2017年6月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30  

2015年おすすめ作

2015年おすすめ作(本)

無料ブログはココログ

« 2007年10月 | トップページ | 2007年12月 »

2007年11月30日 (金)

斉藤由貴:ジャケットだけを愛し続けて20年以上

Photo 「土曜日のタマネギ/AXIA ~かなしいことり~」 斉藤由貴(Pony Canyon)

音楽がどうこう言う前にジャケットだけを愛でたいレコードがある。私にとってはこのマキシ・シングルの斉藤由貴のポートレートがそれということになる。この表情,何年経ってもよいものはよい。ここにはアップしていないが,バック・カバーの写真がこれまたよい。

私がこのレコードを買ったのは1986年だからもはや20年以上前となったが,私はこの写真が好きというだけでこのレコードを手放すことができないのである。私にとって,彼女のデビュー盤「卒業」とこれは決して売却することはないだろうと確信している一枚である。誰が何と言おうと,このころの斉藤由貴は可憐である。

音楽はさておき,ジャケットだけで星★★★★★。

2007年11月29日 (木)

Linda Ronstadt:70年代のアイコン

Linda "Greatest Hits" Linda Ronstadt(Warner Brothers)

Linda Ronstadtが人気絶頂だったのは1970年代ということになろうが,その70年代前半のヒット曲をコンパイルしたベスト盤である。私のようにLindaの大ファンというわけではない人間にとっては現時点でLindaを聞くとすればこうしたベスト盤が最適なように感じる。

今にして聞いてみると,この頃のLindaってポップな中にも結構カントリー・フレイバーが強かったのねぇと思いつつ,本当に強い魅力を放つのはやっぱり70年代後半(即ちGreatest Hits Vol.2所収の曲)の方かなとも感じてしまうところもある。しかし,このアルバムにも魅力的な曲が収められているので,これとて無視できない。1970年から76年という期間にしては,さまざまな音楽性の曲が収められていて,どれが本当のLindaなのよとも言いたくなるが,私にとってはEric KazとLibby Titusの共作による"Love Has No Pride"が入っているだけで本盤LPのB面に対する愛着が強くなってしまうのは事実である。

Linda2 しかしながら,今やこれとVol.2という2枚のベスト盤をカップリングしたCDが発売されてしまっているのでは,もはやこれをLPで聞く理由は薄くなってしまったかなとも思う。そうしたナイスな編集方針のCDは大歓迎なので,そのCDのイメージもアップしておこう。このCD,オリジナルのカバーにもリスペクトを感じさせて結構いけていると思うのは私だけだろうか。今買うならこれですな。

Recorded between 1970 and 1976

Personnel: Linda Ronstadt(vo) and Many Others...

2007年11月28日 (水)

フュージョンやっているDave Liebman

What_it_is "What It Is" David Liebman(Openskye)

またまたLiebmanである。

これはやはり異色作と言ってよいと思うが,おそらくDave Liebmanが最もフュージョンに傾斜したアルバムである。日本のソニー系列のOpenskyeというレーベルから発表されたものであるが,私が結構Liebmanのファンだからと言っても,あるいは豪華なメンツが参加しているからと言ってもこのアルバムはやはり評価しにくいところがある。フレージングはいつものLiebmanなのだが,伴奏がかなり硬派とは言え完全なフュージョンなのである。ついでにStonesの"Miss You"なんてやられては相当ずっこける。これは時代が生み出したやはり徒花盤の一つと言ってよいかもしれない。

アルバムを聞いていると,結局最もいいのは冒頭の"Paoli's Vision"ではないかと思ってしまうが,Liebmanのソプラノに深いエコーが掛かっているのは何とも違和感がある。また,"Chick Chat"はChick Coreaとのツアー中に書かれたものとのことだが,Chick Corea的なサンバのリズムに乗って軽快に展開されているが,まんまChickのような曲調はどうなのよと言いたくもなる。

はっきり言ってしまえば,ここでのMike Mainieriのプロデュースはうまくいっているとは思えないし,Liebmanとしてもこうした演奏が成功しているとは思えない。せっかくこれだけのメンツをそろえているのにこれは惜しい。ここはもっとハイブラウにやって欲しかったというのが正直なところである。確かにこのアルバムが吹き込まれた当時,LiebmanはChick Coreaのバンドや日野皓正のバンドでややフュージョンよりの活動をしていたような記憶もあるが,その後Liebmanがそうした活動から足を洗ったように思えるのは本人としても資質との違いを認識していたからではないだろうか。星★★。

Recorded in 1979

Personnel: Dave Liebman(ss, ts, synth), John Scofield(g), Kenny Kirkland(p, key), Marcus Miller(b), Steve Gadd(ds), Don Alias(perc), Mike Mainieri(synth)

2007年11月27日 (火)

ピアノもヴァイブもいけてるDon Thompson

Don_thompsoncountry_place "Country Place" Don Thompson(P.M.)

先日,Ed Bickertとの共演盤を取り上げたDon Thompsonであるが,本盤は本業のベースを離れ,ピアノとヴァイブに専念したアルバムであるが,これが結構いけている。

リズム奏者でピアノもうまいと言えば,Jack DeJohnetteを思い出すが,それといい勝負と言っても過言ではない。冒頭の"Country Place"からして,曲名どおりのフォーク・タッチを聞かせているが,3曲目の"Sasha's Delight"などは一転してスピーディでスリリングなピアノ演奏を聞かせており,ピアニストとしての引き出しの多さを示すなかなかの多彩振りである。それをバックでJoe LaBarberaが煽るというのであるから意外と言えば意外である。Bill EvansのバックのときよりもこのLaBarberaはかなり激しい。

また,LPのB面冒頭を飾るThompsonのヴァイブが美しい"Second Voyage"は,その曲名からも想像されるHerbie Hancock作"Maiden Voyage"へのオマージュ(かなり「まんま」である)と言えるが,このあたりがピアニストDon Thompsonへの影響度を探るヒントになるのかもしれない。かと思うと,"Full Nelson"なんて曲はかなりフリーぽく迫ってくるし,最後の"Song for Sonny"ではまたもフォーク・タッチで牧歌的に締めくくっているのだから,悪く言うと捉えどころがない。

しかしながら,このアルバム,Don Thompsonの多彩なスタイルを捉えたアルバムとしてピアノ・トリオ好きは買っても損はないだろう。今年になってCDでも再発されたようで,入手が楽になったことはめでたい限りである。星★★★☆。

なお,本作のエンジニアは何とあのJan Hammerが務めている。これまた意外と言えば意外な組み合わせと言えるが,ベースのGene Parla(レーベル・オーナーのはずである)とHammerはP.M.レーベルでの録音で結構共演したりしているので,その縁でこういうことになったのであろう(そう言えば,Hammer参加のElvin Jonesの"On the Mountain"ではParlaがエンジニアだったような)。これが所謂ミュージシャン・シンジケートってやつですな。

Recorded in December 1975

Personnel: Don Thompson(p, vib), Gene Parla(b), Joe LaBarbera(ds)

2007年11月26日 (月)

フュージョン色濃厚なArt Farmer作品

Crawl_space_2 "Crawl Space" Art Farmer (CTI)

Art Farmerがカッコをつけたジャケットを見るだけで,微苦笑せざるをえないアルバムであるが,これはArt Farmerとしては相当フュージョン色の濃いものとなっている。ここでもArt Farmerはほぼフリューゲルホーンに徹しているので,サウンド的にChuck Mangioneかっ!と言われても仕方がないような作品とも言えるのだが,結構曲がいいので,飽きることがなく聞けるというのが正直な感想である。

メンツからしても完全にフュージョン的であるが,ここでのサウンド的なテクスチャーを仕切っているのはおそらくDave Grusinである。結構ファンキーな"Crawl Space"にしても,メロディ・ラインが美しい"Chanson"(Lee Ritenourの”Gentle Thoughts”のこの曲もよかった)にしても,ナベサダと共演している頃のイメージが強く出ており,Grusin節と言っても過言ではない響きである。

その他の2曲はFritz Pauerがアレンジをしているが,雰囲気が大きく変わることはない。Fritz Pauerも長年Art Farmerとは共演していることもあり,Farmerのリリカルな特性はきっちり理解していると言うことであろう。

