...。

ところで,このCD,盤面が金色のようにも見えるのだが,金蒸着CDなんだろうか?90年代前半のリリースとしては結構珍しいように思う。

Recorded on October 30, 1991

Personnel: Jerry Bergonzi(ts), Joachim Kuhn(p)

2008年8月20日 (水)

The Saxophone Featuring Two T's:タイトルに偽りあり

Two_ts "The Saxophone for Two T's" (Novus-J)

このアルバムにはリーダーの記載がない。国内盤の帯がなければ,ジャケ裏面のミュージシャンの写真を見なければ,誰が参加しているかもわからないという本質的には極めて不親切なアルバムである。参加者全員がほかのレーベルとの契約を抱えていたという事情はあるとしても,国内レーベルの制作によるものだから,発売された当時は専門誌に取り上げられるだろうという思惑もあっただろう。それにしてもこれほど不親切なジャケにはあまりお目に掛かれないと皮肉を言いたくもなる。逆に言うと,こうしてある程度エスタブリッシュされたミュージシャンを集めないと,アルバムをプロデュースできない(あるいは発売したとしても売れない)というのが実態だったと考えざるをえない。まぁベースのMicheal Formaneckを除けば,ジャズ・ファンなら顔を認識できる人ばかりだが,世の中必ずしも顔でミュージシャンを認識できる人ばかりではないはずだ。そこがまず気に入らない。

それ以上に気に入らないのがタイトルである。"Featuring Two T's"と書けば,全曲でBob MintzerとMichael Breckerのテナー・バトルが聞けるのかと期待するはずだが,2本のテナーでやっているのは3曲だけで,ほかはMintzerだけというのは詐欺と言われても仕方がないはずである。プロデューサーの小川隆夫と熊谷美広はフィーチャーしているのは曲の"Two T's"ですと開き直るかもしれないが,こういうタイトルの付け方は商売としてはあるとしても,やはり金を出して購入する消費者の立場としては納得がいかないのである。

気に入らない点その3はこのアルバム,ご丁寧に英文ライナーがついているが,無署名というのは一般的にありえない。こうした文章には責任を持つべきであって,署名は義務である。おそらくは「英語のお得意な」プロデューサーの一人の英作文と想像するに難くないが,これも気に入らない。

ということで,音楽以外のファクターに対する文句を書いたが,このアルバムは様々なテナー・ジャイアンツに対するオマージュと言うべき作品だと,演奏そのものはこれだけのミュージシャンが集まっていれば,相応のレベルが確保されるのは当然である。このアルバムのためにオリジナルを揃えたBob Mintzerとしてもそれ相応の取組みをしたはずであるし,演奏自体はそれなりに気合が入っているので,その点はある程度評価しなければなるまい。しかし,中途半端な"Three Pieces"のような曲を入れるのはあまり誉められたことではない。

一方のBreckerは"Giant Steps"や"Two T's"で熱いソロを聞かせるが,メドレーの中の一曲として演奏される"Body & Soul"は何とも違和感がある出来である。まだまだBreckerもこのアルバムが録音された段階ではバラード表現を確立していないと思わせる一曲である。

いずれにしても,私はこのアルバムの演奏そのものを全面的に否定することはないとしても,やはりプロダクション(あるいはその哲学)には大いに疑問を感じざるをえないのである。これはミュージシャンの責任ではなく,あくまでもプロデューサーの責任である。やっぱり気に入らない。星★★。

Recorded on November 29 & 30, 1992

Personnel: Bob Mintzer(ts), Michael Brecker(ts), Don Grolnick(p), Michael Formaneck(b), Peter Erskine(ds)

2008年8月19日 (火)

「崖の上のポニョ」:泣けないジブリ...

Photo 「崖の上のポニョ」('08,スタジオ・ジブリ)

監督:宮崎駿

声の出演:山口智子,長嶋一茂,天海祐希,所ジョージ,土井洋輝,奈良柚莉愛,矢野顕子,奈良岡朋子,吉行和子

世の中ではやれ子供向きだとか何かと賛否両論喧しい宮崎駿の新作である。今回この作品を見て,確かに子供向けのファンタジーと言ってよいとは思うが,別に映画そのものにはそれほど違和感はなかった。

確かにこれまでの宮崎作品に比べると,取ってつけたような無理なストーリー展開が目立つ。残念ながらストーリーとしてよく書き込まれていない部分が散見され,前作から4年もあった割には出来があまりよくないところから,批判的な評価が出てくることもうなずけないことはない。

私のような中年オヤジにとっては,やはりこの話はファンタジー度が高過ぎて,没入できないというのは確かである。そして,私にとってこの映画がやや期待はずれだったのは,「泣けなかった」ことである。私はこれまで見たジブリの作品ではほぼ例外なく,泣かされてきた。「風の谷のナウシカ」などは今見ても泣いてしまう(恥ずかしながら,我が人生で最も大泣きさせられたのは「ナウシカ」である)ので,家人の前では決して見るわけにはいかないし,「カリオストロの城」でも必ずラスト・シーン近くの銭形のセリフで例外なく泣いてしまうのである。もはやこうなると条件反射と言ってもよいが,それでも映画を見て泣く瞬間にカタルシスをおぼえる私のような人間にとっては,泣かしてもらえないことは残念だということになるのである。ということで,私にとっては星★★☆程度というところ。

この映画を見ていて,私は「コクーン」という映画をちょっと思い出したのだが,老人たちが元気になってしまうプロットは確実に「コクーン」と同じ乗りである。あの映画も楽しい映画だったなぁ。

いずれにしても,この映画,私の周りの大人の皆さんも見に行っているようだから,子供向きだからと言って,ヒットしないということではないように思う。しかし,「千と千尋の神隠し」や「ハウルの動く城」級の興行収入は難しいだろう。だって,子連れじゃないと結構違和感あったもんなぁ。特にオヤジ一人で見ていた私は変な奴って感じであった。

