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2015年おすすめ作

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2007年4月30日 (月)

久々のサイクリングで年齢を感じる...

最近,家人が自転車の新車を購入し,娘ともどもサイクリングにはまっている。私も娘が生まれる前は結構遠乗りもしていたのだが,その私の愛車Peugeotも長年の雨ざらしの結果,ギアすら入らない状態になっており,家族のサイクリングに同行することすら厳しい状態となってしまった。そこで,友人から自転車を買い取ることになり,本日友人宅近所まで引取りに行ってきた。

そこから我が家まで約29キロの道程であるが,昔なら楽勝の距離だったはずである。また今日は天気もよく,絶好のサイクリング日和であり,途中までは結構楽しみながら走っていたのだが,今日は25キロを過ぎたあたりでいきなりへばりが出てしまった。平気で60~70キロ走っていたのも今は昔。日頃の運動不足を思い知らされた次第。これからは体力回復に努めねばと痛感した。継続は力なりだが,ブログのようにサイクリングが続くかどうかは...Who Knows?である。

"To Chi Ka"は日本フュージョンにおける金字塔である

Tochika "To Chi Ka" 渡辺香津美(Better Days)

日本のフュージョンの歴史に燦然と輝く金字塔アルバムである。音よし,曲よし,演奏よしの3拍子揃ったこのアルバムは渡辺香津美のキャリアにおいて"Mobo"と並ぶ双璧である。豪華な伴奏陣に囲まれ,ギターを弾きまくる香津美が素晴らしい(ナイスなフレージングの連発である)のはもちろんだが,この演奏を生み出したプロデューサーとしてのMike Mainieriの手腕も素晴らしい。

マクセルのCMも懐かい"Unicorn"やMainieriとのデュオで演奏されるタイトル・トラック等,曲はどれも素晴らしいのだが,中でもここ一発の集中力を発揮したソロを聞かせるMichael Brecker参加の2曲が特にスリリングである。"Cokumo Island"のこのカッコよさは何だ!これぞフュージョンの醍醐味である。このアルバムに収められた演奏を聞いてその魅力がわからないリスナーは,フュージョンとは縁がないと諦めるべきである。

このアルバムが録音されて既に四半世紀以上経過しているが,この音楽は今聞いても一切古びていない。これぞ傑作と呼ぶに相応しいアルバムである。当然のことながら星★★★★★。

Recorded on March 4-26, 1980 in NYC

Personnel: 渡辺香津美(g), Mike Mainieri(vib), Michael Brecker(ts), Kenny Kirkland(key), Warren Bernhardt(key), Joe Carro(g), Marcus Miller(b), Tony Levin(b), Steve Jordan(ds), Peter Erskin(ds), Sammy Figueroa(perc)

2007年4月29日 (日)

高速”Scatterbrain”で目が点になること確実なJeff Beckライブ

Beck "Jeff Beck with the Jan Hammer Group Live" Jeff Beck (Epic)

懐かしいアルバムである。Jeff Beckが"Wired"発売後に,Jan Hammerと敢行したツアーでのライブだが,HammerのバンドにBeckが客演したものなので,Beckのヒット曲に加えて,Hammerのレパートリーも演奏されている。ここが好みの分かれ目になるところであるが,全編を通してBeckの鋭いギター・プレイが聞ける。

Beckのレパートリー4曲は"Blue Wind"にやや荒さが目立つものの,どれも素晴らしい出来だが,中でも超高速で演奏される"Scatterbrain"には目が点になること確実である。ここで展開されるバイオリンとのユニゾンや掛け合いなどは,どことなくマハビシュヌ・オーケストラ的であるが,このスリルは何とも言い難いものがある。私のようなヘボなギタリストにはコピー不能の世界と言ってよいが,この曲だけでもこのアルバムの価値は高い。なんじゃこりゃ~のピッキングとフィンガリングの技である。

冒頭の"Freeway Jam"は完全にハード・ロック化しているし,また,トーキング・モジュレーターを駆使する"She's a Woman"もレゲエ・タッチで意表を突いていて面白い。ただ,後者での"Do You Feel All Right? Do You Feel All Ri~ght?"のモジュレーター・ボイスには思わず笑ってしまう(何ともお茶目なBeckである)。

冒頭にも書いたが,Jan Hammerのレパートリーがあまり面白くないのがやや問題であるが,Beckのギター・ソロにだけ注目しておけば腹も立つまい。"Full Moon Boogie"は日本語にすれば「満月ブギ」である。それだけでも何のこっちゃと言いたくなるリスナーも多かろう。ちなみにこれも好みの問題かもしれないが,Hammerはフェンダー・ローズを弾いているときが一番よいように感じる(換言すればシンセサイザーはうるさ過ぎと言うか,ワンパターンの極致)。

いずれにしても,本盤が発売された頃はJeff Beckにとっての初のソロとしての実況盤(BB&Aの日本ライブというのがあったが...)ということもあり,大いに注目を集めたものであるが,とにもかくにも"Scatterbrain"には「参りました」の一言しかない。トータルで言えば,"Wired"や"Blow by Blow"には及ばないが,生のBeckの凄みを体験できるアルバムとしてこれはこれで評価してよいアルバムだと思う。星★★★★。

Personnel: Jeff Beck(g), Jan Hammer(key, vo, perc), Steve Kindler(vln, g, synth), Felnando Saunders(b, g), Tony Smith(ds, vo)

2007年4月28日 (土)

何とも繊細なピアノ・タッチの後藤浩二

Hope "Hope" 後藤浩二(Video Arts)

不勉強ゆえ,後藤浩二というピアニストについては聞いたことがなかったが,本盤は共演者につられて買ってみたものである。プロデュースとドラムスがHarvey Mason,ベースがLarry Grenadierというのはなかなか期待が持てる陣容だからである。近年のMasonはFourplay以外にも,さまざまなピアニストと共演した"With All My Heart"でセンスのよいところを実証しているし,GrenadierはBrad Mehldauトリオのレギュラーである。結果は上々であった。

一聴して驚かされるのが,リーダー後藤の繊細なピアノ・タッチである。この人はおそらくヨーロッパ系のジャズに影響を受けていると思わせる旋律,ピアノのトーンであるが,Michel Petruccianiの曲を2曲演奏しているのもそうした表れではなかろうか。そのほかにStingの曲が1曲ある以外は,後藤のオリジナルでまとめられているが,いずれにしても非常に心地よい響きを醸し出しているのは,プロデューサーのMasonの趣味とも言えるかもしれない。このアルバムを聞いていて,女流ピアニスト,西山瞳(彼女はEnrico Pieranuziの影響下にある)のCDを思い出してしまったと言ったら,後藤はどう思うだろうか?男っぽいピアノを弾く大西順子のような女性もいれば,後藤は女性的なピアノと言ってもよい。それがこのアルバムに,アフリカン・アメリカンやバップの影響を感じさせない演奏としている原因と言ってもよいかもしれない。

