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2008年3月31日 (月)

待望のBrad Mehldau Trioの新作(2)

Brad_live_2 "Live" Brad Mehldau Trio(Nonesuch)

昨日に続いて本日はディスク2である。ディスク2は冒頭の"Buddah Realm"から比較的オーセンティックなモダン・ジャズ的響きで始まり,全体的にディスク1よりそうした印象が強い。最初の3曲がMehldauのオリジナルで,後半3曲がスタンダード/有名オリジナルというセッティングだが,ディスク1のように驚くような選曲がないところは,ある意味意図的にそうしたプログラムにした可能性も高い。

演奏は全編を通じて快調である。オリジナル然り,スタンダード然りである。こうした快調な響きに身を委ねれば,Brad Mehldauファンは満足するはずである。

オリジナルについては曲も演奏もよく出来ているが,後半のスタンダードはどうか。"C.T.A"はおなじみJimmy Heathのオリジナルで,Mehldauにしてはかなりストレートな表現でスイング感も十分である。ちょっと問題かなと思うのは次の"More Than You Know"である。何ともディスク1の"Very Thought of You"に近い表現形式で,どうせならミディアム・スローの曲ぐらいを選んだ方がよかったような気がしないでもない。この演奏だけならそれはそれでよかったが,1枚目に似たような"The Very Thought of You"があるだけに割を食うように思える。この辺りにはプロデューサーとしてのMehldauの成長の余地があるかもしれない。そして最後は懐かしや,John Coltrane作"Countdown"である。この曲はMehldauのWarner第1作に収められ,"Art of the Trio Vol.2"の最後も飾った曲である。久々の再演となったが,それらの作品との比較をするほどまだ聞き込んでいないので何とも言えないが,演奏自体は好調である。

以上のように,私としては演奏に対してはほとんど文句のないところなのだが,以前の演奏と比べてどっちが好きという点も含めると,全編トータルで星★★★★。

そこで昨日の記事にも書いたドラマーの交代の影響であるが,前任者Jorge Rossyと現在のJeff Ballardの違いはシンバルの響きとタムの使い方にあるのではないかと思う。また,Ballardがブラシをほとんど使っていないことにも原因があるかもしれないが,繊細さという点でのMehldauとのコンビネーションとしてはRossyの方がいいと思う人が多くても仕方がないかもしれない。ただ,アルバム"Day Is Done"の1曲目"Knives Out"のような曲はBallardでなくてはならないと思うし,どちらがいいのかはまだよくわからない。ただ,単純に好みだけで言えば,私はRossyの方が好きかなぁ。

こんなことを書いていて,Mehldauの旧作を順繰りに聞きたくなってしまった。今一度腰を据えて全作と対峙するのもいいかもしれない。しかし,そうするとほかのミュージシャンが...。やっぱり無理か。

Recorded Live at the Village Vanguard, NYC on October 11-15, 2006

Personnel: Brad Mehldau(p), Larry Grenadier(b), Jeff Ballard(ds)

2008年3月30日 (日)

待望のBrad Mehldau Trioの新作(1)

Brad_live "Live" Brad Mehldau Trio(Nonesuch)

私にとっては待望のと言うべきBrad Mehldauのトリオによる新作である。タイトルが物語るとおり,四度名門Village Vanguardにおける実況録音盤となっている。

昨年のBrad Mehldauの活動は,Pat Methenyとの演奏が中心で,このトリオでそのツアーに参加していたとは言え,トリオとしての活動は棚上げになっていた。しかし,これまで繰り返し述べてきたように,私はMetheny~Mehldauの共演には大きな成果を見出せず(理由は既に書いたが,MehldauがMethenyに遠慮し過ぎて,彼の個性を発揮できなかったと感じる),日に日にこのトリオでの演奏への渇望感だけが増してきていたのである。そこへ2枚組のライブ盤登場である。今回は気合を入れてこのアルバムについて書こうと思うので,ディスク1,2を2回に分けて書こうと思う。

本日はディスク1であるが,冒頭は何とOasisの"Wonderwall"である。MehldauはこれまでもRadiohead,Nick Drake,Beatles等ロック畑の曲のジャズ・アダプテーションに取り組んできているので特に驚きはないが,それにしてもOasisと来たかぁという感じである。しかし,演奏は快調そのもの。いきなる嬉しくなる出来である。2曲目はMehldauのオリジナル"Rudy's Rub"でスリリングな4ビートで迫る。3曲目はこれまた何とと言うべきChico Buarqueの"O Que Sera"である。Buarqueはブラジルの知識人ミュージシャンと言ってよい人だが,結構インテリなMehldauがシンパシーをおぼえても不思議はない。このあたりにMehldauの音楽的な嗜好も見て取れる。

続くMehldauのオリジナル"B Flat Waltz"も軽快に楽しめる出来。そして最大の驚きは次の"Black Hole Sun"である。この曲はグランジ・バンドであるSoundgardenのオリジナルである。Mehldauがこんな曲まで聞いているというのはある意味驚きであるが,ここでの演奏が,Mehldauとしてはかなりフリーに傾斜したアプローチなのも驚きである。Larry Grenadierが執拗に同じフレーズを繰り返す中,Mehldauがこれまでにないタッチを聞かせるのは驚きである。しかし,この曲,Grenadierをフィーチャーしているということがあるにしても,23分超はやや冗長に響く。このアルバムの収録曲は全体的に演奏時間が長いのだが,ライブという点は差し引いても,もう少しコンパクトにしてもよいように感じさせる部分がある。

そしてディスク1の最後を締めくくるのは"The Very Thought of You"であるが,こうした一音一音を紡ぐようなバラードを弾いたときに,Mehldauの真骨頂を感じる。何とも美しい表現である。演奏の最後はMehldauのソロ・パートとなるが,途中で出てくるゴスペルのようなタッチはKeith Jarrettの影響か。しかしそれも一瞬だけだが,相変わらずのMehldauタッチである。いずれにしてもライブでなければ,こうしたソロ・パートはなくてもよかったものだろう。

ディスク1を通して聞いてみて,私の彼らの音楽への渇望感はかなり満たされたと言ってよい。もちろん,私はMehldauのファンであるから贔屓目もあるが,やはり現代を代表するピアノ・トリオの一つと言ってよいだろう。ドラムスのJeff Ballardは前任のJorge Rossyのような繊細さとは違う持ち味を醸し出しているように思うが,ディスク2を聞いてから,改めて書くことにしよう。

Recorded Live at the Village Vanguard, NYC on October 11-15, 2006

Personnel: Brad Mehldau(p), Larry Grenadier(b), Jeff Ballard(ds)

2008年3月29日 (土)

鹿児島にて

本日は鹿児島に出張中である。遅くまで酒を飲んでしまったので、音楽の記事を書くのは難しい。よって、今日は鹿児島の「食」について簡単に書きたい。

鹿児島と言えば黒豚ということになるのだろうが、この黒豚のとんかつが抜群にうまい。私が食したのは黒豚ロースかつ定食だったが、あの肉の柔らかさは今まで経験したことがない類のものである。とにかく私が知っているロースかつと違うのである。

普通にソースで食べてうまいのはもちろんだが、塩だけで食べてもうまいというのはこれは本物である。肉もよかったが、私が行った店のとんかつは使っている油も相当よかった。あのさくさく感、後味のよさ、また明日も食べたいぐらいである。うーむ。鹿児島恐るべし。何を食ってもうまいのだ。

バケーションで北海道にいるときには海産物のうまさに北海道に移住したいとか言っていたが、今日は鹿児島に移住したくなってしまった。人間ってわがままなものである。

しかしである。北海道で発症した痛風が治まったと思ったら、また別の部位に痛みが...。うまいもの食い過ぎだって。反省。

2008年3月28日 (金)

春なのに暑苦しいこと甚だしい

Black "Black Renaissance" (Baystate)

さすが紙ジャケ天国の日本である。私を驚かせるようなアルバムも多数紙ジャケ化されて再発されているが,こんなものまでということではこれも結構ディープな世界と言ってよいアルバムである。

何と言っても70年代のフリーとモダンの中間のようなスタイル(それもかなりフリー寄りと言ってもよいかもしれない)のアルバムを発売していたBaystate原盤というのがそもそも渋い。それにしてもまぁよくもこんな音源を国内レーベルが平気で発売していたものだと思わざるをえないが,こんな音源ではそもそもセールスが期待できるわけはなく,オリジナル盤が高値で売買されるのも仕方がないだろう。

それにしてもである。この暑苦しさを生み出しているのは,当然メンツによるものという点も否定できないとしても,やはり訳のわからぬ9人のコーラス隊ということであろう。それもご丁寧に"Singing Voice"と"Speaking Voice"に分けて書いてあるから,コーラス隊と呼ぶのは本当は適切かどうかはわからないのだが,こういうのをスピリチュアルと呼ぶには若干の疑問はあるものの,時代感たっぷりという表現こそピッタリである。

いずれにしても私がこのアルバムを買ったのはWoody Shawを聞きたいがためであるが,ここでも期待値よりは短いがWoody Shawらしいソロが聞けて嬉しくなってしまう。まぁWoodyのリーダー作だから仕方ないが...。星★★★☆。 それにしても桜が満開の夜に夜桜を愛でながら楽しむような音楽ではないなぁ。

Recorded on June 15, 1976

Personnel: Woody Shaw(tp), Azar Lawrence(ts, ss), David Schniiitter(ts), Harry Whitaker(ds) Buster WIlliams(b), Billy Hart(ds), Howard King(ds), Mtume(pec), Earl Benett(perc), Lani Groves(vo), Edna Hall(vo), Sandy Nakamura(vo), Assata Doby(vo), Sakou Sandiata(vo), Fikisha Kumbo(vo), Dwight Carson(vo), Bobby Andrews(vo), Andaye DeloCruz(vo)