ということで,演奏として全編破綻はないし,相応に楽しめるのだが,私がこのアルバムを聞いていてやや辟易とさせられるのが,Jeremy Steigのワンパターンと言ってもよいノイジーなトーンである。これでは馬鹿の一つ覚えと言われても仕方がないのではないか。何でもかんでもノイジーなトーンで吹けばいいってものではない。ということで,それが減点材料となって星★★★。

Recorded in January 1977

Personnel: Art Farmer(flh, tp), Jeremy Steig(fl), David Grusin(key), Eric Gale(g), Will Lee(el-b, perc), George Mraz(b), Steve Gadd(ds)

2007年11月25日 (日)

Don Thompson & Ed Bickert:やってしまったダブり買い

Dancetothelady "Dance to the Lady" Don Thompson & Ed Bickert (Suckville)

私だけではないと思うのだが,LPやCDの保有枚数がそこそこ多くなってくると,既に持っているアルバムをダブって買ってしまうということがままあるだろう。私も回数は多くはないが,何回かやってしまったことがある(ちなみに私はRichard Teeの゛Strokin'゛のLPを3回買ってしまったのが最大)。しかし,結構ずーと欲しいなぁと思っていたアルバムを実は持っていたなんてことは今回が初めてではないか。

その対象となったのが,カナダ出身Don ThompsonとEd Bickertのデュオ・アルバムである。私は元来がPaul Desmondのファンで,Desmondの晩年の作品でバックを務めたEd BickertもDesmondを通じて好きになったくちである。もともと地味なBickertではあるが,ConcordやSuckvilleに残したアルバムはどれも味わい深いものがあるからますます好きになる。このご両名は"Ed Bickert & DonThompson"(aka:also known as,即ちまたの名を"At the Garden Party")というギターとベースによる素晴らしいデュオ・アルバムを残しているので,同じメンツでのこのアルバム(今回はギターとピアノのデュオだが)を私は実はずっとオークション・サイト等で探していた。それを今回めでたくeBayで両者のサイン入りアルバムをゲットしたのだが,相応の値段は払うことにはなってしまった。それでも手許に届くまでは一日千秋の思いだったと言っては大袈裟か。

私の現在の家にはLPを収納するスペースがあまりないので,LPは300枚程度置いてあるだけで,残りは実家に保管している。そうした自宅のLP用のスペースに喜び勇んで,今回購入のアルバムを収納しようとしたそのときである...。うんっ?えっ?自分がこのアルバムを既に所有していたことを発見し,大きなショックを受けてしまった。私の頭の中にはいつ,どこで買ったのかという記憶すら残っていないし,聞いた記憶もないのがまたまたショックであり,更にはeBayでセラーに払った金額を考えるとショック倍増,三倍増。私もいよいよ健忘症が明らかになってきたと思わざるをえない事態となってしまった。

それにしてもである。私がもともと所有していた盤はジャケも盤質も良好な状態,今回入手した方は,ジャケはややくたびれているがほぼ良好,両者のサイン入りで盤質は良好。うーむ。どっちを残すか悩むところである。ただ,サイン入りと言っても,もともとのオーナーに対するサインであって,サインの宛先には別人の名前が書いてあるから,私にはあまり思い入れがあるものではない(私は結構ミーハーなので,結構NYC在住中にミュージシャンからサインをもらっており,それらには相応の愛着があるが...)。本質的には従来保有盤を今後も保持し続けるべきなのだろうとは思うが,これにはちょっと困った。悩んでも仕方がないので,当分は両方持っておくことにするが,それにしても馬鹿げたことをしている自分が情けなくなる。 

ちなみに,そんなことは関係なしに音楽は最高でした。Thompsonのピアノはなかなかに雄弁でうまい。Bickertは相変わらずいいことは言うまでもなし。選曲もよく,星★★★★☆には十分相当する佳作。

Recorded on December 15, 1980 

Personnel: Don Thompson(p), Ed Bickert(g)

2007年11月24日 (土)

またまたRhino Handmadeから登場したAretha Franklinの未発表ライブ

Aretha_oh_me_oh_my "Oh Me Oh My: Aretha Live in Philly 1972" Aretha Franklin (Rhino Handmade)

Rhino HandmadeでのAretha Franklinと言えば,何と言ってもあのFillmoreライブ完全版(このブログでも「これぞ究極!Aretha Franklinフィルモア・ライブ完全盤」として取り上げた)であるが,またまた同レーベルから完全未発表ライブが出た。今度はシリアル番号付き7,500枚限定である。Arethaのファンは価格高騰の前にRhinoから仕入れなければなるまい。私がこれを注文してからデリバリーされるまで結構時間がかかってやきもきさせられたが,無事到着したのは大変めでたい。

さて,この演奏は全国のアナウンサーやDJが集まるコンベンションでのライブで,バックバンドもストリングスやホーンも入れてかなりの大規模なものとなっている。そうしたバックに乗って展開されるArethaの歌は最高である。ただ,大所帯のバンドを必ずしも活用しているとは思えないし,ドラマーがやや節操がないように聞こえるのが難点か。クレジットがないので,誰が叩いているのかわからないのだが,このドタバタした感覚はちょっとなぁという感じである。

よって,全体の評価からするとArethaの歌に星★★★★★,伴奏に星★★★,トータルで星★★★★ということになろうが,それでもこの演奏が貴重なことには変わりはない。Arethaファンは必ずゲットしなければならないアルバムである。

Recorded Live at the National Associationof Television & Radio Announcers Convenstion, Philadelphia in 1972

2007年11月23日 (金)

「ミッドナイト・イーグル」:映画化を前に読んでみたがこれはいかん

Photo 「ミッドナイト・イーグル」高嶋哲夫 (文春文庫)

2008年のお正月映画として公開される「ミッドナイト・イーグル」の原作である。映画版は若干の脚色を加えているようだが,映画の出来はわからないとしても,この原作小説は駄目である。

何が駄目かと言えば,先が読めてしまう展開もそうだが,話を引っ張るために無理なストーリー展開を作り出している点である。これはご都合主義的なストーリーだと言われても仕方がないはずである。何でもかんでも説明すればいいというものではないが,とにかくいろいろ都合がいいように事が運んでしまってはやはり醒める。だいたいこんな話だったら,中国政府は相当怒るのではないかというような無茶な話である。

ここまでご都合主義的に話が進むのだから,映画化は楽だろう。ある意味,映画化を狙ってこういう話にしたのかと皮肉の一つも言いたくなる。原作がこれだけ下らないのだから,映画化されたバージョンが傑作になるはずはない。雪崩やステルス戦闘機,銃撃戦等の映像である程度はごまかせるかもしれないが,脚色を加えたとしてもやはりこれでは無理だろう。

退屈な通勤時間や出張の移動時間の暇つぶしをするにはいいとしても,冒険/サスペンス小説としても全く評価に値しない凡作。星★。

2007年11月22日 (木)

マッチョなJodie Foster

Brave_one 「ブレイブワン("The Brave One")」 (米,'07,Warner Brothers)

監督:Neil Jordan

出演:Jodie Foster, Terrence Howard, Nicky Katt, Naveen Andrews, Mary Steenburgen

これはJodie Foster版「狼よさらば」だよなーと思わず思ってしまった。R-15指定もむべなるかなという感じのバイオレンス映画なのにはびっくりさせられるが,Jodie Fosterはどうも強い女のイメージが非常に強いから,「狼よさらば」のCharles Bronsonと重なる部分もあったのだろうが,それにしてもマッチョなJodieである。

ストーリーを語るのは野暮なので詳しくは書かないが,典型的な復讐劇である。本当の復讐は最後まで待たねばならないが,それにしてもJodie Foster,途中でも拳銃はぶっ放す,バールで男は殴りつけるなど,やりたい放題である。

まぁ映画としては他愛ないと言えばそれまでだが,Terrence Howardのいい感じの演技もあって,相応には楽しめる映画である。シナリオがやや強引だとか,いろいろ言いたいこともあるが,まぁ星★★★☆ぐらいにしておこう。

