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2008年7月31日 (木)

最初から完成されていたNina Simone

Nina_simone ゛First Recordings゛ Nina Simone(Bethlehem)

私はジャズ・ボーカルの熱心なリスナーではないので,CDやLPもそれほど保有している訳ではない。それでもこういうアルバムを聞くとたまにはボーカルもいいと思わされてしまう。そもそものSimoneの声が渋いというのもあるが,ピアノの技がまた大したもので,これだけ「歌って弾ければ」音楽も楽しかろうと思ってしまう。

このアルバムは通常゛First Recordings゛と呼ばれているから上にも便宜的にそう書いているが,アルバムのカバーには"Jazz as Played in an Exclusive Side Street Club"というわかったようなわからないような文言が書いてあるから,それが本当のタイトルかもしれない。いずれにしても1957年録音のNina Simoneのデビュー・アルバムであることは間違いないし,Bethlehemレーベルが再発されるときには必ずと言っていいほどカタログに載ってくる人気アルバムである。

このアルバムが録音された1957年と言えば,まだNinaは24歳であるが,歌唱スタイルも演奏スタイルもこの時点でほぼ完成しているように聞こえる。ピアノはジュリアードで学んだだけあって,クラシックな表情を見せる瞬間が多々ある(ボーカルなしで演じられる゛Good Bait"や"You'll Never Walk Alone゛に顕著である)が,それとブルージーなボーカルとのギャップが大きい。ボーカルのバックではそうしたクラシックな感覚が減少するのも面白いと思ってしまう。

このアルバムはスリリングというよりも,ブルージーな感覚の方が強いが,これは夜,まさしく゛Exclusive Side Street Club゛でグラスを傾けながら聞きたくなる音楽と言ってもよいだろう。あるいは深夜にボリュームを絞って聞くのもまたよいかもしれない。大ヒットした(らしい)゛I Loves You Porgy゛はまさに胸に染みる名唱である。

いずれにしても猛暑の真夏の昼間に聞くような音楽ではないというのが正直なところではあるが,アルバムとしては星★★★★には十分値する。でも故人のNinaには申し訳ないが,彼女の顔ってちょっと怖いんだよなぁ。それが私を彼女から遠ざける...。

Recorded in 1957

Personnel: Nina Simoen(vo, p), Jimmy Bond(b), Albert Heath(ds)

2008年7月30日 (水)

渡辺香津美のロックごころ爆発

Spice_of_life_4 "Spice of Life" 渡辺香津美 (domo)

何とも懐かしいアルバムである。私がこのアルバムの冒頭に収められた"Melancho"を聞いて「King Crimsonかっ!」と叫んだのも今は昔であるが,それぐらいロックを感じさせるアルバムである。もちろん,Brufordがドラムスを叩いているからCrimsonぽく聞こえるのは当然なのだが,それだけでなく,Andy SummersとRobert Frippとの共演盤や,Jeff Beckをも想起させるアルバムである。だいたい,私がこの人たちのライブを見に行ったときのアンコールはJeff Berlinのボーカルによる"Crossroads"だったから,心根はロックな人たちなのである。

このアルバムが発売されてからもはや20年以上というのはある意味信じ難いが,それでも古臭いところを感じさせないのは大したものである。まぁBill Brufordが当時多用していたSimmons Drumsの音が時代を感じさせると言えばその通りだが,トータルな感覚では全く問題はない。Simmons Drumsというのは好き嫌いがわかれるところであるが,強弱のニュアンスを出すのは難しいはずである。だからこそ,ロック的なセッティングでしか使いようがないように思える。それでもこのアルバムのサウンドを特色付けているのはBrufordだと言ってもよい。さらにスラッピングを使わず指弾きに徹するJeff Berlinは本当に指がよく動くものだと感心させられてしまう。

そうしたメンツのバッキングに乗って,自由度高くロックする渡辺香津美をジャズ・ギタリストと呼ぶのは少なくともこのアルバムでは無理である。おそらく香津美が最もロックに傾斜した演奏と言ってもよいだろうが,この引出しの大きさがこの人を日本屈指のギタリストに位置付けている理由である。

「ロックが聞きたいなら,本物のロックのアルバムを聞いていればいいではないか」という話もあるが,これはこれでたまに聞きたくなるのだから仕方がない。もちろん,しょっちゅう聞きたいと思うものではないが,まぁそれでも楽しめるアルバムではある。収められた曲全部がいいというわけではないが,バンド全体の勢いとグルーブがそれを補って余りある。星★★★★。

Recorded between October and November, 1986

Personnel:渡辺香津美(g),Jeff Berlin(b),Bill Bruford(ds, perc)

2008年7月29日 (火)

CSN&Y:久々のライブ音源だが,リリースのタイミングがなぁ...

Csny ゛Deja Vu Live゛ CSNY(Reprise)

だいぶ前になるが,私はこのブログに「私をアメリカン・ミュージックへと誘ったCSN&Yのライブ」ということで彼らの゛4 Way Street゛を紹介したことがある。このアルバムはそこにも書いたが,私の音楽の嗜好に大きなインパクトを与えたものであり,それ以来私はアメリカン・ロックやSSWの深みにはまっていったのである。

そうしたCSN&Yであるから,新譜が出るとなればやはり買ってしまう。このアルバムは2006年の再結成ライブのドキュメンタリー映画のサウンドトラックとなっているが,このライブそのものが,George W. Bushを批判するためのもののようだから,当時のYoungの新譜゛Living with War゛とリンクしたものと考えてよかろう。

しかし,この音源,George W. Bushの任期があと半年程度となった今発売する意義があるのかどうかは疑問である。もはやBushは任期を全うすることしか頭にないわけで,このタイミングでこんな音源が出たからと言って,米国内に改めてBush批判が高まるかと言えば若干疑問がある。よって,この音源を出すならば,映画のサウンドトラックという体裁ではなく,録音直後にリリースすべきであったと思うのだがどうだろうか。

こうした反Bushの動きの音楽界における急先鋒はYoungその人であったから,このライブもこれまでのCSN&Yの再結成アルバムと異なって,Youngの推進力が強く感じられる。Neil Youngのファンにとってはそういう観点では嬉しいアルバムである。ただ政治と音楽を結びつけることに必ずしも多くのリスナー(特に日本のリスナーはそうだろう)が賛同する訳ではなかろうから,そのあたりの評価は微妙である。私はBush嫌いであるから,こういうアルバムを聞いていると思わずニヤニヤしてしまうわけであるが,それでもやはりタイミングがなぁ...。

演奏はそれなりのものであるが,このメンツで゛Living with War゛のコーラスを聞かされてしまうと,それはそれでやはり感慨深いものがある。だが,昔の彼らのハーモニー等を期待してしまうとやや肩透かしを食らってしまうだろう。また,゛Deja Vu Live゛というタイトルはやや疑問。確かにドキュメンタリーのタイトルもそうらしいのだが,ここはYoungもアルバム中で発する"Speech of Freedom"とすべきだっただろう。そうすると,セールスが...というのも当然の判断だが,やはりそれがミュージシャンとしての矜持であり,ポリシーってものではないかと思う。尚,2曲目のみNeil Youngによるスタジオでのソロ録音。完全に映画のテーマ音楽って感じである。星★★★☆。

Personnel:David Crosby(vo, g), Stephen Stills(vo, g, key), Graham Nash(vo, g, p), Neil Young(vo, g, b, p, key), Rick Rosas(b), Chad Cromwell(ds), Spooner Oldham(key), Ben Keith(pedal steel), Tom Bray(tp)

2008年7月28日 (月)

Hiram Bullockが亡くなったそうだ

Hiram Bullockの突然の訃報が流れた。享年52歳。最近は太り過ぎではないかと思っていたが,それにしても早過ぎる死である。あまり大々的には報じられていないようだが,7/25に亡くなったとのことである。

24丁目バンドなどでも人気のあったHiramであるが,私にとってはやはりGil Evans OrchestraやDavid Sanbornのバンドでの活動が印象深い。特に後者では゛Live Under the Sky゛が開催されたよみうりランドのオープンシアターEastで,客席を走り回りながらギターを弾いていた彼の姿が懐かしく思い出される。

米国での報道を見ていると,彼はLate Night with David Lettermanのハウス・バンドである゛The World Most Dangerous Band゛のオリジナル・ギタリストとして紹介されている。確かにそれはそうかもしれないが,結局はその程度の認識しかされていないのならばちょっと寂しい気もする。彼のジャズ/フュージョン界の業績はもう少し評価されてもいいはずである。

正直言って,最近の彼の活動には私は関心はなかったけれども,それでも場を盛り上げる術を心得たミュージシャンであった。彼のリーダー作は実家に眠ったままなので,追悼にはSanbornとの゛Straight to the Heart゛を聞くことにしよう。R.I.P.