いずれにしても,全編を通じて心地よいサウンドであるし,リーダー,共演者ともに好演の佳作であり,いろんな人が出てくるものだと感じさせる一枚である。星★★★★。

Recorded in December 2006 in NYC

Personnel: 後藤浩二(p),Larry Grenadier(b),Harvey Mason(ds)

2007年4月25日 (水)

Quest待望の復活作

Redemption "Redemption: Quest Live in Europe"  David Liebman, Richie Beirach, Ron McClure, Billy Hart (Hat Art)

伝説の名バンド、Quest待望の復活作である。アルバムの録音はほぼ15年ぶりと思われるが、相変わらずのハイブラウぶりには、私のような長年のファンは嬉しくなってしまう。本作は2005年のヨーロッパ・ツアー時の実況録音であるが、これがQuestとしてのパーマネントな活動の再スタートとなるのか、一時的な再編に留まるのかはわからないが、是非継続的に活動して欲しいものである。

本作はLiebmanとBeirachによるデュオ、"Round Midnight"で幕を開けるが、その素晴らしさにまずは感動するのだが、その後に続くフリーなアプローチにはややのけぞる。Liebmanのテナーはまるで後期コルトレーンのようである。アルバムのかなりの部分がコレクティブ・インプロビゼーション的なので、一般のリスナーには厳しいかもしれないが、これもファンにはたまらないところである。もう少しインテンポの曲があってもよさそうなものだが、ここは復活に免じて文句は言うまい。私にとってはコペンハーゲンのライブ("Quest Ⅲ")が今でも最高だが、この作品もファンの期待に応える佳作である。星★★★★。

ベース、ドラムスは異なるが、彼らの第1作を吹き込んだのは今はなき日本のトリオ・レコードであったことは、今も世界に誇ってよい事実である。あの頃は日本のレコード会社もまともであった...。

Recorded Live on November 2 & 3, 2005

Personnel: David Liebman(ss, ts, fl), Richie Beirach(p), Ron McClure(b), Billy Hart(ds)

2007年4月24日 (火)

"Stop Making Sense":ロック・フィルム史上屈指の傑作

Stop_making_sense_1"Stop Making Sense" Talking Heads (EMI)

監督:Jonathan Demme

「羊たちの沈黙」の監督であるJonathan Demmeが撮ったTalking Headsのライブ・フィルムの傑作である。Janathan Demmeは多くのミュージック・ビデオに関わっているが,この作品は,音楽的な素晴らしさに加えて,「陰と陽」あるいは「光と影」を見事に活かした撮影が見事で,David Byrneによるコンセプト,映像と音楽の総合芸術として高く評価されるべきものである。

よく指摘されるとおり,ステージを操作するスタッフの姿は黒子のようであるし,David Byrneが後半で着るジャケットは裃のようでもあり,歌舞伎的な要素を感じさせると言えばそのとおりである。しかし,ここではそうした映像的な演出だけではなく,Talking Headsの素晴らしい演奏を忘れてはならない。冒頭のラジカセから流れるリズム・パターンとギター1本で演じられる"Psycho Killer"からぞくぞくするような出来である。全編を通して全くだれることなく,緊張感とファンクネスに溢れたここでの演奏は,Talking Headsとしても最良の部類であろう。私としてはスタジオ録音よりはるかに興奮する出来である。全部ひっくるめても星★★★★★の評価は揺るがない。

それにしても多数の音楽フィルムを撮っているMartin Scorseseは言うに及ばず,"Traffic"の監督,Steven SoderberghもYesのライブ・ビデオ("90125"時代のもの)を撮っているが,優れた映画監督は,音楽を撮らせても素晴らしいと言うことがよくわかる。あるいは音楽的なセンスも映画監督にはある意味で重要な要素なのかもしれない。

2007年4月23日 (月)

Joey Calderazzoにはもっとゴリゴリ弾いて欲しい...

Joey_calderzzo "Amanecer" Joey Calderazzo (Marsalis Music)

Jerry Bergonzi,Michael Brecker,Branford Marsalis等のテナー奏者の寵愛を受けるピアニスト,Joey Calderazzoの新作がBranfordのレーベルから発売になった。前作"Haiku(文字通り俳句である)"に続き,ピアノ・ソロが主体となっており,一部でボーカル,ギターが加わる。

一言で言えばソフトで地味である。私がCalderazzoに求めるのはこのような老成した姿ではなく,90年代初頭に吹き込まれたリーダー・アルバムにおける爆発的なスピード感やパワーである。今でもBranfordのバンドではそうしたゴリゴリしたところを示すのに,どうしてリーダー・アルバムになるとこう地味になってしまうのか?プロデューサーを務めるBranfordに聞いてみたいところである。もちろん,Calderazzoが初リーダー作を吹き込んでから15年以上の歳月が経過しているから,ミュージシャンとしての成熟と言うこともあろう。しかし,この人の本質は,新世代のハード・バップとも言うべき響きにあるはずである。本作品はそうしたCalderazzoの資質を反映しているとは言い難いものであり,長年のファンとしては微妙である。

このアルバムを他のミュージシャンが吹き込んだのであれば,相応の評価もするだろう。私がCalderazzoに求めるレベルが高すぎるのかもしれないが,いずれにしてもこのアルバムは彼らしくない。まだ彼は40代前半のはずである。繰り返すが,老成するには早すぎる。もっと飛ばしてくれ~...ということで評価も星★★★。

Recorded on January 30 - February 2, 2006 in Durham

Personnel: Joey Calderazzo(p), Claudia Anuna(vo), Romero Lubambo(g)

2007年4月22日 (日)

Wolfgang MuthspielとBrian Bladeデュオ作は様々なサウンドのミクスチャーだが...

