« 2008年2月 | トップページ | 2008年4月 »

2008年3月31日 (月)

待望のBrad Mehldau Trioの新作(2)

Brad_live_2 "Live" Brad Mehldau Trio(Nonesuch)

昨日に続いて本日はディスク2である。ディスク2は冒頭の"Buddah Realm"から比較的オーセンティックなモダン・ジャズ的響きで始まり,全体的にディスク1よりそうした印象が強い。最初の3曲がMehldauのオリジナルで,後半3曲がスタンダード/有名オリジナルというセッティングだが,ディスク1のように驚くような選曲がないところは,ある意味意図的にそうしたプログラムにした可能性も高い。

演奏は全編を通じて快調である。オリジナル然り,スタンダード然りである。こうした快調な響きに身を委ねれば,Brad Mehldauファンは満足するはずである。

オリジナルについては曲も演奏もよく出来ているが,後半のスタンダードはどうか。"C.T.A"はおなじみJimmy Heathのオリジナルで,Mehldauにしてはかなりストレートな表現でスイング感も十分である。ちょっと問題かなと思うのは次の"More Than You Know"である。何ともディスク1の"Very Thought of You"に近い表現形式で,どうせならミディアム・スローの曲ぐらいを選んだ方がよかったような気がしないでもない。この演奏だけならそれはそれでよかったが,1枚目に似たような"The Very Thought of You"があるだけに割を食うように思える。この辺りにはプロデューサーとしてのMehldauの成長の余地があるかもしれない。そして最後は懐かしや,John Coltrane作"Countdown"である。この曲はMehldauのWarner第1作に収められ,"Art of the Trio Vol.2"の最後も飾った曲である。久々の再演となったが,それらの作品との比較をするほどまだ聞き込んでいないので何とも言えないが,演奏自体は好調である。

以上のように,私としては演奏に対してはほとんど文句のないところなのだが,以前の演奏と比べてどっちが好きという点も含めると,全編トータルで星★★★★。

そこで昨日の記事にも書いたドラマーの交代の影響であるが,前任者Jorge Rossyと現在のJeff Ballardの違いはシンバルの響きとタムの使い方にあるのではないかと思う。また,Ballardがブラシをほとんど使っていないことにも原因があるかもしれないが,繊細さという点でのMehldauとのコンビネーションとしてはRossyの方がいいと思う人が多くても仕方がないかもしれない。ただ,アルバム"Day Is Done"の1曲目゛Knives Out゛のような曲はBallardでなくてはならないと思うし,どちらがいいのかはまだよくわからない。ただ,単純に好みだけで言えば,私はRossyの方が好きかなぁ。

こんなことを書いていて,Mehldauの旧作を順繰りに聞きたくなってしまった。今一度腰を据えて全作と対峙するのもいいかもしれない。しかし,そうするとほかのミュージシャンが...。やっぱり無理か。

Recorded Live at the Village Vanguard, NYC on October 11-15, 2006

Personnel: Brad Mehldau(p), Larry Grenadier(b), Jeff Ballard(ds)

| | コメント (6) | トラックバック (1)

2008年3月30日 (日)

待望のBrad Mehldau Trioの新作(1)

Brad_live "Live" Brad Mehldau Trio(Nonesuch)

私にとっては待望のと言うべきBrad Mehldauのトリオによる新作である。タイトルが物語るとおり,四度名門Village Vanguardにおける実況録音盤となっている。

昨年のBrad Mehldauの活動は,Pat Methenyとの演奏が中心で,このトリオでそのツアーに参加していたとは言え,トリオとしての活動は棚上げになっていた。しかし,これまで繰り返し述べてきたように,私はMetheny~Mehldauの共演には大きな成果を見出せず(理由は既に書いたが,MehldauがMethenyに遠慮し過ぎて,彼の個性を発揮できなかったと感じる),日に日にこのトリオでの演奏への渇望感だけが増してきていたのである。そこへ2枚組のライブ盤登場である。今回は気合を入れてこのアルバムについて書こうと思うので,ディスク1,2を2回に分けて書こうと思う。

本日はディスク1であるが,冒頭は何とOasisの"Wonderwall"である。MehldauはこれまでもRadiohead,Nick Drake,Beatles等ロック畑の曲のジャズ・アダプテーションに取り組んできているので特に驚きはないが,それにしてもOasisと来たかぁという感じである。しかし,演奏は快調そのもの。いきなる嬉しくなる出来である。2曲目はMehldauのオリジナル"Rudy's Rub"でスリリングな4ビートで迫る。3曲目はこれまた何とと言うべきChico Buarqueの"O Que Sera"である。Buarqueはブラジルの知識人ミュージシャンと言ってよい人だが,結構インテリなMehldauがシンパシーをおぼえても不思議はない。このあたりにMehldauの音楽的な嗜好も見て取れる。

続くMehldauのオリジナル"B Flat Waltz"も軽快に楽しめる出来。そして最大の驚きは次の"Black Hole Sun"である。この曲はグランジ・バンドであるSoundgardenのオリジナルである。Mehldauがこんな曲まで聞いているというのはある意味驚きであるが,ここでの演奏が,Mehldauとしてはかなりフリーに傾斜したアプローチなのも驚きである。Larry Grenadierが執拗に同じフレーズを繰り返す中,Mehldauがこれまでにないタッチを聞かせるのは驚きである。しかし,この曲,Grenadierをフィーチャーしているということがあるにしても,23分超はやや冗長に響く。このアルバムの収録曲は全体的に演奏時間が長いのだが,ライブという点は差し引いても,もう少しコンパクトにしてもよいように感じさせる部分がある。

そしてディスク1の最後を締めくくるのは"The Very Thought of You"であるが,こうした一音一音を紡ぐようなバラードを弾いたときに,Mehldauの真骨頂を感じる。何とも美しい表現である。演奏の最後はMehldauのソロ・パートとなるが,途中で出てくるゴスペルのようなタッチはKeith Jarrettの影響か。しかしそれも一瞬だけだが,相変わらずのMehldauタッチである。いずれにしてもライブでなければ,こうしたソロ・パートはなくてもよかったものだろう。

ディスク1を通して聞いてみて,私の彼らの音楽への渇望感はかなり満たされたと言ってよい。もちろん,私はMehldauのファンであるから贔屓目もあるが,やはり現代を代表するピアノ・トリオの一つと言ってよいだろう。ドラムスのJeff Ballardは前任のJorge Rossyのような繊細さとは違う持ち味を醸し出しているように思うが,ディスク2を聞いてから,改めて書くことにしよう。

