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2015年おすすめ作

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2008年2月29日 (金)

今井美樹が7人のピアニストとデュオでしっとりと

Photo "I Love a Piano" 今井美樹(Virgin/EMI)

これは驚いた。今井美樹が7人のピアニストとしっとりとデュオでセルフ・カバーを歌い上げたミニ・アルバムである。私は最近の今井美樹に関心があるわけでもなかったのだが,とある雑誌で見掛けて気になったものを購入したものである。これが予想以上によかった。こういうのは何とも嬉しくなってしまうが,相変わらずの透明感溢れるヴォイスではないか。

昔は彼女のベスト盤,"Ivory II"は結構愛聴していたぐらいだから,私は今井美樹は以前からそれなりに好きである。それでもアルバム単位ではずっと買っていないし,ライブに行っているわけでもないから,ファンとまでは言えない人間である。それでも,彼女が役者の余芸というにはあまりに素晴らしい音楽センスを持っていることは"Ivory II"でも承知はしていた。

しかし,ここまでしっとりと歌い上げられてしまうと,私程度の人間でもある意味感動させられてしまう。個人的には曲が全部いいとは言わないし,バックのピアニストも盤石とは言えない。特に武部聡志なんて明らかにオーバー・プレイイングである。それでも,全体的に見ればピアノ伴奏は相応によいが,それを上回る今井美樹の声にやられてしまうのである。

で,なんでジャズのカテゴリーかと言えば,それは小曽根真が参加しているからである。大野雄二や塩谷哲もそうしたカテゴリーに入れてもよかろうが,ここでの小曽根は控え目ながら適切なバッキングで,非常に好感が持てる。しかしそれ以上に参ってしまったのが大野雄二との共演による「ルパン3世 愛のテーマ」である。私のような世代には何とも懐かしい曲だが,これはジャズ・フレイバーに満ちた名曲である。もちろん,歌唱自体にはジャズ的な感覚は希薄なのだが,こうした要因もあって,ジャズのカテゴリーも追加した。尚,塩谷哲とやった期待の゛PRIDE゛は残念ながらオリジナルを上回っているとは言えない。しかし,過剰な期待を掛けなければ,これもまたよしであろう。

いくつか文句を言いたくなる部分があるとしても,暫くヘビー・ローテーションしたくなるアルバムである。星★★★★☆。

Recorded between November, 2007 ~ January, 2008

Personnel: 今井美樹(vo),河野圭(p),小曽根真(p),武部聡志(p),倉田信雄(p),川江美奈子(p, vo),大野雄二(p),塩谷哲(p)

2008年2月28日 (木)

Tim Hardinまで紙ジャケで出るとは...

Tim_hardin "Tim Hardin 3: Live in Concert" Tim Hardin (Verve/Forecast)

 

最近は付加価値をつけるために何でも紙ジャケで出せばいいというような風潮だが,Verve/ForecastレーベルのTim Hardinの諸作までが紙ジャケットで再発されたのには驚いた。Hummingbird以来の椿事と言っては言い過ぎかもしれないが,それにしてもである。

 

私はTim Hardinの"Bird on a Wire"をこよなく愛しているので,その延長線上でTim Hardinのアルバムを仕入れてきたわけだが,ずっと入手が難しい状態が続いていたので,今回のような再発は歓迎すべきことなのだろうと思う。ただ,このアルバムを入手するのに大枚はたいた身としては若干微妙というのも事実である。

 

しかしである。私が結構高値で買ったChorociclesレーベルからのこのライブ・アルバムの再発CDには未発表曲が4曲入っているが,今回の紙ジャケット盤には含まれていないのは一体どういう理由なのだろうか。同時にリリースされたその他のアルバムには追加テイクが収められているのにである。このライブ・アルバムだけが例外と言うのはどうにも解せない。紙にこだわらなければ,最近出回っている海外盤ではそれらのテイクも含まれているようなので全く問題はないが,どうも今回の国内盤は画竜点睛を欠いているように思える。

 

そうしたプチネタはさておき,このアルバム,ジャズ系ミュージシャンが参加しているのが注目される。Hardinのアルバムでは前出の"Bird on a Wire"にはJoe Zawinulが参加していたりして,結構見逃せないところがあるのだが,本作でも下記のパーソネルをご覧頂けば分かるとおりである。

 

それにしてもTim Hardin,誠に渋い。私は彼の声を聞いていると,シンガー・ソングライターかくあるべしと感じてしまう。アメリカン・フォークあるいはSSWがお好きな方には是非聞いて頂きたいシンガーである。つくづく39歳での夭折が惜しまれるが,彼にはもっと活躍して欲しかった。このライブ盤も十分推薦には値するが,でもやっぱり"Bird on a Wire"から聞いて欲しいかなぁ。星★★★★☆。

 

Recorded Live at Town Hall, NYC on April 10, 1968

 

Personnel: Tim Hardin(vo, g, p), Warren Bernhardt(p, key), Daniel Hankin(g), Mike Mainieri(vib), Eddie Gomez(b), Donald MacDonald(ds)

2008年2月27日 (水)

出張中に見た映画(6):08/02編

Photo "フラガール" ('06,シネカノン)

監督:李相日

出演:松雪泰子,富司純子,蒼井優,豊川悦司,山崎静代

私にとって,映画を見ることによって得られる最大のカタルシスは「泣ける」ということである。恥ずかしながら,映画館の暗闇の中で感動の涙を流すことこそが,私にとっては最高の瞬間である。年をとって涙腺がますますゆるくなり,泣きの頻度は確実に高まっている。飛行機も国際線の場合,飛行中はかなりの闇に包まれるので,映画館同様の環境とは言えるが,それでも大泣きしてしまうと結構恥ずかしいものがある。

そうした私が号泣に近いかたちで感動の涙を流してしまったのがこの映画である。往路で見た「クローズド・ノート」でも結構泣かされたが,今回の泣き方は半端ではなく,映画終了後にトイレに行ったら,目が真っ赤になっていた。これは恥ずかしい。しかし,これは完全にツボをおさえたストーリーと言え,わかっちゃいるけど泣いてしまうという映画だったのである。参った。これだけ泣かしてもらったのも久し振りなので,それだけで星★★★★★である。

2006年度の映画賞を総ナメにした作品であるから,同じような感動を多くの人に与えたのだろうとは思うが,私にとってこの映画の親しみやすさを増しているのが福島弁ということになろう。私は別に福島に在住したことはないのだが,故郷である栃木や,勤務経験がある茨城の言葉を想起させる福島弁は馴染みがある。栃木,茨城の人々は自分の言葉とは違うというかもしれないが,私にとっては極めて近似性が高いため,感情移入しやすいのである。そうした点も含めて非常によいが,いずれにしても富司純子は最高の演技と言えようし,蒼井優もガッツが感じられて素晴らしい。松雪泰子もよいが,その二人に比べると...という感はあるものの,彼女にとって生涯の代表作になることは確実である。

今までこの映画を見ていなかったことを痛切に後悔したが,家で見ても絶対またボロ泣きしてしまうので,家人の手前,家では絶対に見られない。また見たくなったらどうしよう。悩ましい。

2008年2月26日 (火)

Ralph Townerがジャズ的セッティングで演奏すると...

Andy_middleton ゛Nomad's Notebook" Andy Middleton(Intuition)

これはRalph Townerが参加したアルバムでもかなりストレート・ジャズ色が濃い作品と言っていいのではないかと思う。なんてたってベースはDave Hollandである。

リーダーのAndy Middletonについてはよく知らないのだが,教育者としても活動しながら,Maria Schneiderのビッグバンドにも参加しているようである。彼のWebサイトにはJoe Lovano,Michael Brecker,Dave Liebmanなどの錚々たるミュージシャンからの賛辞が並んでいるが,そうだからと言って,ゴリゴリのジャズをやっているかというと,決してそんなことはない。Ralph Townerの参加がそうした演奏を生んだのかどうかは定かではないとしても,ニューヨーク録音ながらヨーロッパ的(北欧と言うよりも英国的と言った方がよいかもしれない)な感覚を与える演奏だと思う。

そうだとしても,冒頭に書いたとおり,こうしたセッティングでのTownerを聞けることは大変珍しいことであり,Townerのファンにとってはこれはこれで貴重なセッションである。6弦クラシック・ギター,12弦,ピアノにTownerらしさを爆発させている。星★★★★。やっぱり私はTownerには甘いなぁ。

Recordedon September 17 & 18, 1998

Personnel: Andy Middleton(ts, ss), Ralph Towner (g, p), Dave Holland(b), Alan Jones(ds), Jamey Haddad(perc, vo), Noah Bless(tb), Henry Hey(p)

