Nik Bartsch's Ronin:新しいミニマル・ミュージック
"Holon" Nik Bartsch's Ronin (ECM)
スイス出身のNick Bartschのグループ"Ronin"によるECM第2作である。彼らの音楽はミニマル・ミュージックがより明確なリズム・アプローチを持ったものという感覚が強いのだが,実は私はReichやRiley等のミニマルも好きなので,こういう音楽は一度はまるとなかなか抜けられない世界である。ということで彼らのECM第1作"Stoa"も私は結構好きだったが,その第2作とあっては当然飛びついた私である。
ECMのWebサイトにもあるとおり,Bartschは以前日本に滞在していたこともあり,グループ名"Ronin"はまさしく「浪人」を意味したものらしいが,だからと言って日本的な感覚があるかというとそんなことは全くない。
今回の作品は前作よりもややミニマル度が低下しているようにも感じられ,全編でよりリズミックでスリリングな感覚が増しているようにも思える。曲によってはロック・ビートを感じさせるし,特に2曲目の"Modul 41_17"や3曲目"Modul 39_8"の一部に顕著であるが,それでもこれはまだまだミニマルな世界であることに間違いはない。しかし,これが相当カッコいいミニマルなのだ。
ミニマル・ミュージックは興味がない人には何が面白いかわからない世界だと思うのだが,何も考えず身を委ねるというのが私のやり方である。しかし,ここで展開される音楽は決して環境音楽ではないので,若干違う聞き方(ちゃんと鑑賞もできるということである)が必要かもしれないが,それでも私はこれって好きだなぁ。これからもこの路線で作品を発表し続けて欲しいものであるが,ライブってやるんだろうか。やるなら見てみたいグループである。尚,Bartschは前作ではRhodesも弾いていたが,本作ではピアノに専念している。もちろんピアノだけでもクール度が上がって全く問題ないが,Rhodes好きの私は次作ではRhodesをまた弾いて欲しいなぁ。星★★★★。
Recorded in July 2007
Personel: Nik Bartsch(p), Sha(b-cl,as), Bjorn Meyer(b), Kaspar Rast(ds), Andi Pupato(perc)
« 長大な綾辻ワールドの行き先は... | トップページ | Lizz Wrightを初めて聞いた »
「ECM」カテゴリの記事
- 出来のいいピアノ・トリオだが,ECM色は希薄なSteve Kuhnの新譜。でもこれはよい。(2012.05.18)
- 明らかに変化が生じたKeith Jarrett(2011.11.15)
- Marcin Wasilewski:何ともECM的なECMレーベル作(2008.01.26)
- Tim Berne:正調フリー・ジャズか,はたまた現代音楽か?(2012.02.15)
- Tord Gustavsenの新譜はECMファンがはまること必定。(2012.02.11)
「ジャズ(2008年の記事)」カテゴリの記事
- S.M.V.:丁丁発止という感じではない(2008.08.28)
- 意欲作=傑作とは限らない(2008.11.12)
- 吹きまくりのStefano Di Battista(2008.06.08)
- 異色の共演?Tim Hagens vs. Marc Copland(2008.04.20)
- 渡辺香津美のロックごころ爆発(2008.07.30)
「新譜」カテゴリの記事
- 入手には手間取ったが,待った甲斐もあったMarc Coplandの新作(2012.05.24)
- 保守化した感じが気になるBranford Marsalisの新作(2012.04.17)
- いくらGeorgeが好きでもさすがにこれだけでは...(2012.05.22)
- 何だかなぁ~のSantanaの新作(2012.05.21)
- S.M.V.:丁丁発止という感じではない(2008.08.28)
コメント
トラックバック
この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/198475/17909493
この記事へのトラックバック一覧です: Nik Bartsch's Ronin:新しいミニマル・ミュージック:





































































とてもスタイリッシュな音楽ですね。ビートを抽象化して、身体性を剥奪したような感じ、が別の気持ちよさを作っている、ように思います。頭を空っぽにして聞いていると、どこかに連れて行かれるような、仰せのような麻薬的な音楽ですね。
投稿: ken | 2011年11月20日 (日) 20時06分
kenさん,こんばんは。そうなんですよねぇ。ミニマルの気持ちよさってあるんですよね。それはテクノの連続性と相通ずる部分があるかもしれません。これがECMから出たことには驚きましたが,今やRicardo Villalobosまで出てますから,ECMというのは凄いレーベルだと思わざるをえません。
投稿: 中年音楽狂 | 2011年11月20日 (日) 23時29分