余談だが,映画を見ている間,矢野顕子って何の声をやっているんだろうと思っていたのだが,実は最後まで気がついていなかった私であった。よくよく考えてみるとこのキャスティングは結構笑える。

2008年8月18日 (月)

ダークナイト:故Heath Ledgerが凄い

The_dark_knight 「ダークナイト(The Dark Knight)」('08,米,Warner Brothers)

監督:Christopher Nolan

出演:Christian Bale, Michael Caine, Heath Ledger, Aaron Eckhart, Maggie Gyllenhaal, Morgan Freeman

お盆休みを使って映画を見たので,その報告である。前作"Batman Begins"も何とも言えないダークな感覚が楽しめたのだが,ほぼ同一のキャストでの第2作はもっと楽しめる。その理由はHeath Ledger演じるジョーカーの怪演によるところが大きい。あれだけファナティックな雰囲気を作り出すLedgerゆえに,この作品はより評価されるべきものとなった。

どちらにしてもバットマンというのは「根が暗い」キャラクターである。前作でもそういう雰囲気をプンプン醸し出していたが,今回はLedger演じるジョーカーに弄ばれるバットマンは更に暗い。だからこそ原題のように「闇の騎士」となるわけだが,相変わらず夜のシーンが多いのはバットマンゆえに当然である。

それにしてもHeath Ledgerである。こんな演技をしていたら,どこかに無理がくるのではないかというほどの鬼気迫る悪役ぶりにはほとほと参った。それが彼の薬物過剰摂取(不眠症だったらしい)による死につながってしまったと思わざるをえない。それでも,この演技ならばこの手のアクション映画ではあまり例はないが,オスカーを取る可能性も否定できない。

まぁそうは言ってもシナリオに無理がある部分もあるし,ケチをつけようと思えばつけられるのだが,それでもこのLedgerに免じて全て許すということにしよう。星★★★★。Ledger亡き今,次作では誰がジョーカーを演じられるというのだろうか。もしやJack Nicholson再登板か?いや,Jackの年を考えれば,やっぱりそれはありえないかなぁ。

2008年8月17日 (日)

洗練されたCrusadersなんて...

Crusaders "Healing the Wounds" The Crusaders (GRP)

一時期のGRPレーベルは,それこそありとあらゆるフュージョン系アーティストと契約し,独占禁止法違反とでも言いたくなるような状態であった。今やそのポジションはスムーズ系を中心にConcord系列のPeak Recordsに移ったと言ってよいが,PeakはRuss Freemanが設立者の一人であるから,Dave GrusinとLarry RosenによるGRPに似たところがあるのだろう。しかし,MCA専属が長かったCrusadersまでがGRPから出たときには驚いたが,そう言えばGRPも当時MCA配下だったから,これはレコード会社の事情というところだろう。

このアルバムも実家に帰って久々に聞いたのだが,一聴して従来のCrusadersサウンドと趣が異なるように感じさせる。このアルバムのプロデュースをしているのはMarcus Millerであるが,Marcusのエレクトリック・ベースが活躍するのはいいとしても,サウンドがCrusadersにしては洗練され過ぎてはいないか?確かにJoe Sampleのピアノは誰がどう聞いてもSampleなのだが,Wilton Felderにいつものような泥臭い感覚が足りないように思えるのである。豪華な伴奏陣(Michael Landauがほぼ全編でギターを弾いている)を集めているので,演奏のクォリティに文句はないのだが,Crusadersらしいファンクネスに欠けているところが,このアルバム最大の難点のように思える。タイトル・トラックなんて,まさになんだかなぁ...という感じである。

この違和感はベースがWilton Felderの掛け持ちでなく,Millerが弾いているというところもあるかもしれない。FelderにはMillerのような鋭いスラッピングの技はないし,掛け持ちならではのよい意味での「どんくささ」が持ち味であるから,感じが違うのは当たり前ではあるが。

このアルバムにはStevie Wonder作というよりも,Jeff Beckが"Blow by Blow"で演奏した"Cause We've Ended as Lovers(哀しみの恋人たち)"が収録されている。ここでギター・ソロを弾いているのがSteve Lukatherである。LukatherはちゃんとJeff Beckぽく演奏しているのが微笑ましくいが,この曲がWilton Felderに合うとは思えないねぇ。また,Marcus Miller作"Maputo"はBob JamesとDavid Sanbornの傑作"Double Vision"で演奏されていた曲だが,こういう選曲を見ていると,Marcusが目指したのはCrusaders版"Double Vision"ではないのかと思わせるところもあり,Crusadersのようなバンドに対しては,オーバー・プロデュースと言われても仕方がないだろう。ファンクと洗練はやはり相容れないとしか言えない。洗練度を高めるならJoe Sampleのソロ・アルバムでやればよいのである。星★★★。

しかし,その後はCrusadersもあまり目立たなくなってしまったなぁ。最近のアルバムは聞いていないが,今や「昔の名前で出ています」って感じなのだろうか。いずれにしても,私にとってはこのアルバムよりベスト盤を聞いている方が,はるかにしっくりくる。

Personnel: Joe Sample(p, key), Wilton Felder(sax), Marcus Miller(el-b), William "Bubba" Bryant(ds), Lenny Castro(perc), Michael Landau(g), Steve Lukather(g), Jason Miles(synth prog)

2008年8月16日 (土)

Joachim KuhnのAtlantic盤:どれぐらい売れたのだろうか?