2008年3月27日 (木)

またまたWayne Krantzである

Basiclive "Your Basic Live" Wayne Krantz(自主制作盤)

昨日に続いてWayne Krantzである。こちらは2003年にリリースされたライブ盤で,昨日紹介のアルバムとの違いは全て同一のメンバーで演奏されているという点である。しかも2枚組なのに値段は一緒(送料込みで$18)である。私は昨日のアルバムと本盤を同時に注文したのだが,いやはや私もかなりの好き者と言われても仕方あるまい。

このアルバム,ご丁寧にジャケには"Warning: LO-FI / HIGH CONTENT"と書いてあるだけのことはあって,55Barのバンドスタンドの前にDATでもセットしたような音である。しかし,これが実は臨場感たっぷりで,ボリュームを上げて聞けば,現場で聞いているような錯覚をするような音と言ってもよいかもしれない。

私としては演奏は昨日紹介した"Your Basic Live '06"の方が優れているような気がするのだが,これはこれでよい。特にKeith Carlockのドラムスがタイトな演奏ぶりで大変素晴らしく,それだけでも結構楽しめる。星★★★★。

こういうCDがWebサイトのみで発売というのは惜しいような気もするが,ファンはちゃんとアクセスして購入するだろうから問題はないだろう。ただ,こうした情報がちゃんと認知されているかどうかが問題である。しかし,インターネットがなかった時代に比べれば,本当に便利な世の中になったと言わざるをえない。

いずれにしてもWayne Krantzはカッコいいわ。

Recorded Live at 55 Bar in NYC during December 2001 and June 2002

Personnel: Wayne Krantz(g), Tim Lefebvre(b), Keith Carlock(ds)

2008年3月26日 (水)

Wayne Krantzかくあるべし

Your_basic_live "Your Basic Live '06" Wayne Krantz(自主制作盤)

Chris Potter's Undergroundへの参加により,一部でも注目度が上がっているWayne Krantzであるが,当該バンドでの演奏はファンが期待するほどのトンガリ具合に欠けるきらいがあったのは否めない。少なくとも私にはやや不満だった。

本質的に私がWayne Krantzに期待するのはNYCの55 Barで展開されるような演奏であるから,KrantzのWebサイトで発売されているこのCDにはやはり食指が動く。結果は予想通りというか,これほどファンの期待に応えてくれるアルバムはない。

Krantzは自身のWebサイトで55 Barでのライブ音源を多数公開(ダウンロード可能)しており,今更こうした音源をCD化することもない。しかし,本作の制作の契機が日本で"Signals"が再発された時に,ボーナス・トラックの収録を要請されたKrantzが過去の音源を再度チェックしたところ,ナイスな音源が結構あったのでこうして発表につながったと書いているから何が幸いするかわからない。音源は2005年から06年にかけてのものであるが,曲目は"Rock"だ"Blues"だ"Reggae"だとほとんど意味なし。中には"Riff"なんて曲もある。なんのこっちゃ。

メンツは下記のとおりであるが,いつもより豪華なメンツとも言える。しかし,Krantzは共演者が誰であれ音はKrantzそのものであった。こういう演奏を聞かされてしまえばファンとしては星★★★★★とせざるをえない。送料込みで$18はファンにとっては安い買い物である。

それにしても,こんな演奏が毎週展開されている55 Barはやはりいいクラブである。クラブの作りはシャビー(本当にシャビーである)だが,Mike Sternはレギュラーだし,今でも入場料も激安だしなぁ(2~3年前で2ドリンクついて10ドルだか15ドルだったと記憶している)。つくづくニューヨーカーは幸せである。あ~,また住みたい。

Recorded Live at 55 Bar in NYC during 2005 and 2006

Personnel: Wayne Krantz(g), James Genus(b), Anthony Jackson(b), Tim Lefebvre(b), Cliff Almond(ds), Keith Carlock(ds), Paul Socolow(ds)

2008年3月25日 (火)

懐かしのオールスターズ

Milestone "Milestone Jazzstars in Concert" (Milestone)

Sonny Rollins,McCoy Tyner,Ron Carter,Al Fosterという強力なカルテットによるライブ盤である。VSOPの人気が爆発していた70年代後半に,Milestoneレーベルのプロデューサー,Orrin KeepnewsがVSOPに対抗すべく(あるいは2匹目のドジョウを狙って)仕立てた急造グループという評価が順当だろうが,そこはメンツがメンツだけにかなり熱い演奏を聞かせる。

特にRollinsは当時のレギュラー・グループや自己名義でのときより気合が入った演奏を聞かせており,一部でソプラノ・サックスを吹いているのも珍しい。私はRollinsのレギュラー・バンドでの演奏にかなり疑問を感じていたので,こういうメンツでの演奏はある意味歓迎できるものである。

Tynerの相変わらずの(暑苦しい)フレージング,Carterの増幅し過ぎのベース音と,苦笑させられる部分もあるものの,モダン・ジャズが不毛と言われた時期の取組みの貴重な記録ではある。このメンツで来日の機会がなかったのは残念であるが,やっぱり生で見たら燃えたんだろうなぁ。

私はこのアルバムをLPで保有しているのだが,最近はとんとご無沙汰のこのアルバムである。それでもたまに冒頭の"The Cutting Edge"を無性に聞きたくなることがあるのである。まぁ,今にして思えば,ジャズが勢いを失いつつあった時代にこうしたジャズをリバイバルさせたことにはそれなりの意義を認めていいのではないかと思う。星★★★★。

Personnel: Sonny Rollins(ts, ss), McCoy Tyner(p), Ron Carter(b), Al Foster(ds)

2008年3月24日 (月)

人気再燃(?)Kenny Rankinのジャズ・アルバム

Kenny_rankin "A Song for You" Kenny Rankin(Verve)

紙ジャケット天国,日本のマーケットならではということになろうが,Kenny Rankinの旧作が紙ジャケットで再発されている。人気はおそらく"Kenny Rankin Album"ということになろうが,最近のなんでも紙ジャケ化すればいいというような風潮は私個人としては問題ありとは思うが,それでも出れば買ってしまうのがファンの性である。レコード会社も罪作りと言っておく。しかし,その一方で紙ジャケが出ると普通の人は同一音源を何枚も持つ趣味はないだろうから,旧バージョン(プラ・ケース版)のCDが中古市場に売りに出る確率が高くなるので,買い逃していた音源をゲットするチャンスも増えるという私にとっての副次的効果もあるから文句は言うまい。

さて,本盤はそのKenny RankinがChristian McBride,Lewis Nashという魅力的なリズムをバックに,スタンダード・ナンバーを渋く歌った好盤である。更にはChris Potter,Roy Hargrove,Russell Maloneというジャズ系ソロイストを配して,ある意味小唄っぽく歌っている。よって力みとかは無縁の演奏が続く。こういう編成/コンセプトを見るとMichael Franksの初期のアルバムと同様のアプローチということになろうが,本作のプロデューサーがTommy Lipumaと聞けば,むべなるかなと言いたくもなる。

Michael Franksと比べるとソロイストが少々地味なのは致し方がないところだが,歌唱はなかなかの佳演ぞろい(雰囲気は別として,Rankinの方がFranksよりは歌手としては上だろう)であるし,ソロイストも好演である。私は軽くフェイクする"Round Midnight"が特に気に入っているが,全編を通じて肩肘張らずに聞くには結構いいアルバムのように思う。でもKenny Rankinという名前だけで,ジャズ・ファンの注目はほとんど浴びなかったのであろうと思われるアルバムである。予備知識なしで聞けば,これはこれで佳作だと思うし,一回聞いておいても損はしないだろう。と言っても私は中古で拾わなければ買っていなかっただろうが...。星★★★☆。

Personnel: Kenny Rankin(vo, g), David Spinozza(g), Leon Perdarvis(key), Christian McBride(b), Lewis Nash(ds) with John Beasley(key), Roy Hargrove(tp), Chris Potter(ts), Russell Malone(g), Alan Broadbent(arr) with Winds & Strings

2008年3月23日 (日)

中年音楽狂,危機突破

スキー場で痛風の発作に襲われた私であるが,今朝ほどまではかなり痛みが激しく(少なくとも朝食時は駄目だった),今日はスキーは無理だと諦めかけていた。しかし,その後,不思議なことに急速に痛みが沈静化し,これなら滑れるかなと思ってゲレンデに出た。多分薬が効いていたのだろう。

今日は最初からスキーは午前中で上がる予定ではあったが,それでも何とか乗り切れたのは助かった。これで何とか家人からも怒られずにすんだ。これが本当の危機突破である。しかし,明日はどうなるかわからないので,今夜も酒はやめておいた方がベターかもしれない。あ~あ。

John Legendのライブ盤は何としてもゲットしよう

John_legend_live "Live from Philladelphia" John Legend (Columbia)

以前,Herbie Hancockの"River"の記事を書いていて,特定ショップ限定のボーナス・トラックがある場合については話をしたが,このアルバムはアルバムそのものがTargetストアだけでの限定販売(WebサイトによればCD版は$9.98である。)されているものである。このアルバムがあるCDショップを通じて日本でも容易に入手できたのは大変ありがたいことである。

私はJohn Legendを高く評価していて,彼の2ndアルバムについて,当ブログ開設間もない頃「2ndも素晴らしいJohn Legend」として記事をアップしている。そこでも「今後のソウル界を担う男性ボーカリストはJohn Legendをおいてほかにない」とまで言い切ってしまっているが,その気持ちには今でも変わりはない。そのLegendのライブ盤であるから期待値が高いのは当然である。