2008年2月25日 (月)

出張中に見た映画(5):08/02編

Rush_hour "ラッシュアワー3(Rush Hour 3)" ('07,米,New Line Cinema)

監督:Brett Ratner

出演:Chris Tucker, Jackie Chen, 真田広之, 工藤夕貴, Max von Sydow

いつも言っていることだが,飛行機の中では他愛のない映画は重宝する。真摯な人間ドラマとかを見せられても「なんだかなぁ」の世界になってしまうが,こういう映画は無思想に,あるいはボーっとしながらでも眺めていられるから丁度よい。

監督のBrett Ratnerはいろんな作品を撮っていてとらえどころがないが,このシリーズも98年の第1作から10年目にして3作目となった。私は確か2本目も飛行機の中で見たような気がするが,私がわざわざ劇場に金を出して足を運ぶようなタイプの作品ではない。飛行機の中だからこそ見るのである。

日本ではJackie Chenの方がクレジットは上になろうが,本国ではおそらくはChris Tuckerゆえに動員が可能になりそうな気がする。それぐらいTuckerはおバカなキャラで笑わせる。しかし,日本ではやはりChen対真田の対決に注目が集まるのは人情である。それにしてもお二方,随分と中年体型になりつつも,アクションでは健闘しているが,若い頃ならもっとシャープなアクションになっていたのだろうと思わざるをえない。エッフェル塔での対決シーンの結末はヒッチコックの「逃走迷路」かっ!と言いたくなるような感じであるが,まぁ普通の展開である。お二方に加えて工藤夕貴が゛Dragon Lady゛なる役でアクションを披露しているが,彼女も同様に随分とお年を召したと思わせる。

まぁ,こういう映画にこまごまとケチをつけても仕方がないが,それにしても荒唐無稽というか馬鹿馬鹿しいというかそういう映画である。でも何でJackieが真田と会話する時日本語なわけ?星★★☆。

2008年2月24日 (日)

今更ながらスウェーデン・ジャズのレベルは高い

Kaza "The Stockholm Kaza Session" Rebecka Tornqvist & Per 'Texas' Johansson(Kaza)

私はジャズ・ボーカルは積極的に聞いている方ではないと以前にも書いたが,それでもたまに私の心を捉えて離さない作品に出会うと嬉しくなってしまう。このアルバムは行きつけのジャズ喫茶で初めて聞いた瞬間「一聞き惚れ」したものだが,結構市中で見つけるのが難しかった。確か中古かバーゲン品でゲットしたはずだが,その時は結構嬉しかったものである。

冒頭の"My Shining Hour"から好調な滑り出しで,思わず膝を乗り出す人が多いはずである。カッコよく"Out of This World"を決めて,Jimmy Rowlesの名曲"The Peacocks"へなだれ込むのだが,JohanssonのバスクラとBobo Stensonのピアノのデュオで入る冒頭部,さらにベースのユニゾンがかぶり,最後にドラムスが加わるというからして何ともムーディな演奏ではないか。このアルバムの魅力はRebeckaの声(何となくJoni Mitchellを想起させる部分もある)やJohanssonのサックス・プレイはもちろんなのだが,全編を覆う何とも言えないそうしたムードにこそあると言っては言い過ぎだろうか(但し,ジャケにはムードもへったくれもないが...)。

演奏は全てが突出してよいとは思わない。ピアノレスで演奏されるインスト版の"Fly Me to the Moon"や,やや策におぼれた感のある"Honeysuckle Rose"なんて,今イチの出来と言えばそれまでであるが,私はそうした多少の瑕疵は見過ごしても,本作の持つムードに身を委ねる方を選びたいと思う。やはりこれはいいアルバムだと思う。メンツではBobo Stensonの参加は意外と言えば意外だが,それでもスウェーデン・ジャズのレベルの高さを十分実証した作品である。星★★★★。

Recorded on May 3-15, 1996

Personnel: Rebecka Tornqvist(vo), Per 'Texas' Johansson(ts, b-cl), Max Shultz(g), Bobo Stenson(p), Markus Wilkstrom(b), Magnus Ostrom(ds), Magnus Broo(tp), Fredrik Ljungkvist(ts)

2008年2月23日 (土)

出張中に見た映画(4):08/02編

Elizabeth "エリザベス:ゴールデン・エイジ(Elizabeth: The Golden Age)" ('07,英,Working Title Films)

監督:Shekhar Kapur

出演:Cate Blanchett, Jeffery Rush, Clive Owen, Abbie Cornish

これは題材ゆえにいかにもイギリス映画であるが,スペイン人が見たら腹が立って仕方がないのではと思えるような映画である。タイトルどおり,エリザベス1世の生涯を描いたものだが,その中心はスペインとのバトルだからである。本作は98年の"Elizabeth"(未見である)の続編だそうだが,前作に続いて主役はCate Blanchett。これがまさに怪演と呼ぶに相応しいものとなっており,結構こわいものがある。ここまでいけばオスカーへのノミネーションは妥当である。

これだけの絢爛豪華なコスチューム・プレイというのもなかなか見られなくなったようにも思えるが,ともすれば長時間の大作化させそうなものを114分という枠に収めたのは大変結構であり,こうした映画に通常は大して関心を持たない私もそれなりには楽しめた。しかし,シナリオがありきたりだとか,心理的な描写が希薄過ぎるとかいろいろな文句もつけられると思える。Clive Owenなんてどう見てもミスキャストのように思えるし,現代的な顔立ちの女優が16世紀後半の話でございますと言われてもやはり変な感じなのである。どうせなら,コスチュームだけでなく,メークにも凝って欲しかった。星★★★。

それにしてもこうした映画(時代劇)が今の日本でどれぐらい受け入れられるのかは若干疑問であるが,まぁこれもまたよしということにしておこう。

2008年2月22日 (金)

私にとっては結構懐かしいTuck & Patti

Tuck_patti ゛Dream゛ Tuck & Patti (Windham Hills Jazz)

私は決してTuck & Pattiの熱心なリスナーではない。所有しているのはこのアルバムとTuck Andressのソロ・アルバムぐらいのものである。しかし,このアルバムは私がNYCに在住中にお世話になったアルバムである。

当時のNYCは現在と違って,治安もまだまだ悪かったのだが,そうした街で生活していると知らず知らずのうちにテンションが高まってしまうというのが事実である。そうしたときにこのアルバムを聞いて結構リラックスさせてもらったのも随分と昔の話になってしまった。そんな想い出話はさておき,このアルバム冒頭のPattiが書いた゛Dream゛はいい曲なのである。時代が時代なら民主党のBarack Obamaが使ってもよさそうなメッセージ・ソングである。歌詞は青臭いと言えばそのとおりであるが,私も当時はまだまだ若かったし,曲としての魅力は今でも健在だと思う。

タイトル・トラックはさておき,収録曲はかなりバラエティに富んでいる。Pattiのオリジナルに,West Side Storyから゛One Hand, One Heart"やらHorace Silverの゛Togetherness",更にはWendy & Lisaの"From Now On(We're One)゛やJimmy Cliffの゛Sitting in Limbo"が同居しているというのが凄いが,それがTuck & Pattiの個性のもとで演奏されているのだから大したものである。Pattiの声は渋いし,Tuckのギターはバカテクである。しかし私のようなギタリスト崩れにも,ギターのバカテクばかりに耳が行かないというのが,この夫婦デュオのいいところである。星★★★★。

それでもTuckのソロで演奏されるStevie Wonder作゛I Wish(「回想」という邦題だったろうか)"には目が点になること確実である。Tuckの指は一体どうなってんねん?