Situations001 "Situations" Joachim Kuhn(Atlantic)

実家に帰ってCDを漁っていたら,こんなアルバムがあった。確かに買ったのはおぼえているが,それも破格の安値だったはずである。だって,何と言ってもCDのくせにカットアウト盤である。LPの時代にはジャケの隅っこを切り落としたカット盤というのはよくお目に掛かったが,CDも皆無とは言えないものの,あまり見ることはない。

音楽とはちょっと離れるが,CDのカット盤というと,プラケースの上方から切り込みを入れるパターンと,このアルバムのように,ケースの背の部分に穴を開けるというパターンにわかれるが,そもそもLPと製造コストが違うはずのCDをわざわざカットアウトする暇があったら,安値で在庫処分する方がましという判断もあろう。いずれにしてもこのアルバム,カットアウトで出たぐらいだから,大メジャーのAtlanticとしてもよほど売れなかったものに相違あるまい。

いかに売れていないかを想像させるのが,Googleを使ってさまざまな検索を掛けてみても,このアルバムのジャケット画像を見つけることがなかなかできないのである(添付の画像を見つけるのには結構苦労した)。それぐらいマイナーなアルバムとも言えるだろうし,中古市場でも滅多に見掛けたことがないのである。それでもAmazon Market Placeには中古ならこれまた結構な安値で出ているから入手は難しくない。新品はバカ高いが...。

肝腎の音楽の方だが,このアルバムはKuhnのソロ・ピアノである。詳しいクレジットがないので,初出が1988年だということしかわからないが,聞いていて思うのは全然Atlanticって感じの演奏ではないということである。これならECMで出してもいいのではないかというサウンドである。アメリカのリスナーにこうしたKuhnのソロ・アルバムがどれぐらい受け容れられるかを考えれば,カットアウト盤化も当然という気がする。それでも,演奏は結構美しいもので,クラシカルな響きさえ感じさせるからこの手の音楽が好きなリスナーにはOKであろう。私も本当に久し振りにこのアルバムを聞いたが,予想以上によかったので,自宅へお持ち帰りである。クラシカルな響きという感じではChick Coreaの゛Children's Song゛の大人バージョンっていえばイメージしやすいかもしれない。いずれにしてもジャズ的ムードは極めて希薄である。

ということで,なぜこのアルバムがAtlanticから出たのかは今でも謎と言わざるをえないが,演奏が美しいので星★★★☆ぐらいはつけてもいいだろう。

Personnel: Joachim Kuhn(p)

2008年8月15日 (金)

High Five:しつこいようだがラテン系はやっぱり熱いのだ

High_five "Five foe Fun" High Five(Blue Note)

いつも言っていることだが,私は欧州ジャズに造詣が深いわけではなく,ブログのお知り合いの皆さんからの情報により,最近になってその深みにはまりつつあるというのが実態である。よって,High Five Quintetについても初めて聞いてからそんなに時間は経っていない。しかし,イタリアン・ハード・バップと言うべき音楽は,ある意味リスナーの血湧き肉躍らせると言う側面があって,こうした音楽が魅力的に響くと言うことは私にでも十分理解できるのである。

このアルバムにも参加しているDaniele Scannapiecoのアルバムが出たときにも私は「やはりラテン系は熱いのだ」と書いたわけだが,その熱さはこのアルバムでも十分出ており,やっぱりラテン系は熱いのである。私はこの音楽を聞いていてOTB(彼らに関しては若さまかせの...あるいは血気盛んな...という記事も書いたことがある)の音楽を思い出してしまったのだが,勢いあるいはハード・ドライビング度という観点ではOTBとこのHigh Fiveは同列に並べてよいように思う。全編を通じてここまでやってくれれば爽快なのである。

このアルバムではオリジナルに加えてCeder Waltonの"Ojos de Rojo"やMcCoy Tynerの"Inception"をやっているのが目新しいが,このCeder Waltonは結構渋い選曲である。私はRay Brownの"Something for Lester"でこの曲を聞いてきたが,やはり佳曲である。各人のオリジナルもハード・バップ・テイストに溢れていて楽しめる出来。

しかし,このアルバム,ミキシングのせいかリズム(特にドラムス)が非常に軽いものに聞こえるのは気のせいだろうか。あるいは私がOTBの影を追い過ぎ,肉体派Ralph Petersonと比較してしまうからそう思うだけなのかもしれないのだが,でもやっぱりちょいと軽いように思える。まぁそこはラテン系であるから,明るく軽いノリというのもそれらしくてよいのかもしれない。星★★★★。

Recorded on January 8-10

Personnel: Fabrizio Bosso(tp, flh), Daniele Scannapieco(ts), Luca Mannutza(p), Pietro Ciancaglini(b), Lorenzo Tucci(ds)

2008年8月14日 (木)

Yazooボックスがやってきた

Yazoo "In Your Room" Yazoo(Mute)

注文していたYazooボックスが遂に到着である。Yazooと言えばVince ClarkeとAlison Moyetの名エレクトロ・ポップ・ユニットであるが,このボックスは,本年彼らが"Reconnected Tour"と題する再結成ツアーを実施したのに伴う発売と考えていいだろう。それにしても懐かしいバンドである。Yazooは同名のブルース・レーベルの商標に引っ掛かって,米国ではYazというバンド名称となっているが,ここはやはりYazooと呼ばねばなるまい。

このバンドの特徴はエレクトロ・サウンド上で,Alison Moyetが渋い声を聞かせるという何とも言えないギャップが素晴らしいと言う点に尽きると思うが,彼らのデビュー・アルバムが発売されてから四半世紀以上経過した今日においても,その魅力には色あせることがないというのが凄い。このボックス,まだ全部聞いていないが,デビュー・アルバム"Upstairs at Eric's"を久々に聞いて(実はLPも家にまだ置いてあるぐらい好きなのだ),その良さを改めて再認識させられたのである。冒頭の"Don't Go"のようなスピード感あふれる曲から"Only You"のようなスローな曲まで,バランス良し,曲良し,演奏良し,歌声良しと私にとっては文句のつけようがないアルバムである。

Upstairs まだボックスが到着して間もないので,全部聞いていないので,今日はファーストだけということにするが,いずれにしても,リミックス等を収めたディスク3とDVDが楽しみになってきた。ということで,本日はファーストのジャケ写真だけでも載せておこう。やはり傑作である。星★★★★★。それにしてもクレジットにClarkeがNoisesと書いてあるのには笑えるなぁ。

Personnel: Alison Moyet(vo, p), Vince Clarke(Noises)

2008年8月13日 (水)

こういう時期に出張は...

