何とも繊細なピアノ・タッチの後藤浩二
不勉強ゆえ,後藤浩二というピアニストについては聞いたことがなかったが,本盤は共演者につられて買ってみたものである。プロデュースとドラムスがHarvey Mason,ベースがLarry Grenadierというのはなかなか期待が持てる陣容だからである。近年のMasonはFourplay以外にも,さまざまなピアニストと共演した"With All My Heart"でセンスのよいところを実証しているし,GrenadierはBrad Mehldauトリオのレギュラーである。結果は上々であった。
一聴して驚かされるのが,リーダー後藤の繊細なピアノ・タッチである。この人はおそらくヨーロッパ系のジャズに影響を受けていると思わせる旋律,ピアノのトーンであるが,Michel Petruccianiの曲を2曲演奏しているのもそうした表れではなかろうか。そのほかにStingの曲が1曲ある以外は,後藤のオリジナルでまとめられているが,いずれにしても非常に心地よい響きを醸し出しているのは,プロデューサーのMasonの趣味とも言えるかもしれない。このアルバムを聞いていて,女流ピアニスト,西山瞳(彼女はEnrico Pieranuziの影響下にある)のCDを思い出してしまったと言ったら,後藤はどう思うだろうか?男っぽいピアノを弾く大西順子のような女性もいれば,後藤は女性的なピアノと言ってもよい。それがこのアルバムに,アフリカンアメリカンやバップの影響を感じさせない演奏としている原因と言ってもよいかもしれない。
いずれにしても,全編を通じて心地よいサウンドであるし,リーダー,共演者ともに好演の佳作であり,いろんな人が出てくるものだと感じさせる一枚である。星★★★★。
Recorded in December 2006 in NYC
Personnel: 後藤浩二(p),Larry Grenadier(b),Harvey Mason(ds)
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