今でもTuck & Pattiはアルバムを発売しているようだが,ポピュラリティとしてはどうなんだろうか。私にとってはこのアルバムがあるだけでも記憶に残るチームではある。彼らをジャズの範疇だけで捉えることは難しいと思うが,今回もカテゴリーの選択では迷ってしまった。

Personnel: Patti Cathhart(vo), Tuck Andress(g)

2008年2月21日 (木)

出張中に見た映画(3):08/02編

Photo_3 「燃えよドラゴン("Enter the Dragon")」('73,米,Warner Brothers)

監督:Robert Clouse

出演:Bruce Lee, John Saxon, Shih Kien, Ahna Capri, Jim Kelly

飛行機で退屈してくると、無思想に見られる映画は重宝する。そんな映画である。1973年当時爆発的な人気を誇ったこの映画を本当に久々に見たのであるが,Bruce Leeのアクション・シーンそのものがその要因というのはよく理解できるとしても,何から何までB級の作りである。シナリオもしょぼければ,セットもしょぼい。出てくる役者もしょぼい。ただ,こういう映画に難しいことを並べ立てること自体はっきり言って無意味。そのB級なつくりに思わず笑ってしまった私であった。

鏡の間のシーンは「上海から来た女」みたいだし,敵役のハンが白猫を抱く姿は007のスペクターのようだしと,既視感たっぷりの部分もあるものの,そうは言ってもBruce Leeのカンフー・アクションというのはやはりユニークなものだったということは言えると思う。それがこの映画の存在意義にほかならない。星★★☆。

ちなみに,ハンの島での歓迎パーティのシーンで,かつらともろにわかる力士姿の2人が相撲をとり続けているのは,はっきり言って国辱的というか,情けない。ハンが喋っているときはストップ・モーションのように固まって,それが終わるとまた相撲ごっこを始めるスモー・レスラーもどきには苦笑せざるをえない。欧米人にとってはカンフーもスモー・レスリングも十把一絡げということであり,我々にとっては単なるつまらぬオリエンタリズムの組み合わせに過ぎない。

2008年2月20日 (水)

Ginger Baker:異色メンツによるアルバム

Ginger_baker "Going Backhome" Ginger Baker Trio(Atlantic)

このメンツを見れば普通は驚かされる。"Cream"のという表現しか思いつかないGinger BakerがBill FrisellとCharlie Hadenとのトリオで演奏しているのである。先日,ブログ上のお知り合いであるmonakaさんがBakerの"Falling off the Roof"を取り上げられていたが,そちらにもFrisell,Hadenは参加しているので,それなりの付き合いがあるのだろうとも想像される。しかし,それにしてもである。

演奏はと言えば,Bakerだからと言ってロックかというとそんなことはなく,むしろBill Frisellのリーダー作と言ってもよいような響きが特にアルバム前半では強いように思う。Bakerのドラムスは正調ジャズ・ドラムスではないし,どちらかと言うとシンバルよりもタムタムを多用しているような感覚が強い。それをどう捉えるかはリスナーの好みとなろうが,これは結構いいのではないかと思う。曲は3人の持ち寄りに,Monkの"Straight, No Chaser"とColemanの"Ramblin'"を加えた膳10曲であるが,中でもFrisell的なカントリー的と言ってもよいゆるいグルーブが打ち出された曲よりも,一番激しい"Ramblin'"やHaden作"In the Moment"のようなスリリングな展開の方が私の好みである。"In the Moment"に続いてHadenの"Spiritual"が演奏される落差にはやや面食らうし,最後の"East Timor"なんてプログレ的響きで驚かされる。

しかし,こんなアルバムがメジャーのAtlanticレーベルから発売されたこと自体が驚きである。結局このアルバムが売れたという話は聞いたことはないが,確か私も本作はバーゲン品でゲットしたはずである。なかなかつかみどころのないアルバムではあるが,それでも埋もれさせるには惜しいアルバムとして紹介した。星★★★☆。

Recorded on March 2-5, 1994

Personnel: Ginger Baker(ds, vo), Bill Frisell(g), Charlie Haden(b)

2008年2月19日 (火)

出張中に見た映画(2):08/02編

Photo 「クローズド・ノート」 ('07,東宝)

監督:行定勲

出演:沢尻エリカ、竹内結子、伊勢谷友介、永作博美、中村嘉葎雄

この映画は不幸な映画である。公開初日の舞台挨拶における沢尻エリカの「別に...」発言ばかりがクローズ・アップされ、映画そのものが語られることは少なかったような気がするからである。しかし、出張中の飛行機の中とは言え、あるいは先が見える筋書きとは言え、私は案の定泣かされてしまった(情けないぐらい大泣きしてしまった)し、決して悪い映画だとは思わない。

Photo_2 もちろん、いろいろケチをつけるのは簡単である。甘いシナリオ、無意味な挿話、ぜんぜん魅力を感じない音楽、その他もろもろ。しかし、ロケで使われた京都の風景を見ていても楽しめるし、沢尻エリカはあの舞台挨拶のメイクや態度が嘘のような清楚さ(とは言え、気は強そうに見える。→の写真は映画のものではないが、こんな感じ。私としてはこの路線でずっと行ってくれればよかったのだが...。)である。竹内結子の先生役は作り過ぎのようにも感じられるのも事実であるが、そうだとしてもよいものはよいと認めてあげるべきである。永作博美もよかったし。ということで、女優のことばかり書いているが、そういう映画だからねぇ。星★★★。それにしてもだが、この映画そのものへの注目度を下げてしまったということでは沢尻エリカはA級戦犯の謗りは免れまい。まだまだプロフェッショナルになりきっていないんだろう。若いから仕方がないかもしれないが。

いずれにしても、最近の私は映画を見ながら泣くのが楽しみなのかと思うぐらいよく泣いてしまうが、この涙もろさ、どうでもいいが年のせいなんだろうなぁ。

2008年2月18日 (月)

新素材を使った"Aja"の高音質CD

"Aja" Steely Dan (ABC)

以前にも取り上げたSteely Danの傑作"Aja"であるが,一部で話題の新素材を使ったSHM-CD(Super High Material CD)で発売されたので,ちょいと値段は高いが買って聞いてみた。このSHM-CD,ユニバーサル・ミュージックのWebサイトによると次のような説明がある。

-液晶パネル素材を活用し、ポリカ−ボネ−ト樹脂基板の透明性を向上

-高流動性、高転写性の素材でCDのピットが正確にかつ精密に形成

-信号特性(複屈折、ジッター)に優れている

更に「複屈折とは、光が媒体中に入射するとき、2つ(通常光と異常光)に分かれて屈折する現象で、光のひずみを表します。CD再生の場合は、レーザー光(780nm)が1.2mmの厚みのCDの透明樹脂基板内を通過して、反射膜から反射した光を検出する仕組みであるために、複屈折率が少ないほどDISCの光学特性が優れる。」のだそうである。小難しいことはわからないのだが,この新素材CD,確かに音がいいように聞こえる。例えばタイトル・トラックのSteve Gaddのドラムスのニュアンスは確かによく聞き取れるように思うし,その他の楽器の分離も今までよりいいように思える。

しかしである。もちろん,音楽はいい音で聞けた方がよいに決まっているが,純粋に音楽だけを考えるのであれば,今までの99年版リマスターでも十分だと言ってしまえば,そうとも言える。複数のソフトを音質のため(あるいは紙ジャケット)だけに保有する余裕は,マニアだけでいいだろう。結局,こうした付加価値はCDの売れ行きがよろしくなくなってきたための苦肉の策とも言えるわけだが,それに引っ掛かる私もいかんということでしょう。但し,限定盤で購買意欲を煽っているし,確かに品数は減っているようなので,好事家の方はどうぞ。

ほかの方も言っているが,一体このアルバム,何枚買えばいいのだろうねぇ。

2008年2月17日 (日)

カテゴリー検索の不調対応

ブログ内のカテゴリー内の記事を全件見ようとすれば,そのカテゴリーをクリックすればいいわけだが,最近私のPCでは「ジャズ」のカテゴリーの記事の全件参照をしようとするとハングアップする事象が発生していた。これは私のPCの能力が限界なのもしれないが,読者の皆さんにご迷惑をお掛けしてもいけないので,2008年にアップしたジャズ関連の記事は「ジャズ(2008年の記事)」とリカテゴライズしてみた。

一応,これでハングアップは解消したが,私のPCでは今でもレスポンスがかなり悪い。ネットワーク環境とは思えないので,これはやはり私もそろそろPCのエンハンスを真面目に考えないといけないかもしれない。しかし,それでも解消されていない問題が一つあり,その謎は消えず...。

出張中に見た映画(1):08/02編

3_10_to_yuma "3:10 to Yuma" ('07,米,Lionsgate)

監督:James Mangold

出演:Russell Crowe, Christian Bale, Peter Fonda, Logan Lehman, Dallas Roberts, Ben Foster

毎度毎度のことだが,海外出張時の楽しみは行き帰りの飛行機で見る映画である。今回もその報告である。

本作は1957年の西部劇の傑作「決断の3時10分」のリメイク作であるが、ここでのRussell Croweはカッコよすぎである。私はこの映画を見ていて仁侠映画のようだと感じてしまったが、所謂「男気」を感じさせる映画として大変面白く見させてもらった。そもそも私はかなりの西部劇ファンなので、西部劇というだけでうれしくなってしまう方だが、それにしてもこの映画はよく出来ていた。しかし、こんな面白い映画が西部劇という理由(だけ)により日本で公開の目処すら立っていないように見えるのは誠に情けない限りである。

