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2007年9月 4日 (火)

山中千尋の新作はやや欲張ったつくり

Photo_2"Abyss" 山中千尋(Verve)

私は熱心な山中千尋のリスナーではない。これまで澤野商会から出たアルバムも買っていないし,Verveからのアルバムも買ったことはない。しかし,この新作についてはCDショップでかかっていたエレピを使った曲がよかったので購入したものである。プロデューサーを本人がつとめた意欲作という表現は陳腐だが,よくよく聞いてみると私にはちょっと欲張りすぎたような気もする作品である。それは選曲もそうであるし,演奏にもそうした雰囲気が感じられる。

この曲毎に変化する趣を,ある人は「多彩」と言うだろうし,また別の人は「一貫性がない」と言うかもしれない。それがこのアルバムへの評価の分かれ目である。私はどちらかというと典型的な4ビートよりも,エレピを使った演奏にこそこの人の資質を感じるので,そうしたトーンで統一すればよかったのではないかと思っている。よって,評価は後者ということになる。

例えば,3曲目は明らかにChicagoの"Saturday in the Park"のようなイントロで始まり,私のような中年を「おぉっ!」と言わせる強力なエレクトリック・チューンだが,その後の曲が典型的な4ビートで演奏されたりすると,普通のリスナーは泡を食ってしまうのではないかと心配になる。アルバムを通して聞いていて,私は彼女がどちらの方向に行きたいのかがよく分からないのである。演奏の質は高いし,オルガンやエレピを弾いた曲ではかなりスリリングな展開が聞けるので,このアルバム,かなり楽しめることは事実であるが,全く違うピアニストが同一アルバムで聞かれるコンピレーションのような雰囲気を与えてしまうようにも感じられる。

ストレート・ジャズはアコースティック・ピアノで,それ以外にはエレクトリックを使うというのはあまりに正直過ぎるアプローチにも思える。また,"Giant Steps"はやや奇をてらいすぎである。このあたりを見直してくれれば,この人はかなり期待できると思う。セルフ・プロデュースもよいが,一度有能なプロデューサーのもとで制作してみてはどうだろうか。ということで将来への期待も込めて半星オマケして星★★★☆。

Recorded on May 22-24 2007

Personnel: 山中千尋(p, key), Vicente Archer(b), Kendrick Scott(ds)

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コメント

今晩は!コメントを見たくてやって参りました
それにしても同じ曲に反応した私はすこし音楽狂さんに近づけたように感じましたhappy01
てなわけないですねcoldsweats01

takeotさん,こんばんは。何をおっしゃいますやら。「近づけた」なんてコメントを頂くと,思わず赤面してしまいます。

いずれにしても,3曲目は間違いなく確信犯ですから,多くの人が反応すると思います。そういう世代を狙ったなんてうがった見方もできますけどね。

でも大西順子の新作を聞いてしまうと,山中千尋はまだまだでしょうと言いたくなってしまいます。有能な人ですから,今後どう伸びていくのか期待したいと思います。

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