2019年7月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      

2017年おすすめ作

無料ブログはココログ

« Lew Tabackinによるジャズ・フルートの隠れた名品 | トップページ | 敏子~タバキン・バンドの番頭,Gary Fosterが放った傑作 »

2007年4月 4日 (水)

Jim Hall,Red Mitchellのデュオは枯淡の境地と言うべきか

Jim_hall "Jim Hall And Red Mitchell" Jim Hall & Red Mitchell (Artist House)

今からほぼ30年近く前に録音されたJim HallとRed Mitchellの今はなきSweet Basilでの実況録音である。当時,Jim HallはCTIでの「アランフェス協奏曲」等がヒットしたものの,どちらかと言えば名バイ・プレイヤーとしての位置付けにあったギタリストである。その後,Pat Methenyが影響やシンパシーを口にしたり(共演までしてしまった)したもので,一気にそのポジションが上がってしまった感があるが,基本的にはこの人は渋い人である。1930年生まれなのでこのとき,まだ47,8歳ということになるが,このジャケ写真を見るだけでは「ほんまかいな」と言いたくなるのも事実のような老成ぶりではある。

共演のRed Mitchellも50年代にContemporaryにリーダー・アルバムを残している(ピアノのLorraine Gellerが最高だった)が,その後は欧州生活が長いプレイヤーであり,裏ジャケの写真を見るまでもなく,こちらも地味と言えば,地味を絵に書いたような人と言ってもよいだろう。

この二人が共演すればどういうことになるかと言えば大体想像がつくわけだが,出てくる音も全く予想通りである。ここではHallの渋いギターの音色に加え,Mitchellの野太いベース音が非常にいいかたちで録音されており,ギター/ベースのデュオを好む私のような人間にはたまらないものがある。録音時の年齢からすれば,若干どうかとは思うが,やはりこれは「枯淡の境地」と呼ぶのが相応しいような音楽である。

このアルバムを発売したArtist Houseというレーベルは,Paul Desmondの遺作(これが最高である)を発表したり,Gil Evansの"Where Flamingos Fly"等を発掘したりと,非常に良心的かつ高品質のレーベルである。Ornette ColemanとCharlie Hadenのデュオ・アルバム "Soapsuds"もこのレーベルであった。

このアルバムにも"Waltz New"の譜面やHallの同曲のソロの写譜やディスコグラフィまでついていて,これまたファンにはうれしいものとなっている。しかしながら,いかんせんレーベル・オーナーのJohn Snyderが,ジャズへの愛着やファンへの心配りは人一倍ながら,あまりに商売っ気が少なすぎて,レーベルが長続きしなったのは残念なことである。一部の音源はCD化されているが,こういう地味な音源がマーケットに出回ることはもはや少ないと思うと残念である。

今にして思えば,このArtist Houseレーベルが日本のキング・レコードと契約して,本アルバムの国内盤も出たというのは信じられない事実である。こんなアルバムを高校時代に買っている私もはっきり言って信じられないが,今保有しているのは,一度中古盤屋に売却したのを後悔して,再入手した輸入盤である。昔はこういうバカなことをよくやっていたが,最近は反省してどんな駄盤でも一切売らない主義に転じて,家人の顰蹙を買っていることは言うまでもない。余談が長くなったが,このアルバムは歴史的な名盤ではないが,密かに愛聴すべき小品である。星★★★★。

Recorded Live at Sweet Basil in NYC on January 20/21, 1978

Personnel: Jim Hall(g), Red Mitchell(b)

« Lew Tabackinによるジャズ・フルートの隠れた名品 | トップページ | 敏子~タバキン・バンドの番頭,Gary Fosterが放った傑作 »

ジャズ」カテゴリの記事

コメント

学生時代通っていた神田駿河台下のジャズ喫茶のオヤジさんと仲良くなって「これ良いよ」と紹介され、店で良くかけてもらったレコードです。私はA1曲目が大好きでした。その当時私はベースを弾いていたのでうねりまくるゴリゴリベースに心酔しておりました。ジムホールはソロ以外にはギターアンプを使わない、レッドミッチェルは複数のマイクを使ってミキサーを通してアンプ増幅しているからあんなダイナミックな音が出る、店のオーディオ装置も見た目は悪かったですが、装置のセッティングはNHK放送技研のお客に手弁当で手伝ってもらってる、など色々なことを教えてくれたオヤジさんでした。よそのジャズ喫茶では決して聞けないリアルな音。が、突然の閉店。いつものように授業サボってお店に行ったら、音の出てない店内でオヤジさんが「持ってきな」と、このレコードを私の手に。涙が出ました。これがあるからレコードプレーヤー持ってます。私の自宅のオーディオ装置もお店のセットと同じものを想い出して中古で何年も掛けて揃えました。CDが出たらもちろん買いますが、このレコードはずっと手元に残しておくと決め、大切にしまってある1枚です。

1750GTAMさん,はじめましてですよね。熱いコメントありがとうございます。

A-1というと"Big Blues"ですね。いいですねぇ。神田駿河台での出会いからこうした話が出てくるところに,昔のよさがにじみ出しますよね。本作がCD化される可能性は低いかもしれませんが,Paul DesmondのArtist House盤もCD化されているぐらいですから,何が起こるかわかりません。まぁ,私もLPで聞き続けるでしょうが。

ということで,今後ともよろしくお願い致します。

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: Jim Hall,Red Mitchellのデュオは枯淡の境地と言うべきか:

» Jim Hall Red Mitchell (1978) 月に浮かれた翌週のこと [Kanazawa Jazz days]
このアルバムは1978年のSweet Basil(NYのVillage Vanguardの近所だった)でのライヴ。2人のデュオ。一時、ジョン・シュナイダーのレーベルArtist Houseが気になって集めたもの。 [続きを読む]

« Lew Tabackinによるジャズ・フルートの隠れた名品 | トップページ | 敏子~タバキン・バンドの番頭,Gary Fosterが放った傑作 »

Amazon検索

2018年おすすめ作