それでもって結果はどうか。期待通りである。多少ヴォイスや歌唱に危うい部分が感じられるところもあるし,演奏にも荒さはあるが,選曲バッチリ,グルーブ系とスイート系のバランスも最適,ついでに私がひいきにするCorrine Bailey Raeがデュエット・パートナーとして登場(おそらく前座を務めたのが彼女であろう)とあっては大満足である。変わったところではBeatlesの"I Want You (She's So Heavy)"という意外な選曲もあるのだが,これがまた結構いけているのである。私としてはソウルのライブ盤かくあるべしとも思ってしまうようなナイスなアルバムである。星★★★★☆。いやいや楽しめました。それにしてもよい曲を書く御仁である。

まぁジャケの写真が泉谷しげるかどこかの漫才師みたいだという指摘もあるかもしれないが,男と音楽は顔ではない!(きっぱり)←ブログのお友だち,すずっくさんみたいになってしまった(実は意図的)。(爆)←すずっくさんみたい第2弾。また,蛇足ながら,John Legendに導かれて,聴衆が一緒に歌っているが,この中に音痴な女性がいてずっこけるのはご愛嬌である。

いずれにしても,こんなアルバムが一般流通ルートに乗ってこないというのはある意味不幸なことである。心あるソウル/R&Bファンは何としてもこのアルバムをゲットするべきである。さぁ,売ってるショップへ走れ!どこで売ってるかわからない?私に聞いて下さい。

Personnel: John Legend(vo, p), Corinne Bailey Rae(vo), Chris "Swiss Chris" Flueck(ds), Sharief Hobley(g), Kenneth Wright(b), Josh Valleau(key), Eugene "Man Man" Roberts(key), Steve Tripak(tp), Aaron Goode(tb), AAllen "Bizkit" Arthur(sax), Tara Michel(vo), Jessica Wilson(vo), Vaughn Anthony(vo)

2008年3月22日 (土)

中年音楽狂の危機

私は痛風持ちである。よって、今度はいつ発作が来るかと戦々恐々としているのだが、よりによってスキー旅行中に発作である。

私のスキー技術は大したことがない(スピードだけはそこそこである)ので、最初は右足体重がきつ過ぎて、右膝に疲労がたまったのかと思ったのだが、リフトに乗るときに膝を曲げるのも億劫になるぐらいの痛みが出てきて、触ってみるとかなり激しく腫れている。これは経験的に痛風の発作に間違いないところである。バケーションはまだ終わっておらず、これで明日以降膝が痛いのですべれませんなどと言おうものなら、家人に日頃の不摂生がどうのこうのと言われることは必定。何とかここは急速な回復を図らねばなるまい。

あとは湿布で患部を冷やし、ボルタレンかコルヒチン(いつものパターンからすれば、コルヒチンの方がよさそうだ)で何とか炎症を押さえ込めることを祈るのみ。やはり北海道の海の幸(昨日はウニと山盛りの甘エビを食べてしまった)が尿酸値のアップにつながってしまったようである。本日は禁酒の上、魚卵系及び多プリン体食物は絶対禁止である。あ~あ。

それにしても、前回の発作はドイツ出張中、今回はバケーション中とあまり起こって欲しくないときに発作はやってくる。これも日頃の行いの悪さゆえか。家庭生活を含めて、中年音楽狂の危機である。

Brand Xの最高傑作にして,ジャズ・ロックの傑作

Brand_x "Livestock" Brand X (Charisma)

Brand Xによるライブ盤にして,最高傑作。1976年のRonnie Scott's,1977年のMarquee,Hammersmith Odeonの3ヵ所での演奏を収録しており,会場の違いにより随分と雰囲気にも違いがあるが,それはライブハウスとコンサート・ホールであるから当たり前の話である。しかし,いずれの演奏もテンションが高く,テクニシャン揃いのグループによる素晴らしい演奏が続き,アルバムの一貫性としては全く問題ない。このアルバムの持つテンションはJeff Beckの"Wired"になぞらえられることがあるが,締め上げられるような緊張感という観点ではまさに同質のアルバムと言えるのではないだろうか。

Brand Xと言えばPhil Collinsのサイド・プロジェクトとして語られることが多いわけだが,本作の1曲目,5曲目はCollinsではなく,Jaco PastoriusやGil Evansとの共演で知られるKenwood Dennardがドラムスを担当しており,その他の曲でのCollinsとの個性の違いが感じられる。Collinsのドラムスの方が微妙なニュアンスを生み出しているようにも思えるが,その当たりはドラマーの方の意見を待ちたい。Collins抜きに考えれば,Brand XはJohn GoodsallとPercy Jonesのバンドであって,この2人がもたらすフレイバーがこのバンドのサウンドを決定していると言っても過言ではない。

いずれにしてもブリティッシュならではのウェットな感覚に満ちたこれぞ「ジャズ・ロック」と言ってよいだろう。冒頭の"Nightmare Patrol"のJohn Goodsallのギター・ソロなどはエフェクターの選択,フレージング等もろにAl Di Meolaのようではあるのだが,サウンドは明らかに異質なのである。私はBrand Xのアルバムは結構持っているが,私にとってはこのアルバムを上回るアルバムはないと思っている。星★★★★★。Phil Collinsが参加しなくなって,注目度は下がってしまったかもしれないが,こういう世界の音楽はたまに聞くとやはりよい。Percy Jonesのフレットレス・ベースの技には改めて注目してもいいのではないかと思う。

余談だが,このアルバムの一部が録音されたHammersmith Odeonには大昔(20年ぐらい前である)のロンドン出張中に行ったことがあるが,なかなか歴史を感じさせる適正規模のホールであった。ちなみに私がその時見たのはRobert Palmerであった。

Recorded Live at Ronnie Scott's in 1976 and Hammersmith Odeon and Marquee Club in 1977

Personnel: John Goodsall(g), Percy Jones(b), Robin Lumley(key), Phil Collins(ds), Kenwood Dennard(ds), Morris Pert(perc)

2008年3月21日 (金)

スキー場のマナーの低下がひどい

バケーションでスキー場に来ているのだが、ここに来ての暖かさで、さすがの北海道と言えどもベタ雪である。まぁ、しかしそうした事態は春スキーには付きものであるから文句は言うまい。

しかし、最近のスキー場でのマナーの低下には辟易とさせられる。諸悪の根源はスノーボーダーである。もちろん、真っ当なボーダーも多数いるといるので、そういう方は関係ないとお断りした上で言ってしまうが、うゲレンデのど真ん中で座り込んでいるのは傍若無人のボーダーと相場が決まっている。これは最初にマナーを教える人間がいないから、ああした迷惑な行為が平気でできるのである。一体何様のつもりなのだろうか。転倒したことの照れ隠しか。それにしては居座る時間が長過ぎる。自らの行為がボーダーの立場を悪くするという意識がないという点では、彼らはマナーの悪いスモーカーと同種の人種である。

また、スキーヤーもゲレンデの真ん中で止まる輩が増えているのはどういうことか。知り合いを待つ場合、疲れた場合、そういう人間はほかのスキーヤー、ボーダーに迷惑を掛けないように、ゲレンデの隅で待つのが常識である。こんな当たり前のことがわかっていない人間が増えれば、けが人が増えても仕方あるまい。

また、明らかに前方不注意なスキーヤーが増えたことも情けない。容易に予測可能な前方のスキーヤーの動きすら目に入らぬとは。こういう自己陶酔型スキーヤーも何とかしてほしいものである。あるいは前を走行するスキーヤーが自分を避けてくれると思っているのであろうか。だとすれば、どこかの国のイージス艦と同じである。

スキーにしろ、ボードにしろ本質的にはスポーツであり、そこにはスポーツマンシップがあって然るべきであるが、あまりにも自己中心的な人間が増えたことには憤りを感じざるをえない。事故は起こしてからでは遅いというのは交通事故と同じである。こうした常識的な対応もできない輩にはスキーもボードもやる資格はない。

北海道でこの状態である。本州のスキー場なら一体どうなってしまうのか。私は暗澹たる気分になってしまう。天候には恵まれているが、気分は結構Gloomyである。

DeodatoのWarner時代の快作

Love_island_2 "Love Island" Deodato (Warner Brothers)

Deodatoと言えば,今も昔も「ツァラトゥストラ」が代表曲になってしまって,キワモノ的扱いを受けてしまうのがこの人の不幸なところである。しかし,私は彼のライブ盤を昨年のベスト盤の1枚に推しているぐらいだから,本質的には私はDeodatoが好きなのである(苦笑)。本作は,1978年のDeodatoのWarner移籍第一作としてそのDeodato本人とTommy Lipumaの共同プロデュースにより制作された軽快なフュージョン・アルバムとして,非常に心地よい感覚を残すアルバムである。

冒頭の"Area Code 808"のギターによるリズム・カッティングからフュージョン好きにはゾクゾクするような期待感を抱かせる。全編に渡ってDeodatoらしいメロディ・ラインやストリングスが楽しむことができるこのアルバムは,Deodatoがクラシック音楽のアダプテーションだけのミュージシャンではないことを多くのリスナーに認識させるものである。

タイトル曲の"Love Island"や"San Juan Sunset"に顕著な何ともユル~いグルーブ感で"Take the A Train"をカバーするのも凄いが,このサウンドはある意味麻薬的であり,Deodatoならではのテイストとして再評価に値するものと言えるだろう。尚,3曲目の"Tahiti Hut"はEW&FのMaurice WhiteとDeodatoの共作であるが,ここだけがいかにもEW&Fっぽく"That's the Way of the World"的になってしまうのはご愛嬌。逆に言えばEW&Fの曲の個性はそれだけ強かったということにもなって,妙に感心してしまった。

Deodatoなんぞもう過去の人という感覚もあるが,30年前(!)のこの作品を聞いて,その心地よさはあまり時代なんて関係ないなぁとつくづく思ってしまった。こうした音楽に心地よさを感じるのは私のような中年以上かもしれないが...。星★★★★。

