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2007年12月31日 (月)

私も今年のベスト盤を...

いよいよ大晦日となった。世の中ではいろいろな方が今年のベスト盤をブログ等でも挙げておられるので,私もあやかって今年のベスト盤を考えてみたい。そもそも私が今年何枚のCDを買ったのかもはっきりしないのだが,純粋な新譜はあまり多くなかったような気もするし,そうした私が今年のベスト盤を語る資格があるのかというと疑問ではある。しかし,いろいろなジャンルの音楽を聞いてきて,私のヘビー・ローテーションとなったアルバムをいくつか挙げておきたい。必ずしもこのブログで紹介していないものや発掘ものも含まれているが,まぁそれはご勘弁願いたい。

別格:Michael Brecker "Pilgrimage"

ジャズ:Antonio Sanchez "Migration",Chris Potter Underground "Follow the Red Line: Live at the Village Vanguard",Dave Douglas Keystone "Moonshine"

ロック/フォーク/SSW:Neil Young "Live at Massey Hall 1971",Joe Henry "Civilians"

ソウル/R&B:Mavis Staples "We'll Never Turn Back", Chaka Khan "Funk This",Aretha Franklin "Rare & Unreleased Recordings from the Golden Reign of Queen of Soul"

ブラジル:Eumir Deodato "Ao Vivo No Rio"

そして私にとっての今年のMVPはFred Hersch以外はありえない。新作"Night & the Music"もよかったが,何よりもカザルス・ホールでの彼のライブが私の心を鷲掴みにしたのである。あまりにその演奏がよかったものであるから,今年の後半最も聞いたのは彼のアルバム群ということになってしまった。また,今年最も嬉しかったのはJoni Mitchellへのシーンへの復帰。アルバム"Shine"は悪くはないが,Wayne Shorterの不在は痛く,私が求めるレベルには達していなかったのは残念。しかし,彼女が戻ってきてくれたのは何よりも嬉しかった。また,見られると思っていなかったEgberto Gismontiのライブは今年起こった奇跡の一つ。

(オマケ)映画:「ボーンアルティメイタム」(劇場,飛行機で見たものの中で,一番面白かった。)

(オマケ)書籍:吉田秀一 「悪人」(結局この本が新刊では一番面白かったような...)

ということで,今年になって始めたこのブログであるが,いろいろな方とお知り合いになる機会も与えてくれたし,それなりに私としては満足している。本年は都合359本の記事で打ち止めである。ほぼ毎日よく続いたものだが,来年以降もできる限り同様のペースにて続けていきたいと思う。

それでは皆さん,よいお年をお迎えください。また,来年もご愛顧のほどをよろしくお願い致します。

2007年12月30日 (日)

コレクターはつらいよ(3)

Jazz_for_a_hot "Jazz for a Hot Cold Sunny Cloudy, Day Night on a Train Plane or Automobile, Alone or with Others..." (Warner Brothers)

おそらく世界で最も詳しいBrad MehldauのディスコグラフィをおさえているドイツのJens Linge氏に教えてもらったアルバムである。これは2000年に出たプロモ・アルバムで,何と言ってもこのジャケ,このタイトルであるから,よっぽどのことがない限り行きつくことのなさそうなものである。

しかし,このアルバムの4曲目にはBrad Mehldau Trioによる"Non Album Track"を堂々と謳った"In the Wee Small Hours of the Morning"が収録されている。同曲はライブなどで演奏していたから,アルバムにも入っているものと思っていたが,正式なレコーディングはここに収められたものだけのようである。詳しいクレジットはないので何とも言えないが,メンツはベースがLarry Grenadier,ドラムスがJorge Rossyで間違いないだろう。

幸いこのアルバムは世の中のEコマース・サイトで入手が容易なので助かったが,こういうのが出てくると,本当にコレクターは辛い。

実はLinge氏のサイトでもう一枚注目のアルバムを発見しているのだが,これがなかなかの曲者で,フランス版オークション・サイトのようなところでブツは大量に出ているのだが,サイトは全部フランス語(仏→英の翻訳ツールを使っても,理解するのに時間が掛かって大変である)だし,発送もフランス国内のみばかりなのである。うーん,これは困った。それについては機会を改めて報告したいと思う。

2007年12月29日 (土)

ボディスナッチャーの1978年版リメイクは結構怖い

Body_snatchers 「SF/ボディスナッチャー(Invasion of the Body Snatchers)」('78,米,United Artists)

監督:Philip Kaufman

出演:Donald Sutherland, Brooke Adams, Leonard Nimoy, Jeff Goldblum, Veronica Cartwright

私はこのブログで"Invasion of the Body Snatchers"のオリジナルを「低予算でも面白い映画はできる」として,2007年版のリメイクを「インベージョン:3度目のリメイク」として取り上げたが,このDVDは1978年の初めてのリメイク版である。このバージョン,いろいろな仕掛けもあり,私としては結構楽しめる作品であったので,またまた取り上げてみたい。

何せ監督がPhilip Kaufmanである。Kaufmanと言えば,大傑作"The Right Stuff"をものにしただけで私の中では評価が高いが,彼のキャリアではかなり初期のこの作品もなかなかサスペンスを盛り上げる演出で楽しめる。それに加えて,私がいいと思うのはこの作品はオリジナルに対する敬意が強く感じられることである。何と言っても,オリジナル作の監督Don Siegelや主演のKevin McCarthyを特別出演させるところがそもそも憎いではないか。特にMcCarthyの役回りはオリジナルを意識していることは明白である。(ついでながら,なぜかRobert Duvallが一瞬顔を見せてブランコに乗っている。何でやねん!?)

いずれにしてもこの作品は,オリジナルにかなり近いかたちでリメイクされており,わけのわからないうちにサスペンスを高めるのもオリジナルに近く,オープニングからしてB級っぽさ全開なのもこれまたよい。また,この作品では舞台をサンフランシスコに移しているが,当時のSFの風景が楽しめるのも一興であるとともに,やはり馴染みのある場所でのロケは結構感慨深いものがあるのも事実である。

確かにストーリーには若干無理があることは仕方がないところだが,わけのわからない恐怖はよく出ていると思うし,結末は結構ショッキングでもある。また,スナッチャーの見た目の気持ち悪さという点では,SFXの技術の進歩により相当のものがあって,かなり夢見が悪くなるような部分もある。まぁ,本作はオリジナルには及ばないかもしれないが,かなり善戦している部類であろう。少なくとも2007年版よりははるかによく出来ている。但し,「人面犬」はお遊びが過ぎるということで星★★★☆。

ところで本作の音楽を担当しているのは精神科医にしてジャズ・ピアニスト,Denny Zeitlinというのは意外な事実であるが,日頃のピアノ・タッチからは想像できないスコアを書いている。

それにしても本作に出演しているVeronica Cartwrightは"Alien"といい,この映画といい,結構可哀想な役回りが多いなーとつい思ってしまった。また,Brooke Adamsはパッと見,今は亡きKaren Carpenterのようでもあるなーとこれまた思ってしまった(どうでもいいことだが...)。

2007年12月28日 (金)

James Taylor:師走に心和ませるアルバム

James_taylor "One Man Band" James Taylor(Hear Music)

Joni Mitchellの新譜も発売したStarbucks系列のHear MusicレーベルからJames Taylorのライブ・アルバムが発売されたが,これがまた師走の忙しさを忘れさせてくれるような心を和ませるしみじみ盤である。

演奏はJTのギターとLarry Goldingsのキーボードという編成に,一部コーラス隊が加わるという編成であるが,Taylorに寄り添うごときGoldingsの伴奏もよいが,何よりもJTのアコースティック・ギターの響きを聞くだけで,長年のファンは嬉しくなってしまうこと間違いなしというアルバムである。

私は付属のDVDは未見であるが,もちろん音だけでも楽しめる。年を取っても,JTの声は素晴らしいし,ギターも相変らずうまい。とても来年還暦とは思えない瑞々しさではないか。JTの音楽を聞いていると,アメリカという国のよい部分しか見えてこないように思え,それが本国での根強い人気を支えているような気がしてならない。とにかくこの声を聞いていれば,絶対この人っていい人よねぇと思えてしまうのである。

打ち込みにエフェクトを使った"Slap Leather"のような曲の扱いには疑問はある(聴衆には受けているが...)が,ライナーを見ると,JTがハンドマイクを使ってやっているようだから,映像的にはまぁいいかという世界なのかもしれない。しかし,本質的にはこのアルバム,コーラス隊との絡みにも聞かれるように本当に心が和むアルバムなのである。星★★★★。

尚,コーラスを担当しているのはTanglewood Festival Chorusのメンバーということである。夏にボストン交響楽団が野外コンサートを開催するTanglewoodは本当にいいところである。全くの余談だが,芝生の上でワインを飲みながらチャイコフスキーだのシベリウスだのマーラーだのを聞いたのも今となっては私にとっていい思い出である。