Muthspiel "Friendly Travelers" Wolfgang Muthspiel & Brian Blade(Material)

期待の若手としてWolfgang Muthspieilがジャズ・シーンに登場してから随分な時間が経過したが,正直なところ,いつまで経ってもブレイクしないという印象が強く,このままでは中堅どまりと言われても仕方がない。そのMuthspielへの私の注目度が改めて高まったのは,Brian Bladeとの共演を始めてからと言ってもよいだろう。

Brian Bladeはドラマーとしての資質だけでなく,自身のリーダー作での優れた作曲能力やリーダーシップを示し,本当に優れたミュージシャンぶりを示している。それがWayne ShorterやJoni Mitchellからの信頼にもつながっていると思うが,MuthspielもBrian Bladeとの共演で「一皮向けた」かと思わせる演奏を期待させるものである。

本作は,そのMuthspielとBladeのデュオ・アルバムであり,何とBladeがギターも演奏するだけでなく,Voiceともクレジットされているのにまず驚かされるが,冒頭に収められた"Gnadenwald"はVoiceの使い方などいかにもPat Metheny的である。しかし,本作はそうしたトーンだけでなく,ロック,フォーク的なサウンドも聞き取れ,なかなか一筋縄ではいかない出来となっている。アルバム全体を通しては,かなり抑制されたサウンドが続いており,両者の丁丁発止のやり取りを期待したい私のようなリスナーにはやや肩透かし気味である。

アルバム全体を通して聞いてみて,決して悪い出来だとは思わないが,残念ながら,ここでもMuthspielは飛躍を遂げるところまで行っておらず,水準作という評価が妥当であろう。残念ながら,ここでもMuthspielは一皮むけるところまでは行かなかったようである。星★★★。これだけ共演者に恵まれながら,水準作しか出来ないということは,その程度の実力ということであろう。

2007年4月21日 (土)

予想よりずっとよかったBryan Ferryのディラン・カバー集

Bryan_ferry "Dylanesque" Bryan Ferry (Virgin)

今年の初めから始めたこのブログも100本目の記事となった。我ながらよく続いているものだ。その100本目はBryan Ferryの新譜である。

期待を掛けずに聞いてみて,予想よりいいと嬉しくなるが,最近のBryan Ferryはそうしたいい意味で「期待を裏切る」ミュージシャンである。前作"Frantic"も予想以上によかったが,この全曲ディラン・カバー集も企画としては「???」とも言えるものの,これが予想以上の出来を示していた。ある意味"Avalon"で頂点を極めたと思われるFerryゆえ,こちらもそれほど期待をしないということもあるのだが,それにしてもこれはよかった。

ほぼBryan Ferryのバンドのレギュラーと言ってよい優秀なバックに支えられた部分もあるが,Dylanの曲とFerryの意外な相性のよさが本作の成功につながっているように思える。本盤に関してBrian Enoとの共演云々が言われているが,それはあまり重要ではなく,あくまでも聞くべきは"Ferry Sings Dylan"という側面である。確かにややAOR的に流れたり,Dylanのような強烈な個性に欠ける歌唱,演奏であるのは事実だが,冒頭の"Just Like Tom Thumb's Blues"から結構乗せられてしまう私のような中年も多いのではないだろうか。この「乗り」が私にとっては重要であり,CDショップで流れたいたこの曲に「つい乗っている」自分がいたことを告白してしまおう。

また,この音楽を流していて,ほかの作業の妨げにならないという流し聞きを許す「落ち着き」がこれまた中年にとっては大事である。私ぐらいの年齢になると,時折刺激的な音楽(ヘビメタでもフリージャズでもOKである)を聞きたくなるのも事実であるが,通常はこれぐらいの「抑制度」が大事なのである。

もちろんFerryの最高傑作と言うつもりはないが,何度か繰り返して聞いてしまった本盤は佳作という評価を加えてよかろう。星★★★★。

Personnel: Bryan Ferry(vo, hca), Colin Good(p), Chris Spedding(g), David Williams(g), Oliver Thompson(g), Leo Abrahams(g), Robin Trower(g), Guy Pratt(b), Zev Katz(b), Paul Carrack(org), Andy Newmark(ds), Bobby Irwin(ds), Frank Ricotti(perc), Brian Eno(electronics), and Others

2007年4月20日 (金)

ほとんど奇跡!Hummingbird全作紙ジャケで再発!

Hummingbird "Hummingbird", "We Can't Go on Meeting Like This", "Diamond Nights" Hummingbird (A&M)

<<写真は第2作の"We Can't Go on Meeting Like This(邦題は付けも付けたり「密会」)"のもの>>

いやはやこれは驚きである。知る人ぞ知るHummingbirdのアルバム全3作が紙ジャケット仕様で再発されるそうだ。日本というマーケットは,どこまでディープな世界へ行くのかと考えざるをえない。

HummingbirdはJeff Beck Groupの残党であるBob Tench,Max Middleton,Clive Chamanを中心に結成された渋いグループである。日本でもかろうじて第1作がCD化されたことがあるが,それも永らく廃盤となっていて,入手はかなり難しいものとなっていた。それがここに来ての一挙全作発売である。第2作,第3作は世界初CD化(そしておそらくは最後のCD化だろう)だそうであるから,これはなかなか凄いことと言える。

ちなみに第2作,第3作はドラムスが第1作のConrad IsidoreからBernard Purdieに代わっているのがポイントが高い。いずれにしても,このような渋いグループのCDを買うのは相当の趣味人だけであろうが,それほどの枚数がプレスされるとも思えないので,購入を迷っているぐらいなら注文した方がよいだろう。おそらくは発売,即廃盤である。

第1作のCDは保有し,第2作,第3作のLPをオークションでゲットした私のような物好きはどうすればいいのか悩ましいが,やはりここは買い替えか...。厳しい選択を迫られる私である。

ところで,第2作に収録されている"Scorpio"は昔の深夜放送族には懐かしい曲である。「タモリのオールナイト・ニッポン」のCM間のジングルにこの曲が使われていたことを知る人ももはや少数かもしれない。

2007年4月19日 (木)

役者の入替えだけで誰が見るのか「犬神家」

Inugamike3 「犬神家の一族」(2006,東宝)

監督:市川 崑

出演:石坂浩二,松嶋菜々子,冨司純子,松坂慶子,深田恭子,尾上菊之助,中村敦夫,仲代達矢

飛行機で見た映画シリーズ第5弾。昔なつかしの角川映画のリメイクである。監督,金田一役の石坂浩二も同じで,脚本もほとんど同じように思えるこの作品を,現在の誰が見たいと思うのかとまず疑問に思ってしまう。当時は横溝正史の原作と映画というメディア・ミックスで大ヒットしたが,現代にこの横溝のおどろおどろしさが受けるだろうか。

私にとっては,同じ話を別のキャストで再演した映画に過ぎず,昔見た「犬神家」を追体験しているだけのような印象を受けた。筋書きを知っている人間には,全く新味はないし,映像的にも驚くようなシーンもないということで,見ている間ずっと「何だかなぁ」と思い続けていた。