ところで,このアルバムには"Pina Colada"という曲が入っているが,それを「パインのコーラ」と訳すセンスは頂けないというか,そんなもんカクテルの名前に決まっとろうがと思わず言いたくなってしまった。こうなると一般常識の問題である。

Personnel: Eumir Deodato(key, vo, perc), Larry Carlton (g), George Benson(g), John Tropea(g), Al McKay (g), Ray Gomez(g), Pops Popwell (b), Harvey Mason(ds), Rick Marotta(ds), Joe Correro(ds), Philip Bailey(perc), Ray Armando(perc), Jimmy Maelen(perc) and Others

2008年3月20日 (木)

Duke Jorda:和みのピアノ・トリオ

Flight "Flight to Denmark" Duke Jordan (Steeplechase)

私の友人の「理屈庵」さんがブログで取り上げていたので,便乗してというわけではないが,この作品を取り上げることにした。

本作はDuke Jordanの数あるSteeple Chaseレーベル吹き込み盤の中でも屈指の傑作と評価すべきものである。はっきり言って演奏にスリルはない。その代わりと言ってはなんだが,なごみとくつろぎが音楽から溢れている。Duke Jordanのここでの演奏を聞いていると,よい意味での「枯れた味わい」が楽しめる。だって,もともとファンキーな曲であった「危険な関係のブルース(No Problem)」が,ここでは極めて落ち着いたトーンで演奏されているのである。なんだか別の曲のようだと言われてしまえば,そう言えるほど違っている。また,ワルツで演奏される"Glad I Met Pat"はDuke Jordan版"Waltz for Debbie"とも称するべき可憐なメロディである。その他の曲もナイトキャップのBGMとして最適なトーン,リズムで演奏されるがゆえに,ジャズ喫茶の往年の人気盤となったのもうなずける話である。

また,オリジナル以外のスタンダードもナイスな選曲がたまらない。"Here's That Rainy Day"や"On Green Dolphin Street"をこんなトーンで弾かれて参らないわけがないのである。しかしながら,Jordanはライブになると,必ずしもここで聞かれるようなトーンではなく,往年のようなフレージングをシングル・トーンで展開していたりするから,このアルバムがJordanとしては異色と考えるべきなのかもしれない。あるいはコペンハーゲン録音がJordanに何らかのケミストリーをもたらしたと言うべきか。

日頃,ゴリゴリのジャズも愛好している私だが,このように聴いていてほっとするジャズがあってもいいし,本作が私の長年の愛聴盤であることには何の変化もない。私は本作をずっとLPで聞いているが,はっきり言って,現在発売されている一部のボーナス・トラック入りCDには何の魅力も感じない。この並び,この曲数だからこそこのアルバムはいいのである。よって,今後私がこのアルバムをCDで買い直す時にもボーナス・トラックはいらんと宣言しておきたい。(それがどうしたっ!)

いずれにしても本作は初心者にもベテランにも愛されるべき好盤である。星★★★★☆。

Recorded on November 25 and December 2 in Copenhagen

Personnel: Duke Jordan(p), Mads Vinding(b), Ed Thigpen(ds)

2008年3月19日 (水)

Pedro Aznarの声はやはり素晴らしい

Aznar "En Vivo" Pedro Aznar(Tabriz)

Pedro Aznarと言えばジャズ・ファンにとってはPat Metheny Groupでの活動を通じてメジャーになったと言って間違いのないところである。PMG諸作で聞かせたAznarの声はそれは素晴らしいものであったわけだが,これは本国アルゼンチンでのコンサートの模様を収めたライブ盤である。

私はAznar個人の音楽について詳しく知っているわけではない。昔,Pat Methenyが参加したソロ・アルバムを買ったことはあるが,何だかピンとこなくてもう何年も聞いていない。そういう意味ではやはりPMGにいるからこそAznarは光ると思っていたが,このアルバムを聞いてその認識を改めざるをえなくなった。以前に聞いたソロ・アルバムよりはるかにいいのである。聴衆は熱狂的に反応しており,一部の曲では一緒に歌っているわ,手拍子は打つわと盛り上がっている。こうした演奏を聞くと,Aznarの本国での立ち位置がよくわかるような気がする。つまり彼はジャズ・フィールドの人ではなく,あくまでもポップ・フィールドの人なのである。そうした点を鑑みれば,本来の音楽性はそうした人なのである。

そうは言っても,PMGの時に聞かせたAznarの美声は健在である。ここではクァルテットという小さい編成で,Aznarが優れたヴォーカルとベースの演奏技術(マルチ楽器奏者と言われるAznarの主楽器は実はベースなのである)を示すとともに,ゲストを迎えてときに賑々しく,ときに渋く,ときに楽しい演奏を聞かせる。Aznarの弾くベースもコーラスをきかせたり,フレットレスを使ったりと多彩である。本当に大したミュージシャンではないか。

いずれにしても,アルゼンチンだからと言ってラテン一本槍の演奏ではないから,一般の音楽のリスナーにも十分受け入れられるはずである。値段も手頃なので,入手までは時間が掛かっても聞いてみる価値はあると思う。星★★★★。それにしてもIvan Linsの"Septiembre"にしろ,Lennon/McCartneyの"Julia"にしてもはまり過ぎである。たまらん。

Recorded Live at Teatro nd Ateneo on August 9 &10, 2002

Personnel: Pedro Aznar(vo, g, b, perc), Aleandro Deviries(key, perc, vo), Diego Clemente(g, woodwinds, vo, perc), Facundo Guevara(perc) with Guests: Angela Irene, La Chilinga, Mono Fontana, Lito Epumer and Charly Garcia

2008年3月18日 (火)

Dave Liebman恐るべし。このブートも恐るべし。

Liebman_boot_2 "Bremen 1974" Dave Liebman(Megadisc) 

先日お知らせしたDave Liebmanのブートレッグが届いた。Milesバンド脱退後の1974年,Lookout Farmによる演奏である。この前も書いたが,こんなものまでブートが出るというのは信じられない。ニーズがあるから出るのか,あるいはブートレッガーが「この音源を出さねば」という義務感で出すのか理解できないレベルである。まぁ後者であるわけはないが...。それでもこういう音源が突如として現れてくるところにブートの奥深さがあると言えよう。なんだかジャケもカッコよく見えてくるぞ。

Lookout Farmと言えば,以前3枚組のMosaic Selectで1976年のKeystone Kornerにおけるライブ未発表音源が発売されたことがある(残る2枚にはLiebman~BeirachのデュオとQuestが収録されている)。それはそれで無茶苦茶いけていたのだが,今回の演奏の切れ具合も尋常ではない。私はこのアルバムを購入するに当たって,ブート・ショップのサイトにアップされていたサンプル音源2曲を聞いただけなのだが,それで即購入決定である。それぐらい凄いと思った。

まずこのアルバムを聞いていて思ったのはMiles的な響きである。曲の流れ(アレンジ的なものと言ってもよい)もそこはかとなく漂うMiles的なサウンド。リズムはMilesバンドほどファンクではないが,やはりLiebmanとしてはMilesバンド脱退後それほど時間が経っていないということもあり,その影響がまだまだ色濃く残存しているように感じる。しか~し,そんなことははっきり言ってどうでもよい。

Liebmanは冒頭の"Fire Flies"から過激に吹きまくるし,"Lookout Farm"でのドラムスとのデュオ・パートでは"Interstellar Space"化している。BeirachはECMでソロ・アルバム"Hubris"を吹き込んだのと同一人物とはとても思えぬ激しい弾きっぷりで,まるでLost QuintetのChick Coreaのようでもある(それがまたMiles的響きを生んでいるかもしれない)。さらにそれをバスドラを多用して煽りまくるJeff Williams。一人ベースのTusaだけが割を食っているような気もするが,うーむ,これはハイブラウなエレクトリック・サウンド好きにはたまらん世界である。

ちなみにDisc2の1曲目は"Chelsea Bridge"であるが,原曲をほとんどとどめないようなかたちにフェイクされている。こういうところもLiebman的と言ってもよいかもしれない。いずれにしてもあらゆる観点でDave Liebmanのファンは必聴。音質もおそらくは放送音源で全然問題なしである。若干ノイズが入る部分はあるが,ほとんど気にならない。こういうブートはちょっとぐらい高くても全然問題ない。その筋の好きものはすぐ注文すべし。星★★★★★。

このブートを聞いて,またMosaic盤が聞きたくなってしまったが,気持ちに逆らわずしばらくはLiebmanに身を委ねることとしよう。あ~,あけてもくれてもLiebmanでは発狂しそうである。

Recorded Live in Bremen on September 16, 1974

Personnel: Dave Liebman(ts, ss, fl), Richie Beirach(key), Frank Tusa(b), Jeff Williams(dr)

2008年3月17日 (月)

Jerry Bergonziがスタンダードを吹くと...