Recorded Live at the Village Vanguard, NYC on October 11-15, 2006

Personnel: Brad Mehldau(p), Larry Grenadier(b), Jeff Ballard(ds)

| | コメント (4) | トラックバック (2)

2008年3月29日 (土)

鹿児島にて

本日は鹿児島に出張中である。遅くまで酒を飲んでしまったので、音楽の記事を書くのは難しい。よって、今日は鹿児島の「食」について簡単に書きたい。

鹿児島と言えば黒豚ということになるのだろうが、この黒豚のとんかつが抜群にうまい。私が食したのは黒豚ロースかつ定食だったが、あの肉の柔らかさは今まで経験したことがない類のものである。とにかく私が知っているロースかつと違うのである。

普通にソースで食べてうまいのはもちろんだが、塩だけで食べてもうまいというのはこれは本物である。肉もよかったが、私が行った店のとんかつは使っている油も相当よかった。あのさくさく感、後味のよさ、また明日も食べたいぐらいである。うーむ。鹿児島恐るべし。何を食ってもうまいのだ。

バケーションで北海道にいるときには海産物のうまさに北海道に移住したいとか言っていたが、今日は鹿児島に移住したくなってしまった。人間ってわがままなものである。

しかしである。北海道で発症した痛風が治まったと思ったら、また別の部位に痛みが...。うまいもの食い過ぎだって。反省。

| | コメント (4) | トラックバック (0)

2008年3月28日 (金)

春なのに暑苦しいこと甚だしい

Black "Black Renaissance" (Baystate)

さすが紙ジャケ天国の日本である。私を驚かせるようなアルバムも多数紙ジャケ化されて再発されているが,こんなものまでということではこれも結構ディープな世界と言ってよいアルバムである。

何と言っても70年代のフリーとモダンの中間のようなスタイル(それもかなりフリー寄りと言ってもよいかもしれない)のアルバムを発売していたBaystate原盤というのがそもそも渋い。それにしてもまぁよくもこんな音源を国内レーベルが平気で発売していたものだと思わざるをえないが,こんな音源ではそもそもセールスが期待できるわけはなく,オリジナル盤が高値で売買されるのも仕方がないだろう。

それにしてもである。この暑苦しさを生み出しているのは,当然メンツによるものという点も否定できないとしても,やはり訳のわからぬ9人のコーラス隊ということであろう。それもご丁寧に"SingingVoice"と"Speaking Voice"に分けて書いてあるから,コーラス隊と呼ぶのは本当は適切かどうかはわからないのだが,こういうのをスピリチュアルと呼ぶには若干の疑問はあるものの,時代感たっぷりという表現こそピッタリである。

いずれにしても私がこのアルバムを買ったのはWoody Shawを聞きたいがためであるが,ここでも期待値よりは短いがWoody Shawらしいソロが聞けて嬉しくなってしまう。まぁWoodyのリーダー作だから仕方ないが...。星★★★☆。 それにしても桜が満開の夜に夜桜を愛でながら楽しむような音楽ではないなぁ。

Recorded on June 15, 1976

Personnel: Woody Shaw(tp), Azar Lawrence(ts, ss), David Schniiitter(ts), Harry Whitaker(ds) Buster WIlliams(b), Billy Hart(ds), Howard King(ds), Mtume(pec), Earl Benett(perc), Lani Groves(vo), Edna Hall(vo), Sandy Nakamura(vo), Assata Doby(vo), Sakou Sandiata(vo), Fikisha Kumbo(vo), Dwight Carson(vo), Bobby Andrews(vo), Andaye DeloCruz(vo)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年3月27日 (木)

またまたWayne Krantzである

Basiclive "Your Basic Live" Wayne Krantz(自主制作盤)

昨日に続いてWayne Krantzである。こちらは2003年にリリースされたライブ盤で,昨日紹介のアルバムとの違いは全て同一のメンバーで演奏されているという点である。しかも2枚組なのに値段は一緒(送料込みで$18)である。私は昨日のアルバムと本盤を同時に注文したのだが,いやはや私もかなりの好き者と言われても仕方あるまい。

このアルバム,ご丁寧にジャケには"Warning: LO-FI / HIGH CONTENT"と書いてあるだけのことはあって,55Barのバンドスタンドの前にDATでもセットしたような音である。しかし,これが実は臨場感たっぷりで,ボリュームを上げて聞けば,現場で聞いているような錯覚をするような音と言ってもよいかもしれない。

私としては演奏は昨日紹介した"Your Basic Live '06"の方が優れているような気がするのだが,これはこれでよい。特にKeith Carlockのドラムスがタイトな演奏ぶりで大変素晴らしく,それだけでも結構楽しめる。星★★★★。

こういうCDがWebサイトのみで発売というのは惜しいような気もするが,ファンはちゃんとアクセスして購入するだろうから問題はないだろう。ただ,こうした情報がちゃんと認知されているかどうかが問題である。しかし,インターネットがなかった時代に比べれば,本当に便利な世の中になったと言わざるをえない。

いずれにしてもWayne Krantzはカッコいいわ。

Recorded Live at 55 Bar in NYC during December 2001 and June 2002

Personnel: Wayne Krantz(g), Tim Lefebvre(b), Keith Carlock(ds)

| | コメント (2) | トラックバック (1)

2008年3月26日 (水)

Wayne Krantzかくあるべし

Your_basic_live "Your Basic Live '06" Wayne Krantz(自主制作盤)

Chris Potter's Undergroundへの参加により,一部でも注目度が上がっているWayne Krantzであるが,当該バンドでの演奏はファンが期待するほどのトンガリ具合に欠けるきらいがあったのは否めない。少なくとも私にはやや不満だった。

本質的に私がWayne Krantzに期待するのはNYCの55 Barで展開されるような演奏であるから,KrantzのWebサイトで発売されているこのCDにはやはり食指が動く。結果は予想通りというか,これほどファンの期待に応えてくれるアルバムはない。

Krantzは自身のWebサイトで55 Barでのライブ音源を多数公開(ダウンロード可能)しており,今更こうした音源をCD化することもない。しかし,本作の制作の契機が日本で"Signals"が再発された時に,ボーナス・トラックの収録を要請されたKrantzが過去の音源を再度チェックしたところ,ナイスな音源が結構あったのでこうして発表につながったと書いているから何が幸いするかわからない。音源は2005年から06年にかけてのものであるが,曲目は"Rock"だ"Blues"だ"Reggae"だとほとんど意味なし。中には"Riff"なんて曲もある。なんのこっちゃ。