2008年7月27日 (日)

夏と言えばレゲエである

Black_uhuru "Chill Out" Black Uhuru(Island)

先日,「夏と言えばハワイアンである」なんて書いたばかりだが,今日は舌の根も乾かぬうちにレゲエである。レゲエのビートは心臓の鼓動に一致しているから気持ちよいのだとよく言われるが,確かにそうである。しかし,冬場にレゲエを聞きたいと思うことはあまりなくて,私の場合,レゲエのアルバムの保有枚数は決して多くない中,原則夏にばかり聞いている気がする。

本来,レゲエと言えばBob Marleyだが,天邪鬼の私はここではMarleyではなく,Black Uhuruを取り上げることにしよう。このアルバムはBlack Uhuruの最高傑作に挙げられることも多いが,私はほかのアルバムを聞いたことがないので,バンドとしての比較はできないが,ボーカルとバンドのブレンド具合なんかはやはり優れたものだと思わせる出来である。何てたって,プロデュースはSly & Robbieであるからおかしな仕事にはならないのは当然と言えば当然である。彼らの名前は以前ほど耳にすることはなくなってしまったが,今は何をしているのだろうか。

Black Uhuruはボーカリスト3人のユニットであるが,クレジットを見るとSly & Robbieの扱いがほかのミュージシャンより大きくなっているから,このアルバムではその5人組を以ってBlack Uhuruだったと解釈してもよいかもしれない。それにしてもやはりこのビートの心地よさである。ここでのRobbie Shakespearの突き刺さるようなベース音に反応できなければ,そのリスナーはレゲエには向いていない。これこそレゲエの醍醐味である。これでビールに枝豆でもあれば,猛暑にも耐えられるという風に思ってしまう(嘘)。たまにしか聞かないレゲエであるが,夏と言えばやはりレゲエである。そう言えばレゲエ・サンスプラッシュってどうなってしまったのかな。行ったことはないが...。

いずれにしても,このアルバム,素晴らしいレゲエ・アルバムであることは間違いなく,Bob Marleyとは異なった個性を聞かせてもらえる私には貴重なアルバムである。Marleyが乾いた感覚とすれば,ややウェットな感覚も持ち合わせているところが好みが分かれるところかもしれないが,毎年の夏への貢献度を含めて星★★★★★。

Personnel: Michael Rose(vo), Duckie Simpson(vo), Puma Jones(vo), Sly Dumber(ds), Robbie Shakespear(b), Sky Juice(perc), Sticky Thompson(perc),  Ranchie McLean(g), Radcliff "Dougie" Bryan(g), Mickey Chung(g), Barry Reynolds(g), Ansell Collins(p), Robbie Lynn(p), Wally Badarou(synth)

2008年7月26日 (土)

Kenny Dorham:またまたブルーノート盤である

Dorham_complete "'Round About Midnight at the Cafe Bohemia (Complete Series)" Kenny Dorham (Blue Note)

昨日に続いてのBlue Note盤である。もともとBlue Note 1524として発売されていたアルバムのほぼ全貌はこれまで複数のアルバムに分かれていたが,セットの演奏順にまとめられたのがこのアルバムである。よくよく見てみるとディスク2後半の゛Mexico City゛はそもそもKenny Burrellの"Vol.2゛(1543)で発表されたものだ。こういう編集がいいかどうかについては議論のあるところで,本来のLPフォーマットは相応の演奏を収めたものであり,かつそういう並びだからこそいいのだというリスナーもいるだろうし,まとめて聞けるようになったことを喜ぶリスナーもいるだろう。私のように別にKenny Dorhamに強い思い入れもない人間がどうしてこのアルバムを買ったのかは記憶に定かではないのだが,こうして久し振りに聞いてみると,このコンプリート版はやや冗長に感じさせるところが強いように思える。

クレジットを見ていると何と4セットも演奏されているように見えるのだが,1セットあたりの時間が短いのはライブ録音を意識してのことかもしれないし,昔はこういうものだったのかもしれない。いずれにしても,このアルバム,かなりリラックスしたムードが強い。特にディスク1冒頭に収められた1セットはそうである。そうしたムードが2セット以降,Kenny Burrellが参加すると一気に変わることを考えれば,本盤についてはKenny Burrellが入っていることが重要だと思えてしまう。特にディスク2ではそれが顕著である。もしかしてBurrellは遅刻したのだろうか?

とにかく1セットのBurrell抜きの演奏はルースな感覚が強く,ちょっとゆる過ぎやしませんかと文句も言いたくなるようなものである。そうした演奏を締めたのがBurrellの参加にほかならないだろう。よって,私には圧倒的にディスク2の方が楽しめた次第である。

このアルバム,Kenny DorhamのMCを聞いていると,バンドのことを゛Organization゛と呼んでいるのがわかって,「へぇ~っ」という感じだが,さらにBobby Timmonsがバンドにおいては゛Youngest and Newest゛なメンバーとか紹介されていることにも時代を感じてしまう。いずれにしても後年のファンキーなTimmonsのタッチはここではまだ現れていない。

Dorham まぁこういうアルバムは難しいことを言わずに,時代を切り取ったものとして聞けばいいのだろうが,それでもこのディスクを2枚通しで聞き続けるのはきついというのが正直なところである。私はおそらく今後はディスク2を中心に聞いていくだろうと思っている。星★★★。ちなみにこのコンプリート盤はジャケ写真もオリジナルとサイズが違うのだが,雰囲気としてはオリジナルの方がいいのは明らか。やはりReid Milesってセンスいいよねと思わされる。見比べて頂けば皆さんにもおわかり頂けるだろう。

Recorded Live at the Cafe Bohemia on May 31, 1956

Personnel: Kenny Dorham(tp), J.R. Monterose(ts), Kenny Burrell(g), Bobby Timmons(p), Sam Jones(b), Arthur Edgehill(ds)

2008年7月25日 (金)

Curtis FullerのBlue Note初リーダー作

Opener "The Opener" Curtis Fuller(Blue Note)

ブログのお知り合い,crissさんが小川隆夫の「ザ・ブルーノート,ジャケ裏の真実」を取り上げられていて,ちょっとしたヴァケーションの最中にこの本を読んでいたら,無性にブルーノートのアルバムが聞きたくなってしまった。書物自体にはやや冗長な記述が多いものの,確かに読み物としてはよく出来ていて楽しめたし,また,久し振りに同レーベルのアルバムを聞きたいと思わせてくれたのだから,感謝しておこう(と言っても先日Horace Silverについても書いたが,あれはたまたまである)。

それでもってその中で本日取り上げるのはCurtis Fullerである。このセレクション,ちょっと渋いなぁと思いつつ,本でのFullerに関する記述を読んでいて,そうだったかなぁということもあり,手に取った。本作はCurtis Fullerのレーベル初リーダー作である。Fullerと言えば"Blues ette"のようになってしまっているが,どうしてどうしてやはりこのアルバムも捨て難い。

冒頭からFullerのワンホーンによるバラード"A Love Way to Spend an Evening"というのがこれまた渋いが,Fullerの歌心を示すには格好の選曲と言えないか。このアルバムは猛烈なスイング感というよりもどちらかと言えば,トロンボーンの音色を活かすような選曲が成されていると言ってもよいように思うが,この1曲目からしてまさに絶好の"The Opener"である。このあたりはやはりプロデューサーたるAlfred Lionのセンスの良さだろうなぁと今更ながらつくづく思う。本作は技よりも歌心という感じであるが,もう少しゴリゴリやってもよさそうにも思えるが,この上品なバウンスぶりも捨て難い。

しかも,このレーベルのオールスターとも言うべきメンバーが揃えば,そりゃ悪い出来にはなるまいて。そうだとしてもやはりこの時代のブルーノートはレベルが高いと痛感させられた一作であった。星★★★★。

それにしても今回「ザ・ブルーノート,ジャケ裏の真実」を読んでいて,私は1500番台をあまり持っていないなぁと思ってしまったが,財力のない私ゆえそれも仕方ないでしょうな。しかし,もう少し聞いてみてもいいかなと思ったのも事実である。つくづく罪作りな本である。

Recorded on June 16, 1957

Personnel: Curtis Fuller(tb), Hank Mobley(ts), Bobby Timmons(p), Paul Chambers(b), Art Taylor(ds)

2008年7月24日 (木)

何とも重苦しいテーマの「決壊」

Photo_2 「決壊(上・下)」平野啓一郎(新潮社) 

最近読んだ吉田修一の「さよなら渓谷」は沈鬱な雰囲気だとこのブログに書いたが,平野啓一郎の新作「決壊」は吉田をはるかに上回る何とも陰惨なテーマを持つもので,読んでいて暗い気分に陥れられてしまったのだが,それを一気に読んでしまったというのは一体何なんだと思ってしまった。こんな本ばかり読んでいると精神衛生上よろしくないなぁと思いつつ...。

平野啓一郎の小説を読むのは私はデビュー作「日蝕」以来のことだが,私には厳か過ぎて敷居の高い作家と思わせた平野の印象が変わったのは,小川隆夫との対談本「Talkin' ジャズ×文学」や小川との共著「マイルス・デイヴィスとは誰か」で,彼の音楽的な趣味・嗜好がわかってからのことである。今回の作品にもBrad Mehdauの"Largo"やQuincy Jonesの"Body Heat"だったか"Mellow Madness"だったかが小道具として登場しているし,コルボのフォーレのレクイエムなんてのも登場すると,この人は音楽がわかっていると思わせられてしまうのである。

それはさておき,今回の作品,ネット上での悪意の流布やブロガーの心理等も描かれていて,何となく他人事のように感じられないのが,一気読みの理由の一つとも言えるかもしれないが,それにしても字面を追っているだけでもかなり残酷なシーンがあって,映画で言えば「ブラックサイト」(記事はこちら)のようなえげつなさである。その一方で,登場人物の会話や独白は相変わらず小難しくて,私のような凡人にはついて行けない部分もあるが,それでも現実社会での出来事(秋葉原の一件等)を想起(予見)させるようなこともあり,この小説はネット社会における人間心理にも触れながら,あまりにタイムリーなテーマを扱っており,かつシチュエーションもリアルと言えばリアルで,これがまた私が暗くなってしまう原因かもしれない。