しかし,この映画を見ると,NYCが今でも相当ヤバい街のような描写になっているが,はっきり言って現実感には乏しい。私が住んでいた頃のNYCならこういうこともあったろうが,今のNYCではこれはなかなかありえない世界のように思う。この映画を見た人が,NYCに悪しきイメージを持つならそれはあまりよろしくない。現市長のMichael Bloombergがこの映画を見たら何と言うだろうか。映画とは関係のない興味を抱いてしまう。

2007年11月21日 (水)

Fred HerschのMaybeckライブ

Hersch_at_maybeck"Fred Hersch at Maybeck: Maybeck Recital Hall Series Vol. 31" (Concord)

今年のマイブーム大賞(そんなものがあればの話だが...)は間違いなくFred Herschだと思うが,最近中古CD屋めぐりでHerschのアルバムを見つけると,ソロかトリオなら無条件購入癖がついている。今回はHerschがConcordのMaybeckシリーズで吹き込んだソロ・ライブを中古でゲットした。今年,私がHerschにはまった最大の要因はカザルスでのソロ・ライブであったが,このアルバムもそれを更に追体験できるアルバムとなっていて大変結構である。

このアルバムではスタンダードが中心であるが,Herschの自作曲,"Heartsong" が大変いい出来でうれしくなる。Herschはこうでなくてはならないと思わず思ってしまうような美しい曲である。いつもながらのHerschのタッチにはまたまたうっとりさせられる思いと言えよう。

ただ,いつも疑問に思うのだが,Herschは結構Thelonius Monkの曲を弾くことが多く,ここでも"Off Minor"をやっているが,Monkへの敬慕を示すのはいいとしても,HerschのタッチとMonkの曲にはややギャップがあるように感じられるのだがどうだろうか。演奏は悪くないのでケチをつける筋合いではないのだが,私がHerschに求めるのがどちらかというと美旋律,美タッチだからなのかもしれない。星★★★★☆。

余談ながら,このMaybeckのシリーズ,最終的には何作出たのかはわからない(本作だって既に第31弾である)が,結構メジャーな人から,何で?と思うような人までカバーしていて,人選が実にユニークなプロジェクトであった。

Recorded Live at Maybeck Recital Hall, Berkeley, CA, on October 24, 1993

Personnel: Fred Hersch(p)

2007年11月20日 (火)

「用心棒」を久しぶりに見た

Photo 「用心棒」('61, 東宝)

監督:黒澤明

出演:三船敏郎,仲代達矢,東野栄治郎,司葉子,山田五十鈴,加藤大介,川津清三郎,志村喬

別に新しい「椿三十郎」に恨みはないし,その映画を徹底批判することが私の目的ではないが,まずはオリジナル「椿三十郎」の更にオリジナルとなったこの映画を見ても損はないだろうということで,実家に置いてあるレーザーディスク(死語!)版の「用心棒」を見た。

この映画を見ているとこの映画と「荒野の用心棒」の関係が,「インファナル・アフェア」と「ディパーテッド」と同じぐらいの翻案度(つまりまんまである)というのがわかるが,それにしても大変面白く出来た痛快時代劇である。今回の三十郎は「桑畑三十郎」だし,チャンバラは少ないし,三船がぼこぼこに叩きのめされることもあって,続編「椿三十郎」よりも痛快度は低いともいえるのだが,それでもこれはやっぱりよくできている。セルジオ・レオーネが再映画化したくなるのも当たり前である。最後には何もなくなってしまうも同然のセットの出来や風の吹かせ方など,映像的にも見所が多かった。これはやはりDVDで買い直すべきかもしれない。星★★★★★。

Photo映画としては面白いのは当たり前として,今回見ていて思ったのは,昭和36年当時の司葉子の美しさである。この映画ではセリフはほぼゼロだが,そんなことは関係なしに誰がどう見ても綺麗である。劇中の助平親父役の志村喬が狂っても仕方がないぐらいの正統派美人としての美形。出番は少なくても,私にこの映画で強烈な印象を残したのは司葉子なのである。こういう人を見ていると目の保養になるなぁとつくづく思ってしまった。

この映画の画像ではないが,若い頃の司葉子の写真もついでにアップしてしまおう。見よ,この美貌。

2007年11月19日 (月)

松田聖子のこのアルバムのレア度は今でも高いのかなぁ

Photo_3 「金色のリボン」 松田聖子(CBS Sony)

これも実家に帰って久々に聞いたシリーズと言ってもいいかもしれないが,このアルバムは結構微妙である。

このアルバムは単体ではCD化もされていない(10万円ボックスには入っていたらしいが...)ので,松田聖子にしてはレア度が結構高いアルバムなのは事実である。中でもそのレア度を高めているのは45RPMのクリスマス・ソング集にほかならないのだが,私はここに収められている「恋人がサンタクロース」が実は相当に好きである。原曲のユーミン版はいいのは当然,しかし,松田聖子の声で歌われるこの曲は20数年前の私には原曲よりもかなり強いインパクトを与えたのである。今聞いてもこれはよい。

しかし,33回転で収録されているその他の曲は,「野ばらのエチュード」新録版以外は別にここでしか聞けない音源ではないので,うーむ,やっぱり微妙である。このジャケットの写真を見ると特に髪型を含め,今なら苦笑は避けられないが,私の大学生時代の音楽生活の一部を松田聖子は間違いなく支えていた。ということで,昔の生活への貢献度も含めて星★★★☆。

レアと言えば,ベスト盤"Seiko Plaza"にオマケでついていた透明のドーナツ盤というのもあったなぁ。そう言えば,そこに収められていた"With You"って曲のファンも結構多いですな。

2007年11月18日 (日)

ライブを開始したNYCのKitano Hotelでの実況盤

Rich_perry "At the Kitano 1" Rich Perry (Steeplechase)

Kitano Hotelと言えば,日本からの出張者(特にお年寄りビジネスマンの方々)が結構泊まりたがるホテルである。私はバーに行ったことがあるだけで,ここに泊まったことはないのだが,Park Avenueの38丁目というロケーションにしては結構インティメートな雰囲気があるホテルであることは事実である。私がNYCに住んでいる頃はジャズのライブは行っていなかったこのホテルでライブが始まったのは2~3年前のことだろうか。そんなKitano Hotelでのライブの模様を収めたアルバムである。

ここでリーダーを務めるRich Perryというプレイヤーは1955年生まれということで,結構なベテランである。もともとThad Jones~Mel Lewis Orchestraに在籍し,現在はMaria Schneiderとも共演しているようであるから,基本的にはビッグバンド系のプレイヤーということになると思う。その一方で,Steeplechaseには結構な数のアルバムを残しているが,やはり印象としては地味というのは避けられないところである。

ここでは超スタンダード曲ばかりをなかなかに魅力的なトーンで演奏しているが,"You and the Night and the Music"を全くおかしなアレンジでやってみたりして,ちょっと疑問を感じさせる部分もある。こういうのを策におぼれたと言うが,ほかの演奏がよくても,こういう演奏がアルバムに対する心象を悪くするということはよく考えた方がいいだろう。 まぁたまに聞く分にはよかろうが,可もなく不可もなくという程度のもののように思えてしまったのも全てこのおかしな"You and the Night and the Music"ゆえである。リズム・セクションが結構好演しているだけにもったいないように思う。このアルバムはVol.1となっているから,続編もあるかもしれないが,なかなか出ない(本作が発売されてから1年以上経過している)のはそれなりの理由があるということだろう。星★★☆。

Recorded Live at the Kitano Hotel New York on April 12 &13, 2006

Personnel: Rich Perry(ts), Harold Danko(p), Jay Anderson(b), Jeff Hirshfield(ds)

2007年11月17日 (土)

Gil Evans:英国人オールスターズとの共演盤

British_orchestra "The British Orchestra" Gil Evans (Mole Jazz)

実家に帰って久々に聞いたレコード・シリーズ第7弾。私はイチ時期相当にGil Evansに入れあげていた時期があり,相当数のアルバムもブートを含めて買ったものである。

このアルバムはGil Evansが息子のMiles Evansと英国に乗り込み,英国人オケと共演したアルバムである。パーソネルを見てもらえばわかるが,これこそ英国ジャズ界のオールスターと言えるメンバーが揃っており,Gil Evansというミュージシャンがいかに尊敬を集める人だったかがよくわかるように思う。