ある意味,Tanglewoodにも程近いPittsfieldという「場」がこういうさわやかな音楽を生むということなのかもしれない。

Recorded Live at the Colonial Theatre, Pittsfield, MA, on July 19, 20 & 21, 2007

Personnel: James Taylor(vo, g), Larry Goldings(key), Member of Tanglewood Festival Chorus(vo)

2007年12月27日 (木)

やっぱりDan Pennは渋い:男の中の男

Dan_penn "Moments from This Theatre" Dan Penn & Spooner Oldham(Proper Box)

以前このブログで「Dan Penn:渋さの極致」として,Dan Pennの"Do Right Man"を取り上げたことがあるが,このアルバムはそのDan Pennが盟友Spooner Oldhamと作り上げたデュオによるライブ・アルバムである。

これを聞いてやはり私には「渋い」という表現しか見つからないのだが,"Do Right Man"に輪を掛けた渋さなのである。Dan Penn自身のギターと,Oldhamのエレピだけという伴奏で展開される演奏,演唱を聞いてしまうと,もはやため息がもれざるをえない世界へ行ってしまっている。

これは枯淡の境地と言ってもいいのかもしれないが,二人だけで紡ぎあげたこの世界はほかのミュージシャンでは再現不能な世界である。完全に別次元。今思い起こしてみれば,この二人のNYCのボトムラインでのライブに接するチャンスが滞米中の私にはあったのだが,当時はDan Pennなんて知らなかった私の不明を恥じざるをえない。こんなライブなら一生一度ものであったのにと悔やまれる。

いずれにしても,私の人生において繰り返し聞かれるであろう作品として当然星★★★★★である。師走のせわしない時に聞くと本当にしみじみしてしまうアルバムである。素晴らしい。

Personnel:Dan Penn(vo, g), Spooner Oldham(el-p, vo)

2007年12月26日 (水)

Dave Douglas:年末になって現れた素晴らしい作品

Dave_douglas "Moonshine" Dave Douglas Keystone (Greenleaf Music)

年末近くになって,突如発売されたDave Douglas Keystoneの新譜である。Dave Douglasはかなり多作の人と言ってよいが,この新作はかなりカッコいい作品となっている。

ライナーによると,この作品はFatty ArbuckleとBuster Keatonの無声コメディ映画にインスパイアされたものらしいが,作品そのものはヘビーなビートの利いた作品であり,何がそうしたインスピレーションの源になっているのかははっきり言って私にはよくわからない世界である。しかし,これはかなりイケテいる。

メンツもなかなか優秀な人材を集めているが,その中で絶妙なアクセントになっているのがDJ Oliveによるターンテーブルとラップトップである。それにAdam BenjaminのRhodesが素晴らしいバックエンドのサウンドを作り出し,Brad JonesとGene Lakeの強力なビートに乗って,DouglasとStricklandが吹きまくる(特にDouglasの吹きっぷりが突出している)。こういう路線のサウンドはWallace Roneyもやっていたように思えるが,出来は本作の方がはるかによい。最近の注目株であるMarcus StricklandはJeff "Tain" Watts盤でのストレートな乗りとは一線を画したサウンドであるが,なんでも器用にこなすものであると感心してしまう。

それにしてもである。このサウンドはハイブラウなエレクトリック・サウンド好きには結構たまらんものがある。今年最後の最後になって,現れた素晴らしいアルバム。星★★★★☆。このバンド,今後真剣に追いかけざるをえない。

Recorded Live at the Mermaid Arts Centre, Bray Jazz Festival, Ireland, on May 4, 2007

Personnel: Dave Douglas(tp), Marcus Strickland(reeds), Adam Benjamin(el-p), Brad Jones(b), Gene Lake(ds), DJ Olive(turntable, laptop)

2007年12月25日 (火)

追悼,Oscar Peterson

Peterson_2 12/23,Oscar Petersonが82歳で亡くなったそうだ。近年は演奏もキャンセルされることが多くなり,その健康が危ぶまれていたが,ついに不帰の人となってしまった。

私はPetersonのファンというわけではないし,CDも大して持っているわけではない。しかし,Verve,MPS,Pablo,Telarc等のレーベルを通じて発表された彼の作品の数々はスイングするとはこういうことだということを教えてくれたのではないかと思う。 

Petersonを追悼するにはしんみりするより,彼の粋でスインギーなピアノが楽しめる゛We Get Requests゛こそが相応しい。これでこのブログでも取り上げたVery Tall Band(Peterson,Milt Jackson,Ray Brown:「Peterson/Jackson/Brownで悪いはずがない」)の全員が亡くなってしまったことになる。何とも複雑な気分のクリスマスである。

謹んでご冥福を祈りたい。合掌。

クリスマスには...メサイアよ

Messiah_2 "Messiah" Geroge Frideric Handel作曲,John Eliot Gardiner指揮,English Baloque Soloists & Monteverdi Choir(Philips)

師走といえば,日本ではベートーベンの第九と相場が決まっているが,海外では"Messiah"が定番である。このブログでクラシック音楽を取り上げるのは今日が初めてであるが,クリスマスには"Messiah"こそ相応しい。

実は私は一時期ルネッサンス期の宗教音楽やバロックに凝っていた時期があるのだが,その中ではGlen GouldのBachは別格として,私の嗜好に最もフィットしたのはヘンデルであった。何を隠そう私の結婚披露宴では私たちの入場の音楽にヘンデル作曲「王宮の花火の音楽」を使ったぐらいであるからおバカと言えばそのとおりだが,それぐらいヘンデルが私は好きだったのだ。 

ヘンデルの数々の作品の中で,"Messiah"を聞く回数はそれほど多くはないが,やはりクリスマスの時期になると,このCDをごそごそと取り出してきて,にわかに宗教じみてくる私である。しかしこの音楽がキリスト教徒にとって,非常に重要な作品であることは,海外でのこの曲のライブの演奏に立ち会えばわかる。所謂「ハレルヤ」コーラスのところになると,聴衆が全員起立するのである。初めてその瞬間を目にしたのは,今を去ることほぼ20年前,私が英国に出張中に聞きに行ったQueen Elizabeth Hallでの演奏会でのことだったが,最初は何が起こったかわからなかいぐらい驚いたものである。その時も思ったし,今でもそう思うが,宗教の持つ力は偉大である。

作品そのものを云々すること自体この曲には不適切であるが,私はこのGardiner盤の上品さを最も好ましく思っているので,ここに取り上げた。今年もクリスマスは静かにこの曲で迎えることとしよう。

こんなことを書いていると,日頃私がデーモン木暮閣下の真似をして,「蝋人形の館」をシャウトしているのとギャップが大き過ぎ~と言われることは確実だが,人は見かけによらないのである。ロザリオを持つ悪魔とでも呼んでくれい。

2007年12月24日 (月)

Brian Bladeの初リーダー作はとんでもない傑作である

Brian_blade_2 "Fellowship" Brian Blade(Blue Note)

現在のジャズ・シーンを牽引するドラマーの一人であるBrian Bladeの初リーダー作であるが,これが何とも素晴らしい出来である。

Blue Noteレーベルでありながら,プロデューサーがU2やBob Dylan等でおなじみのDaniel Lanoisというのは異色ながら,全くコンベンショナルではないモダン・ジャズとしてこれほどの作品に仕上げてくるところがさすがLanoisと言わざるをえない。このアルバムが発売された1998年当時,ドラマーがリーダーのアルバムの中でも私は屈指のものと評価していたが,その感覚は今でも変わらない。初発から間もなく10年になるが,音が全く古びていないのも大したものである。

このアルバムで驚かされるのはBrian Bladeの作曲能力である。全8曲中7曲がBladeのオリジナルであるがこれらが大変魅力的である。ドラマーとして優秀なのはわかっていても,ここまでの才能があるとは当時は思わなかっただけに余計に驚かされた記憶があるが,ルーツ・ミュージック的な要素も示しながらクールな雰囲気の中にも展開される熱い演奏がまた隙がない。

編成としてはある意味変わっている。サックス2管に2ギター(うち1本はペダル・スティールである)にピアノ・トリオという7人編成(一部でLanoisがギターで加わりオクテットとなる)はかなりユニークであるが,Bladeの曲を演奏するにはこの編成でなければならないだろうなぁと思わせるのが先に言ったLanoisの手腕と言えると思う。とにかくこのアンビエンスというか雰囲気は見事としか言いようがない。その中で各人が展開するソロは素晴らしいし,それをバックで統率するBladeのリーダーシップも立派。私はこのアルバムにははっきり言って文句のつけようがないというのが正直なところである。メンバーも必ずしも超有名どころではないが,彼らの実力はこれまた大したものである。

というように様々な要素を織り込んで考えれば,私はこのアルバムには喜んで星★★★★★を謹呈するものである。尚,彼らの第2作にはJoni Mitchellがゲスト・ボーカルで参加しているが,これもBladeがJoniのバックを務めたゆえのことである。やはり優れた人脈は交錯するということである。