世の中はお盆休み真っ盛りと言ってよいだろう。こういう時期にいきなり仕事で,しかも新幹線で地方出張というのは結構厳しい。

ただでさえ人の多い東京駅から目的地に向かって新幹線に乗り込むというだけでも非常に疲れるのである。私はもともと自分のペースで歩けないところが嫌いな人間だから,こうした雑踏が苦手なのだ。駅のコンコースも,プラットフォームも荷物を抱えた人,人,人である。

しかも車内は車内で,予想ほどではなかったとは言え結構な混雑ぶりで,出張先への到着だけで疲れ果てていた私である。ということで,音楽について書く気力も残存せず,本日は開店休業である。皆さん,ごめんなさい。

2008年8月12日 (火)

遅ればせながらHiram Bullockを改めて追悼する(3)

Way_kool "Way Kool" Hiram Bullock (Atlantic)

 

Hiram Bullock追悼シリーズ第3弾。Atlanticレーベルにおける第3作も,Hiramのギターという点に関しては同レーベルでの"From All Sides"や"Give It What U Got"とほぼ違いはない。ここでも相変らずの「タンク・トップ野郎」のHiramがジャケを飾っているし,少なくとも本人は基本的なスタンスを変えられる人ではないのである。

 

しかし,アルバムの観点では本作はゲストを迎えることなく,Hiramが自己のバンドで作りたいように作ったという感覚が強い。そういう意味ではあまり有名どころは参加していないが,Hiramによるライナーの記述からもツアーを通じて練り上げてきたと思しきグルーブをサウンド化するという意図がプロデューサーとしてのHiramの思いだったのだろう。聞いていて思うのはこのアルバムが作られた1992年という時代もあるが,Prince的なリズムの強さだろうか。音楽的に見れば,1992年はPrinceのピークは過ぎていたと思うが,それでも厳然たる影響力を及ぼしている。"Show Me"のリズム・フィギュアなんてまるでPrinceだしなぁ...。よくよく見るとミキシングはPrince所有のPaisley Parkで行われている。さもありなん。

 

打ち込みも使われているこのアルバムでは,従来のフュージョン的なグルーブから,更に一歩進んだグルーブをここでは提示したかったではないかと想像される。その一方で前2作よりはボーカルは控え目である。

 

このアルバムには前作でも共同プロデュースで重要な役割を果たしたRicky Petersonも参加しているが,本作ではどういう人か全然知らないDave Delhommeなるキーボード・プレイヤーが作曲面でも大きく貢献しているが,後々にはEric Claptonのバンドにも参加したことがあるようである。へェ~って感じであるが,このグルーブとClaptonはちょっと結びつかないなぁ。

 

いずれにしても,今回Atlanticレーベルでの3作を聞いてきて,アルバムとしてのインパクトは徐々に下がってきているように感じられてしまった。星★★★。よって,私はこの"Way Kool"を最後にHiramのアルバムを購入するのをやめたのであるが,彼のリーダー・アルバムそのものの出来と,彼がSanbornやGil Evansとのバンドで果たした役割とは私は別に考えているから,やはりきっちり追悼すべきミュージシャンだと思うのである。このアルバムの最後に収められたBeatlesの"Dear Prudence"を聞きながら,改めてこの愛すべきタンクトップ野郎,Hiram Bullockのご冥福をお祈りしたい。

 

Personnel: Hiram Bullock (g, vo, key), Ricky Peterson(key, vo), Will Lee(b, vo), Charlie Drayton(ds, vo), Don Alias(perc), Dave Delhomme(key), Steve Logan(b), Steve Wolf(ds), Parl Peterson(g, b, key,vo), Craig Schumacher(vo), Matt Seitz(scratch)

2008年8月11日 (月)

遅ればせながらHiram Bullockを改めて追悼する(2)

Give_it_what_u_got "Give It What U Got" Hiram Bullock (Atlantic)

 

Hiram Bullock追悼シリーズ第2弾。Atlanticレーベルにおける第2作である本作は昨日取り上げた"From All Sides"の路線を踏襲しつつ,David Sanbornのバンドでも活躍したRicky Petersonとのコラボレーションが目立つのが特徴である。よって,第1作よりもサウンドはシンセの多用もあってかなり分厚めに聞こえる。その辺がオーバー・プロデュースとも取れる部分があって好みが分かれるかもしれないが,ライナーを見ていると本作でHiramが目指したのは,バックビート・ミュージックにおける「乗り」であって,「よかったら足でも動かしてね~」とHiramにわざわざ書かれなくても,こっちは乗せられてしまっているから,まぁ難しいことは言いっこなしである。

 

冒頭から飛び出すのはBrecker BrothersとDavid Sanbornによる強烈な3管ホーン・セクションであるが,Randy Breckerによるアレンジがいかにもで笑みを誘う。2曲目及び8曲目には当時のGil Evans Orchestraのバンド・メイツであるホーン部隊が参加しているが,あくまでもHiramのアルバムへの客演ということかGil的フレイバーは皆無なのが,これまた笑わせてくれる。一方,ゲスト・ソロイストを立てるべきところは立てているのは第1作同様である。特にSam Cooke作"You Send Me"を歌うAl Jareauを聞いて,「誰のアルバムや?」と言いたくなるのは私だけではないだろう。Michael Breckerは"Gotta Get Your Jollys"オブリガート的に吹いているところはいいが,ソロは今イチ。SanbornはいかにもSanbornのソロが出まっせという曲調の"Angelina"での予定調和的な登場であるが,いかにものソロを聞かせて,その場をかっさらっていくのは見事である。

 

このアルバムの収録曲を見ていて,目立つのは7曲目にSteely Danの"Pretzel Logic"が入っていることであるが,Steely Dan的な響きを期待すると裏切られるので念のため。あくまで曲は素材である。