Nuttree "Standards" The Nuttree Quartet (Kind of Blue)

このアルバムを発売したKind of Blueレーベルの作品としては以前「主流派になった(?) Bobby Hutcherson」として"For Sentimental Reasons"というアルバムを取り上げたことがあるが,それはそれで楽しめる作品で,この新レーベルについての個人的な注目が若干ながら上がっていた。Webサイトをよくよく見てみると本来はスイスのレーベルらいしいが,録音にもこだわった姿勢を打ち出したレーベルである。いずれにしてもポリシーのしっかりしたレーベルは強い。しかし,本作はそんなことは関係なく,完全にメンツでの関心が購買意欲を高めてしまったアルバムである。既にほかのブロガーの皆さんも取り上げていて,こうしたメンツには注目している人が結構多いのだなぁと思うところ大である。注文してから入手するまで若干時間は掛かったが,まぁまだ新譜として扱って問題ないだろう。

John Abercrombieは以前からオルガン入りのトリオというフォーマットで録音を残しており,古くはJan Hammer,次いでDan Wallときて,今回はGary Versaceであるが,よほどこのフォーマットが気に入っているのだろうと考えてもよい。そして,今回の目玉はそこに加わるJerry Bergonziである。そのメンツでスタンダードを演奏するのだから,これはやはり注目して然るべきものである。

演奏の方はと言えば,"Footprints"なんて熱いもので嬉しくなってしまうが,全体的には結構クールな感覚で,比較的淡々と演奏しているという感じ(Versaceのオルガンのトーンのせいかもしれない)だろうか。かつ選曲も"Standards"と謳いながら,所謂大スタンダードとは若干異なるものであり,そのあたりにこの人たちのポリシーを感じるように思える。ライナーを読んでいる限り,このセッションの言いだしっぺはドラムスのNussbaumのようだが,こういうセッションならまたやってくれいと言いたい。痺れるような感覚はないが,これはこれで楽しめるアルバムであり,酒のともともなりえよう。星★★★☆。最後の"Naima"にはしみじみさせられてしまった私である。

一点惜しいなぁと思うのは,"Israel"をBergonzi抜きで演奏しているのだが,ここはテナーとギターのユニゾンが聞きたかったような気がするのは私だけだろうか?

Recorded in February 2007

Personnel: John Abercrombie(g), Jerry Bergonzi(ts), Adam Nussbaum(ds), Gary Versace(org)

2008年3月16日 (日)

懐かしの"Frampton Comes Alive"

Frampton_comes_alive "Frampton Comes Alive" Peter Frampton(A&M)

「懐かしの」という表現しか思い当たらないメガ・ヒット・アルバムである。何せ全世界で1600万セットが売れたということだからこれは凄い。しかし,「懐かしの」と言っても個人的な話ではない。あくまでも時代感としての話しである。何分,私はこのアルバムからのスマッシュ・ヒット"Show Me the Way"以外にこれまで聞いたことがなかったのだが,中古でDeluxe Versionを拾って,初発から30有余年を経てこのアルバムを聞いたのであって,実は個人としては懐かしいもへったくれもないのである。

しかし,このアルバムがなぜあれだけバカ売れしたのかは今もって不思議であるが,要はこのわかり易さが万人に受けたのであろうことは想像に難くない。これほどストレートで癖のない演奏ならば,老若男女にとって取っ付きやすいのである。

それでもって音楽の方だが,ポップ・センス溢れるロック・アルバムと言えるが,私が感心したのは"Wind of Change"から始まるアコースティック・セットで演じられる曲群である。なかなかよい曲を書くものだと思わされてしまったが,このあたりが人気を呼んだ一因かもしれない。私はそもそもシンガー・ソングライターによるアルバムも愛好しているので,こうした演奏は私の心の琴線に触れてしまうのである。

いずれにしてもこのアルバムはいくつかのロケーションで録音された演奏を組み合せており,場所によって雰囲気は異なるが,San Francisicoの聴衆の熱狂ぶりが凄まじく,人気あったんだねぇと思わせる好ライブ・アルバム。"Baby, I Love Your Way" に代表されるポップな感覚は悪くない。星★★★★。

Recorded Live in San Francisico, San Rafael, Long Island and Plattsburgh

Personnel: Peter Frampton(vo, g), John Siomos(ds), Bob Mayo(g, key, vo), Stanley Sheldon(b, vo)

2008年3月15日 (土)

ブート恐るべし。こんなものまで...

出張から帰ったもののバテバテである。飛行機は遅れるわ,飛行機を待つ間に酒は飲みすぎるわで結構きつい。ということで,本日はCDのレビューをする体力は残っていないが,寝る前にちょいとネット・サーフィンをしていて驚いてしまった。某ブート・ショップでDave Liebmanの1974年ブレーメンでのLookout Farmとしてのライブが発売されているではないか。しかも2枚組。

Dave Liebmanについては先日"Pendulum"再発に関する記事を書いたばかりでなんだが,やっぱりこれは見逃せない。追々ブツをゲットしたらレビューをしたいと思う。

とは言うものの今日は完全な「開店休業」モードの私である。

2008年3月14日 (金)

クールなケムール人

Photo 本日は出張中である。音楽のレビューを書こうと思っても、ちゃんと音楽聞いてないぜというモードなので、今日は気分転換にウルトラQネタである。

ウルトラQにしろ、ウルトラマンにしろ、ウルトラセブンにしろ、昔の円谷プロの番組には人気キャラがたくさんいたよなーと思う。よって、ウルトラQがDark Fantasyとしてリメイクされたときにも人気キャラは再登場した(あるいはトリビュート・モードでオマージュを捧げられた)わけだが、私の中でウルトラQと言えばやはりケムール人である。着ぐるみに入っているのが古谷敏(もちろんウルトラマンであり、アマギ隊員であると同時にラゴンでもある)というのもなるほどというかさもありなんというプチネタである。いずれにしても多くの人がケムール人走りを真似したであろうことは間違いないところと思うが、それとともに私にとって忘れられないのは、万城目淳役の佐原健二の耳ピクピクである(わかる人にはわかる)。

でもやっぱりということでは、このエピソードでも後の「あけてくれ」でもMVPは柳谷寛以外にはないだろう。何ともユニークなおっちゃんであった。

ということで今日はなんだかなーというネタだが、こういう日もあるのだ。ちなみにケムール人の「おーほっほっほ」みたいな発声は後の「笑うセールスマン:喪黒福造」のモデルではないかと思うのは私だけだろうか。ちょいとマニアックでしたかね。

2008年3月13日 (木)

これが本当の婦唱夫随?

Fleurine_san_francisco "San Francisco" Fleurine(Sunnyside)

Brad Mehldauの奥方,Fleurineのアルバムが出た。今回も旦那のMehldauが3曲のみながら参加しているので,早速聞いてみた。今回のアルバムはブラジリアン・テイスト溢れるものであり,ある意味Fleurineにとっては新機軸と言ってもよいだろう。要はブラジルの曲に,Fleurineが英詞を付けて歌うというのが今回のコンセプトである。それもかなり編成を絞ったブラジリアン・アルバムなので,リズム的な興奮を求めると肩透かしを食うが,そんな編成でもブラジルのフレイバーが出てくるところが,ブラジル音楽の凄いところである。

Fleurineには申し訳ないのだが,正直なところ,私の関心はあくまでもBrad Mehldauのプレイということになってしまっていたのだが,Mehldau参加の3曲が一番ブラジルっぽくないというのがこのアルバムの特徴と言えるかもしれない。ある意味,ここでの演奏はまさにMehldauぽいのであるが,"The Roses"以外の2曲はブラジルと全然関係ないかのように響くのはやや問題があるようにも思える。Mehldauとブラジルと言えば,Vinicius Cantuariaのアルバムにも参加していたが,そこでも確かにブラジル風味は乏しかったようにも思えるしなぁ。ということで,Brad Mehldauはブラジル音楽(あるいはリズム)の演奏が苦手なのではないかという仮説も成り立つのであるが,まぁ何でも器用にこなす万能プレイヤーよりも,際立つ個性を見せる方がいいかということにしておこう。こういうのをファンの贔屓目と言う(と開き直る)。

むしろ,このアルバムではFleurineがちゃんとブラジル音楽と向き合っていることに好感をおぼえてしまい,これをまさしく「随」と呼びたくなってしまったのである。Fleurineの頑張りを評価して星★★★★。プロデューサーと渋いバッキングを見せたChico Pinheiroにも拍手。

Recorded on February 12-14, 2007

Personnel: Fleurine(vo), Brad Mehldau(p), Chris Potter (sax, a-fl), Freddie Bryant(g), Chico Pinheiro (vo, g), Doug Weiss(b), Gilad (perc), Erik Friedlander (cello)

2008年3月12日 (水)

Dave Liebmanの"Pendulum"ついに再発か

以前,このブログで取り上げたDave Liebmanの"Pendulum"は何とも素晴らしい力作ライブ盤(久々に聴いた"Pendulum")であるが,長年廃盤の憂き目にあってきた。しかしである。Mosaic RecordsのWebサイトには次の記述が...

Mosaic Select: Pendulum

In February 1978, saxophonist Dave Liebman assembled a formidable quintet with trumpeter Randy Brecker, pianist Richie Beirach, bassist Frank Tusa and drummer Al Foster. The gig was recorded and one stunning album was released on Artists House. Liebman recently revisited those tapes and has come up with 3 CDs of hard bop heaven with scorching versions of "Solar", "Well, You Needn't", "Blue Bossa", "Impressions" and more.