Personnel: Brian Blade(ds), Jon Cowherd(p, el-p), Christopher Thomas(b), Melvin Butler(ts, ss), Myron Walden(as), Jeff Parker(g), Dave Easley(pedal steel), Daniel Lanois(g)

2007年12月23日 (日)

これでは伝説にはなれません

I_am_legend 「アイ・アム・レジェンド("I Am Legend")」(’07,米,Warner Brothers)

監督:Francis Lawrence

出演:Will Smith, Alice Braga, Charlie Tahan, Salli Richardson

エンド・ロールを見ていると原作はRichard Mathesonとある。Mathesonと言えば「激突!」の原作者でもあるが,高齢の彼が新作を出すとも思えず,よくよく調べてみれば,この映画も結局はリメイクである。直近の一本(と言っても40年近く前である)はCharlton Hestonが出た「オメガマン:地球最後の男」,もう一本はVincent Priceのもっと古い映画らしい。

この映画についてはストーリーがストーリーなだけに,内容を非常に書きにくいのだが,「ウイルス,感染者の変容,血清」が重要なキーワードとなる。映像的に見れば,はっきり言ってホラーといっても過言ではないぐらいで(スプラッターではない),映画を見た後は夢見が悪くなるのではないかと思うぐらいである。

はっきり言ってこの映画のストーリーには無理が多過ぎて,突っ込みどころ多数である。例えば,冒頭のシーンで出てくる車はなぜ新車のようにピカピカなのかとか,もはや廃墟と化したNYCでどうやってガソリンを手に入れるのだとか,言い出せばきりがない。しかし,それ以上の突込みをすると,映画のネタがバレるという問題があるため突っ込めないという,これはブロガー泣かせの映画である。

しかし,この映画のしょうもなさははある意味では以前に書いた「インベージョン」(インベージョン:3度目のリメイク)並みと言ってもいいように思える。監督のLawrenceはミュージック・ビデオ出身らしいが,取り敢えず観客をびっくりさせようとする演出ばかりが目立つ本作を見る限りは大した監督ではないと判断していいだろう。Will Smithもこんな映画でお茶を濁すぐらいなら,もう少し出演する映画を選んだ方がいいように思う。星★★。

これだけリメイクばかりになると,真っ当なシナリオライターなんて育ちそうにないように思えてくる。こんなもんばかり作っている最近のアメリカの大作映画には問題を感じると言わざるをえない。

2007年12月22日 (土)

ブルース・フィーリング溢れるRay Bryantのソロ・ライブ

Bryant "Alone at Montreux" Ray Bryant(Atlantic)

何ともブルージーなアルバムである。どこから聞いてもブルース・フィーリングが溢れ出しており,ジャズとブルースの関係性を今一度再認識させるようなアルバムと言っては大袈裟か。

このアルバムはRay Bryantが単身,モントルー・ジャズ・フェスティバルに乗り込んで演奏した際の実況盤であるが,このときの演奏が実はOscar Petersonの「トラ」だったというのだから,人生何があるかわからない。このときの演奏で,Ray Bryantに対する認知度や評価が一気に高まったのは彼にとってもある意味千載一遇のチャンスをものにしたということであるが,Petersonの代役にBryantを立てたプロデューサーの慧眼も評価せねばならないとしても,何よりもこのときの演奏がそれぐらいよいということである。

Bryantはとりわけテクニシャンというわけ(左手なんてシンプルなものである)ではないので,演奏の雰囲気で聞かせる部分の方が強く感じられるが,モントルーの聴衆にはそのフィーリングが受けたか,大した盛り上がり方である。一方で,Bryantの最初のMCからは相当の緊張感が伝わってくる(声が震えているように思えるのは私だけだろうか)のが微笑ましいが,演奏にはそんな緊張感など微塵も感じられない。演奏が進んで,MCも2回目になるとだいぶ緊張がほぐれているように聞こえるから不思議なものである。

もちろん,これがホールでのライブ向けの演奏なのかという疑問もあるし,こういう演奏は一回限りあるいはごくたまにやるからよいという話もある。私なら,こういう演奏はもっと小さなあるいは下世話な雰囲気の場所で聞きたいと思うが,そうした話を抜きにしてもこのアルバムには一定の評価を与えるべきであろう。名盤とか何とかというものではないが,たまに酒でも飲みながら聞くにはよいアルバムである。但し,"Greensleeves"はどう聞いても蛇足だと思うが...。星★★★★。

それにしても,Bryantがその後ソロ・ピアノにこだわらなかったのは正解だと思う。

Recorded Live at Montreux Jazz Festival in 1972

Personnel: Ray Bryant(p)

2007年12月21日 (金)

Phil Woods:何事もやり過ぎはいけません

Philwoodsatthefrankfurt356813991 "At the Frankfurt Jazz Festival" Phil Woods and the European Jazz Machine(Atlantic)

一言で言えば騒がしい。よく言えば疾走感に溢れている。このアルバムはそのどちらで評価するかによって,好き嫌いが大きく分かれるように思える。

私はPhil Woodsに関しては,ロックのアルバムで歌心を爆発させたソロやオブリガートの印象が非常に強く,彼名義のアルバムなんて殆んど持っていないというのが実情である。このアルバムは私が保有する数少ないWoodsのアルバムの1枚だが,以前はこのアルバムの演奏はもっと気に入っていたように思うのだが,久々にこのアルバムを聞いてみて,残念ながら私には騒がしさばかりが耳についた。

これは私が年を取ったせいもあるだろうが,これははっきり言ってやり過ぎだ。そりゃここまでやれば聴衆が「のる」のは当たり前である。だってこれはある意味「アジ演説(死語だな)」のようなものである。これを「煽情的ジャズ」と呼ばずして何と言おうか。しかし,それもやり過ぎればはっきり言って飽きられる。私も30代までだったらこの演奏で大いに燃えたかもしれないが,今や中年真っ只中の私にとってはちょっと厳しい。騒がしいのがWoodsだけならまだしも,バンドが全員やかましいのでは私にはやはり厳しい。

これだけ騒がしく思える原因として,Gordon Beckのエレピのミキシング・レベルが異様に高いことも影響しているように思えるが,それにしてもである。

やはり今の私には歌心を発揮しているWoodsの方がよい。ということで,現在の心境としては演奏は決して悪くはないが星★★☆。

Recorded Live at the Franfurt Jazz Festival

Personnel: Phil Woods(as), Gordon Beck(p, el-p), Henri Texier(b), Daniel Humair(ds)

2007年12月20日 (木)

出張中に見た映画(2007/12):その4

Photo_2 「止められない結婚(못말리는 결혼)」(’07,韓国)

監督:キム・ソンウク

出演:ユジン,ハ・ソクチン,キム・スミ,イム・チェウ

私は一時期,韓国に出張する機会が結構あった。その時以来,私は韓国の食文化やきれいな女性たち(プチ整形だろうがなんだろうが,美しいものは美しい)にはまっているが,だからと言って韓流ドラマにまで首を突っ込んでいるわけではない。私は韓国語を理解しているわけではないが,ソウルにおいてテレビでつらつらと見ているだけで,ありえない展開というのが手に取るようにわかるドラマもあって,日本でいえば大映テレビ的あるいはそれ以上のものが多いのではないかと思う(誤解かもしれないが...)。

とは言え,飛行機の中で暇なものだから,今回上映していたこの映画も見てしまったわけだが,まぁこれも他愛のない「結婚もの」コメディであり,飛行機の中で気楽に見るには丁度よい映画と言ってもよいだろう。話はどうでもよいようなものなので詳しく述べるつもりもない,ヒロインのユジンが何とも可愛くてオジサンはどきどきしてしまった。私が見た限りでは,韓国の女性の平均身長は日本の女性よりも高いと思うが,小柄に見えるユジンでさえ160cmだそうである。へぇーっと言う感じもあるが,だからと言って,男性が大柄というわけではないのが不思議なところである。また,この映画をさらっているのが,ハ・ソクチンの母親を演じるキム・スミである。JALの映画紹介では「泉ピン子」的と書いてあったが,私にはどう見ても「上沼恵美子」的に見えてしまった。

20071116yujin_2 映画としては星をつけるのもどうなのよというぐらいのものだが,"Shoot 'Em Up"よりははるかに許せるので星★★☆。それにしてもユジン,可愛かったなぁ。

2007年12月19日 (水)

MurrayとWeston:ヘビー級デュオ

Healers "The Healers" David Murray and Randy Weston(Black Saint)

David MurrayとRandy Westonのデュオなんて聞いただけで胸焼けがしてきそうな気がしないでもないが,タイトルが"The Healer"なんてものだけに,比較的おとなしめにやってはいるものの,もちろんヒーリング・ミュージックではない(当たり前じゃっ!)。

ご両人とも,いつも通りと言えばいつも通りの演奏である。しかし,1987年頃のDavid Murrayを聞いていたリスナーには,おそらくこのMurrayでは欲求不満になってしまったのではないだろうか。それぐらいにここでのMurrayは抑制がきいているので,フリーキーなトーンはあまり出てこないし,奔馬の如く暴れるということもない。これはおそらく,大ベテラン,Randy Weston翁に合わせたというところもあるだろうが,そのあたりがこのアルバムへの評価の分かれ目ではないだろうか。