そうした様々な要素を含めても,私は本作をかなりよく出来た作品だと評価せざるをえないというのが実感である。今年,私がどれだけの文学作品を読むかはわからないが,この作品は年末のベスト作品には必ずや挙げられるであろうと確信しているぐらいの出来である。但し,読了後の感覚は極めて重苦しいので,安易に手に取ることはお薦めできない。こうしてアンビバレントな感覚に陥る私である。星★★★★☆。

2008年7月23日 (水)

今度の福耳はロック+ポップだ

Photo 「Dance Baby Dance/夏はこれからだ」 福耳(Rhythm Zone)

私はJポップなるジャンルに強い違和感があるとともに、完全な洋楽指向の人間だから、所謂Jポップはほとんど聞いていない。そんな私が例外的に認めているのが、スガシカオとスキマスイッチである。

そうした彼らも参加した福耳は私が毎度シングルを買ってしまうという本当に珍しいユニットなのだが、そんな彼らの新譜である。前作「惑星タイマー」もナイスな佳曲だったが、今回はどうか。

1曲目の゛Dance Baby Dance"は非常にロック色が強くて意表を突かれるが,2曲目はこれまた随分とポップな感覚が強く,結構曲のフレイバーに落差があるものの,今年の夏の私のカラオケの新曲はこれで決まりと思わせる出来に思わず嬉しくなってしまった。「惑星タイマー」もそうだったのだが,福耳の曲は私の「カラオケの友」なのである。このディスクにはカラオケ・トラックも付いているから,早々に練習に励まねば。

と,そんなことはどうでもよいのだが,大所帯化していく福耳において,私がどうしても違和感をぬぐえないのが元ちとせの存在である。彼女の声がどうのこうのというつもりはないが,あの独特の節回し,こぶし回しははっきり言って聞いていて私は相当に疲れてしまう。今回の2曲はどちらも元ちとせがフィーチャーされる部分があるが,そこだけがあきらかに浮いてしまっているのである。仲間内のグループであるから,ミュージシャンも当然仲間内ということになろうが,世の中,元ちとせを認めている人間ばかりではない。素晴らしい声も,あのこぶし回しをあぁ何度も聞かされては食傷するのは当然である。そうした観点で,私には元ちとせの使い方が気に入らないのである。これは多分に生理的な部分もあるが,やはり私は彼女の出てくる瞬間が苦手なのである。

ついでにもう一つ文句を言っておけば,ボーナス・トラックがまた「星のかけらを探しに行こう」というのも,もうそろそろ別の曲でもいいのではないかと思うのだが。福耳と言えば,この曲というのもわからないでもないが,毎度毎度ではさすがに飽きる。今回は「夜空のムコウ」も入れたのだから,どうせなら「惑星タイマー」にすればいいのにと思うのは私だけだろうか。というようなこともあり,星★★★★。全体的には好きだけどね。

2008年7月22日 (火)

"No Nukes":懐かしのオールスター・コンサート

No_nukes ゛No Nukes゛ Various Artists(Elektra/Asylum)

随分と懐かしいアルバムのCD版を中古でゲットした。LPは3枚組だったが,CDは2枚組である。西海岸のミュージシャンを中心とするアーチストが反原発のためのベネフィット・コンサートとして,NYCはMadison Square Garden(MSG)に集結した時の記録である。このときには5回のコンサートで延べ9万人の聴衆を動員したとのことであるが,これだけのメンツが揃えば,それだけの動員力も納得できてしまう。

いずれにしても,アメリカではこういうベネフィット・コンサートが結構開催されており,私が在米中にはDon Henleyの呼び掛けによるWalden Woods保護のためのコンサートが同じくMSGで開催され,私が行った日にはSting,Billy Joel,Don Henleyが出演というとんでもないメンツが出演していたのも懐かしい(余談ながら私はそこでソロとしてのDon Henleyに魅せられたのである)。

それにしてもよくも揃ったりというメンバーであるが,1979年当時の反原発運動が現在の米国ではどのようなステータスになっているかは別にしても,西海岸のミュージシャンが中心というのがそれっぽいと言えばそれっぽい。演奏はいろいろな組合せでの共演が楽しめるものであるが,そこはこうした顔見世興業のようなものであるから,深みや完成度を求めるのは酷であろう。その中で,やはりというか,Bruce Springsteenが場をさらっているという印象が強い。Springsteenのファンは2曲と出番は少ないとは言え,そのためだけにこのアルバムをゲットしてもよいだろう。私としてはこういう場には意外なRy CooderやDavid Lindleyを従えたJackson Brown,相変わらず瑞々しい声を聞かせるJames Taylor等ほかにも聞きどころはあると思うが,それでもやはり結局はボスになってしまうのだろうなぁ。星★★★★。

いや,それにしても懐かしいわ。尚,メンツが多過ぎてここでは書いていないが,伴奏陣も相当豪華なので,クレジットをお楽しみに。

Personnel: Jackson Browne, Bonnie Raitt, James Taylor, Carly Simon, Doobie Brothers, Crosby, Stills and Nash, Bruce Springsteen & the E Street Band, Tom Petty & the Heartbreakers, Ry Cooder, Nicolette Larson, John Hall, Raydio, essse Colin Yount, Chaka Khan, Gil Scott-Heron, Poco and Many More...

2008年7月21日 (月)

紙ジャケの次はSHM-CDですか(怒)

私はこれまで日本を紙ジャケット天国と何度か呼んできた。こんなものまで出すか~というものまで,紙ジャケ化して購買意欲を煽っている。それに引っ掛かる私も私だとは思うが,それでもなかなか手に入らなかった音源が出るということなら素直に納得しよう。

しかしである。最近は紙ジャケットに加えてSHM-CD化したものが続々と発売されている。以前,このブログで紹介したSteely Danの"Aja"のSHM-CD版も今度は紙ジャケ化して発売されている。しかし,既にSHM-CD版も,通常CDリマスター紙ジャケ版も保有している私が,そんな"Aja"最新版を改めて買うことはない。

いずれにしても,こうした手を変え品を変えの小出しの再発術は,いかにCDの売上げが減少しているかを実証しているにほかならない。はっきり言って,これだけ短いスパンで紙ジャケ版を出してくることは,通常SHM-CD版の購入者をバカにした行為と言わざるをえない。レコード会社(もっとはっきり言えばユニバーサル)にはもういい加減にせよと声を大にして言いたい。

本来,商品への付加価値の付け方というのはこういうものではないはずである。こんなことを続ける限り,私のユニバーサルに対する不信感が払拭されることはなかろう。そもそもくだらないライナーや解説なんていらないから,値段を下げるのも立派な付加価値のはずだし,他にやりようはいくらでもあるだろう。だから私は原則として輸入盤を購入するのである。

姑息でせこいユニバーサルに比べれば,ビクターのベアズビル等の紙ジャケ1500円盤の再発は立派なものである。ユニバーサルはビクターの爪の垢でも煎じて飲めと言っておこう。

2008年7月20日 (日)

いかなるフォーマットでもBill EvansはBill Evansである

New_conversations "New Conversations" Bill Evans(Warner Brothers)

多くの人にとって,Bill Evansを聞く上での最良のフォーマットはピアノ・トリオであろう。それはEvansにとっても真理であったはずであり,彼の録音のかなりの比率はピアノ・トリオで占められている。しかし,"Alone"や"Alone Again"でも聞かせたソロ・ピアノでもちゃんとBill Evans色は出ていたし,どのような形態でも個性を聞かせることができるのがBill Evansというピアニストの凄いところであった。

そんなBill Evansは日本においても圧倒的な人気を誇るピアニストではあるが,彼の演奏の中であまり省みられることがない演奏として,本人の多重録音による「自己との対話」シリーズがあるだろう。かく言う私もそのシリーズで保有しているのは本日取り上げるWarner盤(シリーズ第3弾)だけである。このアルバム,だいたいがこのジャケだけで購買意欲をそいでいて非常に損をしていると思うのは私だけではあるまい。ご丁寧にこのジャケの下の方に"Monologue,Dialogue,Trialogue"と書いてあるから,完全ソロ,ピアノ二重奏,ピアノ三重奏で演奏されていることがわかるわけだが,多重録音時にはエレピ(残響感たっぷりである)も使用している。

それで結果はどうだろうか。もちろん,これはBill Evansにとって最良のアルバムではない。しかし,決して悪くない出来である。何と言っても曲,演奏が美しい。逆に言えばかなり甘い出来とも言える。しかし,こうした異色の形式で演奏しようとも,Bill Evansの個性はきっちり出ていて,一聴して「おおっ,Evans」だと思わせてしまうのである。

私はこのアルバムは決して駄作だとは思わないし,Evansファンなら聞いてきっと楽しめるだろうと思う。多重録音シリーズとして3枚もアルバムを残したEvansである。本人はきっと楽しみながらこうした演奏をしていたはずだと思えるから,彼の音楽をきっちり聞き込んでいきたいというリスナーはこうしたアルバムも避けて通るべきではない。とにかくジャケを怖いと思わず,一度聞いてみれば「へぇ~っ」となるであろう演奏である。もちろん,これより先に聞くべきアルバムは山ほどあるという前提で,「まぁ騙されたと思って聞いてみなはれ」と言いたくなるアルバムである。とは言え,多重録音しないで,ソロ・ピアノだっていいじゃんというのもまた真なりなのだが...。そうした点も含め,星★★★☆。ちなみにこのアルバムが日本で発売された時のタイトルは「未知との対話-独白・対話・そして鼎談」というそうです。笑っちゃいますなァ。