このアルバムを聞いていて,いつものGilのバンドとメンバーが変わると,随分雰囲気が変わるなぁと痛感させられる。これは以前から思っていたことなのだが,特にその違いを際立たせているのがリズム・セクションのように感じられる。アルバムのクレジットには出ていないが,ここでドラムスを叩いているのは今やTOTOのSimon Phillipsのはずである。ベースはJeff Beckとも共演歴のあるMo Foster,ギターはかなりロック・フレイバーの強いRay Russellで,この3人は通常のGilのバンドのリズムよりはロックよりの人たちであることの影響が強いように思う。それがいつものGilのサウンドとの違いを演出しているように思わせるから面白い。こうした違いがどう受け取られるかが,このアルバムに対する評価の分かれ目のような気もするが,私のようなロックも好きな人間にとってはこれはかなりいけている。

収録曲はおなじみのものばかりだが,このメンツでやる"Hotel Me"など結構ぞくぞくする出来である。むしろ,後年のマンネリ化したMonday Night Orchestraよりずっといいように感じるのである。私が所有しているのは4曲入りLPだが,このアルバムの完全版がCDで出ているようだから,機会と余裕があれば,ゲットしてもいいかなと思っているぐらい,今回聞いても興奮してしまった。星★★★★☆。

ところで,Gilはこの英国人たちとの共演が気に入ったようで,1983年にはモントルー・ジャズ・フェスティバルに英国人たちとの8人編成のバンドで登場し,その時の模様は"Gil Evans with RMS: Take Me to the Sun"としてもリリースされたことがある。そちらも久しぶりに聞いてみることとするか。でもCDが何処に行ったのかよくわからない。実家にはあるはずなのだが...。知人に頼まれているGil Evans Orchestraの欧州楽旅の模様を収めた"Lunar Eclipse"も一緒に探すこととしよう。

Recorded Live in Bradford, UK on March 18, 1983

Personnel: Gil Evans(p, key), Guy Barker(tp), Miles Evans(tp), Henry Lowthar(tp), Malcom Griffiths(tb), Rick Taylor(tb), Chris Hunter(as, ss, fl), Stan Sultzmann(ts, ss, fl), Don Weller(ts, ss), John Surman(bs, ss, b-cl, key), John Taylor(key), Ray Russell(g), Mo Foster(b), Simon Phillips(ds)

2007年11月16日 (金)

裏ルグラン・ジャズ?!

Jazz_grand "Le Jazz Grand" Michel Legrand(Gryphon)

実家に帰って久々に聞いたレコード・シリーズ第6弾。Michel Legrandにはもちろん,MilesやBill Evansまで参加してしまった"Legrand Jazz"という超名盤があるわけだが,タイトルからしても,それをもじったとしか思えないアルバムであり,私はこれを「裏ルグラン・ジャズ」と呼んでいる。このアルバムを出したGryphonというレーベルはJack Wilkins入りのBob Brookmeyerのスモール・コンボでも紹介した(Jack Wilkinsファン必聴のアルバム)レーベルだが,プロデューサーの趣味がよく出ているマイナー・レーベルだったと思う。

さて,このアルバム,「表」の"Legrand Jazz"に比べればメンツはやや地味だが,これはこれで楽しめるアルバムである。LPのA面は映画"Les Routes de le Sud"のサウンドトラックを基にしたビッグ・バンド演奏"Southern Routes",B面がソロイストをフィーチャーしたコンボ演奏をそれぞれ収めている。注目のソロイストはLegrandとの共演も多いPhil Woods,映画音楽つながり(?)のGerry Mulligan,それに当時としては若手の部類のJon Faddisであるが,Jon Faddisが若さ爆発のソロを取って目立っているが,Woods,Mulliganも負けていない。特にA面の"Southern Roots"での3者のソロ・リレーにおけるWoodsの燃え方は,Faddisが火を付けたとしか思えない。この曲,アレンジとしては?の部分もあるのだが,こうしたソロイストのバトルを聞く分には気にならない。

B面のコンボ編に移っても,きっちりアレンジされた中でソロイストを浮かび上がらせるというのはA面と変わらず,アンサンブルもきっちりしている。その中で,Woodsのソロの好調ぶりが際立っている。それにしてもよく吹きまくる人である。これはやはりリスナーも燃えさせる音楽だと言わざるをえない。これに比べるとMulliganにしてはかなりブロウしているのだが,それでもまだまだ地味に聞こえるのは致し方がないところか。変わって,Jon Faddisはスロー・チューン"Iberia Nova"でほとんどDizzyのように朗々と歌い上げるて健闘しているが,やはり3者の中では私にとってはWoodsということになる。なお,最後に収められた"Basquette"は各人のソロは相応だが,曲が今イチなのでなくても私にはOKだった。

いずれにしても,Michel Legrandという人は,ジャズの世界でもかなりの実力を発揮できる人であることが改めて実証されたアルバムであり,本当に久しぶりに聞いたのだが,結構楽しめてしまった。星★★★☆。それにしても,私はこのアルバムをなんで買う気になったのかはよく思い出せないが,まぁそれは中年の健忘症ということでよかろう。

Recorded in March, 1978

Personnel: Michel Legrand(p), Phil Woods(as), Gerry Mulligan(bs), Jon Faddis(tp), Bernie Leighton(key), Tom Pierson(key), Harry Leahey(g), Ron Carter(b), Jimmy Madison(ds), Grady Tate(ds), "Crusher" Bennett(perc), Protinho(perc), Don Elliott(perc), Gloria Agostini(harp) with Brass Section(Joe Shepley, Burt Collins, John Gatchell, John Clark, Albert Richmond, Brooks Tillotson, Tony Price)

2007年11月15日 (木)

NYCの香りが横溢するPhoebe Snow

Phoebe "Never Letting Go" Phoebe Snow (Columbia)

実家に帰って久々に聞いたレコード・シリーズ第5弾。プロデューサーがPhil Ramoneということや,バックを固めるメンツが近いということもあり,Paul Simonの"Still Crazy After All These Years"との近似性が強いアルバムである。即ち,ニューヨークという街の息吹や感触を強く感じさせるアルバムと言ってよいかもしれない。

以前,私はタイトル・トラックを聞くためにこのアルバムのB面ばかりを聞いていたような気もするが,今回久々に聞いてみてA面も結構よかった。Paul Simon作"Something So Right"なんて実に染みる出来である。

アルバムを通して,相変らずPhoebeの声は魅力的であるが,それを支える伴奏陣がまたよい。Stephen Bishop作のタイトル・トラックにPhil Woodsのアルトのオブリガート(ソロ・スペースはあまり大きくないのだ)が出てくるだけで,「おぉっ!」と唸ってしまうのは私だけではあるまい。もちろん,原曲がいいのは言うまでもないことであるが,Stephen Bishopとは随分雰囲気が異なっていながらも,非常に味わい深い出来。"We're Children" でのKenny Logginsとのデュエットもしみじみさせてくれた。最後を締めくくるのは古いブルース,"Garden of Joy Blues" であるが,この締めくくり方がいかにもPhoebeぽくってまたいいのである。その前の曲"Electra"をSteve Khanのギター・ソロで盛り上げたのをあたかもクールダウンさせるような印象である。

印象的なジャケット写真も含めて(内袋のPhoebeのポートレートにはのけぞるが),やはりこのアルバムは結構よい。CDで再購入することはないかもしれないが,たまには聞きたくなる音楽である。中古かバーゲン品でCDを見つけたら買うことにしよう。星★★★★。

Personnel: Phoebe Snow(vo,g), Ken Asher(p, key), Bob James(p,key), Richard Tee(key), Hugh McCracken(g), Steve Khna(g), Steve Burgh(g), Will Lee(b), Tony Levin(b), Steve Gadd(ds), Chris Parker(ds), Grady Tate(ds), Ralph MacDonald(perc), Kenny Loggins(vo), Michael Brecker(ts), Phil Woods(as), Hubert Laws(fl), Eddie Daniels(cl),Patti Austin(vo), Lani Groves(vo), Gwen Guthrie(vo) with Horns & Strings

2007年11月14日 (水)