筋書きはオリジナル版よりもかなりエンタテインメント性が高まっているが、もともとのシナリオが面白いのだから、ある程度の翻案がついても面白いのは当然である。なんてたって原作はElmore Leonardである。

繰り返しになるが、ここでのRussell Croweのカッコよさは一体何なのか。Christian Baleも好演なのだが、多少情けなさを感じさせる部分を残しているのに、Croweは突っ込みを入れたくなるほど最初から最後までカッコよ過ぎではないか。本来悪役であるべきCroweが目立つというのはオリジナルで同じ役を演じたのがGlenn Fordというのとつながるが、それにしてもである。

しかし、私は久々に本格的な西部劇として楽しむことができたし、これは日本で公開してもそれなりにいけるのではないかと思うのだが。それともRussell Croweの良さは日本のオーディエンス(特に女性)には伝わらないのだろうか?これを見てますます「アメリカン・ギャングスター」を見に行きたくなってしまった。星★★★★★。日本で公開しないなら、私はリージョン1のDVDをまた輸入するしかないということである。

2008年2月16日 (土)

Jerry Bergonziはなんで評価されないのか

Jerry_bergonzi"Standard Gonz" Jerry Bergonzi(Somethin' Else)

ジャズ界の七不思議と言っては大袈裟かもしれないが,Jerry Bergonziのような優れたテナーが,輸入盤屋に足しげく通う人々あるいはその従業員またはテナー・サックス・プレイヤーを除いてほとんど日本で注目されないのはなぜなのだろうか?これは日本に限ったわけではなく,本国でもメジャー・レーベル(Blue Note)への吹き込みは本作だけである。その本作も元はと言えば,日本のSomethin' Elseレーベルへの吹き込みが本国ではBlue Noteから発売されただけの話なのである。こんなにいいテナーなのにねぇ。なんでやねんと思わず力強く叫びたくなる。

このアルバムを聞けば,私は必ず日本の多くのオーディエンスにも受けるはずだと確信しているのだが,本作の録音から20年近くが経過した今でもBergonziはマイナーなままなのは何とかならんものかと言わざるをえない。バックだってJoey Calderazzoが強力なピアノを聞かせて素晴らしいのにである。このアルバムも廃盤,Bergonziが客演したCalderazzoのBlue Note盤(こいつも燃えるアルバムである)も廃盤とあっては何とも絶望的な気分になってしまうが,それでもここに収められた演奏はスリリングで楽しめることには何の変わりもない。BergonziのテナーもCladerzzoのピアノも最高の出来である。Bergonziのオリジナル4曲以外は,タイトル通り大スタンダード5曲というのもアルバムのバランスとしていいと思うんだけどなぁ。"Here's That Rainy Day"ですら激しくブロウするBergonziであるから,やり過ぎと思う人もいるかもしれないが,いけているものはいけているのである。

こういう状態を見ていると,Jerry Bergonzi私設応援団でもボランティアで結成したくなるが,もう少しBergonziに陽の目を当てることはできないものか。ということで,このアルバムを中古盤屋で見つけたら皆さん買いましょう。決して後悔することはありません。聞けば必ず好きになります。私は今でもBergonziのアルバムが出ると結構買っている方だが,やっぱり本作が一番好きかもしれない。ということで,Bergonziへの注目度向上を願って星★★★★★。(ちょっと熱くなってしまった。)

しかし,よくよく考えてみると,Jerry Bergonziの名前を初めて聞いたのが,Dave Brubeckのアルバムだったというのは今にして思えばある意味信じ難い。そう言えばBruceckとやった゛Paper Moon゛なるLPは私も所有しているはずだが,長年実家に眠ったままで,そこでBergonziがどんな演奏をしていたのかは知る由もない。しかし,どう考えてもBrubeckとBergonziは水と油のような気がするなぁ。

Recorded on October 19, 1989 and April 5, 1990

Personnel: Jerry Bergonzi(ts), Joey Calderazzo(p), Dave Santoro(b), Adam Nussbaum(ds)

2008年2月15日 (金)

Questの最高傑作はこれだ!!

Quest "Quest III: Midpoint - Live at Montmartre" Quest(Storyville)

2007年にめでたく復活作をリリースしたQuestのデンマークはコペンハーゲンにおいて収録したライブの傑作である。Questは第2作以降はDave Liebman,Richie Beirach,Ron McClure,Billy Hartという不動のメンバーで活動してきているが,本作はメンバー全員がそれぞれ提供したオリジナル曲で固められており,冒頭から尋常ではない緊張感に満ち溢れた演奏を展開している。ある意味ではフリー一歩手前という演奏は極めてハイブラウであり,スリルに溢れたジャズを好む向きにはこたえられない出来となっている。

Questと言えば,本作とは異なるメンバーで,一部スタンダードを交えて録音された第1作("Softly as in a Morning Sunrise"なんか最高である)も素晴らしいのだが,復活作のレビューをしたときにも書いたとおり,評者としては本作こそがいまだにQuestの最高傑作だと思っている。ライブという場でこれだけの集中力を発揮できること自体がある意味信じ難い。

とは言ってもこの作品を万人には薦めにくいというのも事実である。各人の集中力ゆえに演奏があまりにもテンションが高過ぎて,これを全編聞きとおすとかなり疲れるからである。リスナーの緊張感はずっと持続する訳ではないし,音楽に何を求めるかによって,そもそもそんなもんは必要ないと言う人がいても不思議はない。よって,そういう人は間違ってもこのアルバムに手を出してはいけない。一方,そうした緊張感やスリルこそがジャズよ!というリスナーには強く推薦することができる。LiebmanのソプラノもBeirachのピアノも締め上げるような演奏である。Billy Hartのこれほど熱い演奏というのも珍しいような気がする。しつこいようだが,トータルに考えてもこれはやはりQuestの最高傑作である。星★★★★★。でもこれは毎日は聞けないなぁ。

ところで,私は幸いにもQuestのライブをNYCのVisonesで見たことがあるのだが,このアルバムを聞いているとそのときの演奏をいつも思い出してしまう。しかし,そのときの演奏はここまではテンションは高くなかったような気もする。もう随分前なので記憶が定かではないが,一体どうだったのかなぁ。小柄なBeirachが見た目からも何とも言えない不思議な雰囲気を醸し出しているのに,音楽は鋭いというそのギャップだけは異常によくおぼえている。いずれにしても,そのときにQuestの4人のメンツにサインをもらったこのCDは今や私にとっての家宝(家人にとってはどうでもよかろう)である。是非このメンツで来日して欲しいバンドである。

Recorded Live at Cafe Montmartre, Copenhagen, Denmark on April 21& 22, 1987

Personnel: Dave Liebman(ss),Richie Beirach(p),Ron McClure(b),Billy Hart(ds)

2008年2月14日 (木)

バレンタイン・デーはビター・スイートに

Miles_valentine "My Funny Valentine" Miles Davis(Columbia)

世の中はSt. Valentine's Dayである。こうした日には私もスイートな話題を提供したいものだが,そうもいかぬのが世の常である。せめて音楽ぐらいはスイートに行きたい。と言って選んだのがビター・スイートなMiles盤では「なんでやねん」という感じだが,久々にMilesについて書いてみたい。

このアルバムは,ジャズ・ファンの間では常識であるが,私が以前このブログでも取り上げた"'Four' & More"("'Four'&More":疾風怒涛の如き激演 )の姉妹盤である。しかし,雰囲気はとても同じ場で録音されたとは思えないほど違っている。あっちが超ハード・ブローイングだとすれば,これぞ甘さを排したバラッド表現というべきスローな曲調が揃っている。姉妹盤2枚のどちらが好きかはリスナーの嗜好によるが,私はこれはこれ,あれはあれでどっちも捨てられない。だって,どっちもMilesだもんねぇ。

一言で言えば、これは完全に「大人の世界」である。酸いも甘いもかみ分けた人にこそわかる世界と言っては語弊があるが、青少年がこのアルバムを聞いて涙を流しているとすれば、それは想像するだけで恐ろしい世界ではないか。

人生を振り返れば、恋愛にはスイートな瞬間と、辛い思いを強いる瞬間があった。青少年諸君の恋愛は勢いまかせにスイート一本やりでもよかろうが、人生、スイートな思いしかしていない人間はほとんどいない(私は辛い思いの方が多かったなぁ)はずであるから、バラッドをビター・スイートに決められてしまえば、私のような単純な人間は「そう、そう、そうなのよ」と思わざるをえないのである。こんな演奏を生でやられていたら、私は昇天確実であっただろう。天の配剤とも言うべき素晴らしき音楽である。星★★★★★。