結局印象に残ったのは深田恭子が可愛いということだけだったが,これが本当の機上の暇つぶしである。私にとってはとても入場料を払って見たいと思うような映画ではなかったし,ましてやDVD購入などありえない。ファンには悪いが,松嶋菜々子もどこがいいのかさっぱりわからない。どうせならもっとぞくぞくするような美女を使って欲しいものである。

いずれにしても市川崑はこのリメイクで一体何をしたかったのかがさっぱり解せない。ストーリーの謎より,こっちの謎の方がよっぽどミステリーである。ということで星★。

2007年4月18日 (水)

これまた無茶な「ロッキー・ザ・ファイナル」

Rocky_1 「ロッキー・ザ・ファイナル("Rocky Balboa")」(米,2006,MGM)

監督:Sylvester Stallone

出演:Sylvester Stallone, Burt Young, Geraldine Hughes

飛行機で見た映画シリーズ第4弾。今の時代「ロッキー」を見たいと思う人がどの程度日本にいるかはわからないが,もはやそりゃないでしょうというプロットで展開される本作には何の感慨もわかない。そもそも60近いロッキーが,最強のチャンピオンと対戦するというのはいいとしても,その戦いぶりの「ありえない」感があまりに強過ぎる。

なぜ,今Stalloneがこうした映画を撮ろうとしたかと言えば,「やっぱりお金よね」とも言いたくなるが,これを見て本当に感動する人間がいるのだろうか?昔,私も第1作に感動の涙を流したくちなので大きなことは言えないが,この映画の違和感は相当なものである。CG全盛の時代に,そうしたテクノロジーに頼らない手作り感は評価できるのだが,やはりこのストーリーには無理があり過ぎるし,そもそもStalloneも太り過ぎで,全く強そうに見えないのである。

ある意味,この馬鹿馬鹿しさも飛行機向きとは言えるが,私としては星★★☆程度しか献上できない。映画としてはもう少し違うやり方があったのではないかと思えるのだが...。

2007年4月17日 (火)

映画好きも楽しめる「ホリデイ」

Holiday 「ホリデイ("The Holiday")」(米,2006,Columbia/Universal)

監督:Nancy Meyers

出演:Cameron Diaz, Kate Winslet, Jude Law, Jack Black, Eli Wallach

飛行機で見た映画シリーズ第3弾。これは他愛ないが,楽しい映画である。そういう意味では,飛行機の中で見た中では,最もその場に適していた映画と言える。本作ではCameron Diazが映画予告編作家,Jack Blackが映画音楽作曲家,Eli Wallachがかつての名映画脚本家にそれぞれ扮しており,さまざまな映画的な仕掛けが見られるのが映画好きにとっても楽しい。Dustin Hoffmanがキャメオ出演しているのも笑える。

しかし,この映画で私にとって一番よかったのはKate Winsletである。役柄のせいもあるかもしれないが,「タイタニック」のときよりはるかに魅力的に見えた。目をみはるコメディエンヌぶりである。また,Jack Blackは主役4人の中では出番は最も少ないが,相変わらず笑わせてくれる。蛇足ながらJude Loweの子供に扮する二人の子役がかなり可愛い(これも娘を持つ親の性?)。

最初に「他愛ない」と書いたが,こういう見ていてちょっとした「幸せ」感を味わえる映画というのはあるようでなかなかないが,今回は機内で見ていて「プチ幸せ」を感じてしまうのが,私の単純なところである。こういうオーディエンスを監督,脚本,製作のNancy Meyersは狙っているに違いないが,見事にはめられてしまった。星★★★★。

2007年4月16日 (月)

よく出来ているが,相当暴力的な「ブラッド・ダイヤモンド」

Blood_diamond 「ブラッドダイヤモンド("Blood Diamond")」(米,2006,Warner Brothers)

監督:Edward Zwick

出演:Leonardo DiCaprio, Djimon Hounsou, Jennifer Connelly, Kagiso Kuypers

飛行機で見た映画シリーズ第2弾。これは全く飛行機で見るには適さない激しいヴァイオレンス・シーンが連続しており,非常に疲れる映画であった。見ていて思いだしたのが「ブラックホークダウン」である。飛行機という限定的な空間では本来はリラックスできる映画が望ましいと思うが,この映画はあまりに緊張感が強過ぎた。しかし,映画としてはよく出来ているので,本来は劇場で見るべき映画と思う。

主役のDiCaprioは傭兵上がりのダイヤモンドの密輸屋を演じており,当初の「ワル」な感じから,徐々に善玉に転じていくあたりが主役としてのもうけどころと言える。「デパーテッド」と言い,本作と言い,DiCaprioも随分とイメージが変わったと思うが,そのDiCaprioをはるかに上回る存在感を示すのがDjimon Hounsouである。また,Jennifer Connellyが相変わらずの美しさで嬉しくなってしまう。

この映画の背景となっているのはアフリカの内戦の模様であるが,その内戦の背景にこの映画で描かれているようなダイヤモンドの密輸事情が本当に存在するのであれば,それは非常に恐ろしいことであることを認識させる映画である。その内戦の描写が私にはあまりに強烈過ぎたが,いろいろと考えさせられる映画であったのは事実である。しかし,機内で半ば酔っ払っている私のような人間には,やはり適した映画だったとは言えないし,またDiCaprioをいまだに「レオさま」等と呼んでいる人々には全く向いていないだろう。

繰り返すが,映画としてはよく出来ているので,評価としては星★★★★には相当する。

2007年4月15日 (日)

あまりに荒唐無稽な映画「デジャブ」

「デジャブDejavu ("Déjà Vu")」 (米,2006,Touchstone)

監督:Tony Scott

出演:Denzel Washington, Val Kilmer, Paula Patton, James Caviezel

米国への短期出張の行き帰りで今回は5本の映画を見た。本作はその中の一本であるが,正直言ってこれほど荒唐無稽で,無茶な映画は滅多に見られるものではない。なぜ,Denzel Washingtonのような役者がこのような映画に出演したのか疑問に感じてしまう。

筋書きを述べるのはルール違反であるが,単純に言えば「タイムマシン」によって過去の犯罪を抑止しようというものであり,発生する犯罪は「スピード」的,タイムマシンの発想は「ターミネーター」的である。何の思想もなく,アクション映画を楽しむ分にはよかろうが,タイム・パラドックスに対する解決策を何ら提示できないシナリオには,あまりにも無理がある。こんな映画を撮っているようだから,監督のTony Scottはいつまでも評価されないとも言える。監督としては兄貴のRidley Scottの方がはるかに有能である。