Barry Finnerty:フュージョンの徒花と言うべきか

Barryfinnerty "New York City" Barry Finnerty (JVC)

実家に帰って久々に聞いたレコード・シリーズ第4弾。Brecker BrothersやMilesとの共演で認知度の高まっていたBarry Finnertyの初リーダーアルバムであるが,これが相当くだらないアルバムである。前8曲中,ヴォーカル曲が4曲含まれており,おそらくはFinnertyの目指していたのは歌って弾けるMichael Sembelloの世界ではないかと思わせるようなプロデュース振りであるが,曲は魅力はないし,歌手としては全然駄目ということで,これははっきり言っていけていない。このアルバムがある程度聞ける瞬間を生み出すのはRandy BreckerやMichael Breckerがゲスト・ソロイストとして登場するときだけではやはりまずいだろう。

ということで,久々に聞いてはみたものの今の私には全然楽しめなかった。こんな駄盤も昔は買っていたのねぇということを再認識した次第である。星★。カッコよかったのはジャケットだけだった。

Personnel: Barry Finnerty(g, p, key, vo), Mark Gray(key), Tim Landers(b), Neil Stubenhaus(b), Will Lee(b), Buddy Williams(ds), Richie Morales(ds), Vinnie Colaiuta(ds), Sammy Figueroa(perc), Carol Steel(perc), Rafael Cruz(perc), Michael Brecker(ts), Randy Brecker(tp), Bob Minzer(ts), Barry Rogers(tb), Lew Soloff(tp), Mac Gollehan(tp), Denny Morouse(reeds), Sally Fox(vo), Maggie Swank(vo)

2007年11月13日 (火)

サックスのBill Evansの初リーダー作

Evans_crest "Living in the Crest of the Wave" Bill Evans (Elektra/Musician)

実家に帰って久々に聞いたレコード・シリーズ第3弾。Milesのバンドでメジャー・シーンにデビューしたBill Evansが当時の設立間もないElektra/Musicianレーベルから発表した初リーダー・アルバムである。初リーダー作ということもあって,Milesがバック・カバーに絵を寄せているのに美しい師弟愛(?)を感じてしまう。ただし,メンツを見るとまるで当時のMahavishnu OrchestraからJohn McLaughlinを抜いたようにも見え,小型版Gil Evans Orchestraのようでもあり,あるいはMark Eganの影響か,Elements的でもあり,サウンドは完全なフュージョン系となっている。だが,決してスムーズ・ジャズではない。

しかしこのアルバム,何というかあまり面白くない。後のBlue Note東京でのライブ(特に第1作の"Let The Juice Loose")が強烈過ぎて,あの世界を期待すると肩透かしを食らうような「軽さ」と言うべきだろう。一聴しても,かなりMark Egan色が濃厚(あるいはベースが目立ち過ぎ)で,どっちのリーダー作なのかよくわからんという感じがあるのは,Evansも若かっただけに仕方がないかもしれない。どの曲をとっても,Evansはちゃんとプレイしているのだが,あまりに個性が希薄なように思えてしまうのがこのアルバムの難点である。私としては,このアルバムよりもBlue Note東京でのライブ盤を圧倒的に支持するし,その後のPushバンドでのライブの方がはるかに燃える。ということで,あの時君は若かったということにしておこう。星★★☆。

Recorded in November 1983

Personnel: Bill Evans(ts, ss, fl, key), Mitchell Forman(key), Mark Egan(b), Adam Nussbaum(ds), Danny Gottlieb(ds), Manolo Badrena(perc)

  

2007年11月12日 (月)

なかなか流通経路に乗ってこないDave Liebmanの珍盤

Miles_ahead_live "Miles Ahead Live" Manhattan School of Music Jazz Orchestra with Dave Liebman (Manhattan School of Music)

最近Dave Liebman関連の記事が多いが,今日もLiebmanである。

過日,知人に連れていかれたとあるジャズ・バーでこのアルバムを知るまで,存在すら私のレーダーには引っ掛かってこなかったCDである。このアルバムはおそらくマンハッタン音楽院の自主制作盤で,Miles DavisとGil Evansの傑作"Miles Ahead"を再演したものであるが,ここではMilesのソロ・パートがLiebmanのソプラノ・サックスに代わっているというなかなかの曲者アルバムである。この組合せ,実はこれが初めてではなく,2003年には同趣向で"Sketches of Spain Live"というアルバムも発表しているのだが,特に今日紹介する方のアルバムは流通経路になかなか乗ってこない。少なくとも私はCDショップでは見たこともないし,米国のAmazonにもMarketplaceで"Sketches..."の方は出品されているが,こちらは影もかたちもないのである。私はある米国サイトを通じて購入したのだが,それでもやはりこのアルバムはかなり珍しい。

出来の方はどうか。私はどちらかというと"Sketches of Spain"よりも"Miles Ahead"の方が好きな人間だし,Liebmanも結構好きなプレイヤーなので,まずは期待が高まる。ここではアレンジメントはGil Evansのものを忠実に再現しており,学生諸君のオケは善戦していると言ってよい。少なくとも許し難い駄盤となったMilesとQuincy Jonesのモントルーでの再現ライブよりははるかによい。Liebmanは"Miles Ahead"の曲調に合わせて,日頃よりはフレージングは先鋭的ではないようにも思えるが,ちゃんとLiebmanの個性は出ていると思う。こういうレコーディングに対して,だからどうなのよという指摘もあろうが,これはこれで学生諸君がジャズの歴史に敬意を払い,立派なソロイストを迎えて記録として残してみましたというものであるから,目くじらを立てるのは野暮というものである。これはこれでちゃんと演奏しているというのは認めてあげるべきではないかと思う。皆さんお上手である。

ただし,Dave Liebmanオタクの皆さんはやはりこのアルバムは聞いておいて損はない。Dave Liebmanの変りだね盤として,少しでも認知度が高まれば幸いである。珍奇性含めて星★★★☆。

 

Recorded on November 10, 2005, Borden Auditorium, MSM

Personnel:David Liebman(ss), Manhattan School of Music Jazz Orchestra, conducted by Justin DiCioccio

2007年11月11日 (日)

久々に聴いた"Pendulum"

Pendulum "Pendulum" David Liebman(Artist House)

実家に帰って久々に聞いたレコード・シリーズ第2弾。先日もLiebmanの新譜については書いたばかりだが,久しぶりに聞いたこのアルバムがあまりにもよかったので,また書いてしまおう。

このアルバムが吹き込まれたArtist Houseというレーベルは,プロデューサーのJohn Snyderが主宰していたレーベルであるが,Snyderという人は音楽に対する取り組みは極めて真摯ながら,商売っ気がない(Snyderの商売っ気のなさはA&Mという大メジャー・レーベルでCecil Taylorなんかを出してしまったのが最たる事例。)ため,アルバムが売れずじまいで,レーベルもすぐにつぶれてしまうのが難点である。Artist Houseも非常にいいアルバム揃いにもかかわらず,長続きしなかったのは誠に残念なことである。

しかし,このアルバムもArtist Houseのほかのアルバム同様,優れた演奏を収めており素晴らしい。メンツからすれば(Lookout Farm+初代QUEST)/2+Randy Breckerのようだが,これは相当燃える。特にLPで言えばA面を占める"Pendulum"が非常にスリリングな出来で最高である。B面の"Footprints"もよいが,この"Pendulum"にはかなわない。特に先発するBreckerのソロは,この人の実力をよく捉えていてこれを聞いて燃えないジャズ・ファンは少ないだろう。また,このアルバムでのAl Fosterのバックからの煽りっぷりもよい。Beirachもいつもより激しく弾いているし,Liebmanの良さも相変らずである。これも偏に名門Village Vanguardが生み出した不思議なケミストリーかも知れないなぁなどとふと思ってしまったが,こんな演奏を眼前でやられたらそれこそ悶絶していただろう。星★★★★☆。

Recorded Live at the Village Vanguard, NYC on February 4 & 5, 1978

Personnel: Dave Liebman(ts, ss), Randy Brecker(tp), Richie Beirach(p), Frank Tusa(b), Al Foster(ds)

2007年11月10日 (土)