私のようにMurrayに入れ込んだことのないリスナーにとっては,Murrayがこういう感じで吹いてくれるなら,もっと彼のアルバムを聞いてもよかったかなと思ってしまうぐらいである。私としてはアルバムの最後を飾るWeston作"Blue Moses"が特に気に入っている。このレコードを聞いたのも本当に久しぶりだったが,これでWestonのピアノがよりビビッドに録音されていれば,もっと良かっただろうと思う。星★★★☆。

いずれにしても,このアルバム,Black Saintらしいと言えば(フリー度控えめながら)まさしくその通りであるが,これほどアバンギャルドな「黒さ」にこだわったレコード・レーベルがイタリアに存在したということ自体が今となっては信じがたい。

Recorded on Septenber 26, 1987

Personnel: David Murray(ts, b-cl), Randy Weston(p)

2007年12月18日 (火)

冬の熱い熱いジャズ

Livesupreme "A Live Supreme" 森山威男(Syrinx Works)

これは森山威男が2003年に行ったコンサート・シリーズの中から,最もヘビーなメンツで,ヘビーな曲に挑んだ演奏を収めた実況盤である。なんてったって「至上の愛」全曲である。それだけでなく,"I Want to Talk About You"に"Impressions"ときては,聞く前からお腹いっぱいと言う気もしないわけではないが,森山とGeorge Garzoneのコンビとあっては,私のような好き者は聞かざるをえない。

やっている曲が曲だけに,当然,私としてもColtraneの世界にどれだけ近づけるかということを考えてしまうのは当然である。ここではGarzoneとAbraham Burtonという2管編成なのだが,特にGarzoneがトレーン的に迫ってくる。それをバックで煽る森山のシャープなドラミング。これはジャズ・ファンなら結構燃えるアルバムと言えると思うし,私の期待通りの出来である。

もちろん,ライブ・レコーディングということもあり,アンサンブルに破綻が生じそうな瞬間もあるし,演奏に荒さも感じられる。しかし,それを上回る演奏の熱さゆえに,大概のことは許してしまおう。この暑苦しさを許容できるかどうかが,このアルバムを聞く上での分かれ目である。頻繁に聞きたいと思うアルバムではないが,たまにこういう演奏は聞きたくなるはずである。

但し,但しである。そうした熱い演奏を聞きたいと思ったとき,このアルバムを手に取るかと言えば若干疑問がないわけでもない。私ならおそらくColtraneとDolphyのVillage Vanguardのコンプリート・ライブ盤(Dolphyファンこそ必聴のColtraneのVanguardボックス)に行ってしまうだろうと思うからである。それでもやはり一聴の価値のあるアルバムだと思うし,少なくともGarzoneと森山のファンには必聴である。星★★★★。

それにしても,どうせなら"A Love Supreme"の呪文を唱えて欲しかったなぁ。ストイックなファンからは「冒涜だ」と怒られるかもしれないが...。

Recorded Live on September 20, 2003

Personnel: 森山威男(ds),George Garzone(ts,ss),Abraham Burton(ts, as),田中信正(p),井上陽介(b)

2007年12月17日 (月)

どこへ行ったか:今度はGary Thomasだ

Thomas "Seventh Quadrant" Gary Thomas(Enja)

以前,「どこへ行ったかChico Freeman」と書いたことがあるが,Gary Thomasも一体どこへ行ってしまったのかと思わざるをえないミュージシャンである。一時はジャズの未来を支えるかのようない割れ方をされたThomasは本当にどこへ行ってしまったのだろうか?21世紀に入って,これほど名前を聞かなくなってしまったミュージシャンもあまりいない。Milesとも一時共演したのにねぇ。

Gary Thomasがその魅力を最も放っていたのはJMT/Bambooレーベル在籍中であることは衆目の一致するところであろうが,このアルバムはそれ以前の1987年にEnjaレーベルに吹き込んだアルバムである。このアルバム,なかなか魅力的なメンバーを揃えて,ここでもThomasらしいハイブラウな演奏を展開している。特に驚かされるのがRenee Rosnessのかなり強烈なピアノによるバッキングである。Gary Thomasと言えば,大西順子をバックに来日したこともあったと記憶しているが,まるで大西順子のようなタッチでReneeがピアノを弾いているのには驚かされる。また,Thomasと絶妙なユニゾンを聞かせるPaul Bollenbackもいいプレイだと思うが,この人も最近は名前をあまり聞かないが,もっと注目されてよいギタリストではなかろうか(ただし,タイトル曲でのギター・シンセサイザーはあまりに無節操で閉口するが...)。リズムのAnthony CoxとJeff Wattsのコンビがこれまた素晴らしい(ただしWattsのドラムスが録音のせいか音が細いのは勘弁して欲しい)。

ということで,これなら大変素晴らしいアルバムになりそうなものだが,やや全体として一本調子というか,やや力まかせに走ったという感があるのは,プレイヤーの若さゆえということになるかもしれない。本作録音時,Thomasはまだ25歳であるから,それもまた仕方のないところである。その年齢で成熟していたら,むしろその方が怖い。

いずれにしても全編,Thomas君,テナー(及びフルート:結構この音色はいけている)を吹きまくっている。3曲目で現れるThomasとWattsのデュオの瞬間を聞けば,かなりのジャズ・ファンは耳をそばだてるだろうと思うのだが,Thomasのフレージングが何となく軽く響いて今いちなのが残念。Bollenbackとのユニゾンだと結構よく聞こえるのだが...。このあたりがThomasの限界だったということかもしれない。ということで星★★★。

そう言えばThomasも参加したJack DeJohnetteのSpecial Editionなんてバンドもありましたっけね。懐かしいなぁ。

Recorded on April 3 and 4, 1987

Personnel: Gary Thomas(ts, fl), Paul Bollenback(g, g-synth), Renee Rosness(p), Anthony Cox(b), Jeff Watts(ds)

2007年12月16日 (日)

「懐かしの」と言うべき佐藤允彦のフュージョン・グループ

Msb "MSB" Masahiko Sato & Medical Sugar Bank(Open Skye)

佐藤允彦は多彩なミュージシャンである。とんがったフリー・ジャズをやるかと思えば,ストレートなピアノ・トリオもやれば,この作品に聞かれるようなフュージョンさえもこなす。大した才能である。

その佐藤允彦が1980年にOpen Skyeレーベルから発表したMedical Sugar Bank名義でのアルバムである。今となっては懐かしい。典型的なフュージョン・アルバムと言うこともできるが,これがメンバーゆえということもあろうが,タイトによくまとまったアルバムになっている。制作から四半世紀以上経過しているので,やや古臭い感覚がないわけでもない(特にキーボード,シンセの音色)。しかし,ある意味リーダーの佐藤よりも目立っていると言えるテナー,ソプラノの清水靖晃(テナーではまるでMichael Breckerである)の好演や,山木秀夫の鋭いドラミングもあって,結構今でも楽しめる。

これで佐藤がシンセではなく,Fender Rhodesぐらいで止めておいてくれれば,このアルバムの魅力はより長期に渡って,かつ普遍的になったのではないかと思うが,当時としては先進的な機材を使っていたはずだから,これに文句を言っては酷かもしれない。しかし,こういう演奏を聞いてしまうと,Fender Rhodesという楽器の秀でた個性(あるいは普遍性)を痛感させられてしまうのである。

また,これでもう少し曲がよければ,このユニット,あるいはこのアルバムはより高い評価を得られたのではないだろうか。つまりは記憶に残るメロディがあまりないのである。演奏の質が高い(一部ではWeather Report的に響く)だけにこれは勿体ないように思える。ということで,星★★★☆ぐらいだろうか。尚,このアルバムで特筆すべきは録音のよさ。今聞いても相当レベルが高いように思う。

このアルバムは長きに渡って廃盤のままだが,CDで再発される可能性も限りなく低いのだろうなぁ。しかし,とんでもなくマニアックなアルバムがCD(それも紙ジャケ)で再発される日本であるから,何が起こっても驚かないが。

Recorded in November / December, 1979 and Jarnuary, 1980

Personnel: 佐藤允彦(p,key),清水靖晃(ts,ss),高水健司(b),山木秀夫(ds),穴井忠臣(perc)

2007年12月15日 (土)

ホリデイ・シーズンにはジャズを聞こう(その2)

Warner_jazz_christmas "Warner Bros. Jazz Christmas Party"(Warner Brothers)

前回紹介したMarian McPartlandのアルバムがしっとりと楽しむべきクリスマス・アルバムだとすれば,こちらはタイトル通り,よりパーティ・ライクに楽しむべきアルバムである。