 

全体的に見て,Ricky Petersonはもう少し控え目でもよかったと思っている私には"From All Sides"の方が好みだが,これはこれで楽しめる出来ではある。少なくともHiramのギターにもボーカルにもそんなに大きな差異はない。星★★★☆。あまりに音楽の元気がよ過ぎて,故人を偲ぶって感じではないが,それもまたHiramらしくてよかろう。

 

ところで,Atlantic第3作の"Way Kool"も含めて,ジャケに写るHiramは全てタンクトップを着ているが,個人を偲んで,かつ親しみを込めて「タンクトップ野郎」と呼ばせてもらうことにしよう。

 

Personnel: Hiram Bullock (g, vo, key, finger snap), Ricky Peterson(key, ds, vo), Will Lee(b, vo), Charlie Drayton(ds, vo), Don Alias(perc), David Sanborn(as), Randy Brecker(tp), Michael Brecker(ts), Dave Burgelon(tb), Chris Hunter(as), Lou Soloff(tp), Dave Taylor(b-tb), Al Jarreau(vo), Sandy Hamphry(finger snap), Charlie Conrad(finger snap)

2008年8月10日 (日)

遅ればせながらHiram Bullockを改めて追悼する

From_all_sides "From All Sides" Hiram Bullock(Atlantic)

 

先日Hiram Bullockが亡くなったのはあまりにも急な訃報であったが,彼のAtlantic時代のリーダー・アルバムを聞こうにも,それらは実家に置いたままであったので,CDを聞きながら彼を偲ぶということもできなかった。今回,実家に帰るチャンスがあったので,本当に久しぶりにこのアルバムを聞いた。そう言えば,このアルバムのギター・フレーズをよくコピーしたなァと今回聞いていて思い出してしまった。

 

昔から,Hiram Bullockという人の多彩な音楽性をよく捉えたアルバムだとは思っていたが,久しぶりに聞いてみるとこれは実際よく出来たフュージョン・アルバムであった。アルバムのライナーにも本人が書いている通り,Hiramの音楽性を支えるバックグラウンドは多様(James Brown,Miles,Jimi Hendrix,そしたFrank Sinatraの名まで挙げられている)なわけだが,それをよく吸収してギターもボーカルも冴えている。何がいいって,Hiramのギターの音色やフレーズが大変よい。勿論,ソロ・フレーズもいいのだが,私は冒頭のリズム・カッティングを聞いていて心底参ってしまった。実によい。

 

このアルバム,基本的なバンドのフォーマットを一定に保っているので,サウンドの一貫性にも問題がなく,フュージョンのアルバムにありがちな総花的な感じは全くしない。それでもSanbornとBreckerは1曲ずつの参加ながら,ちゃんと見せ場は作っているが...。 いずれにしても本作含め,アトランティックの彼のアルバムは久しく廃盤の憂き目にあっていた訳だが,良心的なレーベルWounded Birdから再発され,今では入手が容易になったことは大変めでたい限りである。星★★★★。

 

このアルバムが吹き込まれたのはHiramが30歳の頃であるが,久々にこのアルバムを聞いて,やはり52歳での早逝が惜しまれる限りである。いくつになってもまだまだかっ飛んでいて欲しかった人である。

 

Personnel: Hiram Bullock (g, vo, key), Will Lee(b, vo), Charlie Drayton(ds, vo), Cliff Carter(key), Dr. Gibbs(perc), Kenny Kirkland(key, vo), David Sanborn(as), Michael Brecker(ts), Delmar Brown(key, vo), Crispin Cioe(as, bs), Bob Funk(tb), Arno Hecht(ts), Hollywood Paul Litteral(tp) and Others

2008年8月 9日 (土)

Gary Fosterの伴奏は最高だが,リーダーの英語の発音がなぁ...

Photo "Live in  Vienna" 高樹レイ(Insights)

私はGary Fosterのファンである。よって,彼のアルバム,゛Make Your Own Fun゛については「敏子~タバキン・バンドの番頭,Gary Fosterが放った傑作」という記事をアップ゚したことがあるが,世の中で,「私,Gary Fosterが好きなのよん」というような話は聞いたことがないから,やはり地味な人である。それでも私はGary Fosterと聞くとそのアルバムを聴きたくなってしまうのはファンの性であろう。このアルバムも,Fosterの名前がなければ決して手を出さなかっただろうが,それでも定価で買うことには強く躊躇してきたのは事実である。それは日本人のジャズ・ボーカルだからというのが最大の理由であった。それでも中古で手頃な価格で見つけたので,ようやくゲットした次第である。

このアルバムを聞いて思うのはGary Fosterのアルトは朗々と歌っていて最高に近い出来ということである。やはりFosterはよいと思わせる。しかし,それがリーダーの高樹には悪いが彼女のボーカルが出てきたとたんに気持ちが悪くなるのである。何が問題かと言って,彼女の英語の発音である。特に子音やそれに付随するリエゾンの発音が最悪で,何を歌っているのかさっぱりわからない。これで大学は英文科の卒業というのはちゃんちゃんらおかしいと言わざるをえない。そもそも,私が日本人ジャズ・ボーカリストをあまり信用していないのは,彼らの英語という言語に対する理解度あるいは発音に対するセンスが低いことがあまりに多いからだが,この高樹も例外ではない。この気持ち悪さ,以前にけなした倉木麻衣の英語並みと言ってもよい。