ちなみに私がこの世で最も愛するチョコレートはNYCにある某ショップ(日本人が大挙して行かれては困るので、敢えて名前は秘す)のChampaign Truffleである。あれも言ってみればビター・スイートな世界だよなぁ。全然関係ないが...。

Recorded Live at Philharmonic Hall, NYC on February 12, 1964

Personnel: Miles Davis(tp), George Coleman(ts), Herbie Hancock(p), Ron Carter(b), Tony Williams(ds)

2008年2月13日 (水)

祝来日,Boz Scaggs/TOTOご一行様

Boz "Middle Man" Boz Scaggs(Columbia)

Boz ScaggsがTOTOとジョイント・ライブで来日するそうである。私は両者とも好きなので,行くか行かないか迷っているうちにチケットは売り切れてしまったようであるが,いずれにしても,両者の共演というとノスタルジーを刺激される中年諸氏,諸嬢がいてもこれは当然である。それぐらい彼らの音楽が一時代を成したのは疑いようのない事実である(今でも現役?確かにそれはそうだが...)。

よく言われることに,TOTOはBozのレコーディング・メンバーとして結成されたという記述があるが,これは当たっているようで,私としてはやや事実誤認ではないかと思っている。確かに"Silk Degrees"にはDavid Paich,David Hungate,Jeff Porcaroが参加しているが,本質的にTOTOのサウンド・カラーを支配するSteve Lukatherが入っておらず,そうした意味ではTOTO色というのは"Silk Degrees"には強くは感じられないからである。一方,この"Middle Man"はLukatherは入っているが,David Paichは一部を除いて入っておらず,このアルバムのキーボード・サウンドを彩っているのはDavid Fosterである。しかし,サウンドとしてTOTO色は明らかに"Middle Man"の方が上なので,今回取り上げることにした。(我ながら前置きが長い。)

そういう形で聞いてみればLPのB面冒頭を飾ったタイトル・トラックや"Angel You"のギター・リフなんてどこから聞いてもまさにTOTOである。それはそうなのだが,このアルバムは,私にとってはほとんどA面しか聞いた覚えがない。それは妙にソウルフルなB面2曲目の"Do Like You in New York"に強烈な違和感をおぼえるということもあるのだが,やはりA面に収められた4曲の出来の良さゆえという側面が強い。A面に収められた4曲こそAORの王道である。日本ではハードな"Breakdown Dead Ahead"やCarlos Santanaが客演した"You Can Have Me Anytime"の人気が高いようにも思えるが,私はA面では哀愁メロが炸裂する"Simone"が非常に好きである。こういうメロディ・ラインを心の琴線をくすぐるというのだ。いずれにしても,この前半4曲は,曲のクォリティといい,曲の並びといい,演唱といいケチのつけようがない素晴らしいもの。

私はBozの最高傑作は"Silk Degrees"だと思ってはいるが,この作品もやはり捨て難い魅力を今でも持っていると思う。星★★★★☆。やっぱり生で見てみたいなぁ。

Personnel: Boz Scaggs(vo), David Foster(key), David Hungate(b), Sterve Lukather(g), Ray Parker, Jr.(g, b), Jeff Porcaro(ds), Carlos Santana(g), David Paich(key), James Newton-Howerd(key), Don Grolnick(p), John Pierce(b), Rick Marotta(ds), Joe Vitale(ds), Adrian Tapia(ts), David Lasley(vo), Sharon Redd(vo), Charlotte Crossley(vo), Venetta Fields(vo), Paulette Brown(vo), Bili Thedford(vo), Julia Tillman Waters(vo), Oren Waters(vo), Bill Champlin(vo), Charles Irwin(vo), Rosemary Butler(vo)

2008年2月12日 (火)

出張はつらいよ:ドイツ編(その2)

ドイツへの短期出張も残すところあと1日である。しかし,日本を出るときから出ていた痛風の発作が激しくなり,薬を飲みながらこなしているのは誠に辛い。昨日の夜は鈍痛でよく眠れない状態が何時間か続いたが,薬で痛みをやわらげて寝ているのでははっきり言って不健康である。

その一方,生来の酒好きゆえ,こんな状態でも酒を断れない私は本当の馬鹿者と言ってもよいかもしれない。今日は伝統的ドイツ料理(アイスヴァインにソーセージである)にアップル・ワインの組合せだったが,結局かなりのアップル・ワインを飲んでしまった。ということで,現在も痛みが増しているが,そのうち薬が効いてくるはずなので,さっさと寝てしまうことにしよう。

それにしても我ながら懲りない男である。自業自得とは言え,こいつは厳しい...。

Gene Ammons vs. Sonny Stittだが,対決ムードは薄い

Boss_tenors "Boss Tenors" Gene Ammons and Sonny Stitt(Verve)

凄く久しぶりにこのアルバムを聞いた。ジャズ界にはいろいろなバトル物があるが,このアルバムは2名のサックス奏者のバトル物ながら,私はバトルというよりもリラクゼーション溢れる演奏が楽しいアルバムだと思っている。本当にバトル的なのは"Blues Up And Down"ぐらいで,あとは本当にくつろぎ感一杯である。

そんなアルバムだから目くじらを立ててどうこう言うような演奏ではないと言ってしまえばそれまでなのだが,LPで言うとA面に当たる3曲はあまりにゆる過ぎて,なんだかなーという感覚を与えるのも事実である。3曲目の「枯葉」のイントロなんぞは"Somethin' Else"の同曲の出来損ないみたいだしねぇ。

よって,私はこのアルバムはB面ばかり聞いてきたような気がする。それはやはり"Blues Up And Down"を聞きたかったからである。LPの時代には多くの人がA面だけ聞くとかB面しか聞かないとかいう聞き方をしていたのではないかと思うのだが,CD時代に突入するとそうもいかない(皆さん,プログラムして聞きますか?曲を飛ばすといっても,何曲飛ばせばいいかよくわからないので,結局最初から聞き始めるということになってませんか?それって私だけ???)ので,このアルバムに対する捉え方も随分違ってくるのではないかと思う。

それでも久しぶりにこのアルバムを聞いてみると,その"Blues Up And Down"ですらゆるい出来である。確かにAmmonsとStittは4小節のチェイスも繰り広げてはいるが,あんまり燃えるって感じではないのだ。Ammonsのテナーが熱さを増していく瞬間が多分最も燃える瞬間であろうし,事実Ammonsは何度も声が出てしまっている。それにつられて私も燃えるという感じだが,ここでのAmmonsは人を乗せる術を心得ているというべきか。その後に出てくるStittのソロはそうしたAmmonsに比べるとサウンドも含めて大人しく聞こえてしまって,若干損をしているように思える。また,テナー・バトルのときよりもAmmons一人の時のソロの方が燃えるのではやはりバトルのかいがないってものである。

ということで,久しぶりに聞いて随分と印象が変わったことに驚いたが,私がこのアルバムをよく聞いていた学生時代というのはまだまだ音楽的審美眼が足りなかったのかもしれない。あるいはもっと刹那的ハード・ブローイングでないと燃えないほど,今の私が欲求不満なのかもしれないが...。星★★★。

Recorded in August 1961

Personnel: Gene Ammons(ts), Sonny Stitt(ts, as), John Houston(p), Charles Williams(b), Greorge Brown(ds)

2008年2月11日 (月)

Anita O'Day:ジャズ・ヴォーカルの真髄

Anita "Anita Sings the Most" Anita O'Day(Verve)

はっきり言ってしまえば私はジャズ・ヴォーカルはあまり聞かない。だから,このブログでもジャズ・ヴォーカルについて書いたことは殆んどない(はずだ)。もちろん,Ella,Sarah等はそれなりに聞いているが,私の音楽人生において,最もジャズ・ヴォーカルという感覚を与えてくれるのはこのアルバムをおいてほかにない。Oscar Peterson 4をバックに歌い上げるAnitaはスインギーでカッコいいのである。Anitaと言えば「真夏の夜のジャズ」での美しい姿も忘れがたいが,音で言えばやはりこれである。彼女のややハスキーな声もたまらん。

いきなり冒頭の急速調"S' Wonderful"からワクワクするがそれが一転して"They Can't Take That Away from Me"に変わる瞬間の何と素晴らしいことよ。これぞジャズ・ヴォーカルだと言いたい(大して聞いてないくせに言うなっ!とお叱りの声が聞こえるかも...)の後しっとりと"Tenderly"を歌い上げつつ,LP A面はスイング感あふれる歌唱が続く。B面に移ると"Stella"をオープニングをしっとりと歌い上げたのち,ミディアムに転じてスイング感はここでも維持される。"Taking a Chance on Love"のスキャットもSarah Vaughanでは全然違った感覚になるだろうが,Anitaは軽くてよいのだ。しかしLP B面で驚かされるのが超特急の"Them Thier Eyes"である。早口言葉かっといいたくなるような歌唱の後に,これまた猛烈にスイングするPetersonとEllis のソロが出てくるが,これを聞いて興奮しなければ嘘である。また,それに続くのが前半部をEllisのギターだけをバックに歌う"I've Got a World on a String"というのもアルバムの構成としていい感じである。メロディの崩し方も何ともジャズ的である。とにかく全編を通して素晴らしい。