ということは,大量の未発表曲を含んだCD3枚組として同アルバムが再発されるということである。これはLee MorganのLighthouse3枚組にも匹敵する快挙と言ってよいのではないか。Dave Liebmanファンは要注目,かつMosaic Recordsに感謝せねばなるまい。あとはちゃんとリリースされるのを期待するのみである。いつ出るのだろうか。上に書かれた曲目を見ただけでもわくわくしてきた。

http://www.mosaicrecords.com/genres.asp?dept=50

2008年3月11日 (火)

Charles LloydがJason Moran(!)を迎えたライブ作

Lloyd_2 "Rabo de Nube" Charles Lloyd Quartet(ECM)

リリース・ラッシュが続くECMレーベルから大ベテランCharles Lloyd(間もなく70歳である)がJason Moranを迎えてスイス,バーゼルで録音したライブ盤が出た。私はJason Moranの名前はずっと聞いていたが,音源はChristian McBrideのTonicでのライブ盤以外はまともに聞いた記憶がないし,日本ではメジャーにならない人だなぁ~ぐらいの意識しかない。しかし,本国では堂々たるBlue Note専属アーチストであるし,マンハッタン音楽院でも教鞭を取る人物である。だがMoranのピアノの師匠がJaki Byard,さらにはMuhal Richard Abrams,Andrew Hillにもピアノを習ったとあっては,「そういう」音楽性を受け継いでいると仮定すれば確かにメジャーにはなりにくそうではある。

そのMoranとCharles Lloydがいかなる理由で共演に至ったかはよくわからないのだが,そのMoran効果か冒頭からLloydが年齢を感じさせない演奏を聞かせている。Lloydは以前にもBrad Mehldauを共演に迎えたりして,世代の違うミュージシャンとの共演にも積極的であるが,今回もそうした共演がポジティブに機能していることを感じさせる演奏である。このスリリングな響きは明らかにMoranが持ち込んだものと評価できると思うが,これがかなりよい。リズムの2人もこれまた若いが,年齢差をものともしないLloydの挑戦心あるいはバイタリティは大したものである。そうは言いつつもLloydはいつも通りマイペースでソフトでゆったりと吹いているように聞こえるが,バックのリズム隊は結構激しく演奏している。Jason Moran,確かにAndrew Hill的にも響いており,フリーにはならないが,フリー一歩手前と言ってもよい瞬間も現れている。聴衆もかなり熱く反応しているのがビビッドに捉えられたライブ・アルバムと言えよう。

アルバムとしてはECM的な響きとは言えないが,これは優れたコンテンポラリー・ジャズ・アルバムとして評価してよい佳作だと思う。恐るべき老人,Lloydである。星★★★★。

尚,Charles LloydはMoran,Harlandを帯同し,4月に来日しBlue Noteに出演するようである。今のところはベースレスの編成で来ることになっているようだが,このアルバムを聞いた後ではかなり気になるところではある。

ところでこのアルバムの一部でLloydが吹いているTarogatoというのはソプラノ・サックスのような音を出すハンガリーを起源とするクラリネットの仲間の木管楽器だそうである。ブログをやっていると,いろいろ雑学も増えますな。

Recorded Live at Theater Basel on April 24, 2007

Personnel: Charles Lloyd(ts, a-fl, tarogato), Jason Moran(p), Reuben Rogers(b), Eric Herland(ds, perc)

2008年3月10日 (月)

名コンビSheila Jordan~Steve KuhnにゲストTom Harrellである

Little_song "Little Song" Sheila Jordan(High Note)

 

Steve KuhnとSheila Jordanは以前はSteve Kuhn Bandとして活動しており,ECMレーベルにも何作かレコーディングを残している。しかし,不思議なことにECM期のSteve Kuhnのリーダー・アルバムには廃盤のものが多いのはなぜなのか。オーナーのManfred EicherはRichie Beirachが気に入らず,彼のアルバムを廃盤にしている前科(?)があるので,何らかの裏事情があるのかもしれない。しかし,Steve Kuhnはその後もECMからはリーダー作を発表しているから,この理由は全く謎のままである。

 

それはさておき,Sheila JordanとSteve Kuhnの名コンビがHigh Noteレーベルからリリースしたアルバムの第二作(と思われる)である。ここでは当時のレギュラーのSteve Kuhnトリオが伴奏を務めるが,オリジナルとスタンダード,著名ジャズ・オリジナルを交え,相変わらずの歌唱と演奏を展開していると思う。冒頭の"Little Song-Black Bird"には思わずのけぞるものの,2曲目以降は期待の路線に戻るので安心をしてよい。この冒頭の"Little Song"はネイティブ・アメリカン(チェロキーだそうである)の血を引くJordanの出自を考えれば不自然ではないのだが,それでもやはり驚かされることには間違いない。

 

Sheila Jordanはその声質もあって,一般的なジャズ・ヴォーカルに比べて言えば,「あく」あるいは「くせ」のようなものが強く感じられるが,それがSheila Jordanの音楽性が世間一般のセンスとはやや離れているために大きくブレイクすることなく,ある意味では通好みの世界に留まっている理由のように思える。「一筋縄でいかない」と言ってもよいかもしれないが,だからこそこの世界にはまると抜けられないという要素があるのも事実である。それは酒や料理の世界にも通じるもののようにも思えるのである。

 

このアルバムでは4曲でTom Harrellが客演しているが,これが期待以上の好演で,ソロはどれもよいが,特にKenny Dorham作"Fairweather"でのフリューゲル・ホーンが素晴らしい。 やはり歌心に溢れた人である。"Autumn in New York"のピュアな感覚のフリューゲルもよい。それほど頻繁に聞くアルバムではないのだが,最近の私にとってはHarrell入りの4曲こそがこのアルバムの価値を高めていると言っても過言ではない。星★★★☆。

 

Recorded on June 3 & 4, 2002

 

Personnel: Shiela Jordan(vo), Steve Kuhn(p), David Finck(b), Billy Drummond(ds), Tom Harrell(tp, fl-h)

2008年3月 9日 (日)

特攻大作戦:汗臭さ,男臭さ満点の戦争映画

Photo 「特攻大作戦("The Dirty Dozen")」('67,米,MGM)

監督:Robert Aldrich

出演:Lee Marvin, Earnest Borgnine, Charles Bronson, John Casavetes, Clint Walker, Jim Brown, Terry Savalas, Robert Ryan, Donald Sutherland, George Kennedy

男っぽい映画を撮らせたら,この人に勝る人はいないのではないかと思わせるのがRobert Aldrichであるが,この映画(DVD版)も女っ気ほとんどなしのアクション・ムービーである。話は,極悪な軍内の受刑者を「恩赦」を条件に突撃部隊に仕立て上げるという無茶苦茶な話なのだが,それはそれとして非常に楽しめる映画で,さすがAldrichと言いたくなってしまう。

役者も個性派を揃えているが,主役のMarvinはもちろん,"Dirty Dozen"に扮する連中の中でも,Bronson,Brown等は完全に儲け役である。BrownはNFLのCleveland Brownsのランニング・バックから映画界に転じた人であるが,ちゃんとそうしたキャリアを感じさせるシーンまで準備してあるのはご愛嬌である。また,ファナティックな役を演じるTerry Savallasがあの頭もあって結構怖い(ちょっとやり過ぎにも感じるが...)。その中で,脇役ながら本当の儲け役はGeorge Kennedyである。この人は"Airport"  シリーズといい,本作といい,本当に儲け役が多い人である。ここまでいくと人徳と言ってもいいのではないかと思わせる。その一方で損な役回りはRobert Ryanであるが,「バルジ大作戦」との落差には驚いてしまう。ただ,こうした役柄でも受けるのがRyanらしいと言えばRyanらしいところか。

私は無意味に長い映画は好きではないので,この映画ももう少し編集で短くできそうなものという批判は可能である。特に最後の戦闘シーンはちょっと引っ張り過ぎという感覚は強いが,それでも150分という上映時間はこの映画なら許せるという感じであり,それぐらい面白くできている映画である。男っぽいアクション映画を見たい方には推薦できる映画である。但し,相当に汗臭くむさくるしいので,ご注意を。星★★★★。

2008年3月 8日 (土)

しみじみするEverything But the Girl

Acoustic "Acoustic" Everything But the Girl (Atlantic)

私がこのアルバムを買ったのはNYC在住中(それも帰国直前)のことである。Ben WattやTracey Thornのことは昔から知っていたが,バンドとしてのEBTGに目覚めたのは,ファンの間ではオーバー・プロデュース作としてあまり評判のよろしくない"Language of Life"でのことである。私はそこに入っている"Driving"に心底痺れていたし,そもそもそのアルバムにはTommy LiPumaプロデュースということもあり,Stan Getz(!)やMichael Breckerをはじめとするジャズ系ミュージシャンも結構参加していたのである。そうした流れで,次作"Worldwide"も聞いていたが,私をさらにディープに捉えたのがこのアルバムである。

何と言っても収録曲,特に冒頭5曲に収められたカバー曲が素晴らしい。Micky & Sylviaの"Love Is Strange",Bruce Springsteenの"Tougher Than the Rest",Cyndi Lauperの"Time After Time",Elvis Costelloの"Alison",Tom Waitsの"Downtown Train"ときてはこれはたまらん。それをしかも最小限の伴奏でやられては無条件降伏である。特に"Alison"が最高である。

このほかの曲はEBTGのオリジナルを基本的に2人だけでプレイするというのを原則としている(2曲のライブも含まれる)が,ここには先述の"Driving"のピアノ伴奏バージョンが入っており,これでまた私は参ってしまうのである。

とにかく歌がうまい人が,いい曲を歌えばそれだけでも悪いわけがないのである。しかもあのTracey Thornの声でやられては何をかいわんやである。本作はいつ聞いても私はしみじみあるいはほのぼのしてしまうし,EBTGのEBTGらしさが最もピュアなかたちで感じられるように思う。コアなファンには別の意見もあるが,実は私は彼らのアルバムでこれが一番好きかもしれない。ということで,皆さんにも聞いて欲しいという思いも込めて星★★★★★。

Personnel: Everthing But the Girl: Ben Watt (g, p, vo), Tracey Thorn(vo) with Steve Pearce(b), Damon Butcher(key), Martin Ditcham(perc), Dick Oatts(ss)

2008年3月 7日 (金)

なんともミスマッチなIsley Meets Bacharach

Isley_meets_bacharach "Here I Am: Isley Meets Bacharach" Ronald Isley & Burt Bacharach (DreamWorks)

先日奇跡的な来日を果たした米国ポピュラー音楽界の真の巨匠,Burt Bacharachであるが,私は仕事の都合がつかず,今回のライブに行くことができなかったのは痛恨事である。おそらく,この先日本で彼のライブを見る機会はもうあるまい。返す返すも残念である。