彼女の最大の問題は,英語をそれっぽく発音しようという意識ばかりが目立って,本来の英語のディクションやらイントネーションがないがしろにされていることだと思う。ネイティブだから当たり前だが,EllaやSarahの発音の方がはるかに美しく,歌詞をちゃんと聞き取れる。本質的に,ごく普通の日本人の耳には日本なまりの英語の方が聞き取りやすいことが多いというのも事実だと思うが,高樹の英語はまさしく中途半端だから,聞いていて虫酸が走るのである。これではせっかくFosterの素晴らしい伴奏を得ても,台無しと言わざるをえない。彼女だけが日本人ジャズ・ボーカリストではないし,全てのボーカリストが英語がすべからくへたくそとは言わないが,やはり私は日本人ボーカリストとの相性が悪いようである。ということで,残念ながら買わないでおいた方がよかったように思えてしまう一枚である。Fosterの伴奏には喜んで星★★★★☆はつけられるが,高樹のボーカルがあるがゆえにこのアルバムの評価は星★★☆まで下げざるをえない。嘆息...。

Recorded Live at Jazzland, Vienna on December 15 & 16, 2004

Personnel: 高樹レイ(vo), Gary Foster(as), Roland Batik(p), Heinrich Werkl(b), Anton Muhlhofer(ds, perc)

2008年8月 8日 (金)

夏枯れ...

あまりの暑さと湿気に,何のやる気も起こらない日々が続いている。クライアントとのミーティングでスーツなどを着ようものなら,下着を通り越してYシャツまで汗が染み出す始末である。家人には「デブは汗かきだから仕方ない」と揶揄されているが,私はとにかく気温はともかく,湿気には決定的に弱いのである。それでも昔はこんなに発汗しなかったから,家人の指摘も必ずしもはずれてはいないのかもしれない。

こんな調子であるから,CDショップめぐりでもするかという気力もわかず,新譜もHigh Fiveぐらいしかめぼしいものが見当たらない。そのHigh Fiveも同時に注文したYazoo(そう,あのエレクトリック・ポップの名バンド,Yazooである)のボックスが未入荷のあおりを受けてデリバリーが遅れていて,いつになれば聞けるのかわからない状態である。

ということで,現在は気力,体力,そして音楽も夏枯れ状態であり,こうしたときは「温故知新」モードに入るしかあるまい。これから数日,実家に帰る機会があるので,ここ何年も聞いていないアルバムを聞いてみることにしよう。さて,どんなアルバムが眠っていることやら...。

2008年8月 7日 (木)

Gergievのマーラー・チクルス,早くも第3弾

Mahler_7 "Mahler: Symphony No.7" Valery Gergiev / Lonson Symphony Orchestra(LSO Live)

このブログで「Gergievのマーラー・ライブ現る」と書いたのが今年の5月だが,早くもこのシリーズ第3弾としてマーラー7番の登場である。それにしても物凄いリリース・ペースではないか。今年だけで3枚目である。まぁ既にこのチクルスは終了しているみたいだから,最終的には全曲発売するのだろうが,かつてないようなリリースのパターンである。

これまでのシリーズを聞いていても思ったのだが,やはりGergievらしいというか,圧倒的にパワフルな演奏で目が回りそうという感じである。こうした演奏ならばGergievならできて当然という気がしてしまうのだが,例えば5番のアダージェットやら9番のアダージョなんかはどうなってしまうのだろうという方に関心が向いてしまうのはちょっとまずいかなぁとも思ってしまった。

このGergievのマーラー・チクルス,世間では賛否両論渦巻いているようだが,結局は何をこの演奏に求めるかということに尽きるわけで,私のようにGergievのダイナミズムが好きな人間にとってはこれもOKなので星★★★★である。しかし,7番という曲そのものがあまり魅力的とは言えないというのも事実であり,私としては早いところ,2番,5番,9番を聞いてみたいなぁというのが実感である。

ところで,昔,ロンドン響がClaudio Abbadoと来日した時に私は楽器搬入のバイトをしていて,ステージの袖からマーラー5番の演奏を聞く(見る)という幸せな経験をしたのだが,そのときのバック・ステージに散乱したビールの空き缶の数には笑ったのも懐かしい。ロンドン響の連中は,熱い演奏で赤い顔をしていたのではなかったのだ。特にブラスの連中あたりは激しく飲んでいたんだろうなぁ(笑)。

Recorded Live at the Barbican in March 2008

London Symphony Orchestra Conducted by Valery Gergiev

2008年8月 6日 (水)

Simple Acoustic Trio:名前で損しているかもなぁ

Simple_acoustic_trio  "20th GETXO International Jazz Festival" Simple Acoustic Trio (Hilargi)

この人たちがECMレーベルでアルバムをリリースした際に,私は「Marcin Wasilewski:何ともECM的なECMレーベル作」ということで両手を挙げて絶賛してしまったのだが,そのときは彼らがSimple Acoustic Trioなんていう別名を持つなんてことは全く知らなかった。ブログのお知り合いの皆さんからいろいろご教示を頂いてそうしたことを知るに至ったわけだが,いずれにしても,ECM作品で静謐で透徹な美学を100%発揮した彼らが,ライブの場ではどういう演奏をするのかということに関心があって,このアルバムを購入した次第である。

結論から言えば,ライブの場ではスタジオ・レコーディングとは異なるよりジャズ的な演奏もできるんだなぁということで,改めて感心してしまった。私はBrad Mehldauの大ファンであるが,このアルバムが吹き込まれた1996年という段階で,こうした演奏を聞いていれば,おそらくはMehldauに比肩しうるトリオとして,もっと早い段階で注目していただろうなと思ってしまい,自分の不勉強を恥じてしまった。大したトリオである。

ポーランドという国から,いかにしてこうした優れたトリオが出てきたのかというのは大袈裟に言えば,「ジャズ界の七不思議」と言ってもいいほど奇跡的なことかもしれない。いずれにしてもここでも聞かれるようなサウンドからすれば,この人たちが欧州ジャズ好きのみならず,ECM好きをとらえて離さないのはまぁ当然のことと言えるだろう。