Recorded on January 26-30 and February 13-16, 1978

Personnel: Bill Evans(p. el-p)

2008年7月19日 (土)

夏と言えばハワイアンである

Gabby ゛Gabby Pahinui Hawaiian Band Vol.1" Gabby Pahinui (Panini)

「夏と言えばハワイアンである」なんてタイトルに書いてはいるが,私がハワイアン・ミュージックの愛好家であるわけではない。ただ,夏になると,つい手持ちのハワイアンのCDを聞きたくなってしまうという単純な発想でしかないのだが,それでも必ず夏の間には数回は聞く音楽である。

このCDはGabby Pahinuiの傑作として知られるアルバムであるが,こんなものまで紙ジャケで再発されたのには本当に驚いた。しかもおなじみのGabbyのポートレートが掲示されたものでないオリジナル・ダブル・ジャケット復刻という凝ったものになっているのが,オリジナルにこだわる日本らしい。

とは言え,このアルバムが多くの音楽ファンに比較的知られたものとなっている理由はRy Cooderの参加に負うところが多いことは衆目の一致するところであろう。Ry Cooderはさまざまな音楽要素を吸収して素晴らしいアルバムを多数発表しているが,その要素の中にはハワイアンもあれば沖縄音楽もあるというそのカバレッジの広さは大したものである。この作品ではRy Cooderはマンドリンとティプレ(12弦の小型ギターのような楽器らしい)で参加しているが,やはり私のようなRy Cooderファンにとっては彼の参加がこのアルバムの購入の契機になったことは言うまでもない。

このアルバムを聞いただけでは,ほかのハワイアンとの優劣の比較はできないが,このゆるやかな感覚で展開される音楽はやはり優れた演奏なのだろうと思わされる。つい身を委ねたくなる感覚と言えばよいだろうか。ストレスフルな生活を送る人の一家に一枚とは言わずとも,たまにこうした音楽を聞きながらピナ・コラーダでも飲めば多少はそうしたストレスからは解放されるだろう。と言っても,湿気たっぷりの日本でこれを聞いてもなかなか清涼感は増さないが...。Breezyなハワイのビーチでハンモックに寝そべりながら聞いたら絶対いいだろうなぁ。星★★★★。

久し振りにハワイに行きたくなってしまった私である。

Personnel: Gabby Pahinui(vo, g, b, perc), Celana "Atta" Isaacs(g, vo), Sonny Chillingworth(g, vo), Manuel "Joe Gang" Kupahu(b), Bla Pahinui(g, vo), Cyril Pahinui(g, b), Randy Lorenzo(g, b, vo), Ry Cooder(mandolin, tipla), Nick De Caro(accor, arr), Milt Holland(ds, vib), Keli'i Tau'a(chant)

2008年7月18日 (金)

Aldo RomanoによるOrnette Coleman作品集

Aldo_romano ゛To Be Ornette to Be" Aldo Romano (Owl)

本作はAldo RomanoをリーダーとするクァルテットがOrnette Colemanの作品(内4曲はメンバーのオリジナルだが...)に挑んだ作品である。もともとは1989年に録音され,90年にOwlレーベルから発売された作品が,2005年に再発となったものである。Owlで再発になっているものは少数と認識しているので,この作品は比較的人気が高かったということだろうか。再発に当たってはリマスターを施されているが,オリジナルの音を知らないので,音が改善しているのかどうかはわからない。

本作はOrnette Colemanの作品集ということで,Ornetteと言えばフリー・ジャズと思われてしまうので,一部には抵抗感をおぼえる人もいるかもしれない。しかし,この作品を聞いていて思うのは,Ornetteが書く曲が,現代のジャズとしては極めて普遍的な魅力を持つということである。今の耳で聞けば全くフリーという感じはしないのである。もちろん,ここでの編成がピアノ入りということもあるため,調性の感覚が強まっているという考え方もできようが,Ornetteのフリー・ジャズとは近年のフリーの概念とはやはり異なっているように思えてならない。ここでの演奏に比べれば,Milesのロスト・クインテットの方がはるかにフリーのように聞こえるし,Fresuのオリジナルの方が百倍フリー・ジャズっぽい。いずれにしてもOrnetteの作曲が今でも魅力を放っているというが大したものである。

ということで,演奏は大変結構だし,ブログ・メイツのすずっくさんのダーリン,Paolo Fresuのラッパも「昔からこうだったのねぇ」と思わせて,なかなかにスリリングであるが,録音としてはピアノの音がかなり硬質に捉えられていて,聞いていて疲れるというのも事実である。録音の質がもう少し違えば,更に評価したくなったかもしれないが,どうも私はFrank D'Andreaというピアニストと相性が悪いらしい。そうした点も含めて星★★★☆。

Recorded on November 13 & 14, 1989

Personnel: Aldo Romano(ds), Frank D'Andrea(p), Paolo Fresu(tp, fl-h, synth), Furio Di Castri(b)

2008年7月17日 (木)

Rickie Lee Jones:今聞いても素晴らしい"Pirates"

Pirates ゛Pirates゛ Rickie Lee Jones (Warner Brothers)

私はJoni Mithchellはじめ女性ボーカリストのアルバムを結構愛聴しているのだが,その中でもプレイバック回数が非常に多いアルバムの一つである。そもそもこのアルバム・カバー(Brassaiという人の作品だそうだ)からして素敵なこのアルバム,出てくる音もそれに輪を掛けて素敵である。

Rickie Lee Jonesがセルフ・タイトルのデビュー・アルバムを発表したのが1979年,それに続くこのアルバムが1981年で,私がアメリカン・ロック/SSW系の音にもはまり出した時期とも重なっている。もちろん,Norman Seeff撮影のポートレートもよかったデビュー・アルバムもいいのだが,このアルバムの持つクォリティの高さには一歩譲るような気がする。

そのクォリティの高さは冒頭の゛We Belong Together゛から顕著で,私はこの曲こそRickie Lee Jones最高の名作と今でも思っているぐらいである。イントロから何から何までが素晴らしい。また,タイトル・トラックのホーン・セクションなんてまるでSteely Danだが,Donald Fagenが参加しているからそれも当然と言えば当然だが,これまたSteely Danも好きな私にとってはたまらん。そのほかにもスタジオ・ライブ一発録りとは思えないような゛Living It Up"ほかの曲も含め,これはよい。

もちろん,Rickie Lee Jonesの声はかなり個性的でもあるため,実は好き嫌いも分かれるところだとは思うのだが,それでも本作を含めた初期2作品は普遍的な魅力を今でも持つ傑作と評価してよいと思う。これらの作品をプロデュースしたLenny WaronkerとRuss Titelmanはバーバンク・サウンドの元締めのような人たちであるが,私は彼らのプロデュース作はほぼ例外なく気に入ってしまうので,私の音楽的な嗜好とばっちり相性がいい人たちなのだろうと思わざるをえない。そんなことも含め,ジャケを含めたアルバムの持つ雰囲気,歌唱や演奏のクォリティを含め非常によくできたアルバムである。間違いなく星★★★★★。このアルバムを知らない人生は味気ない,と言っては言い過ぎだが,私には潤いをもたらす音楽だと言っておこう。

Personnel: Rickie Lee Jones(vo, key, synth), Buzzy Faton(g), Dean Parks(g), Steve Lukather(g), Davis Kalish(g), Neil Larsen(key), Russell Ferrante(key), Clarence McDonald(key), Randy Kerber(key), Donald Fagen(synth), Rob Mounsey(synth), Mickael Boddicker(synth), Chuck Rainey(b), Steve Gadd(ds, perc), Art Rodriguez(ds), Randy Brecker(tp), David Snaborn(as), Tom Scott(ts, bs), Jerry Hey(tp, fl-h), Sal Barnardi(hca, vo), Arno Lucas(vo), Leslie Smith(vo), Joe Turano(vo)

2008年7月16日 (水)

沈鬱な雰囲気に満ちた吉田修一の作品

Photo 「さよなら渓谷」 吉田修一(新潮社)

 

私はデビュー以来,吉田修一の著作をだいたい読んできたつもりだが,彼にとっては「悪人」が一つの分岐点となって,その作風に大きく変化が生じたように思える。それまでが語弊があるかもしれないが,どちらかと言えば軽いタッチの作品が主流であったような吉田が,大長編「悪人」で重厚な作家へと変貌を遂げた。本作は「悪人」後の初の作品(前作「静かな爆弾」は「悪人」前の作品だったはずである。)だが,この作品はさらに重苦しく沈鬱な雰囲気に包まれている。

 

何が重苦しいって,筋書きやプロットがあまりにヘビーなのである。このタイトルからは想像もできない重さで,読んでいて救いようのない気持ちにさせられてしまう瞬間が多々あった。この作品が「週刊新潮」の連載小説だったというのはにわかには信じ難いが,これを毎週楽しみに読みつなぐ読者がどれほどいたかは疑問である。少なくとも私には連載小説でこれを読みたいというセンスは私にはなく,単行本でなければ読了することは不可能だっただろう。

 

そうした重苦しい作品ではあるのだが,200ページ弱の書籍であるから,あっという間に読めてしまう。しかし,後味としてはどうだろうか?この本を読んだら,従来の吉田修一を求める読者がかなり逃げ出すのではないかと心配になるほどの変貌ぶりである。まぁ私は前作「悪人」を高く評価しているし,吉田修一のこうした変貌も受け入れることはできる。しかし,やはりもう少し「救済感」がないと辛いのも事実である。この後,吉田がどういう作品を出してくるかはわからないが,また次も買ってしまうのだろうが,それでもやはりこれはなかなか厳しい小説であった。軽い気持ちで手を出すと火傷をするような作品と言っておこう。星★★★☆。