これは1997年当時のWarner Brothersレーベル所属のアーチストが会して制作されたクリスマス・アルバムであり,さすがメジャーの力と言うべき豪華な作りになっている。私はBrad Mehldauコンプリート・コレクターを目指す身であるから,4曲もMehdauが参加しているこのアルバムは無条件で買いであったわけであが,このアルバムもMarian盤同様,Mehldau云々抜きでも十分楽しめるアルバムである。

全体を通して言えば,ストレートな4ビートもあれば,フュージョン的なものもあり,バラエティに富むという表現がぴったりである。何と言っても冒頭がJoshua Redmanだと思ったら,次にはAl Jarreauという具合である。演奏としては驚くようなものはあまりないが,珍しいと言えば,Larry GoldingsのハモンドとMehldauのピアノのデュオで演じられる"Silent Night"とBela Fleckのバンジョーがまるでシタールのように響くと思ったらシタール・バンジョーという楽器(どんなんやっ?)を弾く"White Chirstmas"ぐらいだろうか。

いずれにしても安心して聞いていられるコンピレーションである。まぁそうは言っても,フュージョン系を聞きたいならGRPのクリスマス・アルバム3枚をを聞いていればいいような気もするので,私にとってはやはりMehldauを聞くために存在するのだろうなぁ。

Personnel: Joshua Redman(ts), Mark Turner(ts),  Boney James(ts), Kirk Whalum(ts), Brad Mehldau(p), Bob James(p), Lary Goldings(org), Bela Fleck(banjo, sitar-banjo), Nick Moroch(g),  Peter Bernstein(g), Larry Grenadier(b), James Genus(b), Billy Kilson(ds), Jorge Rossy(ds), Jeff Ballard(ds), Bashiri Johnson(perc), Al Jarreau(vo), Michael Franks(vo), Gabriela Anders(vo), Kevin Mahogany(vo), and Others

2007年12月14日 (金)

ホリデイ・シーズンにはジャズを聞こう

Npr_jazz_christmas "An NPR Jazz Christmas with Marian McPartland and Friends" (NPR)

世の中はクリスマス・シーズンである。クリスチャンでない人がクリスマスがどうこう言うのには違和感があるので,ここはやはりホリデイ・シーズンと言いたいところであるが,アメリカの公共ラジオの長寿番組の"Piano Jazz"で堂々と"Christmas"と言っているので,まぁ堅いことは言うまい。このアルバムはその番組から生れたものだが,これは結構知っている人が少ないと思われるので紹介しておきたい。

実は私はクリスマス・アルバムを結構保有している(鞄にはロザリオを忍ばせているという驚くべき事実もあるが...)方だと思うが,なぜこのアルバムを保有しているかと言うと,1曲だけながらBrad Mehldauが参加しているからにほかならない。ここでのMehldauはMcPartlandとのピアノ・デュオで"O Tannenbaum"を弾いているが,わずか2分45秒のこの曲のためにこのCDを買うのには結構苦労したのも懐かしい。

Npr_2 しかし,このアルバム,実はそれだけではなく,結構なメンツ(地味といえば地味だが...)が参加しており,Mehldau抜きで聞いても楽しめるのである。詳しくは下記のパーソネルを見て頂ければよいが,ほとんどの曲がピアノ・ソロで演奏されており,ほのぼのとした感覚で静かにクリスマスを迎えるには結構お薦めのアルバムと言えよう。尚,上に掲示したジャケットが1997年発売時のオリジナルであるが,現在は→のようにジャケを変えて発売されている。ご参考までに現在のジャケもアップしておくが,実はこの作品には続編が2作あるので,ご関心のある方はNPRの商品販売用のWebサイト(http://shop.npr.org/product/show/28941)をご覧あれ。

Personnel: Marian McPartland(p), Keith Ingham(p), Brad Mehldau(p), George Shearing(p), Jon Weber(p),. Bob James(p), Frank Kimbrough(p), Marcia Bell(p, vo), John Eaton(p), Michael Weiss(p), Renee Rosness(p), Darrell Grant(p), Freddie Cole(p, vo), Phil Mackowitz(p), Jon Faddis(tp), Peter Washington(b), Nnenna Freelon(vo), Joe Locke(vib), Roseanna Vitro(vo), J.J. Johnson(tb)

2007年12月13日 (木)

久し振りにジャズの記事を...

Lunar_eclypse ゛Lunar Eclypse゛ Gil Evans Orchestra (New Tone)

暫く海外出張やら何やらで,ジャズを聞く機会があまりなかったので,ジャズ関連の記事も若干ではあるがご無沙汰(と言っても1週間ぐらいだが)となってしまった。これからは元のペースに戻していきたいが,忘年会シーズンでもあり,さてどうなることやら...。

さて,本盤は結構怪しげなジャケのアルバムであるが,よくよく見るとイタリアのTime Warnerグループの会社が製造,販売元となっているので,れっきとした正規盤のようである(但し,市場ではあまり見かけない)。

これはGilのオーケストラが1981年に欧州楽旅をした際の4ヵ所(イタリア,デンマーク,フィンランド,フランス)での演奏の記録であるが,このアルバムはオケの実力というよりも強烈なソロイストの演奏を聞くためのアルバムと言っても過言ではない。とりわけ2曲目でのSteve Grossmanのテナー・ソロと3曲目の゛Hannibal゛Marvin Petersonでのブルース・シャウトが強烈である。Grossmanはこれはまじで強烈である。私の中でのGrossmanのイメージを崩壊させるに足るこれぞ一生一度の激演と言ってはやや大袈裟か。一方のMarvin Petersonに関しては,何もこのバンドでここまでやらなくてもいいのではないかと突っ込みも入れたくなるが,ライブの場ならこれは楽しかろう。いずれにしてもジャズ好きはこの2曲で間違いなく相好を崩すのである。

ちなみにこのアルバム,Gilのオケとしては珍しくもOmar Hakimがドラムスを叩いているとか,Lucio Hopperとかいうあまり聞いたことがないベーシストが参加しているとか,あるいは4曲目だけだがBuster Williamsがこのバンドでアコースティック・ベースを弾いている等々,ほかにも珍しい部分はあるのだが,上述の2曲が強烈過ぎて,ほかがかすんでしまっている。結局のところ,上述の2曲を聞いて燃えるのをよしとすべきアルバムである。星★★★★。(でもやっぱりGil Evansと言えば,私は"Public Theater゛と゛Priestess゛の方が好きなことには変わりはないが。)

尚,David Sanbornファンには残念ながら,彼の参加は4曲目だけなので念のため。それにしても,ブログ・シンジケートのすずっくさんのところでもGrossmanネタで盛り上がっているし,世間は狭いですなぁ。

Recorded Live in Europe on July 9, 11, 13 & 23 in 1981

Personnel: Gil Evans(p, key), Lew Soloff(tp), "Hannibal" Marvin Peterson(tp, vo, perc), Miles Evans(tp), Steve Lacy(ss), David Sanborn(as), Steve Grossman(ts, ss), Dave Bargeron(tb, tuba), George Lewis(tb), Howard Johnson(tuba), Pete Levin(key), Hiram Bullock(g), Lucio Hopper(el-b), Buster Williams(b), Omar Hakim(ds), Anita Evans(perc)

2007年12月12日 (水)

出張中に見た映画(2007/12) その3

Photo_2 「犯人に告ぐ」(’07 WOWOW)

監督:瀧本智之

出演:豊川悦司,石橋凌,小澤征悦,笹野高史,松田美由紀

今回の出張時の飛行機での映画の選択肢はかなり限定的だったが,この映画は意外な拾い物という感じである。一見して,かなり地味な映画といってもよいのだが,それは配役によるところが大きいように思える。それが決して失敗していない。

こうした映画のストーリーを書くのは野暮だが,「劇場型捜査」というのはありえない展開だとしても,映画的にはまぁいいんじゃないと思わせるストーリーである。余計なエピソードがないわけではないが,117分というのも適切な上映時間である。私としては期待しないで見た分,結構得した気分になったというのが正直なところである。

この映画を見ていて,笹野高史と松田美由紀を除いて,主要な人物によさげな人があまりいないというのが面白い。警察内部然り,テレビ局然り。主役の豊川にしたって,別に颯爽としているわけではないし,スーパー・ヒーローという訳でもない。本作は決してリアリズムを追求した作品だとは思わないが,現実社会の嫌らしさがうまくまぶされているという意味で,作品の「うそ臭さ」が抑制されていると言ってもよいだろう。

雫井修介の原作は未読なので,どの程度翻案されているかはわからないが,原作を読んでもいいかなと思わせる映画であった。星★★★☆。

2007年12月11日 (火)

出張中に見た映画(2007/12) その2

Shoot_2 "Shoot 'Em Up"(’07 米国,New Line Cinema)

監督:Michael Davis

出演:Clive Owen, Paul Giamatti, Monica Bellucci

はっきり言ってここまで下らないと文句も出なくなるほど「マンガ」チックなアクション映画である。

日本で公開されるかどうかはよくわからないが,映画のタイトルを翻訳すれば「打って打って打ちまくれ」ぐらいになるのだろうか。とにかくClive Owenが全編で拳銃やマシンガンをぶちかましまくっており,暴力表現はかなり強烈であり,子供も乗っている飛行機で上映(もちろん,選択しなければ見ないで済むが...)するのはどうなのよと文句の一つも言いたくなるほどである。