彼らが不動のメンツで活動を続けていることは大変素晴らしいことだが,是非このメンツでECM作品のような傑作を近いうちに世に問うて欲しいと改めて感じさせる好アルバムである。星★★★★。ただ,私としてはこのSimple Acoustic Trioというなんともわけのわからないバンド名はやめた方がいいように思うが。かと言って,ポーランドの人の名前を何と発音するのかわからんので,世間的にはこっちの方がいいのかもしれないが...。

Personnel: Marcin Wasilewski(p), Slawek Kurkiewicz(b), Michal Miskiewicz(ds)

2008年8月 5日 (火)

Daniel Lanois:これも原野を思わせる

Daniel_lanois "Here Is What Is" Daniel Lanois(Red Floor)

Daniel Lanoisと言えば,プロデュースするアルバムがどれも素晴らしいという名プロデューサーとしての顔の方が目立っているが,自身のアルバムも何枚かリリースしている。Brad Mehldauも参加しているインスト・アルバム"Belladonna"というのもあったなぁ。これはそのLanoisのリーダー・アルバムとしては最新作になるものだが,今までは全くノーマークだったのを,地元の某CDショップで掛かっていたのにまんまと引っ掛かって購入してしまったアルバムである。

この音楽を店頭で聞いていて思ったのは,Brian Bladeのアルバムのようにアメリカの原風景的な感覚の強い音だということだったのだが,家に帰ってクレジットを見るとちゃんとBrian Bladeも参加している。なるほど...。このアルバム自体はLanoisのドキュメンタリー映画のサウンドトラックとしての位置付けのようであるから,別にBladeの音楽とは直接的な関係はないのだが,私が大好きなBrian Bladeの1stアルバムはLanoisのプロデュースだったし,2ndにもLanoisは参加していたから,やはり縁深い人たちなのである。

この原風景的サウンドは,Lanoisのスチール・ギターに依存するところが多いと思うが,この音はBill Frisell的でもあるなぁと感じてしまったが,やはりこの音楽は私に何とも言えない落ち着きを与えてくれるような気がして,結構気に入ってしまった。それぐらい刺激は少ないとも言えるが,たまにはこうした音楽でクールダウンするのも必要だろう。特に現在のような酷暑の時には...。これから暫く猛暑が続く間は世話になりそうなアルバムである。星★★★★。

尚,Brian Enoがあたかも参加しているように書かれているポップがあるが,Enoは会話の相手として喋っているだけなのでご注意あれ。また,クレジットにはミュージシャンの名前しか書いていないので,楽器までは調べきれていないため,下記のようにさせて頂く。

Personnel:Daniel Lanois, Brian Brade, Garth Hudson, Brady Blade Sr., Tony Garnier, Jim Wilson, Marcus Blake, Steven Nistor, Daryl Johnson, Ada Small, Shawn Stroope, Tony Mangurian, Willie Green, Aaron Embry

Brian Eno: Dialogue

2008年8月 4日 (月)

iPhoneを買ってしまった

7/11に発売されたときにはかなりの騒ぎとなったiPhoneだが,品薄状態はあまり長くは続かなかったようで,私もゲットしてしまった。しかし,これまでの携帯電話のインターフェースに慣れ親しんでいる人間にとっては,結構最初は厳しいものがありそうだ。

そもそもiPhoneにはいろいろな弱点もあることは既に認知されているとおりと思うが,何が困るって,メルアドのドメインがsoftbank.ne.jpからi.softbank.jpに変わってしまうのは結構痛いというか,いろいろな面倒が生じる。電話帳のデータ移行がSoftbankで配布しているソフトでうまくいかなかったこともあり,私は電話帳のメンテナンスでひどい目に遭ってしまった。このあたりは再度見直しが必要だろう。

また,絵文字,顔文字の類が出てこないのも痛い。別に私は多用するわけではないとしても,やはり多少は使えた方がよかっただろう。また,タッチパネルも慣れないうちは誤操作が多くて難儀している。

更にこれはバグだと思うが,ピリオドを複数回続けて使っているメルアドには,メールの送信がうまくできないという問題が発生していて,こういうのは早々に対策をしてもらわなければなるまい。

いずれにしても,新しいものには多少のトラブルはつきものだとしても,まだまだ発展途上あるいは日本の進化した携帯事情まではアップルと言えども対応しきれていない部分は大きいように感じている。まぁ,私のように「おさいふケータイ」も使わないような人間には「iPodと携帯のハイブリッド端末」としての機能だけで十分とも言えるのだが,これを使いこなせるようになるまで,さてどれぐらいかかるのか不安である。

2008年8月 3日 (日)

更に注目のJohn Zornの"The Stone"シリーズ第3弾

Issue_3 "The Stone: Issue Three" Lou Reed/Laurie Anderson/John Zorn(Tzadik)

昨日に続いてJohn Zornによる"The Stone"ベネフィット・シリーズ第3弾である。第2弾はFred Frithによるもののはずだが,それはパスしていきなりの第3弾。世間の目からすれば,このアルバムはIssue OneやTwoより注目度ははるかに高いはずである。何と言ってもLou ReedとLaurie Andersonという最強夫妻(この2人が夫婦というのも信じ難いが...)にJohn Zornの組合せであるから,これは一体どうなるのかと期待が高まるのは当然であり,それが人情というものだ。

これは3者によるコレクティブ・インプロビゼーションという感じであるから,どちらかと言えばReedは畑違いと言えばその通りのようにも思えるが,ここでのReedの歪んだギターはZornの鋭いアルトと相性が良いように聞こえるから不思議である。ReedはOrnette Colemanさえもうまくアルバムで使う(限定盤2枚組"The Raven"のColemanは素晴らしかった)人だけに,本当に音楽的な懐が深いミュージシャンだと思わざるをえない(と言うかOrnette ColemanもJoe Henryに客演したりして,それも素晴らしい出来なので,こちらの懐の深さも相当であるが...)。

それでも,私はLou Reedのボーカルが結構好きなだけにギターだけというのは惜しい気もするが,これはあくまでも番外編の活動であるから仕方あるまい。それでもこのギターを聞いていると十分Reedらしさは出ているから,Lou Reedファンは必携だろう。