メンツは下記のとおりであるが,いつもより豪華なメンツとも言える。しかし,Krantzは共演者が誰であれ音はKrantzそのものであった。こういう演奏を聞かされてしまえばファンとしては星★★★★★とせざるをえない。送料込みで$18はファンにとっては安い買い物である。

それにしても,こんな演奏が毎週展開されている55 Barはやはりいいクラブである。クラブの作りはシャビー(本当にシャビーである)だが,Mike Sternはレギュラーだし,今でも入場料も激安だしなぁ(2~3年前で2ドリンクついて10ドルだか15ドルだったと記憶している)。つくづくニューヨーカーは幸せである。あ~,また住みたい。

Recorded Live at 55 Bar in NYC during 2005 and 2006

Personnel: Wayne Krantz(g), James Genus(b), Anthony Jackson(b), Tim Lefebvre(b), Cliff Almond(ds), Keith Carlock(ds), Paul Socolow(ds)

| | コメント (4) | トラックバック (1)

2008年3月25日 (火)

懐かしのオールスターズ

Milestone "Milestone Jazzstars in Concert" (Milestone)

Sonny Rollins,McCoy Tyner,Ron Carter,Al Fosterという強力なカルテットによるライブ盤である。VSOPの人気が爆発していた70年代後半に,Milestoneレーベルのプロデューサー,Orrin KeepnewsがVSOPに対抗すべく(あるいは2匹目のドジョウを狙って)仕立てた急造グループという評価が順当だろうが,そこはメンツがメンツだけにかなり熱い演奏を聞かせる。

特にRollinsは当時のレギュラー・グループや自己名義でのときより気合が入った演奏を聞かせており,一部でソプラノ・サックスを吹いているのも珍しい。私はRollinsのレギュラー・バンドでの演奏にかなり疑問を感じていたので,こういうメンツでの演奏はある意味歓迎できるものである。

Tynerの相変わらずの(暑苦しい)フレージング,Carterの増幅し過ぎのベース音と,苦笑させられる部分もあるものの,モダン・ジャズが不毛と言われた時期の取組みの貴重な記録ではある。このメンツで来日の機会がなかったのは残念であるが,やっぱり生で見たら燃えたんだろうなぁ。

私はこのアルバムをLPで保有しているのだが,最近はとんとご無沙汰のこのアルバムである。それでもたまに冒頭の"The Cutting Edge"を無性に聞きたくなることがあるのである。まぁ,今にして思えば,ジャズが勢いを失いつつあった時代にこうしたジャズをリバイバルさせたことにはそれなりの意義を認めていいのではないかと思う。星★★★★。

Personnel: Sonny Rollins(ts, ss), McCoy Tyner(p), Ron Carter(b), Al Foster(ds)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年3月24日 (月)

人気再燃(?)Kenny Rankinのジャズ・アルバム

Kenny_rankin "A Song for You" Kenny Rankin(Verve)

紙ジャケット天国,日本のマーケットならではということになろうが,Kenny Rankinの旧作が紙ジャケットで再発されている。人気はおそらく"Kenny Rankin Album"ということになろうが,最近のなんでも紙ジャケ化すればいいというような風潮は私個人としては問題ありとは思うが,それでも出れば買ってしまうのがファンの性である。レコード会社も罪作りと言っておく。しかし,その一方で紙ジャケが出ると普通の人は同一音源を何枚も持つ趣味はないだろうから,旧バージョン(プラ・ケース版)のCDが中古市場に売りに出る確率が高くなるので,買い逃していた音源をゲットするチャンスも増えるという私にとっての副次的効果もあるから文句は言うまい。

さて,本盤はそのKenny RankinがChristian McBride,Lewis Nashという魅力的なリズムをバックに,スタンダード・ナンバーを渋く歌った好盤である。更にはChris Potter,Roy Hargrove,Russell Maloneというジャズ系ソロイストを配して,ある意味小唄っぽく歌っている。よって力みとかは無縁の演奏が続く。こういう編成/コンセプトを見るとMichael Franksの初期のアルバムと同様のアプローチということになろうが,本作のプロデューサーがTommy Lipumaと聞けば,むべなるかなと言いたくもなる。

Michael Franksと比べるとソロイストが少々地味なのは致し方がないところだが,歌唱はなかなかの佳演ぞろい(雰囲気は別として,Rankinの方がFranksよりは歌手としては上だろう)であるし,ソロイストも好演である。私は軽くフェイクする"Round Midnight"が特に気に入っているが,全編を通じて肩肘張らずに聞くには結構いいアルバムのように思う。でもKenny Rankinという名前だけで,ジャズ・ファンの注目はほとんど浴びなかったのであろうと思われるアルバムである。予備知識なしで聞けば,これはこれで佳作だと思うし,一回聞いておいても損はしないだろう。と言っても私は中古で拾わなければ買っていなかっただろうが...。星★★★☆。

Personnel: Kenny Rankin(vo, g), David Spinozza(g), Leon Perdarvis(key), Christian McBride(b), Lewis Nash(ds) with John Beasley(key), Roy Hargrove(tp), Chris Potter(ts), Russell Malone(g), Alan Broadbent(arr) with Winds & Strings

| | コメント (4) | トラックバック (0)

2008年3月23日 (日)

中年音楽狂,危機突破

スキー場で痛風の発作に襲われた私であるが,今朝ほどまではかなり痛みが激しく(少なくとも朝食時は駄目だった),今日はスキーは無理だと諦めかけていた。しかし,その後,不思議なことに急速に痛みが沈静化し,これなら滑れるかなと思ってゲレンデに出た。多分薬が効いていたのだろう。

今日は最初からスキーは午前中で上がる予定ではあったが,それでも何とか乗り切れたのは助かった。これで何とか家人からも怒られずにすんだ。これが本当の危機突破である。しかし,明日はどうなるかわからないので,今夜も酒はやめておいた方がベターかもしれない。あ~あ。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

John Legendのライブ盤は何としてもゲットしよう

John_legend_live "Live from Philladelphia" John Legend (Columbia)

以前,Herbie Hancockの"River"の記事を書いていて,特定ショップ限定のボーナス・トラックがある場合については話をしたが,このアルバムはアルバムそのものがTargetストアだけでの限定販売(WebサイトによればCD版は$9.98である。)されているものである。このアルバムがあるCDショップを通じて日本でも容易に入手できたのは大変ありがたいことである。

