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2008年4月30日 (水)

逢坂剛:薀蓄開陳趣味趣味小説

Photo 「墓石の伝説」 逢坂 剛(講談社文庫)

逢坂剛の西部劇好きは川本三郎との共著「大いなる西部劇」でもとっくに証明済みだが,これは小説というフォーマットを借りて徹底的に西部劇や付随する歴史に関する薀蓄を開陳した本である。ここまでいくと,「文芸」というよりも「趣味」の世界という気がするが,それでも私はかなりの西部劇好きなので結構楽しませてもらった。しかしながら,一般的な評価はきっと「?」ということになるだろう。

今回は西部劇をネタに使っているが,同じ岡坂神策シリーズの映画関係ネタということでは「牙をむく都会」と同系列の作品ということになる。「牙をむく都会」でも顕著だった薀蓄が,本作では更に輪をかけた状態になっており,これは完全にマニアックな世界に突入していると言われても否定できない。その薀蓄を開陳するためのシークエンスとして映画監督と西部開拓史研究家の鼎談という形式を取っているが,西部劇に興味のない人間にとっては,こんなダイアログは全く必要ない(あるいは退屈なだけか,意味不明な暗号にしか見えない)ということになるだろう。西部劇好きの私は読みながら「へ~」と何回も言わされてしまったが,西部劇がどうのこうの言わずとも,エンタテインメントとしてはそれなりに楽しめることは事実だとしても,これはやはり特定の読者にしか勧められない。

また,この小説を逢坂剛らしいサスペンス小説だと思って購入した読者は,裏切られること甚だしい。最後まで一向にサスペンスフルな展開など登場しないから,そうした観点で,これをサスペンスだと謳う本文庫版の背表紙の惹句にだまされてはならない。あくまでもこれは西部劇好きによる西部劇好きのための小説でしかないのである。よってこの本に対する私個人の評価と,一般的な評価では大きく異なってくるのは仕方がないところである。あっというまに読了してしまった私個人は星★★★☆ぐらいには評価できるが,一般の読者にとっては星★☆ぐらいと言っておくのが妥当のような気がする。どう見てもやはりこれは行き過ぎなのである。そりゃ同好の志にはいいだろうけどねぇ...。

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