繰り返しになるが,このアルバムは100%ジャズ・ヴォーカルと言いたい演唱の数々である。即ち,Anitaの歌がいいのは勿論,バックを支えるメンツの演奏も同様に素晴らしいのだ。これはどう聞いても星★★★★★。ジャズ・ヴォーカルを食わず嫌いの皆さんはこのアルバムか,Ann Burtonから始めればきっと抵抗がなくなるはずだ。ただ,このジャケだけはねぇ...。まるで「XXXワイフ」のようだと言われても仕方あるまい(下品ですんまへ~ん)。

Recorded in May 1956

Personnel: Anita O'Day(vo), Oscar Peterson(p), Herb Ellis(b), Ray Brown(b), John Poole(ds), Milt Holland(ds)

2008年2月10日 (日)

出張はつらいよ:ドイツ編

今回はドイツに短期出張中である。場所はフランクフルトのみなのだが、フランクフルトの空港にはトランジットで何回か来たことはあるものの、街に来たのは23年ぶりである。23年前には「おー、ドイツはタクシーがメルセデスなのだなぁ、これ以外で私がメルセデスに乗ることはないだろうなぁ」というものだったが、人生はほぼ私の予想通りに進んでいる(それがどうした!)。

今回も3泊5日の旅程であるが、これは飛行機が混んでいてチケットが取れないからの措置であり、本来は2泊4日で来るべきものだったのである。それはそれで多少は助かったのだが、私の出張中の楽しみは現地のローカル・フード、ローカル・ドリンク道を追求することにほかならない。それぐらいの楽しみがないとはっきり言ってやっていられないのだが、今回はまずいことに出国前に軽い痛風の発作に見舞われての出張であり、いつものような激しい飲食が精神的にできそうにないのが辛い。

私の予想通り、時差ボケにも見舞われており(今朝も目が覚めたのは日本時間の正午ぐらい、こちらの午前4時である)、年々ボディ・クロックの調整機能が低下していて嫌になってしまう。ということで、再び眠れそうにもないので、こんなしょうもないことをブログに書いている。やはり出張はつらいのである。

Herbie Hancockのピアノ・トリオ作は...

Hancock_2 "The Herbie Hancock Trio" (CBS Sony)

私はHerbie Hancockも好きだし,V.S.O.P.も好きである。その上で敢えて言ってしまうが,このトリオ盤は気に入らない。

このトリオ・レコーディングはニューポートでの好評を受けて,ワールド・ツアーに出たV.S.O.P.クインテットのリズム・セクションによる演奏をそのツアーの道すがら捉えたアルバムである。MilestoneレーベルのRon Carterをリーダーとする"Third Plane"とは姉妹アルバムということになるが,"Third Plane"もはっきり言って私の好みではない。

何が嫌かと言えば,Ron Carterの下品なベース音(私は生理的に受け付けられない)は言うまでもなく,トリオの力技を見せつけるかのような,3人のバランスもへったくれもない演奏振りが気に入らないのである。これはミキシングのせいもあるかもしれないが,Herbieのピアノが地味に聞こえるほど,ベースとドラムスの音がでか過ぎというか,目立ち過ぎである。私の大嫌いなRon Carterのベース音を聞かされるだけで辟易とするのに,この3人揃っての「俺が俺が」的演奏でははっきり言って胸焼けがすると言ってしまおう。

これを対等な三者が繰り広げた強力なインタープレイと言いたければどうぞと言う感じだが,私にはスリルを通り越してお下劣と言わざるをえない演奏である。あの名曲"Speak Like a Child"がかくも下品な演奏となった段階で,私は呆れて物も言えない。この演奏を好まれる方には申し訳ないが,私がHerbieに求めるのはこうした演奏ではない。Ron CarterとTony WilliamsはGreat Jazz TrioではHank Jones翁をもう少し立てるような演奏(Tonyのドラムスは強烈だったが...)だったと思うが,本作でここまで彼ら(特にRon Carter)が目立つことを許容したプロデューサーのDavid Rubinsonの責任は重大である。ということで嫌いなものは嫌いなので,私がこのアルバムを聞くことは滅多にないのである。星★★。

Recorded on July 13, 1977

Personnel: Herbie Hancock(p), Ron Carter(b), Tony Williams(ds)

2008年2月 9日 (土)

Genesis:復活ライブの実況盤は...

Genesis "Live Over Europe 2007" Genesis(Virgin)

復活を遂げたGenesisの2007年の欧州ツアーの模様を捉えたライブ盤である。収録場所は多岐に渡っているが,まぁベスト・テイクを収めたと解釈してよかろう。メンツは従来から演奏をしていた5人組であり,相変らず演奏のレベルは高くて,安心して聞くことができる。

私はGenesisの大ファンというわけではない(特にPhil Collinsのヴォーカルにはずっと違和感をおぼえている)のだが,そうは言っても復活したとなればやはり見過ごすことはできないバンドではある。しかし,このアルバムを聞いていると予定調和的な演奏と言うべきであって,安心感はあってもスリルには乏しい。同じライブ盤でも"Seconds Out"を聞いたときのようなぞくぞくする感覚はもうここにはない。また,Phil Collinsもさすがに声が出なくなったか,何曲かはキーがオリジナルより下げられているように感じる(細かく比較したわけではないが...)。

曲目はヒット・パレードと言ってもよいものだが,私にとってはロックは安心感を求めるものではないから,もう少し締め上げる感覚,どきどきするような感覚があってもよいように感じるが,ビッグ・ネームとなって,ある意味金儲けのために再結成するようなバンドにそんなものを求めること自体にもはや無理があるのだろう。温故知新というよりも,もはやこれは単なるノスタルジーと言うべき世界である。 しかし,そうは言っても演奏のレベルはさすがなので,それに免じて星★★★とするが,音楽がこの程度なら,来日したとしても私がライブの会場に大枚はたいて行くことはないだろう。勿論,バリライトを駆使した視覚を含めたショーとしては楽しかろうが,それでもやはりというところである。コンサート・ツアーは大成功でも,アルバムのチャート・アクションがよろしくないのもある意味では当然である。

実は私はこのアルバムを買うのをずっと躊躇しており,中古でようやく拾った(それでも国内盤は出て間がないから新譜扱いとしている)のだが,聞いての感想が上記のようなものだったから,ずっと躊躇し続けていた方が財政上は幸せだったかもしれない。ただ,彼らの名誉のために言っておけば,過剰な期待さえ掛けなければいいのである。期待した私がアホなだけと言われてもそれは仕方あるまい。

Personnel: Phil Collins(vo, ds, perc), Tony Banks(key, vo), Mike Rutherford(g, b, vo), Darryl Stuermer(g, b), Chester Thompson(ds, perc)

2008年2月 8日 (金)

懐かしのNY Rock & Soul Revueの実況盤

Rock_soul_revue "The New York Rock And Soul Revue: Live at the Beacon" Various Artists (Giant)

私にとって懐かしいアルバムである。今から17年前,私はこの会場にいたからである。私はこのアルバムに参加しているDonald Fagen(Steely Dan),Michael McDonald(Doobie Brothers),Phoebe Snowのアルバムについてはこのブログで取り上げてきたし,Boz Scaggsについても相当なファンと言ってよい。こうしたメンツが一同に会すること自体が私にとっては奇跡的であり,在NYC中の私がこのライブの告知を見て,チケットを買いに走ったことは言うまでもない。

この演奏が収録されたBeacon Theaterは確かBroadwayと72丁目当たりにあったと記憶しているが,随分と歴史を感じさせる造作ながら,手頃なキャパシティのホールで,こうしたメンツを見るにはちょうどよい場所だったと思う。そして,確かこのイベントは正確には"New York Rock And Soul Revue II"だった(少なくとも私が買ったTシャツにはそう書いてある。実はいまだにそれを着ている物持ちのいい私である)が,1回目がどこであったか,あるいは3回目以降があったのかは私は知らない。いずれにしても,Fagen(ピアニカを吹きまくっていた)はそれほどでもないが,その他のメンツが相当ソウルに影響を受けていることを実証したようなライブである。