私はJohn Legendを高く評価していて,彼の2ndアルバムについて,当ブログ開設間もない頃「2ndも素晴らしいJohn Legend」として記事をアップしている。そこでも「今後のソウル界を担う男性ボーカリストはJohn Legendをおいてほかにない」とまで言い切ってしまっているが,その気持ちには今でも変わりはない。そのLegendのライブ盤であるから期待値が高いのは当然である。

それでもって結果はどうか。期待通りである。多少ヴォイスや歌唱に危うい部分が感じられるところもあるし,演奏にも荒さはあるが,選曲バッチリ,グルーブ系とスイート系のバランスも最適,ついでに私がひいきにするCorrine Bailey Raeがデュエット・パートナーとして登場(おそらく前座を務めたのが彼女であろう)とあっては大満足である。変わったところではBeatlesの"I Want You (She's So Heavy)"という意外な選曲もあるのだが,これがまた結構いけているのである。私としてはソウルのライブ盤かくあるべしとも思ってしまうようなナイスなアルバムである。星★★★★☆。いやいや楽しめました。それにしてもよい曲を書く御仁である。

まぁジャケの写真が泉谷しげるかどこかの漫才師みたいだという指摘もあるかもしれないが,男と音楽は顔ではない!(きっぱり)←ブログのお友だち,すずっくさんみたいになってしまった(実は意図的)。(爆)←すずっくさんみたい第2弾。また,蛇足ながら,John Legendに導かれて,聴衆が一緒に歌っているが,この中に音痴な女性がいてずっこけるのはご愛嬌である。

いずれにしても,こんなアルバムが一般流通ルートに乗ってこないというのはある意味不幸なことである。心あるソウル/R&Bファンは何としてもこのアルバムをゲットするべきである。さぁ,売ってるショップへ走れ!どこで売ってるかわからない?私に聞いて下さい。

Personnel: John Legend(vo, p), Corrine Bailey Rae(vo), Chris "Swiss Chris" Flueck(ds), Sharief Hobley(g), Kenneth Wright(b), Josh Valleau(key), Eugene "Man Man" Roberts(key), Steve Tripak(tp), Aaron Goode(tb), AAllen "Bizkit" Arthur(sax), Tara Michel(vo), Jessica Wilson(vo), Vaughn Anthony(vo)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年3月22日 (土)

中年音楽狂の危機

私は痛風持ちである。よって、今度はいつ発作が来るかと戦々恐々としているのだが、よりによってスキー旅行中に発作である。

私のスキー技術は大したことがない(スピードだけはそこそこである)ので、最初は右足体重がきつ過ぎて、右膝に疲労がたまったのかと思ったのだが、リフトに乗るときに膝を曲げるのも億劫になるぐらいの痛みが出てきて、触ってみるとかなり激しく腫れている。これは経験的に痛風の発作に間違いないところである。バケーションはまだ終わっておらず、これで明日以降膝が痛いのですべれませんなどと言おうものなら、家人に日頃の不摂生がどうのこうのと言われることは必定。何とかここは急速な回復を図らねばなるまい。

あとは湿布で患部を冷やし、ボルタレンかコルヒチン(いつものパターンからすれば、コルヒチンの方がよさそうだ)で何とか炎症を押さえ込めることを祈るのみ。やはり北海道の海の幸(昨日はウニと山盛りの甘エビを食べてしまった)が尿酸値のアップにつながってしまったようである。本日は禁酒の上、魚卵系及び多プリン体食物は絶対禁止である。あ~あ。

それにしても、前回の発作はドイツ出張中、今回はバケーション中とあまり起こって欲しくないときに発作はやってくる。これも日頃の行いの悪さゆえか。家庭生活を含めて、中年音楽狂の危機である。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

Brand Xの最高傑作にして,ジャズ・ロックの傑作

Brand_x_2 "Livestock" Brand X (Charisma)

Brand Xによるライブ盤にして,最高傑作。1976年のRonnie Scotts,1977年のMarquee,Hammersmith Odeonの3ヵ所での演奏を収録しており,会場の違いにより随分と雰囲気にも違いがあるが,それはライブハウスとコンサート・ホールであるから当たり前の話である。しかし,いずれの演奏もテンションが高く,テクニシャン揃いのグループによる素晴らしい演奏が続き,アルバムの一貫性としては全く問題ない。このアルバムの持つテンションをJeff Beckの"Wired"になぞらえられることがあるが,締め上げられるような緊張感という観点ではまさに同質のアルバムと言えるのではないだろうか。

Brand Xと言えばPhil Collinsのサイド・プロジェクトとして語られることが多いわけだが,本作の1曲目,5曲目はCollinsではなく,Jaco PastoriusやGil Evansとの共演で知られるKenwood Dennardがドラムスを担当しており,その他の曲でのCollinsとの個性の違いが感じられる。Collinsのドラムスの方が微妙なニュアンスを生み出しているようにも思えるが,その当たりはドラマーの方の意見を待ちたい。Collins抜きに考えれば,Brand XはJohn GoodsallとPercy Jonesのバンドであって,この2人がもたらすフレイバーがこのバンドのサウンドを決定していると言っても過言ではない。

いずれにしてもブリティッシュならではのウェットな感覚に満ちたこれぞ「ジャズ・ロック」と言ってよいだろう。冒頭の"Nightmare Patrol"のJohn Goodsallのギター・ソロなどはエフェクターの選択,フレージング等もろにAl Di Meolaのようではあるのだが,サウンドは明らかに異質なのである。私はBrand Xのアルバムは結構持っているが,私にとってはこのアルバムを上回るアルバムはないと思っている。星★★★★★。Phil Collinsが参加しなくなって,注目度は下がってしまったかもしれないが,こういう世界の音楽はたまに聞くとやはりよい。Percy Jonesのフレットレス・ベースの技には改めて注目してもいいのではないかと思う。

余談だが,このアルバムの一部が録音されたHammersmith Odeonには大昔(20年ぐらい前である)のロンドン出張中に行ったことがあるが,なかなか歴史を感じさせる適正規模のホールであった。ちなみに私がその時見たのはRobert Palmerであった。

Recorded Live at Ronnie Scotts in 1976 and Hammersmith Odeon and Marquee Club in 1977

Personnel: John Goodsall(g), Percy Jones(b), Robin Lumley(key), Phil Collins(ds), Kenwood Dennard(ds), Morris Pert(perc)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年3月21日 (金)