Richard Tee:やはりA列車しかないだろう

Strokin "Strokin'" Richard Tee(Tappan Zee)

実家に帰る機会があると,置き場所がなくて実家に世話になっているLPを聞くのが実は結構楽しみになっていたりする。本当に好きなアルバムならCDで買い直して自宅に保有しているが,そうでもないものはそうもいかない。今回はそうしたLPの中から今は亡きRichard Teeの初リーダー作である。

以前にも書いたかもしれないが,Richard Teeはその"One and Only"と言うべきピアノ・サウンドで,伴奏していても一聴してわかってしまうところが凄い人である。先日紹介したTom Scottの"Apple Juice"でもそうだった。本作はTeeのリーダー作であるから何の遠慮もなくやりまくっている。"Strokin'"なんてタイトルからして,Teeのアコースティック・ピアノのためにあるようなものである。

コアとなるメンバーは"Apple Juice"とかぶっていて,ベースがMarcus MilllerからChuck Raineyに代わっているぐらいである。この当時のCBSレーベルのアルバムが,こうしたメンバーに支えられていたことの証と言ってもよいかもしれない。

アルバムを聞いてみると,冒頭のChuck Rainey作"First Love"はややTeeらしからぬ曲調(私は久々に聞いてこけた)ながら,その後はTee節が炸裂するので安心してよい。Teeのヴォーカル付き"Every Day"なんてまんまStuffのようである。また"Virginia Sunday"のローズを聞けば,これぞRichard Teeと唸ってしまう。

しかし,多くのリスナーも認めるだろうが,このアルバムのハイライトは最後に収められたSteve Gaddとのデュオによる"Take the 'A' Train"にほかならない。このスピード感,このグルーブはこの二人以外にはありえない。けちらないで10分でも15分でも続けて~と言いたくなってしまうぐらいである。おそらくライブの場では結構延々やっていたのだろうが,やはりこの演奏はよい。

いずれにしてもRichard Teeというある意味では稀代のスタイリストの特性はよく捉えられているが,ある意味ソロ・アルバムでなくてもTeeの個性はいかなる場合でも,ちゃんと自己主張できていたということを再認識した。星★★★☆。

Personnel: Richard Tee(p, key, vo), Eric Gale(g), Hugh McCracken(g), Chuck Rainey(b), Steve Gadd(ds), Ralph MacDonald(perc), Tom Scott(lyricon, ts), Michael Brecker(ts), Randy Brecker(tp), Jon Faddis(tp), Seldon Powell(ts), Barry Rogers(tb), Bill Eaton(vo), Frank Floyd(vo), Ken Williams(vo), Zachary Sanders(vo)

2007年11月 9日 (金)

今度のDave Liebmanはかなりよい

Dream_of_nite ゛Dream of Nite" Dave Liebman / Roberto Tarenzi / Paolo Benedettini / Tony Arco (Emarcy)

2002年に゛Feel: Cues Trio Meets David Liebman゛というアルバムを発表したメンツからベーシストだけが変わった編成でのライブ・アルバムが発売された。LiebmanがEmarcy(米国ではVerve)というメジャー・レーベルからアルバムを発売するのも久し振りのように思うが,Liebmanも気合が入ったか,これがなかなかよい出来である。

本アルバムを成功に導いた要因は,相変らずのLiebmanのフレージングは勿論だが,バックを務めるピアノ・トリオの実力に負うところも大である。イタリアと言えばラテン系だが,このトリオの奏でる音楽はラテン系ぽくないというか,何とも渋くもクールで鋭い音楽性を披露しているからである。このトリオのバッキングが,Liebmanの音楽性と非常に相性がいいというのが私の感想である。

ところで,Liebmanがテナーに復帰して随分と時間が経つが,私はLiebmanのテナーも好きながら,どちらかと言えば彼の鋭いソプラノの方が好みであり,ここでもどちらかというとソプラノの方が好演のように思える。ちなみに2曲目のイントロで現れるリコーダーというのは珍しいが,リコーダーを吹いてもちゃんとビブラートが利いているのねぇと妙な感心の仕方をしてしまった。

いずれにしても,私にとってはほぼ同じメンツで吹き込んだ"Feel"よりも高く評価できると思うし,これでLiebmanがよりメジャーなシーンでの注目を浴びることができるならば,大変結構なことである。星★★★★。

Recorded Live on Novmeber 29, December 2 and 4, 2005 in Florence, Bari, and Lamezia Terme

Personnel:  Dave Liebman(ts, ss, recorder), Roberto Tarenzi(p), Paolo Benedettini(b), Tony Arco(ds)

2007年11月 8日 (木)

「続三丁目の夕日」である。出来やいかに。

Photo 「Always 続三丁目の夕日」('07 東宝)

監督:山崎貴

出演:吉岡秀隆、堤真一、小雪、薬師丸ひろ子、堀北真希、もたいまさこ、三浦友和、須賀健太、小清水一揮

前作を友人からDVDで借りて,思わず大泣きさせられてしまった私である。あのときは自分のあまりの大泣きぶりに,家人が寝てから見てよかったと安堵したものである。いずれにしても年とともに更に涙もろくなってきたのは事実であるが,それにしても,あそこまで泣かせてくれたのは久々の映画であった。その続編の公開とあっては行かずにはおれまい。娘をだしに,公開2日目の劇場に駆けつけた。

前作の大ヒットを受け,劇場も満員であったが,映画館が満席というのを見たのは本当に久し振りのような気がする。それぐらいほかの人の期待も大きかったということであろう。で,肝腎の出来はどうか。

大概の場合,映画を見ると一番いいところで寝てしまう娘が,今回に限っては最後まで起きていたぐらいであるから,子供にもわかる面白さなのだと思う。また,私の期待通り,今回もダブル,トリプルで泣かせてもらったので十分にもとは取れている。しかしである。本作は私としては前作には及ばないものと判断している。

この映画は, さまざまなエピソードの積み重ねで構成されていことはよくわかるが,それにしても今回は明らかに冗長なエピソードが多くはないか。特に冒頭のシーン。確かに笑えるが,本当にあのシーンが必要だったのかと言えば決してそんなことはない。私は,こうした冗長なシーンをうまく削って編集すれば,もっと適切な上映時間に収められると思う。

私はどうも最近の映画の無意味な長さに辟易としていて,「スパイダーマン3」も「カジノロワイヤル」もエピソード過剰で長過ぎると思っているクチだが,この映画も146分はいらんだろうという思いが強いのである。前作よりも13分長いだけと言っても,やはり2作目ゆえにVFX等の鮮度(驚きと言ってもよい)は落ちるわけであるから,シナリオをもっと磨くべきではなかったかと思う。

それでも,先述のとおり,またまた今回も私をちゃんと泣かせてくれたので,星★★★☆はつけられるし,劇場に足を運ぶ価値はあると思う。役者陣では薬師丸ひろ子がダントツで素晴らしく,堀北真希がますます可愛いのは大いに結構である。もう一度前作を見たくなったのは決して私だけではあるまい。

2007年11月 7日 (水)

動くMahavishnu!