2008年7月15日 (火)

Mike Stern:もう55歳!とは信じ難いが,その初リーダー作

Neesh "Neesh" Mike Stern(Trio)

何度か書いているが,私はかなりのMike Stern好きである。そのMike Stern,1953年生まれだから当年とって55歳(!)である。しかし,年齢何のそのでやっている音楽が昔も今も全然変わらない(変われない?)のが何とも微笑ましい。そのMike Sternの初リーダー作(邦題は「ファット・タイム」)である。

私はこのアルバムに関してかつてAmazonのレビューに次のように書いたことがある(そのまま再掲する):『長年廃盤の憂き目(Mike本人が再発を拒否したという話もあるが)にあったMike Sternの初リーダー作待望のCD化である。David Sanbornのアルト,リーダーSternのギター等,聴き所は多いと思うが,いかんせんCD化に当たってのマスターが,あまり状態のよろしくないLPと思われるのは残念と言わざるをえない。トリオ・レコードという国産レーベル原盤の音源が,マスター・テープを紛失したか,あるいはMike本人がマスターでの再発を拒否したのかと勘ぐらざるをえないが,それにしてもCDとは思えないスクラッチ・ノイズの多発には興醒めである。もう少しまともなマスター音源はなかったものか。あるいはマスターに問題があったとしても,デジタル的なノイズ処理ぐらい施すのが消費者に対するつとめではないのだろうか。ここにおさめられた音源に比べれば,音は少なくとも評者所有のLPの方がずっとまともである。これでは何のためのCD再発かわかったものではない。発売元への猛省を促すために最低の評価(星★)とする。』

と,かなり熱くなっている。しかし,それぐらいブチブチとスクラッチ音が多いのである。私はこのアルバムを結構苦労してLPをゲットしたのだが,本当にLPの方がずっとましな音というのではやはり手抜きプロダクションと指弾されても仕方あるまい。

そうした点を除いて,今一度冷静にこのアルバムを聞いてみると,このアルバム,かなり一発セッション色が強い(その割には録音日が何日にも渡るのは不思議だが...)ことがわかる。曲は参加メンバーによる共作ばかりであり,即ち,これらは事前に書かれたものではなく,メンバーの自発性に委ねられたものだったのだろう。Sternがなぜ本作が気に入らないのかは本人に聞いてみないとわからないとしても,本人としてはやはりもう少し「キメ」の世界が濃厚な演奏をしたかったのではないかと思われるのである。そういう意味ではこのアルバムはかなりルースな作りであるし,それがジャズ的と言えばジャズ的である("Memphis Peg"では珍しやオクターブ奏法も聞かせている)。

それでもMike Sternの個性は笑えるぐらいに全くそのまま出ており,繰り返しになるが,今も昔もSternはSternなのである。音のことを除けば,Sternのファン,Sanbornのファン双方がそれなりに楽しめるものとは思う。但し,Sternらしからぬ"Up-ology"のような曲はいただけないし,Victor LewisというのはSternのドラマーとしてはやや不均衡な感じもする。そうは言っても後に共演するDennis Chambersはまだまだジャズ界では新参者でSternとの接点はなかったろうから,まぁ仕方あるまい。しかし,よりSternのジャズ寄りの演奏を聞くのであれば,Steve Slagleとの"High Standards"ってのもあるなぁ。いろいろあるが,演奏だけで判断すれば星★★★☆ってところだろう。

Recorded on August 22-25, September 22, 23, 26-29, 1983

Personnel: Mike Stern(g), Hiram Bullock(g), David Sanborn(as), Tom Barney(b), Victor Lewis(ds), Buggsy Moore(perc)

2008年7月14日 (月)

Sade:次回作はいつになるのか

Sade "Lovers Rock" Sade(Epic)

何ともSadeらしいタイトルのアルバムである。そしてファンの期待に応え,Sadeの音楽のイメージを崩していないところが立派である。2000年にリリースされたこのアルバムが今のところ,Sadeの最新スタジオ・アルバムのはずだが,それを考えれば何とも寡作な人たちである。何てたって1984年のデビュー以来およそ四半世紀になろうと言うのに,オリジナルのスタジオ盤は5枚しかない。しかもこのアルバムがリリースされてからもはや8年である。しかし,米国出張中に聞くスムーズ・ジャズ専門FM曲ではSadeが掛からない日はないと言ってもよいぐらいだから,そんなにリリースに間が空いたと思わせないのがこれまた大したものである。ある程度時間が経過しても彼らの音楽は普遍的なのだ。

このアルバムを聞いて冒頭の゛By Your Side゛からしてその曲のクォリティにノックアウトされること必至である。もはやこれは現代のスタンダードと言ってよい素晴らしい曲である。この1曲でアルバムとしてのペースはセットされ,あとはいつもながらのSadeワールドに浸るのみである。Sadeの魅力はもちろん,ヴォーカリストとしてのSade Aduの声に依存するところは大だとしても,彼女の魅力を最大限に活かす術を知っているバンド・メンバーもきっちりほめなくてはならないだろう。

音楽をカテゴライズすることにはあまり意味がないことは承知しているが,この音楽は何に分類すればいいのだろうか?ソウル?Sade Aduの声は確かにソウルっぽいが,音楽の全体感はソウルではないなぁ。ジャズ?もちろん,純粋ジャズ・ボーカルとは呼べないなぁ。ポップス?ポップな感覚はあまりないなぁ。ということで,これはあらゆるジャンルを超越したアダルト・オリエンティッド・ミュージックとしか呼べないのである。そうした観点でリスナーがやや年齢の高い層(高齢者ではない)と思われるスムーズ・ジャズ専門局がSadeを流し続けるのは当然なのである。

誤解をおそれずに言えば,ある意味この音楽は「清冽な空気」のような音楽である。刺激には乏しいが,流れていても決して害悪にはならないばかりか,流れていたらつい耳をそばだててしまうのである。例えば谷川岳の一の倉沢で吸う空気や立山室堂の空気が都会と違うのと当然な感覚であるが,そこに行けば必ず違いがわかるし,「うまい」と思わされる感覚にSadeの音楽は似ている。しかも,一聴して「あっ,Sadeだ」とわからせるこの個性。こういう人たちはなかなかお目に掛かれない。

私としてはサウンド・プロダクションから打ち込み臭さ(ドラマー不在もあるし,おそらくは意図的にそのようにプロデュースされているはずだが...)をもう少し減らしてくれて,より生音に近い感覚でやってもらうとなおよいのだが,それでもこれはよくできた大人のためのアルバムと評価してよいと思う。私のような中年はやはりたまに聞くとはまるが,逆にこの音楽が好きという若者がいると,それはそれで怖いようにも思えるなぁ。星★★★★☆。

Personnel: Sade【Sade Adu(vo), Andrew Hale(key), Stewart Matthewman(g, woodwinds), Paul S. Denman(b)】 with Leroy Osbourne(vo), Karl Vanden Bossche(perc), Janusz Podrazik(key), Andy Nice(cello), Nick Ingman(strings arr)

2008年7月13日 (日)

Jon Hassel:ECM最大の異色作か?

Power_spot ゛Power Spot゛ Jon Hassell(ECM)

ECMレーベルとしてはこれは相当の異色作である。何と言ってもプロデューサー,エンジニアがBrian EnoとDaniel LanoisというU2プロデューサー・コンビではないか。しかもカナダ録音というのはECMの歴史長しと言えども,この作品だけだろう。いずれにしても,なぜこのアルバムがECMから発売されるのかが不思議である。それだけでなく,このエレクトロニクスを多用したアンビエント・ミュージックのような音楽がなぜECMなのかというのも不思議である。

ということで,これは普通のECMレーベルのファンが聞くとやはりのけぞることは間違いない音楽と言ってよかろうが,そうしたECMの特異なレーベル・カラーを無視すれば,これはこれでOKである。しかし,そこはアンビエント・ミュージックであるから,これを「さぁ音楽を聞くぞ~!」と構えるとろくなことはない。環境と同化させる,あるいはリピート機能で延々流しっぱなしにすることがこの音楽の本質であるから,鑑賞的な態度は到底受け入れないし,聞いているこちらも何だかなぁと思うだけである。

ということで,これは決して鑑賞用の音楽ではないし,これに評点をつけるということ自体に意味はない。むしろこんなアルバムまで出しているECMレーベルの懐の深さに「ヘェ~っ」とうなっていればよいように思えるアルバム。

このアルバムが一体どういう層を狙った音楽なのか凡人の私には理解できないが,この音楽を聞いていて気持ち悪いというリスナーもいないだろうと思わせるのはさすがアンビエント。一方,積極的にこのアルバムを聞いている人も少数であろうと思わせる作品である。やはり不思議な音楽である。ということで,私も何が言いたいのかさっぱりわからない記事を書いてしまったが,興味のある方はヨガのおともにでもどうぞと言いたくなるようなCDである。

Recorded in October 1983 and December 1984

Personel: Jon Hassell(tp), J.A. Deane(perc, al-fl), Jean -Phillippe Rykiel(key), Michael Brook(g), Richard Horowitz(key), Brian Eno(el-b), Richard and Paul Armin(strings), Miguel Frasconi(fl)

2008年7月12日 (土)