そもそも,こうした映画作りの責任はプロデューサーのJerry Bruckheimerにこそあると言いたい。プロデューサーとしてのBruckheimerはヒット作を連発しているものの,あの最悪の「パールハーバー」といい,これまた荒唐無稽の極致「アルマゲドン」といい,金だけ掛けても大した作品を提供できないが,本作でもそれが繰り返されただけである。

そもそもアクション,スリラー,SFの要素を詰め込み過ぎていて,映画としては「時間つぶし」にはなっても,記憶には決して残らない映画である。「時間つぶし」という観点では飛行機の機内上映にはそれこそぴったりであると皮肉の一つも述べたくなる駄作。Paula Pattonが美しいのと,悪役James Caviezalの憎たらしさに免じて星★★。

2007年4月13日 (金)

ユニクロの企業コラボTシャツ:今度のECMシリーズは凄い

Photo_4 ユニクロは企業コラボ・シリーズのTシャツを多数発売しているが,以前,ECMレーベルのアルバム・ジャケットをモチーフとしたTシャツを発売した時には,かなり驚かされた記憶がある。今年はその第2弾として,何と18種類ものTシャツが発売されている。(デザインはhttp://store.uniqlo.com/ut/ecm.aspで参照できる。)

私のようなECM好きは,こういう企画には無条件に反応してしまうところがあるが,今回のセレクションは,メジャーな作品から,何でこれがという作品まで,微妙なところもあるものの,かなり渋いところを突いてきている。

Free_at_last_1 最大の驚きはMal Waldronの"Free at Last"(写真下)というチョイスであるが,これは相当渋い。そのほかにもTerje Rypdalの"Waves"のようなこれまた渋いデザインも採用される一方,"Return to Forever"や"Offramp"のように,売れ筋と思われる作品も押さえてあるのが,ビジネス的にうまい。

ということで,私も今回は全18種中9枚をゲットしてしまったので,今年の夏はECMのTシャツだけで対応可能である。それにしても私のECMフリーク加減も手がつけられなくなってきたが,世の中には,ECMレーベルのファン,デザインのファンはかなり多く存在するはずであるから,今回のユニクロの取組みは私としては「英断」と言っておきたい。それに見事にはめられる私も私である。

物好きの皆さんは,在庫切れになる前にネットで注文しよう。なくなってからではもう遅い。

2007年4月12日 (木)

時差はつらいよ

現在、二泊四日のアメリカ弾丸出張中。先程サンフランシスコに到着したが、これからオレゴンへ移動があるので、睡魔と戦うこのトランジットは結構きつい。

年々、時差の調整がうまくできなくなるのは、やはり年のせいか。それにしても眠い。

吉田修一の新作は映画を見るような...

Photo_3 「悪人」 吉田修一 (朝日新聞社)

今日は小説について書いてみたい。吉田修一の新作は朝日新聞の連載小説の単行本化であるが,吉田にとっては最大の長編となった。これまでの吉田修一の作風は劇的な要素はあまり持たせることなく,淡々とストーリーを展開することが多かったように思うが,本作は初の連載小説ということもあるかもしれないが,従来の作風と随分違うように思える。

この小説を読んでいて,強く感じるのは「映画的」ということである。特に昔なら「ナッシュビル」,最近ならば「トラフィック」や「クラッシュ」のように,一つの物語を重層的なサブ・ストーリー,登場人物が彩っていくという感覚が非常に強い。これは私の想像であるが,吉田としてもそうした映画的な要素を相当意識して作ったとしか思えないほど,この小説は映画的な色合いが強く出ている。オリジナリティとしてはやや疑問を感じるが,こうした展開はよほど構成(映画で言えばシナリオである)がしっかりしていないと,さっぱり訳のわからない世界に陥るものだが,吉田のこの小説は,構成的にも,ストーリー的にもかなりよく出来ていると言ってよいだろう。

後半(特に最終章に顕著だと思う)になるにつれて,やや強引なストーリー展開や不要な挿話,無理な人物造形等を感じさせるのは残念ではあるが,小説全体を一気に読みとおすことができたし,エンターテインメントとしても十分楽しめた。従来の吉田のカラーと異なる個性を打ち出したことも評価して星★★★★。

蛇足ながら,出てくる人物のほとんどがさまざまな嘘をつくことに「悪人」というタイトルの所以があるように感じる。

2007年4月11日 (水)

リズムが強烈な燃えるハード・フュージョン

Uncle_moe "Uncle Moe's Space Ranch" Brett Garsed, TJ Helmerich, Gary Willis, Dennis Chambers, Scott Kinsey (Tone Center)

ハード・フュージョンあるいは格闘技セッション専門レーベルのようなTone Centerレーベルであるが,本作もレーベル・カラー丸出しの2001年にリリースされた超ハード・フュージョン盤である。

ギタリストの二人について,情報を持ち合わせなかった私にとっては,何と言ってもこのリズム・セクションが本アルバム購入の動機であるが,期待を裏切らぬタイトな乗りを見せる。Dennis Chambersがここまで暴れたのは,John Scofieldとのバンド以来ではないかと思わせるほどの爆裂ぶりである。Gary Willsも期待を裏切らない手数で応戦。これだけでも燃える。彼らに比べるとScott Kinseyがやや地味に聞こえるのも仕方あるまい。

本来の主役であるギタリスト二人あるが,技術は高いし,演奏も楽しめる。フレージングも相当変わっているし,ギタリストとしてはそれだけでも楽しめるだろう。しかしながら,私にとってはやはりリズム隊の方に関心が行ってしまう。冒頭からChamebersがとにかく凄い。

尚,最後にシークレット・トラック的にしょぼいボーカル曲が収録されているが,これは明らかに蛇足。こういう画竜点睛を欠くようなことをすること自体馬鹿げている。これさえなければもっと高く評価したが,これのせいで星★★★★とする。

いずれにしても,Tribal Techファンならば,間違いなく気に入るタイプの演奏である。この疾走感はたまらん。

Personnel: Brett Garsed(g), TJ Helmerich(g), Gary Willis(b), Dennis Chambers(ds), Scott Kinsey(key)

2007年4月10日 (火)

OregonのRalph Townerもまた楽しからずや

Prime "Prime" Oregon(Cam)

以前にも書いたが,私は相当のRalph Towner好きである。Townerの魅力はソロ・ギターで最大限に発揮されると私は信じてはいるのだが,バンド形式の中のTownerの魅力も捨て難い。OregonはそんなTownerが30年以上演奏を続けるグループである。OregonはECMを含む複数のレーベルからかなりの作品を発表しているが,今やバンド形式のTownerが聞けるのはOregonだけと言っても過言ではない。