このアルバムはそのBacharachがIsley BrothersのRonald Isleyとコラボレーションしたものだが,Bacharachのアレンジに乗って,Isleyが数々のBacharachヒットを歌い上げるという作品である。伴奏はどこから聞いてもBacharach節と言うべきものなのだが,IsleyとBacharachの相性は若干微妙である。Ronald Isleyの声はファルセットを交えたスイートなものだが,そのボイスも節回しもBacharachのメロディとの相性がいいとは私には思えないからである。やはり私にとってはDionne WarwickこそがBacharachメロディに相応しいように思えるのである。これだけの名曲が揃っているのに,Isleyの声ゆえに私にとっては何とも居心地が悪いこと甚だしい。

バックの演奏の質は非常に高いので,Ronald Isleyには悪いが,私はこのアルバムは,彼の声を抜きにしてカラオケで出してもらいたいぐらいである。それか誰か別のシンガーに置き換えてくれと言いたい。これに比べれば,意外の極致だったElvis Costelloの方がはるかにBacharachとは合っていた。そういう意味ではCostelloは偉い。Bacharachの伴奏に免じて星★★★。

余談ながらRonald Isleyは現在脱税の罪で収監中である。やっぱりそういうところも含めてバブリーなのよねぇ。

Personnel: Ronald Isley(vo), Burt Bacharach(p, arr, cond), Jim Cox(key), Rob Shrock(key), Neil Stubenhaus(b), David Coy(b), Harvey Mason(ds), Vinnie Colaiuta(ds), John Robinson(ds), David Crigger(ds), Dean Parks(g), Ted Perlman(g), Dan Greco(perc), Gayle Levant(harp), Warren Luening(tp, fl-h), Gary Grant(tp, fl-h), Dave Duke(fr-h), Phillip Yao(fr-h), Brian O'Conner(fr-h), Dan Higgins(reeds), JS-Kandy(vo), Kim Johnson(vo), Josie James(vo), Donna Taylor(vo) with Strings

2008年3月 6日 (木)

Enrico PieranunziとKenny Wheelerの共演とあっては見逃せない

As_never_before "As Never Before" Enrico Pieranunzi /Marc Johnson/Joey Baron Featuring Kenny Wheeler (CAM)

私は結構な数のEnrico PieranunziのCDを保有してはいるが,ほとんどはピアノ・トリオ盤(あるいは数少ないがソロ,ベースとのデュオ)である。ホーン入りのアルバムははっきり言って一枚もないのである。それはやはりPieranunziとホーンの共演よりも,トリオでのPieranunziの方がらしいと感じるからにほかならない。しかしである。今回のようにPieranunzi~Johnson~Baronの黄金トリオに共演がKenny Wheeler,しかもワン・ホーンとあってはそんなことは言っていられない。ということで私にとってのホーン入りPieranunzi初アルバムである。

Kenny Wheelerと言えばピアニストでまず思い起こすのはAzimuthのバンドメイト,John Taylorである。そのJohn Taylorと言えば,本作をリリースしたCAMレーベルからこれまたナイスな゛Whirlpool゛を発表したばかりである。でもってそのCAMレーベルと言えば,最近のPieranunziのホームグラウンド・レーベルのようになっており,麗しいミュージシャンつながりが成立してくるわけである。ということで,いささか強引かもしれないが,WheelerがPieranunziと共演しても不思議はないと言えば言えないことはないのである。ついでに本作が録音されたLudwigsburgのBauer Studioと言えば,かつてECMの諸作が録音されたところであり,ECMはAzimuthの所属レーベルである。何とも不思議な因果を感じてしまう。

それでもって結果はと言えばこれが期待通りというか,期待を上回る出来という感じのナイスな作品である。本作は2曲が4人の共作,残りがPieranunziのオリジナルということで,作品としての性格は異なるのだが,Venusレーベルで出たEnrico Ravaの゛Renaisance"(あちらはスタンダード中心)を聞いたときの印象に近いものを感じた。基本的にミディアム以下のテンポでムーディ(と言ってもかなりビタースイートな感覚)に演奏されるのである。その中で,Pieranunziがいつもより強力なタッチに聞こえるのはホーン入りだからかもしれないが,それにしてもこれはよい。

ライナーではPieranunziがWheelerのECM作"Gnu High"をかなり持ち上げており,Wheelerからの影響を語っているのは意外だが,深読みすればKeith Jarrettからも間接的な影響があるのかもしれないと,今回のPieranunziのタッチを聞いていてふと思ってしまった。いずれにしても,私の嗜好にバッチリ合った演奏で,こういうアルバムに出会うと本当に嬉しくなってしまう。もう少し曲にメリハリがあってもいいかなとも思うが,それでも星★★★★☆。至福の1時間弱である。

Recorded on November 30 and December 1, 2004

Personnel: Enrico Pieranunzi(p), Marc Johnson(b), Joey Baron(ds), Kenny Wheeler(tp, fl-h)

2008年3月 5日 (水)

突如発売されたSteve Khanの94年のライブ盤は素晴らしい出来

Khan "The Suitcase" Steve Khan (ESC/55 Records)

Steve KhanのEyewitnessバンドのアルバムが,80年代初頭に当時のトリオ・レコード(だったはず)主導でリリースされたのは日本のジャズ界として誇っていい事実である。なんてたって,1stには「ドクター・スランプ」なんてお茶目なタイトルの曲も入っていた(本作にも収録されている)。とは言え,私はその当時LPを購入したものの,そのよさがわかっていたとは言えず,結局はLPを売り払ってしまったのは今となっては悔やまれる。今にして思えば,Khan~Jackson~Jordan~Badrenaって変なメンツながら,今なら音が目に浮かびそうだというのが,私も経験値を積んだということか。

そのSteve Khanの1994年のドイツにおけるライブが突如発売された。メンバーはEyewitnessのバンドメイトであるJacksonに,猛爆ドラマーDennis Chambersである。これはメンツを聞いただけでも思わず期待が高まってしまう。しかも1曲の演奏時間が長い。最短で5分強,最長で18分弱もある。どんなインタープレイが聞けるのかと思ってしまうではないか。

この2枚組はそうした私の期待を完璧に満たすものであり,私としては近年稀にみるギター・アルバムと思ってしまった。一聴するとWayne Krantzのように聞こえる瞬間もあるのだが,よくよく考えてみれば,時系列的にはWayne KrantzがSteve Khan的だったのだとこのアルバムを聞いてようやく納得したのである。ディスク1の1曲目から聞き覚えのある曲が登場し,それだけでもうれしいが,その後に展開される演奏も全編を通してよい。Jacksonとは当然としても,Dennis Chambersとのコンビネーションがこれまた素晴らしい。はっきり言ってDennis Chambersは何を叩かせてもうまいが,ここでもわかるとおり,Khanとの相性も相当よい。本当に大したドラマーである。

Dennis Chambersと言えばこんな逸話がある。Dennisは大したドラマーであるとともに,あの強面にもかかわらず,実は奥ゆかしいのを私は知っている。サックスとのBill Evansとのライブだったと思うが,私がライブ終了後,彼に"Hey, Dennis, you are the greatest"と話しかけたら本人は言下にそれを否定,私がそれに対して゛If not, you are the finest"と言ったら微笑んでいたのが忘れられない。人間としても謙譲の美徳を備えた人なのである。人は見かけによらない。

話が横にそれた。そうしたメンツに囲まれて,ここで展開されるKhanの演奏はベストに近いものと思われる。総じて演奏時間が長いので間延びする瞬間なしとは言わないが,これはかなりの傑作と私は評価する。特に私はディスク1の方を高く評価したい。トータルでは星★★★★☆。

ちなみに私が最後にSteve Khanを生で見たのは,今はなきNYCのBottomlineにおけるCarribean Jazz Proectの一員としての演奏だったが,悪い演奏ではなかったものの,テンションが高いとは言えないものであった。私としてはこういう演奏をライブで見てみたいと切望せざるをえない。

もう一つ,Steve Khanは基本的にライブは1回性のものであるから,ライブ・レコーディングは好まないとか言っているが,昔,Eyewitnessの六本木ライブ盤ってあったような。ちょっと言行不一致?とか突っ込みたくなってしまった(が本作の出来とは当然無関係である。あくまで余談です)。

Recorded Live at Stadtgarten Club, Koln, Germany on May 17, 1994

Personnel: Steve Khan(g), Anthony Jackson(b), Dennis Chambers(ds)

2008年3月 4日 (火)

ちょっと微妙なCorea~Burton最新盤

Chick_gary "New Crystal Silence" Chick Corea & Gary Burton (Concord)

最近のChick Coreaは何が起こったのかと言いたくなるぐらい精力的な活動をしており,CDも濫作と言ってもよいぐらいの点数が発表されている。でもって今回は盟友Gary Burtonとの久々のデュオである。しかもタイトルは"New Crystal Silence"と大きく出た。値段は手頃ながら2枚組の大作でもあり,ファンとしては期待が高まるのは当然である。

私はこのコンビが昔から好きで,このブログでも開設間もなくチューリッヒでのライブ盤を「チューリッヒの奇跡:Corea / Burtonデュオの最高傑作」として取り上げたことがある。そのライブ盤が,今でも彼らの最高作であるということに対する私の確信にはいささかの揺るぎもないところだが,今回の作品はどうだろうか。一聴して私はこの作品は彼らが弦楽クァルテットと共演した"Lyric Suite for Sextet゛同様に私にとって踏み絵のような作品だと感じてしまった。特にSydney Symphony Orchestraと共演したディスク1がそれに相当する。