まぁ,ただこのアルバムを繰り返し聞く気になるかと言えば,何年かに一回程度というものだろうと思う。次に聞くときに私がこのアルバムに対してどういう感想を持つかは興味深いところであるが,現在の心境では結構楽しめた。しかし,現在のように猛暑厳しき折には,暑苦しさが増すことはあれども,涼やかな気分にさせてくれるアルバムでは決してないので念のため。星★★★★。

Personnel: Lou Reed(g), Laurie Anderson(vln, electronics), John Zorn(as)

2008年8月 2日 (土)

John Zornの"The Stone"シリーズ第1弾

Issue_one "The Stone:Issue One" John Zorn(Tzadik)

John Zornが自由な演奏空間としてAvenue Cと2丁目といういかにもLower East Sideとでも言うべき場所に"The Smoke"を開いたことはあっぱれと言うべきである。NYCと言えども,ライブハウス経営は必ずしも楽な商売とは言えないようだが,そこで,Zornがやろうとするような音楽で集客を確保しようとしてもやはりそれは難しかろう。

そうした事情もあって,John Zornが"The Smoke"運営のベネフィットのためにIssueシリーズを出すのはある意味ではよく考えられた手法と思う。値段も高いのは全てベネフィットのためと思えば仕方ない。今日紹介するこのアルバムの初版1,000枚にはZornのサインも付けて購買者には値段を納得してもらおうという取組みもある意味では涙ぐましい限りである。.よってこういうアルバムは応援したくなってしまうのが人情である。

このアルバム,メンツはなかなか豪華である。そのメンツにしては冒頭から静謐な響きで始まり,意表を突かれる。私は"In a Silent Way"をイメージしてしまったぐらいだし,途中の曲ではDave Douglasが明らかにそれっぽいフレーズも吹いている。その中で,ゆるいグルーブで展開される演奏はある意味大変心地よい響きを持つものと言える。しかし,このアルバム,そういう演奏だけだったらよかったのだが,Mike Pattonの気味の悪い,また芸のないボイスが登場しただけで,私のような中年には耐え難いものとなる。グルーブを無視して単にわめき散らすだけのこのボイスは,私にとっては騒音以外の何物でもなく,このボイスが登場する曲はスキップしたくなってしまうのである。

そもそもJohn Zornなのだから,そういうサウンドが出てきても当たり前だという話もあるが,ただアルバム全体のプロデュースとして,ああしたノイズが必要なのかと言ったら決してそんなことはないだろう。私はZornのアルトがどれだけフリーに吹かれても苦にならないが,このアルバムでのボイスだけははっきり言って苦痛でしかなかった。ボイス抜きなら星★★★★といきたいところだが,再聴する気を失せさせるあのボイスゆえに志は認めるとしても星★★★とせざるをえないのである。こういう風に感じる私が年なのかもしれないが,やはりこれは行き過ぎである。私にはJohn Zornは"News for Lulu"を聞いていればいいということなのかもしれない。

Personnel: John Zorn(as), Dave Douglas(tp), Mike Patton(vo), Rob Burger(key), Bill Laswell(b), Ben Perowsky(ds)

2008年8月 1日 (金)

Bobby Timmonsの好ライブ作

Timmons ゛The Bobby Timmons Trio in Person゛ Bobby Timmons(Riverside)

先日取り上げた2枚のBlue Noteレーベルのアルバム(Curtis FullerとKenny Dorham)で,ピアニストを務めていたのがたまたまBobby Timmonsだったということもあり,今日は彼のアルバムである。上述の2枚ではTimmonsらしいファンキーな感覚はまだ出ていなかったように思うが,わずか5年やそこいらの違いで,随分とピアノ・タッチが変わるものだと思わされるアルバムである。

このアルバムはタイトル通り,名門Village Vanguardにおけるライブ音源であるが,クラブ・デイトらしいIntimateな感覚を残しつつも,Timmonsらしいファンキーな演奏が楽しめるアルバムである。だいたい冒頭の゛Autumn Leaves゛からして,Milesの「枯葉」とは全く違う趣で笑みを誘うが,2曲目のTimmonsオリジナル゛So Tired゛に至って,完全にファンキー色が爆発する。ここでの軽快な演奏を聞いたら,タイトルに偽りありじゃないのと言いたくなるのは私だけではないはずだ。「疲れた」とか「飽き飽きした」感覚など皆無である。Timmonsかくあるべし。いいねぇ。私の嫌いなRon Carterも後年ほどアンプリファイドした感覚はそれほどはなく,これなら許せる範囲である。

Timmonsというと,"Moanin'゛の印象が強過ぎるところがあるが,このアルバムを聞けば,当然それだけの人でないことは即座に理解できる。ソロで演じられる゛Goodbye゛なんてなかなか大したものである。もちろん,このアルバム,全く瑕疵がないわけではない。なんで゛Dat Dare゛のフェード・アウト版が2回も収録されているのかよくわからないが,私の保有しているCD盤ではその゛Dat Dare゛の全長版が収録されているので,取り敢えず納得はできるが,それでもこのオリジナル・フォーマットはどう考えても不思議である。また,"Softly as in a Morning Sunrise"のテーマをCarterに弾かせるのか(というか,なんでここまでフィーチャーしなければならないのか)等,気に入らない点もある。逆にTimmonsが出てくる瞬間の快感が格別になるという効果はあるが...。

まぁそうは言いつつも,Timmonsとオリジナルとスタンダードが適切にミックスされたこのアルバムを嫌いだという人はあまりいるまい。それぐらいジャズ的な雰囲気が横溢していて楽しめてしまうのである。やはりたまにはこういうアルバムも聞かなければならないと反省した次第である。星★★★★。

Recorded Live at the Village Vanguard on October 1, 1961

Personnel: Bobby Timmons(p), Ron Carter(b), Albert Heath(ds)

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