オリジナル・メンバーのColin Walcottが亡くなってから,何人かのパーカッション奏者が去来したが,現在のMark Walkerが加入して,ようやくメンツが固まったようなのはめでたい限りである。

本作は現在のところ,Oregon名義での最新作のはずだが,このアルバムがなかなかの佳曲揃いで,Towner好きにはうれしくなる出来である。Camはイタリアのレーベルだが,録音がECMでおなじみのオスロのレインボー・スタジオというのもOregonらしい。ここではTownerがギターだけでなく,ピアノでも美しい旋律を聞かせており,またしても私の心の琴線をくすぐってくれる。本作では珍しくもギター・シンセも演奏している。

もともとECMレーベル好きの私にとって,Oregonの音楽はそもそもフィット感が強いが,それにしてもこのアルバムは曲のクォリティが粒揃いなのには感心する。全13曲中,Towner作が8曲,4人の共作が3曲,Mooreの作曲が2曲であるが,うち2曲(#5,8)はインタールード的なので,曲と呼んでよいかどうかは微妙だが,全体としては非常にバランスの取れた佳作。特にMonterey Jazz Festivalからの委嘱による#9-#13から成る"Monterey Suite"(Towner作)は全Townerファン,Oregonファン納得の美しさである。但し,ロック・ビートで演奏される#8の"Pepe Linque"はやや異色でのけぞる。星★★★★☆。

尚,Oregonというバンドは1960年にTownerとMooreがオレゴン大学在学中に出会ったことがもともとの契機となって結成されているそうである。何とも「まんま」なネーミングは笑える。しかし,彼らが来日する可能性は限りなくゼロだろうなぁ...。

Recorded on Apiril 4-6 at Rainbow Studio, Oslo

Personnel: Paul McCandless(oboe, b-cl, ss, sopranino), Ralph Towner(g, p, key), Glen Moore(b), Mike Walker(ds, perc)

2007年4月 9日 (月)

超低価格でゲットしたFabrizio Bossoのストリングスもの

Bosso "You've Changed" Fabrizio Bosso(Blue Note)

某CDショップのバーゲン品で出ていなかったら,絶対手を出していなかった作品である。今年に入ってから発売された作品だと思うので,現在でも新譜扱いできるものと思うが,なぜかこのCDを私は580円という破格の安値でゲットしてしまった。それぐらいなら,駄盤をつかんでも腹も立たないが,このCD,少なくとも値段のもとは取れる非常に甘いアルバムであった。(アルバムとしての出来も甘いが...)

タイトルにもあるとおり,これはストリングスをバックに録音されたものであり,それが音楽的な甘さの一因であるが,選曲も甘い。何と言っても2曲目には「ニュー・シネマ・パラダイス」まで入っている。一聴して,これをジャズ・アルバムと呼んでよいのか躊躇してしまうほどのアルバムであり,私はタカ&トシではないが,思わず「ニニ・ロッソかっ!」と言いたくなってしまうほど,イージー・リスニング的な甘さに流れるのも事実である。

また,曲によって出来に大きな違いがあるのも事実であり,"Summer Samba"などははっきり言ってずっこける。それが出来としての甘さである。もう少し選曲のセンスを磨いて欲しいと言いたくもなるが,Stefano Di Battistaが登場する2曲はジャズ的なアプローチが強くなっており,さすがと思わせる出来になっている。

いずれにしても,こうしたアルバムに目くじらを立てること自体馬鹿げているし,食事のBGMとしては邪魔にならない。甘い音楽を聞きたい人が買えばいいアルバムであり,ある意味でジャズという音楽の間口の広さを実証するものであるし,かつ580円であるから文句は言うまい。但し,真っ当に評価するならせいぜい星★★★というところだろう。正直なところ,Chris Bottiを聞いているような気分になってしまった。

Personnel: Fabrizio Bosso (tp), Pietro Lussu (p), Luca Bulgarelli (b), Lorenzo Tucci (ds), Dianne Reeves (vo), Sergio Cammariere (vo&p), Stefano Di Battista (ss)
Bebo Ferra (g), Bruno Marcozzi (perc) with Strings

2007年4月 8日 (日)

好調時のStan Getzは誰も止められない

Stan_getz "Stan Getz Plays" Stan Getz (Verve)

まずはこのジャケットを愛でたいアルバムである。このポートレートのよさは,いかに紙ジャケ全盛の現在の日本でも,CDサイズでは決して味わうことができないものである。やはりこのアルバムはLPのジャケをながめるところから始めたい。

Stan Getzは好不調の波が激しいと言われるミュージシャンである。私は彼のライブに接する機会はなかったが,日本公演での「手抜き」ぶりはよく話題になるし,多作の人ゆえ,アルバムにも駄盤が存在するのは事実である。しかし,調子に乗り出すと手のつけられないほどの歌心を発揮し,リスナーの心をわしづかみにするのもGetzの特徴である。

ここでは軽快にバウンスする「星影のステラ」から,そのGetzの歌心爆発である。ソフトなテナー・サウンドも美しいことこの上ないが,このソロのメロディ・センスは一体何だ。また,バラード主体の演奏曲目構成がまた私の心をくすぐるが,それにしても素晴らしい演奏続きである。また,ギター入りのクインテットであるが,これぞまさしくワン・ホーン・アルバムと言うべき作品であり,Getzにソロ・スペースが大きく割かれているのも嬉しい。ここでのGetzを前にしてはDuke JordanもJimmy Raineyも刺身のつまのようになっているのは仕方がない。タイトル通り,このアルバムはStan Getzの演奏(だからこそ"Stan Getz Plays"である)を聴くためのものなのである。

私としてはGetzのリーダー作の中でも当然三本の指に入る作品と認識しており,Getz作品の中でも特に愛聴しているアルバムである。制作から半世紀以上経過しても,このアルバムの素晴らしさは不変である。星★★★★★。

Recorded on December 12 & 29 in NYC

Personnel: Stan Getz(ts), Duke Jordan(p), Jimmy Rainey(g), Bill Crow(b), Frank Isola(ds)

2007年4月 7日 (土)

ツトムヤマシタ"Go"3部作の第1作

Go "Go" Stomu Yamashita, Steve Winwood, Michael Shrieve (Island)

ツトム・ヤマシタのアルバムとして語られることが多いこの作品であるが,アルバム・カバーからすれば,本来は上記3人のコラボレーション作品と解釈するのが適切な"Go"3部作の第1作である。