いずれにしてもプロットは無茶苦茶,映像も無茶苦茶,ここまでくると笑うしかない映画である。唯一の救いはセクシーなMonica Bellucci様のお姿を拝見できたことであろうか。最後にはウェイトレス姿のコスプレまでお見せ頂き,相変わらずのフェロモン爆発ぶりには思わず鼻血が出そうになった。Monica様に免じて星★としておくが,いずれにしても世の中にはこんなひどい映画があるのかと思わされた作品である。

2007年12月10日 (月)

出張中に見た映画(2007/12) その1

Bourne_ultimatum 「ボーン・アルティメイタム("Bourne Ultimatum")」(’07,米,Universal)

監督:Paul Greengrass

出演:Matt Damon, Joan Allen, Albert Finney, Scott Glenn, Colin Staton

いつも言っていることだが,海外出張中の楽しみは飛行機で映画を見ることである。今回も何本か見たので,そのレポートをしてみたい。

NYC行きの往路で見たのは都合4本であるが,まずは最初に見たのがこの作品である。私はロバート・ラドラム原作の「暗殺者」シリーズは全部読んでいるが,Matt Damonという役者がJason Bourneとどうしても結びつかないため,この映画シリーズを見ることを遠慮してきた。しかし,今回の第3作にして最終作を見て私の不徳を感じるほど,これはよくできた映画であった。

監督のGreengrassは「ユナイテッド93」でもその監督技術には結構感心していたのだが,今回の作品を見て,これはただならないのではないかと思ってしまった。それぐらい大したものである。まーよくこれだけのエピソードを突っ込んで,この時間に収め,しかも全く飽きさせないのは立派と言わざるをえない。また,下手にCGに頼らないのも非常に好感が持てる。

本来は第1作から順番に見るのが筋ではあるが,私には独立した作品としても楽しめた。この作品をリアルにしているのは女優があまりにきれい過ぎないという側面もあるだろうが,Matt Damonの頑張りが一番である。私にとっては「ディパーティッド」よりずっとよかったと言ってしまおう。星★★★★☆。DVDで第1作からちゃんと見ることにしようと思わせてくれたことに感謝。どんどん下らなくなっていった「マトリックス」や「スパイダーマン」とは訳が違うのである。

2007年12月 9日 (日)

またまた啓発してくれたアメリカの銀行

Dsc05731 今回の米国出張の目的はいろいろあったのだが,このブログでも取り上げた(「ちょっと仕事の話を...」を参照願いたい)オレゴン州をベースとするUmpqua Bankが新たに開店した新店舗訪問もその一つである。

今回の店は彼らがInnovation Labと呼ぶが如く,またまた新しいテクノロジーを導入しており,タッチ・パネル型のスクリーンは美しいという表現がぴったりである。そのほかにもいろいろな仕掛けがあって,非常に面白いお店であることは事実なのだが,惜しむらくはこの店を出した地域がまだまだ再開発途上であり,来店客がほとんど見られないことであろうか。また,採用しているテクノロジーもすべてがすべて最新式のものとは限らないという欠点もある。しかし,これは先行投資と考えることも可能であり,この地域の再開発終了時にこの店がどのように受け入れられるかが楽しみである。すぐ近くに病院があるので,高齢者の顧客を囲い込むことは確実であろう。

いずれにしても,これはもう銀行の店ではない。口座開設あるいはその他の取引のおまけでもらえる同行のエコ・バッグがあんまりおしゃれだったため,今回はおねだりをしてもらってきてしまったので,日本での買い物で使うことにしよう。最初に訪れたときのような驚きはなくなってきたが,またまた私を啓発してくれたUmpqua Bankにはお土産を含めて感謝することにしよう。

2007年12月 8日 (土)

出張はつらいよ(3)

出張もほぼ終盤,あと1日乗り切れば日本に帰国というところまで来た。しかし,こういうときに限ってトラブルに直面するとはついていない。

現在,宿泊しているホテルはサンフランシスコの某ホテルだが,最初に私に割り当てられたのが旧館の最上階の部屋である。最上階というのは,道路の騒音から解放されるという意味ではいいのだが,この部屋が最悪であった。部屋の真横に作業用のエレベーターがあり,ひっきりなしに利用されているものだから,ベッドは振動するやらうるさいやらで眠れやしないのである。

一旦,うとうととしてしまったのはよかったのだが,まだまだ残存する時差ボケ(これは東海岸から西海岸への移動も影響している)で目が覚めてしまったのが最後,そのノイズが気になって二度と眠ることができなくなってしまった。あまりにひどいので,午前3時に部屋の変更をリクエストし,ようやく安眠できる環境は手に入れたが,部屋を移動するのにわざわざ着替えたり,荷物をパッキングしたりしていたら,眠気など覚めてしまった。ということで,これを書いているのは午前4時過ぎということになるが,これははっきり言ってついていないこと甚だしいと言わざるをえない。

これではフリークエント・ユーザー・プログラムに登録し,日頃出張時に同じホテルを利用している意味がない。リターニング・カスタマーを馬鹿にした行為はこのホテルに対する心象を極めて悪くした。私は必ずやこのホテルのマネジメントに対して苦情のコメントを寄せるであろう。私が部屋の番号を言ったら,エレベーターの横であることをフロントのスタッフも認識していたから,私の心象はますます悪くなったことは言うまでもない。

皆さんもこうしたひどい扱いを受けたときは,必ず文句を言いましょう。彼らも二度と利用されなくなったら困るから,相応の対応はするはずである。それにしても許し難い扱いである。ということで欲求不満爆発中の私である。もはや安眠への復帰は不可能だろう。

これでチェックアウト時に真っ当な対応がなければ,私は二度とこのホテルを使わない。

OTB:若さまかせの...あるいは血気盛んな...

Otb "Out of the Blue" O.T.B. (Blue Note)

新生Blue Noteレーベルがオーディションで見つけ出した有能な若手により結成させたグループのデビュー・アルバムである。"Out of the Blue":日本語にすれば青天の霹靂ってやつだが,活きのいいというか,勢いまかせというか,とにかく若さにまかせて突っ走りましたという感じのアルバムに仕上がっており,ある意味ここまでやれば爽快感にあふれたアルバムということが出来ると思う。こうした感覚はRalph Petersonの"V"につながっていくものだが,当時のハードバップ・リバイバルの様子を思い出すにはいいアルバムである。

メンバーのレベルはオーディション(総勢では35人が最終的に参加したとジャケには書いてあるが,これは最終選考ということであろう)をくぐり抜けてきただけに総じて高いが,現在まで第一線で活躍を続けているのはKenny GarrettとBob Hurstぐらいか。もちろん,Ralph Petersonもそれなりにリーダー・アルバムを発表しているが当時の勢いはもはやない。Harry Pickensもいいピアノなのに惜しい。彼らのように実力はあるのになぜなのだろうとは思うが,プレイヤーとして優れた人たちが必ずしも活躍できないのはおそらくはリーダーとしての資質の欠如なのだろう。

収められている曲は全てメンバーのオリジナルであるが,作曲の才能もそれぞれに認めなければならないとしても,やはりこのアルバムは演奏の勢いを楽しむべきアルバムだと思う。私はこのハード・ドライビングな感覚を好むので,星★★★★ぐらいには評価したいと思う。その後O.T.B.はメンバーを変えながら活動を続けていくが,私はこのアルバムと,「マウントフジ」でのライブ盤が特にいいと思っている。ほかの作品ももちろん悪くはないのだが,この調子を続ければ,早晩マンネリに陥るのはわかっていた。世の中勢いだけでは生きていけないということである。なんか彼らが活動していたバブル前夜あるいはバブル期真っ盛りの時期の世情と重なるように感じるのは私だけだろうか。

 

Recorded on June 7&8, 1985

Personnel: Michael Phillip Mossman(tp, flh), Kenny Garrett(as), Ralph Bowen(ts), Harry Pickens(p), Robert Hurst(b), Ralph Peterson(ds)

2007年12月 7日 (金)

辛島文雄トリオとLarry Coryellの共演盤

Photo "Round Midnight" 辛島文雄トリオ with Larry Coryell (Fullhouse)

このアルバムが出た当時の辛島文雄トリオはその実力からして,日本を代表するピアノ・トリオの位置付けにあったと思うが,その辛島が当時のKenwood系列のFullhouseレーベルから,Larry Coryellをゲストに迎えて放った佳作である。

当時,Coryellと言えば,アコースティック1本で「ボレロ」をやったりして,日本での人気もある程度あった頃だと記憶しているが,Coryellが登場するのはLPではB面に当たる3曲である。しかし,これは演奏的には決して悪くないものの,辛島がCoryellに遠慮したか,ギターのミキシング・レベルが妙に高く,辛島のピアノの魅力を損なっているようにも思えるのは少々残念である。

また,CoryellはここでもOvation一本で勝負しているが,このサウンドが辛島トリオと完全フィットかというとこれまた若干疑問である。Coryell参加3曲中1~2曲はアコースティックでもよかろうが,いくら一部で電気増幅したサウンドを聞かせるとは言え,全部Ovationというのはどうだろうか。

ということでCoryellを批判していながらも,いつもの辛島トリオがA面で楽しめるし,B面ではいつもとやや違う辛島が楽しめると思えばいいだろうか。収録曲は有名スタンダード/ジャズ・オリジナルばかりだから,ある意味安心して楽しめる。その中ではピアノ・トリオでは"Oleo"が,Coryell参加曲では"Footprints"がいいように思うが,"Nica's Dream"も意外にいけている。冒頭にも書いたとおり,本作は星★★★☆程度には相当する佳作ではあるが,プロデュースがもう少し何とかなっていれば,あと半星は上がったのにと思う。

Recorded on August 10 & 11, 1983

Personnel: 辛島文雄(p), 桜井郁雄( b), 日野元彦(ds), Larry Coryell(g)

2007年12月 6日 (木)

Gil Evansとの共演でもおなじみのChris Hunterの初リーダー作?