私はこのデュオ・チームのかなりのファンではあるが,同じConcordレーベルから出た"Native Sense"がピンとこなかったこともあり,そろそろ2人の演奏にも限界があるのかなぁと思っていた。本作はそれ以来だから,随分と久し振りのデュオ・レコーディングではあるが,上記のとおり,ディスク1はオーケストラとの共演である。"Crystal Silence"が発表されたのが1972年だから,発表35周年記念の大イベントということなのだろう。それは誠にめでたい限りなのだが,このオケとの共演はさすがにやり過ぎのように感じるのである。オーケストレーションを担当したTim Garlandは健闘しているとは思うが,それでも私には"Too Much"なのである。同系楽器のデュオという最小ユニットが生み出す「編成最小,美的音楽性最大」のような点を魅力と感じる私にとっては,残念ながらこのオケとの共演の持つ意味は小さい。そういう意味でまるで武満徹の作品のような「抒情組曲」と同じような感覚をおぼえてしまったのである。

その点,ディスク2はデュエットによる演奏を収めたものだから,私にとってははるかにこちらのディスクの方が好ましいものである。それでも昔日の演奏にはもっと緊張感があったと思うが,ここで感じられるのは再会を喜ぶ姿であり,安心感のようなものである。悪く言えば手練れの演奏と言い換えてもよい。よって,私がチューリッヒ盤でもらしたような感嘆の吐息が出るとは言えないのである。

そうした点を踏まえれば,私にとってはChick Corea盤としては先日発売された上原ひろみとのデュエット盤の方がはるかに楽しめてしまったというのが正直なところである。ということで,悪くはないんだけど星★★★☆。まぁ好き嫌いの問題もあるが...。でもやっぱり微妙である。

Recorded Live at the Sydney Opera House Concert Hall on May 10 & 12, 2007(Disk 1) and Live in Molde, Norway on July 17, 2007 and in Canary Islands on July 13. 2007(Disk 2)

Personnel: Chick Corea(p), Gary Burton(vib), Sydney Symphony Orchestra conducted by Jonathan Stockhammer

2008年3月 3日 (月)

Brad Mehldauのソロ・ライブ:日本盤か米国盤か?

Mehldau_live_in_tokyo "Live in Tokyo" Brad Mehldau (Nonesuch)

私はBrad Mehldauのファンであることはこのブログでも何度も書いてきた。それもかなりのコアなファンである。Mehldau参加アルバムのコレクションという観点では,相応のレベルにあるはずである。だからと言って,既発音源を収録したコンピレーションまでありがたがって収集するつもりもないし,彼が参加したアルバムを盲目的に褒めちぎるということはしたくない。あくまでも,彼の参加した音源に興味があるのであって,そういう意味ではコレクターとしては大したことはない。また,私にも好みがあるし,アルバム全てが最高だなどということはありえないのである。

そうした私にとって評価するのに微妙なのが,すみだトリフォニーで収録されたこのソロ・ライブである。このアルバムは日本盤に限って収録曲がほぼ倍という拡大盤がリリースされているのだが,これは日本のファンにとっては誠に嬉しいことであることに異議はないし,私も当然日本盤を購入したクチである。少なくともオフィシャルな音源全てを聴きたいという欲求を持つ私のような人間にとっては当然の判断である。

しかしである。CDとして聴いた場合,2枚組がいいのか米国盤のように1枚ものがいいのかが実に難しいのである。私は次のような評価をAmazonのレビューにも書いたことがある。「演奏としては明らかにDisc2(特に後半)に収められた曲の方が優れており,Disc1には演奏に若干の生硬さが感じられる。また,プロデューサー(Brad本人である)としての視点に立てば,ともにNick Drake作の"Things Behind the Sun"で始まり,"River Man"で締める米盤の選曲,配列の方がおそらくは望ましかったのではないかと思える。収録された演奏はそれぞれ優れているものの,実際のライブと異なる鑑賞音楽としてのCDメディアでは,ピアノ・ソロで2枚組は冗長な感はぬぐえないというのが正直なところである。Brad Mehldauのコンプリート・コレクターを目指す評者は,立場上迷わず国内盤を購入したが,一般的なリスナーには米盤を推すべきと考える。 」

今となっては負け惜しみなのだが,私はこのライブの場に行っていない。何で行かなかったのかはよく覚えていないのだが,多分仕事の都合がつかなかったということであろう。私はBrad Mehldauのソロ・パフォーマンスは,確か100 Gold Fingersで来たときのソロ公演で,東京岩本町のTUCで見たことがあるのだが,私がMehldauのディープなファンと化したのはそのときのライブ以来だから,すみだトリフォニーに行かなかった(行けなかった)のには「それなり」の理由があったはずである(すみだとTUCの落差ゆえに行かなかったのかもしれないが...)。それでも,2枚組の日本盤に収められた音源を聞いていると,上記のような感想になってしまうのである。

たとえそうだとしても,このアルバムにはBrad Mehldauらしい音楽が十分発揮されているのは勿論のことであるし,日米盤のどちらを買っても損することはない。ちなみに私は日米盤の両方を保有しているが,これも家人からすれば病気だと言われるのだろうなぁ。星★★★★。

Recorded Live at すみだトリフォニー・ホール on February 15, 2003

Personnel: Brad Mehldau (p)

2008年3月 2日 (日)

キャリア上でもDavid Sanbornのかなりの異色作

Sanborn "As We Speak" David Sanborn (Warner Brothers)

「ささやくシルエット」である。本来アルトを主楽器とするDavid Sanbornのキャリアの中で,ソプラノ・サックスが占める比率やMichael Sembelloとのコラボレーションによるボーカル曲のポップさなどの点で,相当の異色作と言ってもよい作品である。これはプロデューサーがStevie Wonderとも縁の深いRobert Margouleffということもあるかもしれない。しかしここに収録されて楽曲のクォリティの高さは素晴らしいのである。

"Straight to the Heart"や"Rain on Christmas"は本業のアルトで朗々と歌い上げる一方,アップビートな"Port of Call"や"Rush Hour",更にはSembelloのボーカルによる2曲と,バラエティに富んだ内容である。83年に映画"Flashdance"のサントラで"Maniac"をヒットさせる前のSembelloはギターでも全面参加し,Marcus Miller(b),Omar Hakim(ds)との鉄壁リズム・セクションを形成しているが,アルバムを通じてほぼ同一のメンバーで演奏されているというのも,演奏のタイトさを生み出している。70年代のSanbornの諸作には時代を感じさせるものが多いが,本作は発売から四半世紀以上を経て古さをそんなに感じさせないのは立派である。これに比べれば,Sanbornのこれ以前のリーダー作なんぞ古臭くて聞いていられないと言っては暴言か。でも私はあまり聞かないのは事実なのである。

それでも,このアルバムが最もSanbornらしいかと言えば決してそんなことはない。これはかなりよくプロデュースされた作品ではあるが,Sanbornの本質を追うならば,この作品は一番には薦めない。SanbornのSanbornたる所以を聞くならば,例えばMichael Franksでも誰でもいいのだが,Sanbornが奏でる歌伴でのソロやオブリガートに耳を傾けるか,Gil Evansの゛Priestess゛でのソロこそ傾聴すべきである。

正直なところ,こうした音楽はある意味Sanbornでなくてもできる世界なのかもしれないというところだが,しかし,SanbornフォロワーのNelson RangellやChris Hunterではここまで作品全体のクォリティを高く維持することは難しいだろう。そうした意味でDavid Sanbornは大したプレイヤーなのである。星★★★★。

Personnel: David Sanborn(as,ss), Omar Hakim(ds), Marcus Miller(b). Michael Sembello(g, vo), Don Freeman(key), Paulinho da Costa(perc), Buzzy Feiton(g), Goeorge Duke(key), Lance Ong(key), Bob Mintzer(b-cl), Bill Evans(sax), James "Sugar Bear" Skelton(org), Spike(key), Robert A. Martin(fr-h), Cruz Baca Sembello(vo)

2008年3月 1日 (土)

出張中に見た映画(7):08/02編

Photo_2 "象の背中" ('07,松竹)

監督:井坂 聡

出演:役所広司,今井美樹,井川遥,岸辺一徳,高橋克実,益岡徹,伊武雅刀

昨日,今井美樹のアルバムをアップしたからというわけではないのだが,これも先日の短期海外出張の折に飛行機で見たものであるが,これはある意味いたたまれない映画である。

余命半年を宣告されたサラリーマンが延命治療ではなく、人生を全うすることを選択する姿を描いたものだが,自分が余命半年と言われたらどう反応するかは別として,癌で逝った私の父のことを思わず想起してしまう瞬間があったからである。だが,いたたまれないと言っても,この映画の前に見たのが「フラガール」で,それでとんでもない大泣きをしてしまったものだから,はっきり言って私の涙はこの映画を見ているときには枯れてしまっていて,残念ながら全く泣けなかった。

泣けないだけでなく,この映画には文句のつけようがいくらでもある。特にシナリオはいただけない。日に日にやつれる役を演じる主役の役所広司は,メイクのせいもあろうが,相当体重を落とさない限り,あの病人感は出せないだろうと思わせるほどである。根性あるなぁとは思ってもそれだけである。一方,何てことはない役だが,結構いい感じだったのは井川遥であり,男優助演陣である。

今井美樹は余命いくばくもない夫を抱えている割に綺麗過ぎるし,悲壮感も漂っていないのはなんだかなぁという気もするが,十分にお美しい限りである。大学生や高校生の娘がいるオバチャンにしては体型が維持され過ぎなのは現実感に乏しいのである。家族に病気の人間を抱えるということがいかに辛いのかということが,全く伝わってこないし,こういうのは綺麗事の世界だと言っておこう。

まぁ,もちろんフィクションなのだからと割り切ってそう難しいことは言わなくてもよかろうが,やはりこれが現実なら,こんなに甘い世界ではないだろうなぁということで,このあたりが原作 秋元康と聞いてさもありなんと思ってしまった。星★★☆。この映画を見て感動できる人はある意味幸せな人である。

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