それにしても,不思議なメンツである。出自もキャリアも異なるミュージシャンが多数参加しているが,音楽的に大きく破綻していないところは,プロデュースがまぁまぁうまく行っているということである。しかしながら,音楽としては映画音楽的というか,このメンツならではの音楽的なスリルが表出する瞬間はこちらの期待ほど多くないというのが正直な感想である。

その中で笑えるのがソロ・ギターが出てきた瞬間,誰のアルバムかわからなくさせるAl Di Meolaの存在である。"Man of Leo"や"Ghost Machine"で聞かれる「典型的」Di Meola節の炸裂ぶりには,こういう人をゲストやソロイストで迎えると,アルバムを乗っ取られかねないと思わせるものがある。ワンパターンもここまで行けばある意味立派である。(とか何とか言いながら,私はDi Meolaの"Elegant Gypsy"好きである。)

しかしである。このメンツならやはりもっと激しくやって欲しいと思うのが人情である。特にSantata時代のSchrieveを知る人間にとっては,これはやはり爆発力の不足を感じさせる。日本人アーティストがこうしたアルバムを制作したことにはそれなりの意義はあったし,それこそ画期的なことではあるのだが,音楽的な充実度や興奮という点では不満が残る。仰々しいストリングスや,時折顔を出す中途半端に現代音楽的な部分も何だかなぁの世界である。制作意義を評価してやや甘めの星★★★☆とするが,私は何度も繰り返し聴きたいとは思わない。

Personnel: Sutomu Yamashita(perc, key), Steve Winwood(vo, key), Michael Schrieve(ds), Klaus Shulze(synth), Rosko Gee(b), Al Di Meola(g), Pat Thrall(g), Bernie Holland(g), Chris West(g), and Others

2007年4月 6日 (金)

私をコンサート会場で泣かせた男:Yves Montand

Yves_montand "Olympia '81" Yves Montand (Philips)

最近は年のせいか(というか元々そうだという話もあるが)随分と涙もろくなってしまい,しょうもない映画でつい涙するというようなことが増えてきたのは否めない。しかし,ライブやらレコードを聞いて,本当に涙した経験はそれほど多くはない。

そんな私を泣かせた数少ないミュージシャンにYves Montandがいる。彼が来日したのはこのアルバムが出た81年だったか,82年だったか記憶は定かではないが,これだけの大物ゆえ,チケットが当時でも無茶苦茶高価であったため,泣く泣く行くのを諦めた記憶がある。しかしさすがYves Montand大人,そうしたチケットを買えない若者のためのコンサートを企画してくれた。このアルバムを聞いて,相当感動していた私にとって,そのチケット(相当安かったはずである。私の記憶では3,000円だったような...)をゲットした大学のサークルの先輩の誘いを断る理由は何もなかった。

そして会場へ駆けつけた私だが,私の人生において最も感動させられたライブの一つとなった。正確には記憶していないが,レパートリーは本アルバムとほぼ同様だったはずである。このアルバムを聞くたびにそのときの感動が蘇ってくるといっては大袈裟かもしれないが,手抜き一切なしの至芸を目の当たりにしたというそのときの模様を追体験するには,今やこのアルバムに頼るしかない。

残念ながらこのアルバムは日本ではずっと廃盤のようなので,私はずっとLPで聞いてきた(今もなお手許に置いているLPを聞くことは極めて限定的であるにもかかわらずだ)が,本国フランスではCDとして再発されているのを知るに及び,慌ててAmazonのフランスのサイトで注文してしまった。これで毎日のようにこの音楽を聞けるようになると思うだけで,また約25年前の感動が押し寄せてきてしまうが,今からこのCDが届くのが待ち遠しい。

奇跡はそんな頻繁に起こるものではないが,あの日の新宿厚生年金会館には間違いなく奇跡が起こったと思うし,このアルバムが録音されたオランピア劇場でも奇跡は起こっていたのだとついオーバー・リアクションしてしまう私である。

私にとって星★★★★★では足りないという音楽はいくつかあるが,このアルバムもその一つである。さぁ皆でフランスAmazonで完全盤をゲットしよう。尚,米国盤も出ているが,24曲収録のハイライト盤である。この盤は36曲完全収録のフランス盤を買うのが正しい姿である。

2007年4月 5日 (木)

敏子~タバキン・バンドの番頭,Gary Fosterが放った傑作

Gary_foster "Make Your Own Fun" Gary Foster (Concord)

70年代を中心に,秋吉敏子~ルー・タバキン・ビッグ・バンドの番頭格として長く活躍し,現在もスタジオ・ミュージシャンとして活躍するGary Fosterが1991年にConcordレーベルに吹き込んだ傑作アルバムである。

本作は,ピアノにJimmy Rowles("What a Life"では得意のボーカルも披露)を迎え,自作に加えスタンダードを時に軽快に,時に渋く演奏した名アルバムであり,一言で表現するならば「洒脱」の極致と言うべき作品である。おなじみRowles作の"The Peacocks"をはじめ,名曲名演揃いとは本作にこそ相応しい。

そもそもGary FosterはLee KonitzあるいはWarne Marsh系のクール派と思われているが,この作品を聞けばわかるとおり,影響は受けているとしても,クール一辺倒の人ではない。リズム・セクション(ドラムスは晩年のBill Evansを支えたJoe LaBarberaである)の好演もあって,ミディアム以上のテンポでは非常にスインギーに,バラードは渋い演奏を披露しており,全編で嬉しくなるような快演が続く。

Concordレーベルは創業者のCarl E. Jeffersonが亡くなってから,随分とレーベル・カラーが変化した(と言うより,以前のGRPのように幅広い音楽を取り扱うようになった)が,最近はこの作品のようなタイプにめぐりあえなくなったのは残念である。そもそもJeffersonプロデュース作品のよさは私ぐらいの中年になればなるほどそのありがたさが増すので,私も昔はその良さの半分も理解していなかったのかも知れないが,それでもこの作品は買った当時から傑作だと思っていた。

本作を含め,Concordレーベルの多くの作品が廃盤の憂き目にあっているが,こうした優れたアルバムが埋もれたままになるのは余りにも惜しい。見つけたら即買って損はしないと断言してしまおう。私の亡き父も私が父の日にプレゼントしたこのCDを愛聴していたのが懐かしい。星★★★★★。

Recorded in January 1991in Hollywood

Personnel: Gary Foster(as, fl), Jimmy Rowles(p. vo), John Heard(b), Joe LaBarbera(ds)

2007年4月 4日 (水)