Peter Erskineの欧州トリオの復活を祈願する

Time_being ゛Time Being゛ Peter Erskine(ECM)

私はこのPeter Erskineの欧州トリオが好きである。ECMのレーベル・カラーと合致した美しくもスリルにも溢れたこのピアノ・トリオを聞いているといつも嬉しくなってしまう。Erskineと言えばAlan Pasqua,Dave Carpenterとのアメリカン・トリオは活動継続中ながら,この欧州トリオは1999年の゛Juni゛を最後にアルバムの発表がないのはファンとしては誠に寂しい限りである。どちらのトリオが好みかは聞き手の趣味次第だが,私は両方好きながら,どちらかを取れと言われれば,間違いなくこちらの欧州トリオを取る。

このトリオの良さは三者のバランスということになるが,美的な旋律でもフリー的なアプローチでもこなせてしまうこのトリオは私としては現代を代表するトリオの一つに数えたいぐらいである。John TaylorはECMにもリーダー・アルバムがあるし,Palle DaneilsonはKeithの欧州クァルテットのメンバーであるから,ECMレーベルの音楽性と相性がいいのは当然だが,あまりECMっぽくないErskine(とは言っても,John AbercrombieやBass Desires等の参加作はあるが...)のリーダーシップのもと組成されたこのトリオの音楽が極めてECM的なのが実に面白い。

それでもって,なんでECM第2作から取り上げるのかというと,たまたま目に付いたのがこのアルバムだっただけで,他意はない。それでも私にとっては最終作゛Juni゛は???の部分もあったように記憶する(しばらく聞いていないのだ)が,本作を含めた最初の3作はどれを聞いてもよい(はずである,とこれも自信がない)。この作品でもこのトリオの美的センスと自由度の高い自発性という特徴はよく顕われていると思う。久々に聞いたが,やはりよいものはよい。このErskineのサトルなドラミングを聞いて,Weather ReportでのErskineの演奏と結びつけられる人はなかなかいるまいが,こうした多彩なドラミング技術を持つPeter Erskineは大したミュージシャンである。復活を祈念して星★★★★★。

Recorded in November 1993

Personnel: Peter Erskine(ds), John Taylor(p), Palle Daneilson(b)

2008年7月11日 (金)

John Mayer:Claptonの後継者はこの人だろう。しかし...

John_mayer "Where the Light Is: Live in Los Angeles" John Mayer (Sony BMG)

私はJohn Mayerが来日した時に恵比寿ガーデンホールでのライブを見たことがあるのだが,そのときに私が思ったのはEric Claptonの後継者はこの男だということである。ギターがあれだけ弾けて,しかも歌える(しかも声が渋いのだ)というのがこのJohn Mayerの強みだが,そのMayerによるまた新たなライブ盤が登場である。私は全くノーマークだったのだが,情報を入手して慌ててゲットした次第である。

Mayerにはいくつかライブ盤があるが,私はその中でもMayerのギターの技のきれが最も堪能できるPino PalladinoとSteve Jordanとの超強力トリオによるライブが一番気に入っている。今回のアルバムではそのトリオの演奏に加え,アコースティック・セット,バンド・セットを加えた3種の演奏が聞けるということで,Claptonに倣えばまるで"24 Nights"のようではないか。Mayerのライブ盤の多さはある意味,バンドのグルーブを重んじているであろう彼の音楽性の裏返しとも言えるが,それにしてもこれで4セット目というのは普通のペースではない(但し,あまりお目に掛からないダブル・アルバム,"As/Is"はiTunesのダウンロード・シリーズのベスト・テイク集らしいが...)。その普通でないライブの発表ペースをどう捉えるかがこのアルバムを評価する鍵である。

確かに相変わらず演奏は素晴らしい。特にディスク1前半のアコースティック・セットのMayerのギターは大したものだと思わせるものである。しかし,その後のトリオとバンドの演奏は,これまでのライブ盤を踏襲した感覚が強く,敢えて今,またダブル・アルバムのライブ盤を発表する必要があったのかと思わせるのも事実である。私はこの演奏を楽しみながらもそうした疑問に捉えられてしまい,聞いている間何とも言えない違和感をおぼえていた。このライブは映像も同時発売されているが,映像を発表するのが目的であれば,そちらに特化すればよい話である。それを音だけでも発売する意義は残念ながら私には見出しにくかった。私ならこうしたアルバムをリリースするよりむしろUnpluggedで1枚作ったかなと言っておこう。ということでMayerにはちょっと点が辛いが星★★★。次作のスタジオ盤に期待することにしよう。

Personnel: John Mayer(vo, g), Steve Jordan(ds, vo), Pino Palladino(b), David Ryan Harris(g, perc, vo), Robbie Mcintosh(g, vo), JJ. Johnson(ds), David Labruyere(b), Tim Bradshaw(key, lap-steel, vo), Bob Reynolds(ts, ss), Brad Mason(tp, fl-h)

2008年7月10日 (木)

Ed Bickert入りのドラムレス・トリオによるリラクゼーション満点のアルバム

Murley_bickert_wallace "Live at the Senator" Murley, Bickert & Wallace (Cornerstone)

このブログでも何度か取り上げてきたが,私はEd Bickertのファンである。Paul Desmondの共演が私をBickertに走らせたきっかけであるが,Desmondが亡くなってからも渋い演奏を聞かせてくれたBickertである。現在はリタイアしてしまったようなBickertであるが,ディスコグラフィの中でも結構かなり後半に属するであろうアルバムを紹介したい。

ここではドラムレスでテナー,ギター,ベースというBickert好きには堪えられないような編成で,リラクゼーションたっぷりにスタンダード(ほかMurleyのオリジナル2曲)を聞かせるライブ盤である。共演者はBickertよりも若い世代のようだが,演奏は枯れた感じを出していてなかなかよい。BickertもいつもながらのBickert節で渋~いギターを弾いている。こういう演奏こそ゛Intimacy゛の鑑と言える演奏だと思うが,こんな演奏をされたら,誰でもくつろいでしまうという感じである。これはやはりナイト・キャップ片手に小音量で楽しみたい音楽と言ったらよいだろうか。

私はEd Bickertのファンだからこうした演奏は大好きだが,一般のリスナーにはちょっと渋過ぎるかなという気がしないでもないが,こういう演奏もジャズの楽しみ方の一つとして知って欲しいという願望に駆られるのも事実である。廃盤になってしまっているアルバムの多いBickertであるが,このアルバムは比較的入手しやすいと思うし,是非こうした演奏を通じてEd Bickertの魅力に触れる機会をより多くの皆さんに持って頂ければと思う。ちょっと甘いが,この世界たまらんので星★★★★★を謹呈してしまおう。

尚,ここでの一応のリーダーであるMike Murleyは後にDave Liebmanとのツイン・サックス作も残しているようだが,Ed Bickertとは水と油のようなLiebmanと共演したときにはどういう演奏を聞かせるのだろうか?う~む,興味深いということで,そちらも注文してしまった私である。

Recorded Live at the Top of the Senator in Toronto in November 1999

Personnel: Mike Murley(ts), Ed Bickert(g), Steve Wallace(b)

2008年7月 9日 (水)

Horace Silverの典型的ハードバップ

Silver "The Stylings of Silver" Horace Silver (Blue Note)

NYCのロックフェラー・プラザ前にたたずむHorace Silverのジャケ写真を見るたびに,「なにカッコつけてんだか」と苦笑したくなるが,演奏はいつも通りのSilverらしい典型的ハードバップでカッコつけたところはなにもない(と言っては言い過ぎか)。

このアルバムのフロントはArt FarmerとHank Mobleyという豪華版である。Blue NoteのHank Mobley Quintet (BLP1550) もこのメンツだったが,あっちはArt Blakeyがドラムスだったから,更に豪華ということになる(それがどうした)。まぁ1957年というタイミングではこういうメンツはいくらでも揃ったのだろうと言うことはできるが,それにしてもハードバップである。私はファンキーさを増し過ぎたHorace Silverの曲というのはあまり好みではなく,基本的にHorace Silverのファンというわけでもない。そうは言ってもBlue Noteレーベルゆえ,おかしなアルバムは作らないし,そうした中で私が保有するSilverの数少ないアルバムの一枚がこれである。

ジャズ史を紐解いてみれば,Horace Silverがどういうポジションを占めるのかというのは若干微妙である。バンド・リーダーとして,こうしたアルバムはたくさん作っているが,歴史に残るような革新的な取組みをしたわけではない。しかし,その一方でBlue Noteレーベルのカラーを決定付けるような役割も果たしているので,まぁやはり巨人とは言わずとも偉人の一人ではあろう。後々には逸早くBrecker Brothersもバンドに採用しているしなぁ...。

このアルバムはファンキーというよりもやはりハードバップ・テイストが強く,私にとってはこれならOKというレベルの演奏である。Art Farmerは後のフリューゲルホーンでの演奏とは全く違う個性を聞かせ,人は変わるものだと思わせるが,このアルバムはあまり難しいことを言わず,ジャズらしいジャズが聞けるアルバムとして楽しめばいいように思う。やっぱりこれは私にとっては「酒の友」かなかぁ。星★★★★。

Recorded on May 8, 1957

Personnel: Horace Silver(p), Art Farmer(tp), Hank Mobley(ts), Teddy Kotick(b), Louis Hayes(ds)

2008年7月 8日 (火)

Eric Andersenの悲劇

Stages "Stages: the Lost Album" Eric Andersen (Columbia)