スキー場のマナーの低下がひどい

バケーションでスキー場に来ているのだが、ここに来ての暖かさで、さすがの北海道と言えどもベタ雪である。まぁ、しかしそうした事態は春スキーには付きものであるから文句は言うまい。

しかし、最近のスキー場でのマナーの低下には辟易とさせられる。諸悪の根源はスノーボーダーである。もちろん、真っ当なボーダーも多数いるといるので、そういう方は関係ないとお断りした上で言ってしまうが、うゲレンデのど真ん中で座り込んでいるのは傍若無人のボーダーと相場が決まっている。これは最初にマナーを教える人間がいないから、ああした迷惑な行為が平気でできるのである。一体何様のつもりなのだろうか。転倒したことの照れ隠しか。それにしては居座る時間が長過ぎる。自らの行為がボーダーの立場を悪くするという意識がないという点では、彼らはマナーの悪いスモーカーと同種の人種である。

また、スキーヤーもゲレンデの真ん中で止まる輩が増えているのはどういうことか。知り合いを待つ場合、疲れた場合、そういう人間はほかのスキーヤー、ボーダーに迷惑を掛けないように、ゲレンデの隅で待つのが常識である。こんな当たり前のことがわかっていない人間が増えれば、けが人が増えても仕方あるまい。

また、明らかに前方不注意なスキーヤーが増えたことも情けない。容易に予測可能な前方のスキーヤーの動きすら目に入らぬとは。こういう自己陶酔型スキーヤーも何とかしてほしいものである。あるいは前を走行するスキーヤーが自分を避けてくれると思っているのであろうか。だとすれば、どこかの国のイージス艦と同じである。

スキーにしろ、ボードにしろ本質的にはスポーツであり、そこにはスポーツマンシップがあって然るべきであるが、あまりにも自己中心的な人間が増えたことには憤りを感じざるをえない。事故は起こしてからでは遅いというのは交通事故と同じである。こうした常識的な対応もできない輩にはスキーもボードもやる資格はない。

北海道でこの状態である。本州のスキー場なら一体どうなってしまうのか。私は暗澹たる気分になってしまう。天候には恵まれているが、気分は結構Gloomyである。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

DeodatoのWarner時代の快作

Love_island_2 "Love Island" Deodato (Warner Brothers)

Deodatoと言えば,今も昔も「ツァラトゥストラ」が代表曲になってしまって,キワモノ的扱いを受けてしまうのがこの人の不幸なところである。しかし,私は彼のライブ盤を昨年のベスト盤の1枚に推しているぐらいだから,本質的には私はDeodatoが好きなのである(苦笑)。本作は,1978年のDeodatoのWarner移籍第一作としてそのDeodato本人とTommy Lipumaの共同プロデュースにより制作された軽快なフュージョン・アルバムとして,非常に心地よい感覚を残すアルバムである。

冒頭の"Area Code 808"のギターによるリズム・カッティングからフュージョン好きにはゾクゾクするような期待感を抱かせる。全編に渡ってDeodatoらしいメロディ・ラインやストリングスが楽しむことができるこのアルバムは,Deodatoがクラシック音楽のアダプテーションだけのミュージシャンではないことを多くのリスナーに認識させるものである。

タイトル曲の"Love Island"や"San Juan Sunset"に顕著な何ともユル~いグルーブ感で"Take the A Train"をカバーするのも凄いが,このサウンドはある意味麻薬的であり,Deodatoならではのテイストとして再評価に値するものと言えるだろう。尚,3曲目の"Tahiti Hut"はEW&FのMaurice WhiteとDeodatoの共作であるが,ここだけがいかにもEW&Fっぽく"That's the Way of the World"的になってしまうのはご愛嬌。逆に言えばEW&Fの曲の個性はそれだけ強かったということにもなって,妙に感心してしまった。

Deodatoなんぞもう過去の人という感覚もあるが,30年前(!)のこの作品を聞いて,その心地よさはあまり時代なんて関係ないなぁとつくづく思ってしまった。こうした音楽に心地よさを感じるのは私のような中年以上かもしれないが...。星★★★★。

ところで,このアルバムには"Pina Colada"という曲が入っているが,それを「パインのコーラ」と訳すセンスは頂けないというか,そんなもんカクテルの名前に決まっとろうがと思わず言いたくなってしまった。こうなると一般常識の問題である。

Personnel: Eumir Deodato(key, vo, perc), Larry Carlton (g), George Benson(g), John Tropea(g), Al McKay (g), Ray Gomez(g), Pops Popwell (b), Harvey Mason(ds), Rick Marotta(ds), Joe Correro(ds), Philip Bailey(perc), Ray Armando(perc), Jimmy Maelen(perc) and Others

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年3月20日 (木)

和みのピアノ・トリオ

Flight "Flight to Denmark" Duke Jordan (Steeplechase)

私の友人の「理屈庵」さんがブログで取り上げていたので,便乗してというわけではないが,この作品を取り上げることにした。

本作はDuke Jordanの数あるSteeple Chaseレーベル吹き込み盤の中でも屈指の傑作と評価すべきものである。はっきり言って演奏にスリルはない。その代わりと言ってはなんだが,なごみとくつろぎが音楽から溢れている。Duke Jordanのここでの演奏を聞いていると,よい意味での「枯れた味わい」が楽しめる。だって,もともとファンキーな曲であった「危険な関係のブルース(No Problem)」が,ここでは極めて落ち着いたトーンで演奏されているのである。なんだか別の曲のようだと言われてしまえば,そう言えるほど違っている。また,ワルツで演奏される"Glad I Met Pat"はDuke Jordan版"Waltz for Debbie"とも称するべき可憐なメロディである。その他の曲もナイトキャップのBGMとして最適なトーン,リズムで演奏されるがゆえに,ジャズ喫茶の往年の人気盤となったのもうなずける話である。

また,オリジナル以外のスタンダードもナイスな選曲がたまらない。"Here's That Rainy Day"や"On Green Dolphin Street"をこんなトーンで弾かれて参らないわけがないのである。しかしながら,Jordanはライブになると,必ずしもここで聞かれるようなトーンではなく,往年のようなフレージングをシングル・トーンで展開していたりするから,このアルバムがJordanとしては異色と考えるべきなのかもしれない。あるいはコペンハーゲン録音がJordanに何らかのケミストリーをもたらしたと言うべきか。

日頃,ゴリゴリのジャズも愛好している私だが,このように聴いていてほっとするジャズがあってもいいし,本作が私の長年の愛聴盤であることには何の変化もない。私は本作をずっとLPで聞いているが,はっきり言って,現在発売されている一部のボーナス・トラック入りCDには何の魅力も感じない。この並び,この曲数だからこそこのアルバムはいいのである。よって,今後私がこのアルバムをCDで買い直す時にもボーナス・トラックはいらんと宣言しておきたい。(それがどうしたっ!)