現場では大いに盛り上がった記憶があるが,レコーディングされた演奏はまぁ普通というか,それほど特筆するようなものではない。結局のところ,これはお祭り的なセッションであり,あくまでもそうした観点で楽しめばいいように思う。それでもFagenとMcDonaldで歌われる"Pretzel Logic"にはわくわくしてしまうのは当然であるが,そんなメンツの中でソウル心を爆発させるPhoebe Snowが特に素晴らしいと私は思う。いずれにしても我が過ぎ去りし日の想い出盤ということで☆オマケで星★★★☆。

ちなみにExecutive ProducerはLibby Titusである。彼女が残したソロ・アルバムもよかったなぁ。久し振りに聞きたくなってきた。

Recorded Live at the Beacon Theater on March 1& 2, 1991

Personnel: Donald Fagen(vo,key), Michael McDonald(vo key), Boz Scaggs(vo), Phoebe Snow(vo), Eddie & David Brigari(vo), Charles Brown(vo, p), Jeff Young(key, vo), John Hagen(ts, vo), Drew Zingg(g), Lincoln Shleifer(b), Dennis McDermott(ds), Cornelius Bumpus(ts), Chris Anderson(tp), Danny Caron(g), Jimmy Vivino(g), Larry DeBari(g), Bob Gurland(vo-tp)

2008年2月 7日 (木)

変わった編成のRalph Towner参加アルバム

Siroko "Siroko" Olivier Ker Ourio (e-motive)

私はこのブログでも何度か書いたようにRalph Townerのファンなのだが,このアルバムは編成からしてもTownerにとってかなりの異色作と言ってよい。なんてったってハーモニカ~ギター~ベースという編成である。しかもしょぼい装置で聞いても音がよい。何とも生々しい音が楽しめる。

Olivier Ker Ourioという人のことはよく知らないが,フランス人のハーモニカ・プレイヤーだそうである。この世界,どうしてもハーモニカと言えばToots Thielemansを思い出すのが人情であるが,この人のハーモニカもToots的ではある。しかし,私にとっては小島よしおではないが「そんなの関係ねぇ~」で,興味の対象はこの編成でのTownerの演奏である。Townerの場合,Oregonだって十分変わった編成と言えるが,ここでもバンドの編成関係なく,Towner節爆発である。冒頭の"Bellydancing"から12弦ギターの響きが何とも素晴らしく,Townerのファンは絶対に嬉しくなること請け合いである。

このアルバム,全編を通してTownerのギターがリーダーのOlivier Ker Ourioをサポートしながらも,強烈な存在感を示しておりこれはやはりTownerファンは必聴である。両者のデュオで演じられる"Goodbye Pork Pie Hat"などたまらん。ここでのTownerの12弦を聞けば,Townerファンは昇天間違いなしである。

ただ,このアルバムやや入手が面倒なのがやっかい(国内の店ではあまり見ないし,欧州からの通販は高くつく)なの難点ではあるが,Townerファンなら手に入れて損はない。Olivier Ker Ourioのハーモニカはアコーディオンのように響く瞬間があるのもある意味面白い。星★★★★。うーむ,ついTownerには点が甘くなる私である。

Recorded on November 1st and December 18th, 2004

Personnel: Olivier Ker Ourio(hca), Ralph Towner(g), Heiri Kaenzig(b)

2008年2月 6日 (水)

Lizz Wrightを初めて聞いた

Lizz_wright "The Orchard" Lizz Wright(Verve Forecast)

Lizz Wrightという人の名前は前から知っていたし,デビュー・アルバム"Salt"のジャケが結構今までも気になっていたのは事実なのだが,今まで彼女のアルバムは聞いたことがなかった。しかし輸入盤屋をうろついていてこのアルバムの曲を聞いたとき,私はビビッドに反応してしまったのである。素晴らしい声である。

はっきり言ってこれをジャズ・ボーカルと呼ぶには相当抵抗がある。最近のCassandra Wilsonがジャズ・ボーカルの範疇で語られて違和感をおぼえるのと同じ感覚である。Lizz Wrightの音楽はCassandra同様,ブルース,ジャズ,ゴスペル,フォークなどの音楽がごった煮になっているように感じるが,それにしても何とも渋い音楽ではないか。Cassandraとの類似性は,プロデューサーがCraig Streetであるということからしても当然感じられるものとは思うが,私はこの音楽,この声に完全に参ってしまったと言えよう。これはまさに私が「ひと聞き惚れ」と呼ぶ症状である。

アルバムのほぼ全曲に渡ってLizz Wrightがソングライティングに関わっているが,なかなかの佳曲揃いである。声だけでなく天は二物を間違いなく与えている。これを"Gifted"と言わずなんと呼ぶのかと思わず興奮気味になってしまうが,これが本当にたまらんのである。私に限らず,アメリカン・ミュージック(特にフォーク,ロック系)が好きなリスナーが気に入ること間違いなしの世界だと思うが,こうした音楽を知らずに放置してきた私の不明をまたまた恥じる機会を与えてくれたアルバム。もちろんCassandraのファンは必聴である。尚,再結成で話題沸騰のLed Zeppelinの"Thank You"が収録されているし,限定盤と思しき初回盤(?)にはThe Bandの"It Makes No Difference"も入っている。こりゃええわー。さぁ皆で聞きましょう。星★★★★☆。

Personnel:Lizz Wright(vo), Chris Bruce(g, b), Toshi Reagon(g, vo), Pren Bloedow(g, b), Glenn Patscha(key, vo), Kenny Banks(p), Patrick Warren(key), Larry Campbell(pedal steel, mandolin), John Convertino(ds, perc, vib), Ben Perowski(ds), Larry Eagle(ds), Joey Burnes(g, b, cello), Catherine Russell(vo), Josette Newsam(vo), Marc Anthony Thompson(vo), Jacob Valenzuela(tp), Martin Wenk(tp)

2008年2月 5日 (火)

Nik Bärtsch's Ronin:新しいミニマル・ミュージック

Holon "Holon" Nik Bärtsch's Ronin (ECM)

スイス出身のNik Bärtschのグループ"Ronin"によるECM第2作である。彼らの音楽はミニマル・ミュージックがより明確なリズム・アプローチを持ったものという感覚が強いのだが,実は私はReichやRiley等のミニマルも好きなので,こういう音楽は一度はまるとなかなか抜けられない世界である。ということで彼らのECM第1作"Stoa"も私は結構好きだったが,その第2作とあっては当然飛びついた私である。

ECMのWebサイトにもあるとおり,Bärtschは以前日本に滞在していたこともあり,グループ名"Ronin"はまさしく「浪人」を意味したものらしいが,だからと言って日本的な感覚があるかというとそんなことは全くない。

今回の作品は前作よりもややミニマル度が低下しているようにも感じられ,全編でよりリズミックでスリリングな感覚が増しているようにも思える。曲によってはロック・ビートを感じさせるし,特に2曲目の"Modul 41_17"や3曲目"Modul 39_8"の一部に顕著であるが,それでもこれはまだまだミニマルな世界であることに間違いはない。しかし,これが相当カッコいいミニマルなのだ。

ミニマル・ミュージックは興味がない人には何が面白いかわからない世界だと思うのだが,何も考えず身を委ねるというのが私のやり方である。しかし,ここで展開される音楽は決して環境音楽ではないので,若干違う聞き方(ちゃんと鑑賞もできるということである)が必要かもしれないが,それでも私はこれって好きだなぁ。これからもこの路線で作品を発表し続けて欲しいものであるが,ライブってやるんだろうか。やるなら見てみたいグループである。尚,Bärtschは前作ではRhodesも弾いていたが,本作ではピアノに専念している。もちろんピアノだけでもクール度が上がって全く問題ないが,Rhodes好きの私は次作ではRhodesをまた弾いて欲しいなぁ。星★★★★。

Recorded in July 2007

Personel: Nik Bärtsch(p), Sha(b-cl,as), Bjorn Meyer(b), Kaspar Rast(ds), Andi Pupato(perc)

2008年2月 4日 (月)

長大な綾辻ワールドの行き先は...

