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2008年5月30日 (金)

おなじみの曲を独自解釈で聞かせる上原ひろみの新作

Beyond_standard "Beyond Standard"上原ひろみ(Telarc)

Chick Coreaとのデュエット盤も大変よかった上原ひろみが,自己のバンド,Hiromi's Sonicbloomでリリースした新譜である。"Beyond Standard"のタイトルどおり,お馴染みの曲が並ぶが,上原ひろみだけに一筋縄でいかないというか,かなりコンテンポラリーな響きに変容させている。冒頭の"Softly..."は私の「予想」よりもゆったりしたテンポの演奏で意表をつかれるが,好調な滑り出しである。

その後のこのアルバムに収められた演奏を聞いていて,収録された曲はあくまでも素材であり,私はどちらかと言えばバンド演奏のグルーブに身を委ねていればいいと感じてしまったクチである。逆に言えば,別にこの曲をここでこのようにやらなくてもいいのではないかと思わせる曲がないわけではない。例えば私にとっては「上を向いて歩こう」の違和感や"My Favorite Things"の不可思議な感覚(アドリブ・パートを聞いている限りは問題ないのだが...)は否めないところである。それに比べれば,彼女のデビュー・アルバムの冒頭を飾った"XYZ"のリメイク,"XYG"の方がはるかにこの人らしいというか,強烈なスピード感やグルーブを感じさせて,こうでなくてはならんと思わせるのである。

私が買ったのはDVD付の国内盤だが,国内盤のボーナス・トラックとして"Return of Kung-fu World Champion"のライブ・バージョンが収められている。しかし,本来であれば,Oscar Petersonに捧げた"I Got Rhythm"でアルバムを締めるというのがあるべき姿ではなかったかと思う。もちろん,捧げると言っても決してメランコリックになることなく,上原が鍵盤と一体化するという感じの演奏なので,しみじみ感に満ちたものではないから,こうしたボートラがついても問題ないと言えば問題ないかもしれない。しかし,エンディングにしては相当激しい演奏を改めて聞かされると疲れる。なんでもかんでもボーナス・トラックを付ければ付加価値が高まると誤解しているのではないかと思わせるレコード会社の商魂には辟易とさせられるのも事実である。どうせならたった2曲入りのDVDをつけるよりも,ライブCDをおまけとしてつけるぐらいの方がずっと潔いと思うのだが。

いずれにしても,演奏自体は十分楽しめるが,選曲やプロデュースには若干改善の余地もあるように思えるアルバムである。星★★★☆。

尚,変態ギタリストとも呼ばれるDavid Fiuczynskiはリーダーの上原と同じぐらい弾きまくっている。よくやるわ。

Recorded in January 9-12, 2008

Personnel: 上原ひろみ(p, key), David Fiuczynski(g), Tony Gray(b), Martin Varihora(ds)

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コメント

今までも変わったものを求めてきて、もはや普通の演奏では満足いかなくなっているので(笑)、彼女の演奏には面食らいましたし、聴いていて楽しかったでした。

よくこれだけ緻密なアンサンブルができるな、と思う部分もあって、やっぱり固定メンバーで練り上げてきただけのことはあるな、と感心してます。個人的にはもっと発散しても良かったかなとも思います。

TBさせていただきます。

910さん,コメント,TBありがとうございます。確かにバンドとしてのまとまりは素晴らしいですし,楽しめることは楽しめるのですが,910さんもおっしゃる通りで,もう一歩の突き抜け方が見られれば,尚よかったでしょうね。

こちらからもTBさせて頂きます。

中年音楽狂さん、こんにちはmonakaです。
このアルバム、最初はそれぞれのソロで無駄なところが多いと思って聴いていました。その間はありもっとコンパクトにまとめたアルバムでいいとは思いますが、はるみちゃんと言って応援しているので良しとします。
TBしました。

monakaさん,コメントありがとうございます。

「コンパクト」と書かれているのを拝見して,やはりこのボーナス・トラックが冗長感を増しているように感じるのは私だけでしょうか。

こちらからもTBさせて頂きます。

本編もさることながら、ボーナストラックのライブ演奏にブッ飛んだクチなのでアレですが...(^^;;
たしかに、別CDとしてボーナストラックを付けたほうが◎だったとは思います。

TBありがとうございます。逆TBさせていただきます。

oza。さん,コメント,TBありがとうございます。

確かにボーナス・トラックの演奏は凄いです。私がこだわるのはアルバムを一つのパッケージとして捉えたときどうなのかということだけです。

TBありがとうございます。上原ひろみさんの野心作ですね。個人的にはもうついていけない感が出てきておりますが、それでも昔はロックギターは好きで聞いていたなごりもあり、ジャズを意識しなければ楽しめます。

madameさん,コメント,TBありがとうございます。

おっしゃる通り,ジャズだと思わなければいいのでしょうね。ただ,ロックの如き高揚感をこのアルバムに期待していいのかというところもあり,その辺は微妙です。

とか何だかんだいいながら,結構上原ひろみのアルバムは買ってしまうんですがね。

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