いずれにしても本作は初心者にもベテランにも愛されるべき好盤である。星★★★★☆。

Recorded on November 25 and December 2 in Copenhagen

Personnel: Duke Jordan(p), Mads Vinding(b), Ed Thigpen(ds)

| | コメント (2) | トラックバック (1)

2008年3月19日 (水)

Pedro Aznarの声はやはり素晴らしい

Aznar "En Vivo" Pedro Aznar(Tabriz)

Pedro Aznarと言えばジャズ・ファンにとってはPat Metheny Groupでの活動を通じてメジャーになったと言って間違いのないところである。PMG諸作で聞かせたAznarの声はそれは素晴らしいものであったわけだが,これは本国アルゼンチンでのコンサートの模様を収めたライブ盤である。

私はAznar個人の音楽について詳しく知っているわけではない。昔,Pat Methenyが参加したソロ・アルバムを買ったことはあるが,何だかピンとこなくてもう何年も聞いていない。そういう意味ではやはりPMGにいるからこそAznarは光ると思っていたが,このアルバムを聞いてその認識を改めざるをえなくなった。以前に聞いたソロ・アルバムよりはるかにいいのである。聴衆は熱狂的に反応しており,一部の曲では一緒に歌っているわ,手拍子は打つわと盛り上がっている。こうした演奏を聞くと,Aznarの本国での立ち位置がよくわかるような気がする。つまり彼はジャズ・フィールドの人ではなく,あくまでもポップ・フィールドの人なのである。そうした点を鑑みれば,本来の音楽性はそうした人なのである。

そうは言っても,PMGの時に聞かせたAznarの美声は健在である。ここではクァルテットという小さい編成で,Aznarが優れたヴォーカルとベースの演奏技術(マルチ楽器奏者と言われるAznarの主楽器は実はベースなのである)を示すとともに,ゲストを迎えてときに賑々しく,ときに渋く,ときに楽しい演奏を聞かせる。Aznarの弾くベースもコーラスをきかせたり,フレットレスを使ったりと多彩である。本当に大したミュージシャンではないか。

いずれにしても,アルゼンチンだからと言ってラテン一本槍の演奏ではないから,一般の音楽のリスナーにも十分受け入れられるはずである。値段も手頃なので,入手までは時間が掛かっても聞いてみる価値はあると思う。星★★★★。それにしてもIvan Linsの"Septiembre"にしろ,Lennon/McCartneyの"Julia"にしてもはまり過ぎである。たまらん。

Recorded Live at Teatro nd Ateneo on August 9 &10, 2002

Personnel: Pedro Aznar(vo, g, b, perc), Aleandro Deviries(key, perc, vo), Diego Clemente(g, woodwinds, vo, perc), Facundo Guevara(perc) with Guests: Angela Irene, La Chilinga, Mono Fontana, Lito Epumer and Charly Garcia

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2008年3月18日 (火)

Dave Liebman恐るべし。このブートも恐るべし。

Liebman_boot_2 "Bremen 1974" Dave Liebman(Megadisc)

先日お知らせしたDave Liebmanのブートレッグが届いた。Milesバンド脱退後の1974年,Lookout Farmによる演奏である。この前も書いたが,こんなものまでブートが出るというのは信じられない。ニーズがあるから出るのか,あるいはブートレッガーが「この音源を出さねば」という義務感で出すのか理解できないレベルである。まぁ後者であるわけはないが...。それでもこういう音源が突如として現れてくるところにブートの奥深さがあると言えよう。なんだかジャケもカッコよく見えてくるぞ。

Lookout Farmと言えば,以前3枚組のMosaic Selectで1976年のKeystone Kornerにおけるライブ未発表音源が発売されたことがある(残る2枚にはLiebman~BeirachのデュオとQuestが収録されている)。それはそれで無茶苦茶いけていたのだが,今回の演奏の切れ具合も尋常ではない。私はこのアルバムを購入するに当たって,ブート・ショップのサイトにアップされていたサンプル音源2曲を聞いただけなのだが,それで即購入決定である。それぐらい凄いと思った。

まずこのアルバムを聞いていて思ったのはMiles的な響きである。曲の流れ(アレンジ的なものと言ってもよい)もそこはかとなく漂うMiles的なサウンド。リズムはMilesバンドほどファンクではないが,やはりLiebmanとしてはMilesバンド脱退後それほど時間が経っていないということもあり,その影響がまだまだ色濃く残存しているように感じる。しか~し,そんなことははっきり言ってどうでもよい。

Liebmanは冒頭の"Fire Flies"から過激に吹きまくるし,"Lookout Farm"でのドラムスとのデュオ・パートでは"Interstellar Space"化している。BeirachはECMでソロ・アルバム"Hubris"を吹き込んだのと同一人物とはとても思えぬ激しい弾きっぷりで,まるでLost QuintetのChick Coreaのようでもある(それがまたMiles的響きを生んでいるかもしれない)。さらにそれをバスドラを多用して煽りまくるJeff Williams。一人ベースのTusaだけが割を食っているような気もするが,うーむ,これはハイブラウなエレクトリック・サウンド好きにはたまらん世界である。

ちなみにDisc2の1曲目は"Chelsea Bridge"であるが,原曲をほとんどとどめないようなかたちにフェイクされている。こういうところもLiebman的と言ってもよいかもしれない。いずれにしてもあらゆる観点でDave Liebmanのファンは必聴。音質もおそらくは放送音源で全然問題なしである。若干ノイズが入る部分はあるが,ほとんど気にならない。こういうブートはちょっとぐらい高くても全然問題ない。その筋の好きものはすぐ注文すべし。星★★★★★。

このブートを聞いて,またMosaic盤が聞きたくなってしまったが,気持ちに逆らわずしばらくはLiebmanに身を委ねることとしよう。あ~,あけてもくれてもLiebmanでは発狂しそうである。

Recorded Live in Bremen on September 16, 1974

Personnel: Dave Liebman(ts, ss, fl), Richie Beirach(key), Frank Tusa(b), Jeff Williams(dr)

| | コメント (4) | トラックバック (0)

2008年3月17日 (月)

Jerry Bergonziがスタンダードを吹くと...