Chris_hunter "Chris Hunter" Chris Hunter (Atlantic)

Gil EvansのMonday Night Orchestraでメジャー・シーンに登場した英国出身のChris Hunterによるこれがおそらくは初リーダー作である。これが完全なフュージョン作となっていて,本当にこれがHunterの資質に合っているのか疑問を感じさせるアルバムである。

サウンド的には完全にDavid Sanbornの線である。当時のフュージョン・シーンで売れ線を狙うならこうしたサウンドになるのは仕方がないところであるし,また,HunterにももともとSanbornからの影響があることも否定しがたい。また,GilのバンドではSanbornが長くメイン・ソロイストのポジションにあったから,アルトではSanborn的なものを求められることも理解できる。しかし,これではNelson Rangellと何が違うのかと言われても仕方ない。

アルバムとしては製作総指揮がJohn Snyder,プロデュースがDon Sebesky,バックのメンツも結構豪華とそれなりの予算を掛けているようにも思えるが,いかんせんサウンドに加えて,これまた売れ線狙いの選曲が鼻につくのである。"Georgia on My Mind"やPrince作"Purple Rain",Stevie WonderがMichael Jacksonに書いた"I Can't Help It",更には"America the Beautiful"と来ては何をか言わんやである。

はっきり言ってこのアルバムを市場で見掛けることもそれほど多くはない(よって,このアルバムのジャケの画像も探すのが大変だった)が,いずれにしてもChris Hunterとしても決して納得のいく出来のアルバムではあるまい。これも時代が生んだ徒花フュージョン・アルバムの一枚と言ってよいだろう。星★★。最近ではChris Hunterの名前を聞くことも少なくなったが,この人にはオリジナリティと言う点では問題があったのかもしれない。日本のレコード会社の製作で何枚かアルバムを出しているものの,結局はGil Goldsteinらの共演者に助けられていた部分も多いのかもしれない。(そう言えばNelson Rangellの名前も見かけなくなったなぁ。)

Recorded in May and June, 1986

Personnel: Chris Hunter(as), Hiram Bullock(g), Richard Tee(p, key), Anthony Jackson(b), Darryl Jones(b), Steve Jordan(ds), Clifford Carter(synth), Joe Bonadio(perc)

2007年12月 5日 (水)

出張はつらいよ(2)

出張2日目は常夏のフォートローダーデール(多くの日本の人はそれがどこかは知らないと思うが,マイアミのすぐ北の町だと言えば,大体想像がつくのではないだろうか)に移動したのだが,そこでの仕事の後はいきなり西海岸(サンフランシスコ)に移動である。

フォートローダーデールなんていうマイナーな町からは,サンフランシスコに直行便があるわけもなく,結局ヒューストン経由での移動となった。しかし,この移動,やはりというかフライトの遅延が発生し,結局現地を15時少し前に出て,サンフランシスコに着いたのは22時過ぎである。東海岸と西海岸の時差3時間を考慮すれば,結局10時間近く掛かってしまったことになる。

国土の広い米国だけに,これには文句は言えないが,前回の2泊4日の米国弾丸出張時にはSFの空港で10時間足止めを食らったのに比べればはるかにましである。しかし,本日はヒューストンの待ち時間の間,何もすることがなかったので,結局またまた空港で飲んだくれてしまった。だから出張はつらいのだ。

ところで,出張中も当ブログに新しい記事が毎日アップされているが,それは出張前に書きためたものであって,決してこちらで書いているわけではないということを言っておかないと,いろいろ文句を言われかねない。一応自己弁護をしておこう。ちなみにこちらの時間は12/5の午前1時である。こんなくだらないことを書く余裕があれば,さっさと寝ろよという声も聞こえてきそうである...。

ウルトラQ:シュールな「ガラダマ」

Q 久々に円谷の特撮について語ってみることにしたい。私にとっては円谷プロの特撮と言えば「ウルトラセブン」であることは間違いのない事実であるが,人生における原初的体験としては「ウルトラQ」ということになる。何と言ってもウルトラQの本放送時はまだ昭和41年である。年齢がばれるので,そのとき私が何歳だったとは言わないが,今でもこの番組が印象に強く残っているのは事実である。「悪魔っ子」のエピソードなんて怖くて見られなかったのが鮮烈に思い出されるのである。

ウルトラQにおける人気エピソードは大体決まっていると思うので,追々各々についても語っていきたいと思うが,本日は第13話「ガラダマ」である。このエピソードでのタイトルロールでは,出てくる怪獣はまだガラモンではなく,単に「モンスター」と呼ばれているはずだが,おそらくは「ガラダマ」から出てきた「モンスター」だから略して「ガラモン」というのはなかなか笑える話である。

このエピソードのよいところは,何とも愉快なモンスターの動きは勿論だが,訳のわからないまま地球侵略が企てられながら,あっさりチルソナイトからのモンスターを操る電波を遮断するだけでモンスターが倒されるというシュールと言えばシュールなストーリーにある。それにモンスターが倒れる瞬間の「よだれ」の流し方も映像的にはシュールである。

映像やBGMなど非常に牧歌的に始まるのにこのシュールに展開されるストーリーとのギャップも凄いが,ストーリーがこれほどシュールなので,結局落とし前をつけるために後に「ガラモンの逆襲」というエピソードが制作されることになった(あるいはガラモンの人気が沸騰したから?そんなわけないか。)と思われる。しかし,私はこの不思議なわけのわからなさゆえに,「ガラダマ」の方が今でも好きである。

ここに挙げたDVDの第4巻はガラモン,ペギラ,カネゴンと人気キャラ勢揃いのような感じになっており,トータルではシリーズの中でも最も人気があるかもしれないなぁ。

2007年12月 4日 (火)

出張はつらいよ

現在,私は仕事で米国中に出張中であるが,年齢のせいか時差ボケがなかなか修正できないのは仕方がないとして,出張先の温度差にはほとほと参っている。(ちなみに現在は現地時間の午前5時。今回は比較的時差ボケは軽いが,また早く目が覚めてしまった。)

今回の最初の訪問地のNYCの到着時の天候は雪,気温は摂氏マイナス5.5℃。NYCでの仕事の後に移動したフロリダ州フォートローダーデールの天候は晴れ,気温は摂氏25℃。即ち二つの都市の気温差は30度ということで,さすがにこれでは体調の維持は難しい。しかもフロリダではどこへ行ってもエアコンががんがんに効いているような状態で,それはそれで寒いったらないのである。私がホテルに着いたときの室温は18℃に設定されていたが,こんなことをやっているようでは京都議定書の批准なんて夢のまた夢だろうと皮肉の一つも言いたくなる。

ここでの仕事が終わったら,今度は西海岸(SF)へ移動である。ヒューストンでの乗り継ぎを含めてまた長いフライトで腰が痛くなることは必定。若い頃は何とも思わなかったが,海外出張はだんだんと辛くなってくる今日この頃である。

Blue NoteのDuke Jordanを久々に聴くと...