Mahavishunu "Mahavishnu Orchestra Live at Montreux '84/'74" (Montreux Sounds)

何とMahavishnu Orchestraのモントルーでのライブ映像が発売された。Montreux Soundsを通じて,モントルーでの映像作品は多数出ているが,映像があまり多くないはずのJohn McLaughlinだけにこれは買わずにいられまい。

音源としては既にMcLaughlinのモントルーBOXで発表済みであるから,例え音がdtsサラウンド化されているからと言って,演奏そのものに稀少性はない。重要なのは動くMahavishnuが見られるということである。1枚目のディスクに収録された84年の演奏を見ていると,当時の新兵器Synclavier IIってああなっていたんだとか妙な感心の仕方をしてしまうのだが,McLaughlinの指使いを見られるだけで何とも言えない気分になってしまった。あのフレージングはハンマリングだけでやっていたのか!などとマニアックな見方もできるわけだが,とにかく動くMcLaughlinに注目である。収録からずいぶんと時間は経過しているが,McLaughlinは何も変わっていないことを再認識した(いいことなのか,悪いことなのかは別だが...)。ちなみにJonas Hellborgは映像での露出は少ないが,まるで「バグルス」のような風貌で結構笑える。

一方,74年のライブはストリングス・クァルテット付き大編成Mahavishnuである。ここではMcLaughlinのダブルネック・ギターのインレイってなんでそんな派手なのよ?(まるで一時期のSantanaである。さすが魂の兄弟,美的感覚まで一緒か!)とか,プロデューサーになる前のNarada Michael Waldenの力の入ったドラミングをなんで無理矢理McLaughlinのダブルネックの間から撮影しようとするのよ?とかいろいろな突込みを入れたくなってしまった。しかし,McLaughlinのギター・フレーズはこれまた84年のものと何が違うのかというぐらい「まんまMcLaughlin」で笑ってしまう。

つまりJohn McLaughlinはいつまで経ってもJohn McLaughlinであるからこそ,私は長年ファンなのかと思ってしまった。そういう意味では「水戸黄門」を見るようなものか。でもやっぱり私は何だかんだ言ってもMcLaughlinファンであることを痛感させられた。星★★★★。

ところで,このディスク,現状,国内盤と輸入盤に2倍以上の価格差が見られるが,別に国内盤い強力な付加価値があるとも思えず,このプライシングは考えられない。私がリージョン・フリーで通常のDVDプレイヤーでも再生に全く問題がない輸入盤を購入したことは言うまでもない。

Recorded Live at Montreux Jazz Festival on July 7, 1974 and July 18, 1984

Personnel: (1984) John McLaughlin(g), Bill Evans(reeds), Mitchell Forman(key), onas Hellborg(b), Danny Gottlieb(ds, perc)

(1974) John McLaughlin(g), Jean-Luc Ponty(vln), Gayle Moran(key, vo), Ralphe Armstrong(b), Michael Walden(ds), Bob Knapp(fl, perc), Steve Frankovitch(horn), Steve Kindler(vln), Carol Shive(vln), Marsha Westbrook(vla), Phillip Hirschi(cello)

2007年11月 6日 (火)

Deodatoの新作ライブ:このグルーブはたまらん

"Ao Vivo No Rio" Eumir Deodato(Biscoito Fino)Deodato

これはたまらんアルバムが出た。Deodatoが今年の4月にリオデジャネイロで録音したライブ・アルバムだが,Deodatoのキーボードにベース,ドラムスという最小編成で,Deodatoのヒット曲やボサノバの名曲満載である。

Deodatoと言えば,アレンジャーがメインというのが一般的な理解であろうが,ここではキーボード・プレイヤー兼アレンジャーとして勝負している。結果はどうか。急速調の曲で,キーボードのフレーズがややおぼつかなくなる瞬間はあるものの,全編を通して非常に心地よいグルーブを生み出しており,私は大いに楽しめた。何と言ってもアルバム"Love Island゛収録の"Whistle Bump"で幕を開け,同じく同アルバム収録の"San Juan Sunset"で締めるというのも,"Love Island"を結構評価している私としてはたまらんものがあった。そのほか,「ツァラトゥストラ」(これはややショボい)も「ラプソディー」も「スカイスクレイパー」もやっているのだから,何をか言わんやである。

従来のイメージからすると,アレンジャーとしてのDeodatoはホーンやギターをうまく使いこなしていたと思うのだが,今回のように最小編成のピアノ・トリオ形式(と言ってもDeodatoはヤマハのエレピを全編で弾いているが)でも,ちゃんとDeodatoの個性を感じさせるのはある意味大したものである。また,ここで聞かれるエレピのサウンドが非常に心地よく,私は当分の間,このアルバムを愛聴することになると思う。

このアルバムは歴史的名盤でもないし,今年のベスト・アルバムに選出されるものでもないかもしれない。しかし,私にとって重要なのはこのアルバムの「心地よさ」なのである。私が心地よいと感じるのはあくまでも個人の感覚的なものであるから,誰にも文句はないはずである。私はこのアルバムのグルーブに何も考えず身を委ねたいと思うだけだが,この気持ちよさはほかの人とも共有したいという思いにも駆られてしまった。ということで星★★★★。

Recorded Live at Sala Cecilia Meireles, Rio de Janeiro on April 3 and 4, 2007

Personnel: Eumir Deodato(key), Marcelo Mariano(b), Renato "Massa" Calmon(ds)

2007年11月 5日 (月)

Eagles 28年振り(!)のフル・オリジナル・アルバムは...

Eagles_eden "Long Road Out of Eden" Eagles

完全な新作としては"The Long Run"以来28年ぶりとなるEaglesのアルバムは何と2枚組である。前作となる"Hell Freezes Over"にも4曲の新曲は収録されていたが,あれは復活記念のライブ盤のようなものだった。それでもその前作からも既に13年の歳月が流れてしまっている。しかし,その間に来日もしているし,ライブDVDも出ているので,久々感はあまり実感が湧かないというのも事実である。 

冒頭のほぼアカペラに近い(ギター1本の地味な伴奏は付いているが)"No More Walks in the Wood"から,美しいハーモニー健在で嬉しくなってしまうのだが,聞き進むにつれて,28年も待たせてこの程度の曲しか書けなかったのかと思わざるを得なくなる。Eaglesの本来の実働は1970年代の10年にも満たない期間だったはずである。その間にあれだけの名曲,佳曲を残した彼らが,28年掛かってこれではやはり期待を裏切るということになるだろう。これならDon Henleyのソロ・アルバムの方がずっといい曲が揃っていた。あるいは"Hell Freezes Over"に収録されていた当時の新曲さえも上回れないというのは大いに問題である。

また,時折顔を出すマリアッチ風味もイメージを崩される。こうした予兆はDon HenleyのライブDVD"Live Inside Job"で"Hotel California"をアフロ・キューバン・タッチで演奏したときから感じられたものであるが,私としてはあまり成功しているとは思えない。

東京ドームのライブを観た時や,メルボルンでのライブDVDを見た時にも思ったことだが,バンドとしてのクリエイティビティにはもはや限界が来ていて,「昔の名前で出ています」なところが目立っていた。この新作でも残念ながらその印象を覆すことはできなかった。

とは言いながら,Eaglesらしいと思わせるハーモニーや演奏を聞かせる瞬間もあり,昔からのファンにはそれなりに嬉しいものであることは間違いない。しかし,私はこのアルバムを再度プレイバックするよりも,70年代のアルバムやHenleyのソロ・アルバムを聞く回数の方が圧倒的に多いだろうと確信している。何のためにこのアルバムを出したのか,私には理解できない。好きなバンドであるがゆえに評価も辛くなるが,星★★が精一杯。

Personnel: Glenn Frey(vo, g, b, key), Don Henley(vom, ds, perc, g), Joe Walsh(vo, g, key), Timothy B. Schmit(vo, b) with Stewart Smith(g, key, mandolin), Scott Craco(ds, perc), Richard F. W. Davis(key), Michael Thompson(key, tb), Will Hollis(key), Al Garth(as, vln), Bill Armstrong(tp), Chris Mostert(ts as), Greg Smith(bs), Greg Leisz(pedal steel), Lenny Castro(perc), Luis Conte(perc)

2007年11月 4日 (日)

インベージョン:3度目のリメイク

Invasion 「インベージョン(The Invasion)」(米,'07,Warner Brothers)

監督:Oliver Hirshbiegel

出演:Nicole Kidman,  Daniel Craig, Jeremy Northam, Jackson Bond, Jeffrey Wright, Veronica Cartwright

このブログで,本作のオリジナルである「ボディスナッチャー/恐怖の街」を低予算でも面白い映画はできると紹介したことがあるが,この作品は3度目のリメイク,即ち4回目の映画化ということになるが,金が掛かっている(Nicoleのギャラだけで1,700万ドル:約20億円らしい)割にはどうもよろしくない出来である。

何と言ってもシナリオがよろしくないのが致命的であり,ご都合主義的ストーリー展開と言われても文句は言えない。あれだけの感染力を持つウイルスが,NicoleやDaniel Craigも入れるような研究所内でなぜ感染しないのかとか,そんな簡単にワクチンが作れるのかとか,いつDaniel Craigは寝たのかとか,文句や疑問を言い出したらきりがない。