Nuttree "Standards" The Nuttree Quartet (Kind of Blue)

このアルバムを発売したKind of Blueレーベルの作品としては以前「主流派になった(?) Bobby Hutcherson」として"For Sentimental Reasons"というアルバムを取り上げたことがあるが,それはそれで楽しめる作品で,この新レーベルについての個人的な注目が若干ながら上がっていた。Webサイトをよくよく見てみると本来はスイスのレーベルらいしいが,録音にもこだわった姿勢を打ち出したレーベルである。いずれにしてもポリシーのしっかりしたレーベルは強い。しかし,本作はそんなことは関係なく,完全にメンツでの関心が購買意欲を高めてしまったアルバムである。既にほかのブロガーの皆さんも取り上げていて,こうしたメンツには注目している人が結構多いのだなぁと思うところ大である。注文してから入手するまで若干時間は掛かったが,まぁまだ新譜として扱って問題ないだろう。

John Abercrombieは以前からオルガン入りのトリオというフォーマットで録音を残しており,古くはJan Hammer,次いでDan Wallときて,今回はGary Versaceであるが,よほどこのフォーマットが気に入っているのだろうと考えてもよい。そして,今回の目玉はそこに加わるJerry Bergonziである。そのメンツでスタンダードを演奏するのだから,これはやはり注目して然るべきものである。

演奏の方はと言えば,"Footprints"なんて熱いもので嬉しくなってしまうが,全体的には結構クールな感覚で,比較的淡々と演奏しているという感じ(Versaceのオルガンのトーンのせいかもしれない)だろうか。かつ選曲も"Standards"と謳いながら,所謂大スタンダードとは若干異なるものであり,そのあたりにこの人たちのポリシーを感じるように思える。ライナーを読んでいる限り,このセッションの言いだしっぺはドラムスのNassbaumのようだが,こういうセッションならまたやってくれいと言いたい。痺れるような感覚はないが,これはこれで楽しめるアルバムであり,酒のともともなりえよう。星★★★☆。最後の"Naima"にはしみじみさせられてしまった私である。

一点惜しいなぁと思うのは,"Israel"をBergonzi抜きで演奏しているのだが,ここはテナーとギターのユニゾンが聞きたかったような気がするのは私だけだろうか?

Recorded in February 2007

Personnel: John Abercrombie(g), Jerry Bergonzi(ts), Adam Nassbaum(ds), Gary Versace(org)

| | コメント (4) | トラックバック (1)

2008年3月16日 (日)

懐かしの"Frampton Comes Alive"

Frampton_comes_alive "Frampton Comes Alive" Peter Frampton(A&M)

「懐かしの」という表現しか思い当たらないメガ・ヒット・アルバムである。何せ全世界で1600万セットが売れたということだからこれは凄い。しかし,「懐かしの」と言っても個人的な話ではない。あくまでも時代感としての話しである。何分,私はこのアルバムからのスマッシュ・ヒット"Show Me the Way"以外にこれまで聞いたことがなかったのだが,中古でDeluxe Versionを拾って,初発から30有余年を経てこのアルバムを聞いたのであって,実は個人としては懐かしいもへったくれもないのである。

しかし,このアルバムがなぜあれだけバカ売れしたのかは今もって不思議であるが,要はこのわかり易さが万人に受けたのであろうことは想像に難くない。これほどストレートで癖のない演奏ならば,老若男女にとって取っ付きやすいのである。

それでもって音楽の方だが,ポップ・センス溢れるロック・アルバムと言えるが,私が感心したのは"Wind of Change"から始まるアコースティック・セットで演じられる曲群である。なかなかよい曲を書くものだと思わされてしまったが,このあたりが人気を呼んだ一因かもしれない。私はそもそもシンガー・ソングライターによるアルバムも愛好しているので,こうした演奏は私の心の琴線に触れてしまうのである。

いずれにしてもこのアルバムはいくつかのロケーションで録音された演奏を組み合せており,場所によって雰囲気は異なるが,San Francisicoの聴衆の熱狂ぶりが凄まじく,人気あったんだねぇと思わせる好ライブ・アルバム。"Baby, I Love Your Way" に代表されるポップな感覚は悪くない。星★★★★。

Recorded Live in San Francisico, San Rafael, Long Island and Plattsburgh

Personnel: Peter Frampton(vo, g), John Siomos(ds), Bob Mayo(g, key, vo), Stanley Sheldon(b, vo)

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2008年3月15日 (土)

ブート恐るべし。こんなものまで...

出張から帰ったもののバテバテである。飛行機は遅れるわ,飛行機を待つ間に酒は飲みすぎるわで結構きつい。ということで,本日はCDのレビューをする体力は残っていないが,寝る前にちょいとネット・サーフィンをしていて驚いてしまった。某ブート・ショップでDave Liebmanの1974年ブレーメンでのLookout Farmとしてのライブが発売されているではないか。しかも2枚組。

Dave Liebmanについては先日"Pendulum"再発に関する記事を書いたばかりでなんだが,やっぱりこれは見逃せない。追々ブツをゲットしたらレビューをしたいと思う。

とは言うものの今日は完全な「開店休業」モードの私である。

| | コメント (6) | トラックバック (0)

2008年3月14日 (金)

クールなケムール人

Photo 本日は出張中である。音楽のレビューを書こうと思っても、ちゃんと音楽聞いてないぜというモードなので、今日は気分転換にウルトラQネタである。

ウルトラQにしろ、ウルトラマンにしろ、ウルトラセブンにしろ、昔の円谷プロの番組には人気キャラがたくさんいたよなーと思う。よって、ウルトラQがDark Fantasyとしてリメイクされたときにも人気キャラは再登場した(あるいはトリビュート・モードでオマージュを捧げられた)わけだが、私の中でウルトラQと言えばやはりケムール人である。着ぐるみに入っているのが古谷敏(もちろんウルトラマンであり、アマギ隊員であると同時にラゴンでもある)というのもなるほどというかさもありなんというプチネタである。いずれにしても多くの人がケムール人走りを真似したであろうことは間違いないところと思うが、それとともに私にとって忘れられないのは、万城目淳役の佐原健二の耳ピクピクである(わかる人にはわかる)。

でもやっぱりということでは、このエピソードでも後の「あけてくれ」でもMVPは柳谷寛以外にはないだろう。何ともユニークなおっちゃんであった。

ということで今日はなんだかなーというネタだが、こういう日もあるのだ。ちなみにケムール人の「おーほっほっほ」みたいな発声は後の「笑うセールスマン:喪黒福造」のモデルではないかと思うのは私だけだろうか。ちょいとマニアックでしたかね。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2008年3月13日 (木)

これが本当の婦唱夫随?

