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2007年10月10日 (水)

Keith Jarrettの新譜における違和感

Keith "My Foolish Heart: Live at Montreux" Keith Jarrett/Gary Peacock/Jack DeJohnette (ECM)

Keith Jarrettのスタンダード・トリオによる新作であるが,録音は2001年に遡るため,彼らの現在形とは言えないライブ・アルバムである。しかし,このアルバムを聞き通したときの違和感は何なのだろうか。

多くのリスナーがCD1の後半からCD2の前半の都合3曲で展開されるストライド・ピアノあるいはラグタイム・ピアノ的なサウンドに違和感をおぼえるはずである。ここでこの3曲を続けたことはKeithの意図的なものであることはKeith自身によるライナーからも間違いないが,誰がこのトリオにこんな演奏を求めるというのか。それが大きな違和感としてこのアルバムに影を落としているし,ライブの場でも聴衆は戸惑ったに違いない。

ジャズの伝統へのコミットメント云々というならば,ジャズ界の原理主義者Wynton Marsalisと変わりがない。Keith,Gary,Jackという素晴らしいトリオに期待するのは原理主義ではなく,彼らの美意識に彩られたスタンダードの再構築ではないのか。私には今回の中盤の演奏が,そうした美意識をないがしろにした単なる伝統主義,保守主義にしか聞こえない。Keithが何を言おうと,私はこの演奏を支持することは出来ない。

この3曲を除けば,いつものスタンダード・トリオの演奏で安心して聞くことができるが,このトリオのファンの私と言えどもさすがにマンネリズムを感じるようになってきた。件の3曲がマンネリ打破のために演奏されたものだとしたら,それにしてはあまりにシャビーな出来であるし,何のためにこれらの曲を差し挟んだのか私には全く理解できないのである。いつもながらスリルを感じさせてくれる瞬間や,息を呑む美しさを体現する瞬間がいくつもあるが,それでも私がこのトリオに求めるレベルには全く達していない。これは完全にプログラムのミスであり,Keithのライナーでの発言は負け惜しみに聞こえる。このアルバムを何度も聞くぐらいなら,これまでの作品を聞いた方がましである。だから国内盤のライナーでの青木和富氏も歯切れが悪いのだと言ってはうがち過ぎか。このトリオとしては明らかな失敗作として星★★。この程度なら今更発表する意義は私は感じない。

Recorded on July 22, 2001

Personnel: Keith Jarrett(p), Gary Peacock(b), Jack DeJohnette(ds)

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コメント

確かに、ラグタイムはスタンダーズのイメージから外れた感じがするのは同感ではあります。ファンとしては、スタンダーズvol.2のような小粋な感じでやってほしいものです。
ただし、初期のピアノソロのFacing Youの時代から、ラグタイムをやっていたわけだし、バッハから現代音楽、謎の民族音楽や、ギターを弾いて歌ったり、マイルスとフュージョンやったり、ありとあらゆることを気の向くままに演奏したキースにとっては、マンネリと言われたくはないだろうなとは思います。フリードリヒ・グルダもびっくりの変貌ぶりですね。
常人では思いつかないほど多彩な活動の中から、ファンが選んだのは、スタンダーズのスタイルと、ロマンチックなケルンやマイソング、フォーク調の宝島にマイバックペイジズくらいだったということでしょう。
芸術家の新しい表現を大衆が受け止めることが出来ないのはよくある話で、キースごめんねという感じですね。
急激な進化が賞賛されたビートルズ。変化するたびに罵声をあびたボブ・ディラン。色々ですね。
自分のイメージ通りでいて欲しいファンが、同時にそんなのマンネリだよねといってしまう矛盾に気付いてしまったというお便りでした。

mmmさん,コメントありがとうございます。

全くおっしゃるとおりと思います。ただ,マンネリだろうがなんだろうが,私はこのトリオの従来の手法の方がしっくりくるのは事実ですし,方向性を変えるならフリー・アプローチでやってもらう方がずっとこの3人には合っているような気がします。まぁわがままなファンの戯言ということでお許し願えればと思います。

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