それでもNicole Kidmanは相変わらずの美しさだし,96分という適切な長さもあって,まぁそれなりには見られるが,それでもこのストーリー展開はまずいだろう。大体,Nicoleが眠りそうになると現れるCGでのウイルスのイメージもしつこい。「Nicole Kidmanは眠らないように苦闘するが,観客が眠らないようにするのも困難だ」という米国メディアの辛辣な批評もうなずける。結局,一向に盛り上がらないサスペンス映画ということで,Nicole Kidmanでなくても全然構わない映画である。こういうのをキャストの無駄使いという。

「ヒットラー~最期の12日間~」を撮ったOliver Hirshbiegelにとって,これが米国映画デビューとなったわけだが,プロデューサーのJoel Silverと随分もめたらしく,一部は彼が撮っていないシークェンスも入っているようである。これが彼のキャリアの汚点と言われないことを祈りたいが,駄目なものは駄目である。Nicoleの美貌に免じて星★☆。でもあれだけ寝不足なら目に隈でもできそうなものだが...。とまた文句を言ってしまった。やっぱりご都合主義のシナリオだ。オリジナルに全く及ばぬ凡作。ちゃんとオリジナルをDVDで発売せんかい!と言っておこう。

ところで,余談ながらこの映画を見に行った際に,以前このブログで私が暴挙と呼んだ織田裕二による「椿三十郎」のリメイク版の予告編を流していたのだが,これが予想以上に駄目である。何がか?織田裕二の台詞回しである。イモな演技も甚だしい。これでは黒澤明と三船敏郎に対してあまりに失礼である。期待感を高めるはずの予告編を見て,行く気を失せさせる映画というのも珍しいが,監督の森田芳光も何を考えているのやら。やはりこれは暴挙であった。今度は「隠し砦の三悪人」までリメイクされるらしいが,いくら長澤まさみが出ると言っても,これも考えものである。

2007年11月 3日 (土)

Bill Evansの珍しいメンツによるライブだが,音がねぇ...

Bill_evans_getting_sentimental "Getting Sentimental" Bill Evans (Milestone)

私の記憶が確かなら(「料理の鉄人」かっ!),Bill EvansはMichael MooreとPhilly Joe Jonesというこのアルバムのメンツでは来日したこともあるはずなのだが,音源としてはこれしか残っていないらしい。しかし,これははっきり言ってブートレッグ並の音なので,よほどのマニアにしか薦められない。私は音を知らずに中古で拾ってしまったのだが,このバランスの悪さにはある意味辟易としてしまった。モコモコしたEvansのピアノよりも,Philly Joeのドラムスの方がはるかにクリアに捉えられているというのも何だかなぁという感じである。

曲はBill Evansのおなじみの曲のほかに,名作"You Must Believe in Spring" からのレパートリーが目立っているが,演奏はいつも通りのEvansである。そういう意味ではただ音が悪いだけである。しかし,Philly Joeとは"California Here I Come"という佳作をVerveに残しているので,両者の共演を楽しみたいならば,そちらを聞く方がはるかにベターである。

確かに,このアルバムは最後のトリオと"You Must Believe in Spring"の間の端境期を埋める記録としては価値はあろうが,聞くべきBill Evansの音源はほかにもいくらでもあるわけで,ここまで出してしまうMilestoneレーベルは商魂がたくまし過ぎる。また,記録性なんてどうでもいいと思っている私にとってはそれこそどうでもよいアルバムである。メンツの珍しさに免じて星★★とするが,いたいけな初心者は決して手を出してはいけないアルバムである。ここでの演奏は悪くはないが,常識的な判断として,まずはRiverside4部作を聞きなさいと言っておこう。

Recorded Live at the Village Vanguard, NYC on January 15, 1978

Personnel: Bill Evans(p), Michael Moore(b), Philly Joe Jones(ds)

2007年11月 2日 (金)

豪華メンツによるTom Scottのライブ・アルバム

Apple_juice "Apple Juice" Tom Scott (Columbia)

Tom Scottが今はなきNY,Bottomlineで収録した名ライブである。私はNYC在住当時,ヴィレッジには夜な夜な出没する中,Bottomlineに行った回数はそれほど多くないものの,結構記憶に残るライブに遭遇できたのはラッキーだった。Chick Corea Elektric Band,ナベサダ,Wynton Marsalis入りElvin Jones,Oregon等々である。所謂ジャズ・クラブとは異なるハコだったが,今のご時世ならばオール・スタンディングにするのに適切という感じのキャパシティのライブハウスだったBottomlineが,結局は家賃でオーナー(おそらくはNYUであろう)ともめてクローズしてしまったのは惜しいような気もする。とは言え,パンクロックの聖地,CBGBもクローズし,ラスヴェガスへの移転などという馬鹿げた話が出てくる昨今のヴィレッジ界隈も寂しいものである。

閑話休題。それにしてもこのアルバム,参加しているメンツが凄い。Richard Tee,Eric Gale,Hugh McCracken,Marcus Miller,Steve Gadd,Ralph McDonaldと言えば,ほとんどGrover Washington, Jr.の"Winelight"のバックバンドが勢揃いである。それがライブの場で集まると言うのがTom Scottの人徳か。おまけにDr.Johnまでゲスト参加ではまさしく目が点であるが,こうしたメンツが集まるところがまさにNYCぽいではないか。

演奏は,これだけのメンツだけに,何とも言えないグルーブを生み出していて大いに楽しめる。特にRichard Teeのバッキングのよさは特筆ものである。これでもう少し魅力的な曲が含まれていれば確実に5つ星であったが,曲にメリハリがないのと,あまりにも曲がショボく感じられるので星★★★★どまり。

いずれにしても80年代のフュージョン・シーンを語る上で忘れることのできないアルバムではあるが,それにしても,このジャケのセンスだけは何とかならんものか。

Recorded Live at Bottomline, NYC on January 15-17, 1981

Personnel: Tom Scott(reeds, lyricon), Richard Tee(key),Eric Gale(g),Hugh McCracken(g),Marcus Miller(b),Steve Gadd(ds),Ralph McDonald(perc), Dr. John(vo)

2007年11月 1日 (木)

やはり「哀愁のヨーロッパ」だよな~

Amigos "Amigos" Santana (Columbia)

懐かしい。このアルバムにおいては何と言っても"Europa(Earth's Cry Heaven's Smile)"つまり「哀愁のヨーロッパ」が代表的な収録曲ということになるが,私もアコギでコピーをしたぐらいだから,相当の大ヒット曲である。しかし,Santanaのアルバムの中でも結構ファンク・フレイバーが強く出たアルバムとして特徴付けられるように思う。

こうしたファンク・フレイバーを持ち込んだのは,全面参加の上,プロデュースにもかなり関わっていると思われるドラムスのNdugu Leon Chanclerと思われるが,それにしても"Let Me"や"Tell Me Are You Tired"なんてSantana得意のラテン色がゼロのファンク・チューンなのには驚かされる。

もちろん,ラテン・フレイバーが溢れた曲もあり,アルバム全体のプロデュースとしては,どうも一貫性がないようにも感じられなくもない。また,冒頭の"Dance Sister Dance (Baila Mi Hermana)"は後の"Moonflower"におけるライブ・テイクに聞かれるような勢いや祝祭感に乏しくずっこける。

そうした流れの中で「哀愁のヨーロッパ」になだれ込むわけだが,これはある意味「ムード歌謡」,あるいは「歌のない歌謡曲」的なところが,日本人には受けるのだろう。何だかんだ言っても私も好きだから文句はないし,まぁ曲の力から言えば,やはりこれが最強なのは事実である。

しかし,前述のとおり,アルバム全体としてはどうなのかなーというとこともあり,評価としては「哀愁のヨーロッパ」に免じてとしても,星★★★ぐらいがいいところであろう。

Personnel: Devadip Carlos Santana(g, perc, vo), Tom Coster(key, vo), Ndugu Leon Chancler(ds, perc, vo), Armando Peraza(perc, vo), David Brown(b), Greg Walker(lead vo), Maxine Willard Waters(vo), Julia Tilman Waters(vo), Ivory Stone(vo)

« 2007年10月 | トップページ | 2007年12月 »

Amazon検索

2016年おすすめ作

2016年おすすめ作(本)