Fleurine_san_francisco "San Francisco" Fleurine(Sunnyside)

Brad Mehldauの奥方,Fleurineのアルバムが出た。今回も旦那のMehldauが3曲のみながら参加しているので,早速聞いてみた。今回のアルバムはブラジリアン・テイスト溢れるものであり,ある意味Fleurineにとっては新機軸と言ってもよいだろう。要はブラジルの曲に,Fleurineが英詞を付けて歌うというのが今回のコンセプトである。それもかなり編成を絞ったブラジリアン・アルバムなので,リズム的な興奮を求めると肩透かしを食うが,そんな編成でもブラジルのフレイバーが出てくるところが,ブラジル音楽の凄いところである。

Fleurineには申し訳ないのだが,正直なところ,私の関心はあくまでもBrad Mehldauのプレイということになってしまっていたのだが,Mehldau参加の3曲が一番ブラジルっぽくないというのがこのアルバムの特徴と言えるかもしれない。ある意味,ここでの演奏はまさにMehldauぽいのであるが,"The Roses"以外の2曲はブラジルと全然関係ないかのように響くのはやや問題があるようにも思える。Mehldauとブラジルと言えば,Vinicius Cantuariaのアルバムにも参加していたが,そこでも確かにブラジル風味は乏しかったようにも思えるしなぁ。ということで,Brad Mehldauはブラジル音楽(あるいはリズム)の演奏が苦手なのではないかという仮説も成り立つのであるが,まぁ何でも器用にこなす万能プレイヤーよりも,際立つ個性を見せる方がいいかということにしておこう。こういうのをファンの贔屓目と言う(と開き直る)。

むしろ,このアルバムではFleurineがちゃんとブラジル音楽と向き合っていることに好感をおぼえてしまい,これをまさしく「随」と呼びたくなってしまったのである。Fleurineの頑張りを評価して星★★★★。プロデューサーと渋いバッキングを見せたChico Pinheiroにも拍手。

Recorded on February 12-14, 2007

Personnel: Fleurine(vo), Brad Mehldau(p), Chris Potter (sax, a-fl), Freddie Bryant(g), Chico Pinheiro (vo, g), Doug Weiss(b), Gilad (perc), Erik Friedlander (cello)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年3月12日 (水)

Dave Liebmanの"Pendulum"ついに再発か

以前,このブログで取り上げたDave Liebmanの"Pendulum"は何とも素晴らしい力作ライブ盤(久々に聴いた"Pendulum")であるが,長年廃盤の憂き目にあってきた。しかしである。Mosaic RecordsのWebサイトには次の記述が...

Mosaic Select: Pendulum

In February 1978, saxophonist Dave Liebman assembled a formidable quintet with trumpeter Randy Brecker, pianist Richie Beirach, bassist Frank Tusa and drummer Al Foster. The gig was recorded and one stunning album was released on Artists House. Liebman recently revisited those tapes and has come up with 3 CDs of hard bop heaven with scorching versions of "Solar", "Well, You Needn't", "Blue Bossa", "Impressions" and more.

ということは,大量の未発表曲を含んだCD3枚組として同アルバムが再発されるということである。これはLee MorganのLighthouse3枚組にも匹敵する快挙と言ってよいのではないか。Dave Liebmanファンは要注目,かつMosaic Recordsに感謝せねばなるまい。あとはちゃんとリリースされるのを期待するのみである。いつ出るのだろうか。上に書かれた曲目を見ただけでもわくわくしてきた。

http://www.mosaicrecords.com/genres.asp?dept=50

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2008年3月11日 (火)

Charles LloydがJason Moran(!)を迎えたライブ作

Lloyd_2 "Rabo de Nube" Charles Lloyd Quartet(ECM)

リリース・ラッシュが続くECMレーベルから大ベテランCharles Lloyd(間もなく70歳である)がJason Moranを迎えてスイス,バーゼルで録音したライブ盤が出た。私はJason Moranの名前はずっと聞いていたが,音源はChristian McBrideのTonicでのライブ盤以外はまともに聞いた記憶がないし,日本ではメジャーにならない人だなぁ~ぐらいの意識しかない。しかし,本国では堂々たるBlue Note専属アーチストであるし,マンハッタン音楽院でも教鞭を取る人物である。だがMoranのピアノの師匠がJaki Byard,さらにはMuhal Richard Abrams,Andrew Hillにもピアノを習ったとあっては,「そういう」音楽性を受け継いでいると仮定すれば確かにメジャーにはなりにくそうではある。

そのMoranとCharles Lloydがいかなる理由で共演に至ったかはよくわからないのだが,そのMoran効果か冒頭からLloydが年齢を感じさせない演奏を聞かせている。Lloydは以前にもBrad Mehldauを共演に迎えたりして,世代の違うミュージシャンとの共演にも積極的であるが,今回もそうした共演がポジティブに機能していることを感じさせる演奏である。このスリリングな響きは明らかにMoranが持ち込んだものと評価できると思うが,これがかなりよい。リズムの2人もこれまた若いが,年齢差をものともしないLloydの挑戦心あるいはバイタリティは大したものである。そうは言いつつもLloydはいつも通りマイペースでソフトでゆったりと吹いているように聞こえるが,バックのリズム隊は結構激しく演奏している。Jason Moran,確かにAndrew Hill的にも響いており,フリーにはならないが,フリー一歩手前と言ってもよい瞬間も現れている。聴衆もかなり熱く反応しているのがビビッドに捉えられたライブ・アルバムと言えよう。

アルバムとしてはECM的な響きとは言えないが,これは優れたコンテンポラリー・ジャズ・アルバムとして評価してよい佳作だと思う。恐るべき老人,Lloydである。星★★★★。

尚,Charles LloydはMoran,Harlandを帯同し,4月に来日しBlue Noteに出演するようである。今のところはベースレスの編成で来ることになっているようだが,このアルバムを聞いた後ではかなり気になるところではある。

ところでこのアルバムの一部でLloydが吹いているTarogatoというのはソプラノ・サックスのような音を出すハンガリーを起源とするクラリネットの仲間の木管楽器だそうである。ブログをやっていると,いろいろ雑学も増えますな。

Recorded Live at Theater Basel on April 24, 2007

Personnel: Charles Lloyd(ts, a-fl, tarogato), Jason Moran(p), Reuben Rogers(b), Eric Herland(ds, perc)

| |