Photo 「暗黒館の殺人(1~4)」 綾辻 行人(講談社文庫)

何とも長大な小説である。正月休みにでも読もうと思っていたのだが,結局読了するのに3週間ぐらい掛かっただろうか。しかし,3~4巻は3日ぐらいで読んでしまったような気もするし,これを読み切らせるというのはそれなりに面白い証拠である。

ネタをばらすようなことを言えないので,どこまで書いていいのかわからないが,この小説は非常に構造が複雑(それを伏線を張ると言い換えることも可能)で,かなり頭がぐちゃぐちゃになると言っても過言ではなく,これまでの「館」シリーズのような所謂新本格のフレイバーを期待すると裏切られると言ってもよい。そこが好き嫌いの分かれ目であろうが,読み終えての感想は「よくやるわ」あるいは「なんじゃそりゃ」というものだった。

確かにエンタテインメントとしてはよく出来ているが,はっきり言ってある意味オカルト的な部分もあり,ある意味ギミックといわれても仕方がない筋書きは私はあまり好きとは言えない。ここまでの世界を作り上げた綾辻の豪腕は認める必要はあるだろうが,やっぱりこれはやり過ぎだと思う。本人が自画自賛するほどの傑作とは到底思えないということで星★★★。あ~疲れた。

2008年2月 3日 (日)

Babyface:値段は激安,内容バッチリ

Babyface "MTV Unplugged NYC 1997" Babyface(Epic)

中古盤をあさっていると思わぬお買い得盤に出会うことがある。それは私にとってのお買い得であって,マーケットでは供給過剰だからこその安値な訳だが,それにしてもこのCDは安かった。何てったって270円である。この値段なら外しても文句はない。これだから中古盤あさりはやめられないのである。

このアルバムは,おなじみのMTV UnpluggedシリーズにBabyfaceが登場した時のライブであるが,録音されてからもう10年以上経ってしまったというのがある意味では驚きである。だがジャケに写るNYCの夜景の中の今はなきWorld Trade Centerが燦然と光っているのを見ると時の流れを感じざるをえない。しかし,音は今聞いてもそんなに古臭いとは感じないし,ゲストも伴奏陣も結構豪華で楽しめるアルバムである。

私にとっては,冒頭の"Change the World"だけで270円の元は十分に取ったようなものである。客演するEric Claptonのギターは相変わらずの手癖ぶりだわ,契約の関係上Claptonのボーカルは消されているわと,問題と言えば問題のある演奏なのだが,それでもこの演奏のグルーブは素晴らしいのである。Claptonは2曲目の"Talk to Me"にも続いて客演するが,ここでのゆるいグルーブ感も楽しい。

しかし,このアルバム,Claptonばかりで語ってはもったいない。他のメンツも好演しているし,Stevie Wonderとの"Gone Too Soon"は素晴らしいバラードであり,思わずぞくぞくするような演唱である。これはもともとMichael Jacksonが歌っていたはずだが,私はこの曲に参ってしまった。人間としてはさておき,ミュージシャンとしてのMichaelの凄さを認識させられるような曲である。それに比べると最後の"How Come, How Long"は曲としてはしょぼく聞こえるというところはあるが,いずれにしても,Babyface,いい曲を書き,たまらないスイート・ボイスが爆発している。

繰り返すが,270円でこれだけ満足させてもらえば,私は十分満足であり,コスト・パフォーマンス含めて星★★★★☆。ちなみに,どなたかもブログで書いていたと思うが,この演奏で"Unplugged"は看板に偽りありである。全然アコースティックな演奏ではないので念のため。そういう点を差し引いてもよいものはよい。

Personnel: Kenneth "Babyface" Edmonds(vo,g), Bo Watson(key), Nathan East(b), Ricky Lawson(ds), Sheila E.(perc), Michael Thompson(g), Wayne Linsey(key), Tim Carmon(key), Reggie Griffith(g, key, sax), Kevon Edmonds(vo), Melvin Edmondsd(vo), Marc Nelson(vo), Shanice Wilson(vo), Beverly Crowder(vo), Lynne Linsey(vo) with Eric Clapton(g), K-Ci & Jojo(vo), Stevie Wonder(vo, key, hca)

2008年2月 2日 (土)

渡辺香津美による正調Jeff Beckトリビュートを収めたアルバム

Mo_bop2 "Mo' Bop II" 渡辺香津美New Electric Trio(ewe)

渡辺香津美が2003年に結成したパワー・トリオの第2作である。香津美のトリオと言えば,Jeff Berlin,Bill Brufordとのバンドも懐かしいが,音数で言えば勝るとも劣らぬトリオと言ってよいだろう。私はそもそも香津美と言えば"Mobo"か"Tochika"かという人間であるから,こういう路線は大歓迎である。

さて,昨日もJeff Beckについて書いたばかりであるが,このアルバムには本来Jeff Beckに対するトリビュートっていうのはこういう風にやるべきという演奏が収められている。このアルバムの6曲目に収められた"Cry Me a River"はJulie Londonでお馴染みの名曲であるが,それがまさしくJeff Beck風味で演奏されているのである。もとネタはあの"'Cause We've Ended as Lovers(哀しみの恋人達)"である。私がこの演奏を初めて聞いたときには思わず「おおっ」とのけぞってしまったぐらいその影響が顕著というか,リスペクトがフルに感じられるのである。

もちろん,Jeff Beckが"Cry Me a River"のような曲を演奏するわけはないと思いきや本人もライブの場で演奏したりしているのは意外だったが,この香津美の演奏,聞いた人は間違いなくJeff Beckの影を感じ取ることができるものとなっている。このように,ある意味Beckが弾きそうにない曲をそれらしく弾きこなすことこそが正調のトリビュートだと言いたい。もちろん,Beckのレパートリーを自身のスタイルで演奏したっていいわけだが,ここでの演奏のようにBeckっぽいサウンドで,全然関係のなさそうな曲を弾くことの方がリスナーとしては驚きが多くていいように思える。それにどんなにいろいろなギタリストが自分のスタイルで弾こうが,Beckからの影響を全く感じさせないことは難しかろう。Beckとはそれほどのスタイリストであるからである。

ということで,"Cry Me a River"のことばかり書いているが,このアルバム,そのほかの演奏もロック的なタッチも横溢させていて,私のようなジャズとロックの両刀使いには大いに楽しめるアルバムである。それでもやはり聞き物は"Cry Me a River"だと強く思ってしまうのである。こういう天邪鬼は私だけかもしれないが...。尚,BonaもHernandezも相変わらずのバカテクぶりである。よくやるわ。星★★★★☆。

Recorded on May 12-15, 2004

Personnel: 渡辺香津美(g, g-synth), Richard Bona(b), Horacio "El Negro" Hernandez(ds)

2008年2月 1日 (金)

Jeff Beckの過小評価作だろうなぁ

There_and_back "There And Back" Jeff Beck(Epic)

先日Tone CenterレーベルのJeff Beckトリビュート盤を酷評したばかりで,そのときにも「こんなもん聞いている暇があったら本家を聞いた方がはるかにまし」のようにも書いたので,今日は本家にご登場願おう。

このアルバムは"Wired"以来の久々のスタジオ盤として,異様な期待を持って迎えられた作品である。そうした意味ではMiles Davis復帰作の"The Man with the Horn"にも近いが,私が初めてこの音源の一部を聞いたのは確か渋谷陽一がNHK FMでDJをやっていた「ヤングジョッキー(?)」だったような気がするのだが,その番組でも渋谷陽一が興奮気味にこのアルバムから何曲かを掛けていたのが懐かしい。(Miles作をタモリの「オールナイトニッポン」で初めて聞いたのとも似ているなぁ。)

実はこのアルバム,回りの期待が大き過ぎたので,あまり評価されていないように思うのだが,今にしてよくよく聞いてみると結構いけている。"Space Boogie"などはSimon Philipsの炸裂するバスドラとも相俟って,かなり興奮させられる出来である。なんでこのアルバムが評価されないかというと,それはJan Hammerが参加している冒頭3曲の曲としての魅力が足りないせいもあるが,Beckにしてはサウンドが地味に聞こえるからではないかと思う。曲だけでなく,私にはJan Hammerのドタドタしたドラムスやしょぼいシンセ・ベースが緊迫感を弱めているように思えるが,それでも"Star Cycle"のBeckのギター・フレーズなどは十分刺激的に聞こえる。また,ここに収めれられている"El Becko"を聞けば,いかに上述のトリビュート盤でJeff Richmanが弾いていた演奏がいかに下らない(あるいはトリビュートなんてちゃんちゃらおかしい)かがわかるはずである。

いずれにしても,"Blow by Blow"や"Wired"のような超弩級傑作とはいかないものの,これはこれでもう少し真っ当に評価してもいいように思えるアルバム。但し,最後のTony Hymasとのデュオで演奏される"The Final Peace"はあまりに予定調和的なエンディングで苦笑させられる。その前の"Space Boogie"とのギャップが大き過ぎますわ。星★★★☆。

Personnel: Jeff Beck(g), Jan Hammer(key, ds), Tony Hymas(key), Mo Foster(b), Simo Philips(ds)

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