Eric Andersenと言えば今も昔も"Blue River"である。私のSSW系の嗜好に決定的な影響を与えた私の従兄は,(縁起でもないが)棺桶には"Blue River"を入れろだか,葬式には"Blue River"をかけろとかいう話をしていた。それぐらい,"Blue River"というアルバムはEric Andersenと強く紐づいてしまっている。そのことに敢えて異を唱える気はない。しかし,本日紹介のアルバムが予定通り発売されていたら,ちょっと印象は違っていたかもしれない。

このアルバムはもともと"Blue River"に続くアルバムとしてナッシュビル録音が行われ,マルチトラックのマスターテープまで作られながら,そのマスターテープが忽然と消えてしまい,ずっと幻と化していたものである。そのマスターテープは本来ディスパッチされるべきタイミングでNYCに送られることなく,ナッシュビルの倉庫にずっと眠っていたらしい。その倉庫をクリーンアップする際に,NYCに送られたらしいのだが,そこでもほとんど存在を無視されたというなんじゃそれはというような話である。それが関係者の努力により発見されたのは1989年のことらしいが,それにしても何とも悲劇的ではないか。

このマスターテープの紛失を諦めきれないEric AndersenはAristaレーベルでの"Be True to You"でここに収められた曲を再演しているが,こちらのアルバムの方がオケ入りのArista盤よりも"Naked"な感覚に溢れている。どちらが好みかはリスナーの趣味にもよろうが,私はAndersenの声の瑞々しさゆえに圧倒的に本盤を支持する。

もしこのアルバムがマスターテープ紛失という信じ難い事象に直面することがなければ,Eric Andersenはもう少しメジャーな存在でいられたかもしれないと思うと,つくづくついていない人である。全部が全部,最高の出来とは言わない(特にロック系のビートはなぁ...)が,"Blue River"好きのリスナーも納得しうる演奏である。そうしたこのアルバムももはや廃盤となってしまったが,このアルバムぐらいはカタログに残していてもいいように思う。尚,本盤には発見されたマスターテープの10曲に加えて,(当時の)新曲も追加されていて,そちらにはRick Danko,Garth HudsonのThe Band組やShawn Colvin等が客演しているので彼らのファン注目である。星★★★★。

Recorded in January & November 1972, January 1973, and November & December 1990

Personnel: Eric Andersen(vo, g, hca), Teddy Irwin(g), Eddie Hinton(g), Andy Johnson(g), Norbert Putnum(b, cello), Tommy Cosgrove(b), Mike Leech(b), Kenny Malone(ds, perc), Kenny Buttrey(ds), Farrell Morris(perc), Charlie McCoy(perc), Reggie Young(g), Leon Russell(g, p, el-p), Troy Seals(g), Favid Briggs(org, p, key), Glenn Spreen(org), Pete Drake(steel-g), Weldon Myrick(steel-g), Grady Martin(g), Debbie Green Andersen(vo, p), Joan Baez(vo), Florence Warner(vo), Dan Fogelberg(g), Jonas Fjeld(g,el-p), Jon Gordon(g), Willie Nile(g), Rick Danko(b, vo), Andy Newmark(ds), Garth Hudson(accor), Eric Bazilian(mandolin, vo), Joe Spivey(vln, g), Shawn Colvin(vo)

2008年7月 7日 (月)

今年で結成47年!New Orleans Rascals1995年の記録

Nor "New Orleans Rascals with Topsy Chapman" New Orleans Rascals

私がこのブログを始めて以来初のディキシーランド・ジャズである。私の亡くなった父は晩年はモダンな演奏も好んで聞くようになったが,まだ若い頃はモーツァルト以外ではディキシーランド・ジャズを聞いていた。一方の私はBeatles/Carpenters→ハードロック→プログレ→フュージョン→モダン・ジャズという感じで音楽を聞いてきたので,ディキシーランド・ジャズとの接点はほとんどない。保有しているアルバムもGeorge Lewisの"Jazz at Vespers゛を大昔にLPで買ったきりで,ここ暫く聞いたことがないような状態である。よって,私はこうした音楽を語る資格があるかと言うと,これは明らかにない。

それでもって,そんな私がなぜこのアルバムなのよというのは当然の疑問である。このアルバム,友人の美人弁護士からのいただきものである。New Orleans Rascals(以下NORと略す)は1961年(!)に結成された日本で屈指のアマチュア・バンドであるが,ここでクラリネットを吹く河合良一氏はその美人弁護士の伯父上であり,そんな縁もあってのご紹介である。

それにしても1961年結成で,現在も活動中と言うのがNORの凄いところである。このアルバムはそのNORがヴォーカルにTopsy Chapman(もとはゴスペル系らしい)を迎えての95年のライブ盤であるが,久々にこうした音楽を聞いてついついなごんでしまった私である。このゆったり感は,ストレスフルな生活や日頃の憂さをしばし忘れるには結構効用があるのではないかと思ってしまった次第である。このアルバムではChapmanのボーカルの録音がオフ気味なのがちょいと惜しいが,それでもなごみ感十分の演奏は楽しめる。それにしても河合氏のクラの音,素晴らしいねぇ。入手経緯もあるので採点は控えるが,ちょっと毛色は違うものの,本盤を聞いて,Eddie Condonのライブ盤を久々に聞きたくなってしまった私である。

いずれにしてもここまできたら当然NORはゴールドジュビリーを目指して頑張って頂きたいものである。私の同僚のやぎさんも「放し飼いトリオ」というバンドで活動中であるが,アマチュア・バンド恐るべしと言っておこう。

Recorded Live at 伊丹アイフォニックホール on November 10, 1995

Personnel: New Orleans Rascals【志賀奎太郎(tp),福田恒民(tb),河合良一 (cl),尾崎善康(p),川合純一(bj),石田信雄(b),木村陽一(ds)】 with Topsy Chapman(vo)

2008年7月 6日 (日)

Karl-Martin Almqvist:スウェーデンの新主流派?

Karlmartin "Stretching a Portfolio" Karl-Martin Almqvist Quartet (Prophone)

 

最近は皆さんのおかげ(?)で欧州ジャズを聞く機会が増えてきたが,何の情報もなく自分でCDを選んで購入するのはある意味ギャンブルに近いものがある。CDショップの店頭でたまたま出くわしたこのアルバムに関しても私が得られた情報は,スウェーデンのテナーによるワンホーン・クァルテットで,レーベルが以前買ってたいへんよかったPeter Asplund盤と同じProphoneということだけである。ジャケットも何だかなぁというものだが,まぁ自分の審美眼を磨くための投資だと思って買ってみた。

 

結果はどうか。これは悪くない。演奏全体のレベルは結構高い。さすがスウェーデンである。響きはクールな新主流派的な感じであり,暑苦しさはほとんど感じさせない。逆に言えば高揚感には乏しいとも言えるのだが,そこはスウェーデンだからこういうものだろう。

 

本作では多くがリーダーの自作で占められているが,収められている曲の個性(作曲そのもの)が多様で,どういう指向なのかよくわからない部分もある。例えばミディアム・ファストで演じられる"Survival Instincts"とそれに続くメランコリックな"Home",さらにはその次の"Two Step"を聞いて,同じ人の曲と思う人がどれだけいるだろうか。ほかにももう少し書きようがあったのではないかと思わせる曲もあり,演奏レベルと作曲能力は必ずしも合致しないと感じられる部分もある。

 

しかしである。トータルとしては高い演奏能力は実証されているし,これはこれで楽しめるアルバムではあった。星★★★☆。でも私にはこの世界での修行がまだまだ足りないなと思ってしまった次第である。よくよく調べてみると,この人,中古で拾った西山瞳のライブ盤に客演していて,初体験ではなかったのであるが,西山のアルバムがあまりピンとこなくて,完全に失念していた次第。あきませんな。

 

Recorded on February 11 & 12, 2008

 

Personnel: Karl-Martin Almqvist(ts), Jonas Stholm(p), Filip Augustoson(b), Sebastian Voegler(ds)

2008年7月 5日 (土)

山下洋輔の保守的25周年記念盤

Ways_of_time ゛Ways of Time" 山下洋輔(Verve)

昨日に続いて山下洋輔である。このアルバムは最初のフリー・ジャズ・トリオ結成から25年を経過したのを記念して,お馴染みの曲を再演したアルバムである。演奏は悪くないのだが,洋輔にしてはかなり保守的なサウンドで,爽快感さえ感じさせるよりフリーなアプローチを期待する私のようなリスナーは肩透かしを食らう演奏となっている。

いきなり幕開けから長ーい名前を音楽化したものとしては「寿限無」に続く第2弾゛Picasso゛である。ここでの客演するJoe Lovanoの演奏からしても,結構コンベンショナルではじける感覚に乏しいし,そのほかの曲でもフリーというよりも真っ当なモダン・ジャズという感じである。それがいいか悪いかと言えば,山下洋輔と思って聞かなければそれはそれでいいのだが,やはりどうも私には居心地が悪い。肘でもてのひらでもいいからもっと鍵盤を叩いてくれーと思うのは私だけではあるまい。

ここでのコアを形成するニューヨーク・トリオそのものが,結成以来そんなにフリーという感覚を放出してこなかったが,ここまで来るとかなり普通だなぁという気がしてしまうのである。上にも書いたとおり,演奏自体は決して悪くないのだが,これは私が山下洋輔に期待するものではないというところがこのアルバムの決定的な問題である。ファンとは勝手なものだが,イメージが違うのだから仕方がない。山下洋輔は25周年記念ながら敢えてリユニオンのようなかたちは取らなかったと語っているが,それはそれでまぁ別に悪いことではない。しかし,彼には悪いが,山下洋輔の「フリー・ジャズ」のファンとしては星★★が精一杯。フラスコ・レーベルのアルバムでも聞き直すとするか。

