Joe Farrell:メンツにしては出来が...
"Sonic Text" Joe Farrell(Contemporary)
Joe Farrellと言えば,はっきり言ってReturn to Foreverやその他のChick Coreaのアルバム以外で聞く機会はほとんどない。しかし,アルバム"Friends"や"Mad Hatter"所収の"Humpty Dumpty"等を聞いていると,テナーで4ビートを吹かせるとかなりいけるのではないかと思わせる人である。そのJoe Farrellがフロントのパートナーに何とFreddie Hubbardを迎え,全曲メンバーのオリジナルで固めたストレート・ジャズ作である。
冒頭のタイトル・トラックから快調に飛ばしており,うれしくなる出来で期待を持たせる。2曲目の"When You're Awake"も曲は今イチながら,Freddieのフリューゲルホーンが美しく,Farrellのテナーもコクのある表現でなかなかよい。3曲目のFreddieのオリジナル"The Jazz Crunch"ではCablesがエレピを弾いている。曲は普通のジャズ・ロックって感じだし,盛り上がってきたところでフェードアウトしたりと問題ありだが,CablesのエレピはArt Pepperのバックのときとは全然表情が違って面白いと思う。そう言えばCablesは渡辺香津美の"Lonsome Cat"のバックでもエレピを弾いていたなぁ。
B面に移って,"If I Knew Where You're at"でFarrellはソプラノに持ち替えるが,これまた曲が今イチである。続くCablesの"Sweet Rita Suite(Part 1): Her Spirit"ではイントロでは結構盛り上がるかと思わせるが,フルートとミュート・トランペットでのメロディ・ラインにはずっこける。その後のFarrellのフルート・ソロ,Cablesのピアノ・ソロはよいだけに何とかならなかったものか。そして最後は最も長尺の"Malibu"である。この曲は各人のソロがかなりいけていて楽しめるが,なんともTony Dumasのベースがうるさいのが邪魔。
全編を通して聞けば,このアルバム,各人のソロはそこそこ楽しめるが,曲にあまり魅力がないというのが決定的な問題であるように思える。また,このアルバムのもう一つの難点はPeter Erskineのドラムスを殆んど活かせていないところにある。Erskineならもっとこのバンドをプッシュできたはずだが,バンドに化学変化をもたらすだけの影響を及ぼしていないというか,こんなビートばかり叩かされてはどうしようもなかったという気もする。あと,もう少しFreddieが爆発してくれていたならなぁと思う。Freddieが最もFreddieらしいのが最後の曲っていうのももったいない。ということで,このアルバムはこのメンツからすればもう少しいいものにできたはずだが,プロデューサーのJohn Koenigの力不足と言われても仕方あるまい。星★★★。
Recorded on November 27 and 28, 1979
Personnel: Joe Farrell(ts, ss, fl), Freddie Hubbard(tp, flh), George Cables(p, el-p), Tony Dumas(b, el-b), Peter Erskine(ds)
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