Flight_to_jordan "Flight to Jordan" Duke Jordan (Blue Note)

このアルバムを聞くのも随分久しぶりである。もしかしたら学生時代以来聞いたことがないぐらいだったかもしれないが,亡き父のCDラックから引っ張り出して聞いてみた。一聴して思うのは,どこから聞いてもDuke Jordan節に満ちているということであった。

私にとってのDuke Jordanと言えば,"Flight to Denmark"ということになっているが,このアルバムを聞いて思ったのは管が入ると,Jordan節がより濃厚に感じられるということかもしれない。"No Problem"即ち「危険な関係のブルース」も"Si-Joya" というタイトルで収められており,これはこれでいいのだが,このアルバムの色彩を決定付けているのは冒頭の"Flight to Jordan"ということになろう。このメロディ・ライン,誰がどう聞いてもJordanのオリジナルである。決して美メロというわけではないが,何ともファンキーで記憶に残るメロディ・ラインである。いいねぇ。

また,久々に聞いて思ったのが,Dizzy Reeceが結構朗々とラッパを吹いていているし,Stanley Turrentineもいけてるフレージングでなかなかの好演ということである。どうも私はDuke JordanについてはSteeple Chaseレーベルのそれもピアノ・トリオ盤ばかり聞いていて,こうした管入りアルバムに留意してこなかったし,ReeceやTurrentineも勝手に過小評価していたのは失敗だったなぁと痛感してしまった。折に触れ,こうしたクラシックなアルバムも聞いてみないといかんと反省。反省の意味も込めて星★★★★☆を謹呈しよう。

尚,このアルバム,CDにはボーナス・トラックが2曲収められているが,最後のトリオで演奏される"I Should Care"でしみじみと終えるというのはなかなかよかった。こういうボーナス・トラックならいつでも歓迎である。

Recorded on August 4, 1960

Personnel: Duke Jordan(p), Dizzy Reece(tp), Stanley Turrentine(ts), Reginald Workman(b), Art Taylor(ds)

2007年12月 3日 (月)

ブレイク直前の森高千里の最高な映像

Photo 「見て スペシャルライブ」 森高千里(ワーナーパイオニア)

何を隠そう私は森高千里のファンであった(過去形である...)。恥ずかしながらライブにも行ったことがあるのだが,私を森高の世界に引きずり込んだのは一枚のレーザーディスクである。私はこのライブLDを見て,完全に森高の脚線美とちょっと意地悪そうな顔にまいってしまったのである。一時期は「世界一の脚線美」などと言っていたぐらいだが,このLDではミニスカ,ボディコンなんでもありという感じのまさに「バブルの申し子」のようなライブを展開している森高を見ることができる。(客席の聴衆の姿はややこわいものがあるが...。)

時は1989年,まさにバブル最盛期であるが,このライブでの森高はまさに「見せる」ことを意識しているとしか思えないぐらいの露出振りである。とにかくスカートの丈が短く,最近の高校生も真っ青である。当時の森高は「17才」のリメイクでようやくブレイクしつつある頃だと思うが,通常のアイドルとは全く異なる乗り(曲も「ミーハー」だ,「見て」だと普通ではない)を示していた。その後,森高は随分とメジャーになっていくが,私にとってはやはりこのライブ映像における森高こそが彼女の真骨頂だったと今でも信じてやまない。とにかくこの森高は最高である。

しかし,コンサートの映像にもかかわらず露骨な口パクがあったり,タイトな演奏ができるバックバンドに無理な踊りをさせたりと非常に無理がある構成とも言えるのも事実なのだが,この映像に免じて全て許す(と力強く言ってしまおう)。

2 この映像は一時DVDで再発されたが,今や廃盤化し,その後は全くお目に掛かる機会はない。私は相も変わらずLDでこれを見るしかないわけだが,久しぶりに再見しても年齢の割りに化粧は濃いが,やっぱり森高は十分私にとっては魅力的であった。私のこれまでの生活への貢献度を考えれば星★★★★★以外はこのLDには相応しくない。DVDでの再発を希望しておく。ただし,DVD(→)もジャケはオリジナルで出した方がもっと売れるはずだ。

森高にはカーネーションと共演した「夜の煙突」という曲のナイスな脚線美爆発プロモ・ビデオもあるので,そちらもDVDで出して欲しいなぁ。

2007年12月 2日 (日)

久々にMiles Davisを:沈黙後の復帰作

Man_with_the_horn "The Man with the Horn" Miles Davis (Columbia)

Milesが長い沈黙を破ってシーンへの復帰を遂げた1981年の超話題作である。同時代のリスナーの殆どが,LPのファクトリー・シールを破り,A面に針を降ろす瞬間に何らかの緊張を覚えたはずである。私も同様であるが,私が最初にこの音源の一部(多分"Fat Time"だったはずだが...)を聞いたのはタモリの「オールナイト・ニッポン」においてだったと記憶している。タモリが深夜放送で掛けるぐらいの期待を持たれていたということも,今となってはかなり懐かしい。

このアルバムについてはいろいろな意見があるのは承知しているが,全体的に見れば,ファンも十分納得できる出来だろうと思う。収録曲では"Back Seat Betty"と"Aida"が後年のライブにおける重要レパートリーとなっていくが,衝撃度と言う点ではやはり冒頭の"Fat Time"の1発目のMilesのミュート・トーンであり,Mike Sternのぶっ飛んだギター・ソロである。私にとって,やはりこのアルバムと言えばこの"Fat Time"ということになる。当時はこれまたいろいろ言われたMike Sternだが,ここでのバッキングやソロを聞いて興奮しないリスナーはもぐりだと言いたいぐらい興奮させられてしまったのである。そのほかの曲で弾いているBarry Finnertyにこうした興奮度を求めることはできないのである。よって,私はMike Sternをこのアルバム以来ずっと評価しているし,今でもファンである。

一方,Milesに往年の姿を求めるリスナーは"Ursula"の4ビート的な展開に落涙すること間違いなし。以上の4曲についてはかなりハイブラウでスリリングな出来のよい演奏であり,5つ星を謹呈したいところであるが,如何せんHerb Alpertの出来そこないのような"Shout"と軟弱AORもどきの"The Man with the Horn"は減点対象とせざるをえない。この2曲も決して悪い出来ではないのだが,私にとってはほかの曲との落差が大き過ぎるのである。ということで星★★★★。しかし,全体で見れば,後にポップ度を増すMilesよりははるかにMiles的だと思うのは私だけだろうか。

尚,本作のもう一つの聞き所はMarcus Millerの鋭いスラッピング・ベース。Marcusの演奏でも屈指のものと評価したい。

Personnel: Miles Davis(tp), Bill Evans(ss), Mike Stern(g), Barry Finnerty(g), Marcus Miller(b), Al Foster(ds), Sammy Figueroa(perc), Randy Hall(vo, g, perc, synth), Robert Irving, III(p, key), Felton Crews(b), Vincent Wilburn(ds)

2007年12月 1日 (土)

John Klemmer:やればできたのに...

Nexus "Nexus for Duo and Trio" John Klemmer / Carl Burnett / Bob Magnusson (Novus)

このアルバムが発売された当時,John KlemmerはElektraレーベルとの契約があったため,アルバムは3者のコ・リーダー・アルバムのようになっているが,Klemmerがプロデュースしているし,ジャケでもKlemmerだけが色違いで表記されているので,これはKlemmerのリーダー・アルバムと言ってよい。

John Klemmerと言えばフュージョン系サックス・プレイヤーと思われているのが通常だが,そのKlemmerが放ったこのハイブラウなアルバムはもっと知られてもよいのではないかと思う。何せピアノレス・トリオまたはドラムスとのデュオ(LPの2枚目は全曲ドラムスとのデュオだっ!)というフォーマットで,それこそKlemmerがテナーを吹きまくっているのである。しかも吹いているのは最後の"Nexus"を除けば,スタンダードや有名ジャズ・オリジナルばかりである。

"Misty", "Body And Soul", "Mr. P.C.", "God Bless the Child", "My One and Only Love", "Softly As in a Morning Sunrise", "Impressions", "Four", "Nexus"

こうした曲でKlemmerが非常に強烈なブロウを聞かせるのであるから,それまでのイメージが狂うというか,Klemmerというミュージシャンを見直すというか,それはびっくりという印象の方が強いアルバムではないかと思う。結局のところ,「やればできるじゃん」という世界だが,この路線でやっていれば,John Klemmerというテナー吹きはもっとメジャーになりえたのだろうと思うと惜しいような気がしないでもない。

もちろん演奏に文句がないわけではない。Bob Magnussonのベースの増幅された音や,相変らずうるさいドラムスを叩くCarl Burnettという共演者の選択には改善の余地があったと思う。特にBurnettはなぜArt Pepperが重用したのかいまだによくわからない大したことのないドラマーだけに,ここはElvin Jonesあたりに三顧の礼を尽くして登場願った方がはるかによかっただろう。

しかし,Klemmerが敢えてこうしたレコーディングに取り組んだということは認めてよいし,このテナー・サウンドを浴びてしまえば,大概のことは許すと言ってしまうのではないかと思う。かなりの硬派のアルバムゆえ,再発の可能性は薄い(短縮版CDは発売されたことがあるらしいが...)かもしれないが,認識しておいても損はないアルバムであるとともに,テナーサックス好きは必聴のアルバムと言える。いずれにしてもKlemmerだからと言って食わず嫌いは避けた方がよい。星★★★★。それにしてもこのアルバムの国内盤が発売された事があるということ自体今にして振り返れば驚きである。

Recorded in LA

Personnel: John Klemmer(ts), Bob Magnusson(b), Carl Burnett(ds)

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