Recorded on May 31and June 1, 1994

Personnel: 山下洋輔(p), Cecil McBee(b), Pheeroan AkLaff(ds), Joe Lovano(ts), Tim Byrne(as, bs)

2008年7月 4日 (金)

山下洋輔が当時の若手を従えて

Playground 「プレイグラウンド」山下洋輔ニュートリオ(Verve)

私にとって山下洋輔と言えば,今も昔も"Montreux Afterglow"なのだが,実は学生時代には大学祭に呼んでしまったぐらいの結構なファンである。あるいは「であった」と過去形で言うべきかもしれない。現在の山下洋輔はフリー度が低下し,かなりコンベンショナルな感じが強くなっているが,それでも燃えるグランドピアノを演奏する「ピアノ炎上2008」を開いたりと相変わらずのお茶目なところも持った人である。

その山下洋輔が90年代前半に当時の若手を従えて結成したニュートリオによるアルバムだが,このトリオでのアルバムは本作だけだと思う。しかし,一作ではもったいなかったのではないかと思わせるようなスピード感溢れる作品(ライブでもこのトリオの演奏は爽快なスピード感があった。)となっていて,私は結構この作品が気に入っている。

リズムを担う小松康,堀越彰のご両人はロック・ビートもいけるかなりのテクニシャンで,山下とのコンビネーションも悪くない。制作サイドでは彼らだけではちょっと弱いと考えたのか,管も何曲かで加わるが,トリオで勝負するという選択肢もあったように思える。しかし,本作の中で,最も聞き応えがあるのは「おじいさんの古時計」なので,まぁその選択は正しかったということになろう。この「古時計」であるが,まさに"Montreux Afterglow"の"Ghost"へのオマージュとも言うべき演奏である。ここでの菊地は゛Ghost゛において坂田明が聞かせた「赤とんぼ」の引用を意識していることは明らかで,山下も"Ghost"同様のドシャメシャ度で受けて立っているのが微笑ましい。

これに比べるとほかの曲はやや大人しく聞こえるが,先にも書いたとおり,演奏のスピード感は十分楽しめると思う。今やこのアルバムも廃盤というのは惜しいような気がするが,中古盤市場ではかなりの安値で出回っているので,入手はそれほど難しくあるまい。星★★★☆。

Recorded on October 23 & 24, 1992

Personnel:山下洋輔(p),小松康(b), 堀越彰(ds),林栄一(as),菊地成孔(ts)

2008年7月 3日 (木)

Al Green:これぞソウルの王道である

Al_green "Lay It Down" Al Green(Blue Note)

このゆるやか,あるいはたおやかと言ってもよいグルーブに満ちたアルバムを聞いて,私はまさにこれぞ「王道」と思ってしまった傑作アルバムである。

Blue NoteでのAl Greenと言えば,2003年の"I Can't Stop"もよかったが,このアルバムは適材適所というか,Al Greenへのリスペクト全開のゲストたちの好演もあって,私としてはそれを上回る出来になったと言ってしまおう。だって,Anthony HamiltonにCorinne Bailey RaeにJohn Legendだ。みんな私が次代を担うソウルの逸材と思う人たちばかりである。その彼らが全身全霊でサポートしているのだ。悪いはずがないではないか。

難しいことは考える必要はない。Al Greenの声とこの素晴らしいソウルのグルーブがあれば,私はしばらくほかのソウルのアルバムは必要としない。繰り返す。これこそ「王道」である。今年のベスト・アルバム入り間違いなしの超傑作。星★★★★★以外にはありえない。たまらん。

Personnel: Al Green(vo), Anthony Hamilton(vo), Corinne Bailey Rae(vo), John Legend(vo), Chalmers "Spanky" Alford(g), James Poyser(org, p, key), Adam Blackstone(b), Ahmir "?uestlove" Thompson(ds), Jaguar Wright(vo), Mercedes Martinez(vo), Neal Sugarman(ts), Ian Hendrickson-Smith(bs), David Guy(tp), Randy Bowland(g), Owen Biddle(b), Gabriel Roth(b), Homer Steinweisee(ds), Danny Sadowick(perc), Larry Gold(strings arr)

2008年7月 2日 (水)

Pendulumボックスのディスク3:苦行を終え,昇天す

Pendulum 今日はPendulumボックスのディスク3である。このディスクも未発表曲ばかりが4曲である。演奏のトーンはディスク2と全然変わらない。本当に見事なまでに同じである。本ディスクも1曲当たりの演奏時間が全部17分を越え,どれもが相当のハイ・テンポで演じられている。ディスク2を評して私は「若気の至り」と書いたが,その印象はここでも変わらない。"Blue Bossa゛や゛Well You Needn't゛でここまでやるかという印象である。

このディスク3全編を聞いてみて,このアルバムの頃はDave LiebmanとRandy Breckerにかなりの実力差があるように感じるのはきっと私だけではあるまい。ここでのBreckerはやや荒削りに過ぎるというきらいがあって,ちょっと微妙である。その一方,Liebmanはいくつか危うい局面もあるが,かなりスタイルとして完成されていることは明らかであろう。そのLiebmanの気合がピークに達するのが終曲゛Impressions゛であろう。Brecker抜きで演奏が始まり,Liebmanソロはクァルテット形式から,サックスとドラムスのデュオ形式に突入するというのはある意味では予想どおりというか,ベタな展開であるが,それでもこの演奏を聞いて燃えないジャズ・ファンはいるまいと思ってしまう。

私がこの未発表音源ディスク2枚を聞き通すにはかなりの体力を必要とし,我が同僚,やぎさんが言うとおり,苦行のような感もあったわけだが,この"Impressions"を聞き終えて昇天である。これだけでも私は「許す」と言いたい。やはり買うだけの価値はあった。この曲によりちょっと甘めで星★★★★とするが,また同じことを言ってしまおう。このボックスが出たことこそに意義があるのである。よって,ボックスとしては当然星★★★★★となる。間違いなく年末にはベスト・リイシューとして一票を投じさせてもらおう。

それにしても,こうして未発表音源を聞いてきて,オリジナルの゛Pendulum゛がいかにベスト・テイクを集めたものであったかが強く感じられるという別の意味での収穫もあった。オリジナルのプロデューサーであるJohn Snyderの審美眼は極めて正しい。まさしく慧眼である。

2008年7月 1日 (火)

Daniele Scannapieco:やはりラテン系は熱いのだ

Daniele_scannapieco_2 "Lifetime" Daniele Scannapieco (Picanto)

私のブログのお知り合いの皆さんは欧州ジャズに造詣が深い方ばかりで,私のようにどちらかというと聞く音楽が米国系が主で,欧州系はECMレーベルが中心のような人間にとっては,ほとんどの場合,皆さんがアップされている記事が私のアルバム購入時の決め手となっている。このアルバムも皆さんが盛んに記事にされているのに影響されて購入したものだが,同じレーベルから出ているDominique Di Piazzaは買ったものの,完全に見過ごしていたアルバムである。結果はどうだったか。やはり「吉」である。

不勉強にして私はDaniele Scannapiecoというミュージシャンについては初耳であった。実は私にこのアルバムの購入を決めさせた大きな要因がStefano Di Battistaの参加である。ライナーをよくよく見ると,全9曲中7曲の作曲にDi Battistaが関わっており,これはScannapiecoとDi Battistaの双頭アルバムと言ってもよいように思えてきてしまうし,演奏でもDi Battistaはこうでなければならんというような演奏を展開していて,私は「おいおい,自分の名義のアルバムよりいいのではないか」と思ってしまったぐらいである。

私は欧州ジャズはその地域毎に音楽の特性に違いがよく出ているように考えている。造詣の深い方々には怒られてしまうかもしれないが,誤解を恐れず極めて大雑把に言えば,スウェーデンは透徹,ノルウェーは(エレクトロニクスも取り入れた)ややコンテンポラリーな感じ,英国は完全フリーかモダン・トラッド,フランスはちょっとひねくれた音楽といったところであろうか。その中で,イタリアはラテン系らしい特に管が入ると熱く燃えるハード・バップ的演素が多いように思う。このアルバムも例外ではなく,冒頭から思わず乗せられてしまうような演奏である。大体私が好きなイタリア系ジャズはこの手のものか,Enrico Pieranunzi系美的世界のどちらかである。ということで,このアルバムも私の好みにジャスト・フィットということで非常に楽しめた。

で,全然リーダーのScannapiecoについて触れていないので最後に書いておくと,私はこのテナーの音色が好きである。柔らかい音色とテクニックも十分と思わせるフレージングのギャップが楽しめる。しかし,この音色ゆえにメカニカルという印象を与えないところが気に入った。やはり欧州ジャズは奥が深いと改めて思った次第である。星★★★★☆。以前,スウェーデン・ジャズ恐るべしと書いたが,イタリア・ジャズもまた同様。もう少し勉強せねば。

ということで,このアルバムは単体としても楽しめるが,Stefano Di Battistaのファンは見逃してはならない好アルバムである。それにしても,なんで録音がパリなのかねぇ(録音日はデータなし)。

Personnel: Daniele Scannapieco(ts), Stefano Di Battista(as, ss), Flavio Boltro(tp, fl-h), Julian O. Mazariello(p, org), Dario Rosciglione(b), Andre Ceccarelli(ds), Bernard Arcadio(p)

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