Jim Hall,Red Mitchellのデュオは枯淡の境地と言うべきか

Jim_hall "Jim Hall And Red Mitchell" Jim Hall & Red Mitchell (Artist House)

今からほぼ30年近く前に録音されたJim HallとRed Mitchellの今はなきSweet Basilでの実況録音である。当時,Jim HallはCTIでの「アランフェス協奏曲」等がヒットしたものの,どちらかと言えば名バイ・プレイヤーとしての位置付けにあったギタリストである。その後,Pat Methenyが影響やシンパシーを口にしたり(共演までしてしまった)したもので,一気にそのポジションが上がってしまった感があるが,基本的にはこの人は渋い人である。1930年生まれなのでこのとき,まだ47,8歳ということになるが,このジャケ写真を見るだけでは「ほんまかいな」と言いたくなるのも事実のような老成ぶりではある。

共演のRed Mitchellも50年代にContemporaryにリーダー・アルバムを残している(ピアノのLorraine Gellerが最高だった)が,その後は欧州生活が長いプレイヤーであり,裏ジャケの写真を見るまでもなく,こちらも地味と言えば,地味を絵に書いたような人と言ってもよいだろう。

この二人が共演すればどういうことになるかと言えば大体想像がつくわけだが,出てくる音も全く予想通りである。ここではHallの渋いギターの音色に加え,Mitchellの野太いベース音が非常にいいかたちで録音されており,ギター/ベースのデュオを好む私のような人間にはたまらないものがある。録音時の年齢からすれば,若干どうかとは思うが,やはりこれは「枯淡の境地」と呼ぶのが相応しいような音楽である。

このアルバムを発売したArtist Houseというレーベルは,Paul Desmondの遺作(これが最高である)を発表したり,Gil Evansの"Where Flamingos Fly"等を発掘したりと,非常に良心的かつ高品質のレーベルである。Ornette ColemanとCharlie Hadenのデュオ・アルバム "Soapsuds"もこのレーベルであった。

このアルバムにも"Waltz New"の譜面やHallの同曲のソロの写譜やディスコグラフィまでついていて,これまたファンにはうれしいものとなっている。しかしながら,いかんせんレーベル・オーナーのJohn Snyderが,ジャズへの愛着やファンへの心配りは人一倍ながら,あまりに商売っ気が少なすぎて,レーベルが長続きしなったのは残念なことである。一部の音源はCD化されているが,こういう地味な音源がマーケットに出回ることはもはや少ないと思うと残念である。

今にして思えば,このArtist Houseレーベルが日本のキング・レコードと契約して,本アルバムの国内盤も出たというのは信じられない事実である。こんなアルバムを高校時代に買っている私もはっきり言って信じられないが,今保有しているのは,一度中古盤屋に売却したのを後悔して,再入手した輸入盤である。昔はこういうバカなことをよくやっていたが,最近は反省してどんな駄盤でも一切売らない主義に転じて,家人の顰蹙を買っていることは言うまでもない。余談が長くなったが,このアルバムは歴史的な名盤ではないが,密かに愛聴すべき小品である。星★★★★。

Recorded Live at Sweet Basil in NYC on January 20/21, 1978

Personnel: Jim Hall(g), Red Mitchell(b)

2007年4月 3日 (火)

Lew Tabackinによるジャズ・フルートの隠れた名品

Rites_of_pan "Rites of Pan" Lew Tabackin (Disco Mate)

長らく穐吉敏子のビッグバンドを支えるLew Tabackinが,フルートに専念して吹き込んだアルバムである。ここで聞かれるTabackinのフルートとアルト・フルートを至芸と言わずして何と言おう。それほどの名人芸である。

フルートはジャズ界においては決してメジャーな楽器とは言えない。Herbie MannとHubert Lawsが二大巨頭だとして,基本的にフルート専門というのは少数派であろう。Tabackinの主楽器はそもそもテナー・サックスであり,フルートは持ち替え楽器なのだが,ここで聞かれるフルートは,ある意味日本的な響き(尺八的と言ってもよい)の極めてオリジナリティの強い音色やフレージングを持っていて,非常にユニークなものである。黒人的なジャズを好むリスナーにはあまり受け入れられる音楽ではないかもしれないが,このフルートの演奏やアーティキュレーションの素晴らしさは,「まぁまぁそう言わずだまされたと思って聞いてみて下さい」と言いたくなるほどである。収録曲もよいし,何と言っても私の好きな"Speak Low"が入っているだけでも嬉しいところ。但し,演奏としての白眉は冒頭の"Autumn Sea"である。星★★★★☆。蛇足ながら穐吉敏子とのデュオで演じられる終曲"Elusive Dream"で敏子がエレクトリック・ピアノを弾いているのは極めて稀である。

尚,本アルバムをリリースしたディスコメイト・レーベルに残された穐吉敏子関連の作品は,それぞれに相当のレベルを確保していると思うが,そもそもレーベルがなくなってしまって今となっては,再発の期待もできないところである。しかし,このTabackinのアルバムは埋もれさせるにはあまりに惜しい逸品であり,これをCD化しようという奇特なレコード会社はないものか?

Recorded in September 1977 and February 1978 in Hollywood

Personnel: Lew Tabackin(fl, alto-fl), 穐吉敏子(p), Shelly Manne(ds), John Heard(b), Bob Daugherty(b)

2007年4月 2日 (月)

Steely Danの"Aja"はロックの洗練の極致である

Aja "Aja" Steely Dan (ABC)

Steely Danの゛Aja゛を制作した頃はもはやバンド形式を停止し,Donald FagenとWalter Beckerだけになっていたわけだが,バンドを維持しなくても,ここまで一貫して洗練されたアルバムを作り上げてしまうことにまずは驚かされるアルバムである。

この洗練度を支えているのが,適材適所のミュージシャンの選択であろう。何と言っても,全7曲のアルバムに6人のドラマーが参加しているのが凄いが,全曲を通して聞けば,なぜこのドラマーでなければならないのかがわかるし,ドラマーの個性の違いを聞くだけでも楽しめる。

また,このアルバムを語るときに常に引合いに出されるのが,タイトル・トラックにおけるWayne Shorterのテナー・サックス・ソロであるが,まさにこれもWayneにしか吹けないものだろう。しかもソプラノに傾斜していたWayneにここまで凄いテナー・ソロを取らせてしまうのがすばらしい。

更に,彼らのこだわりがよくわかるのが,゛Deacon Blue゛におけるLee Ritenourのコンプレッサーを聞かせたバッキングである。あの音は当時のRitenourの代名詞のようなものであるが,それだけのためにRitenourを呼んでいるとしか思えないのである。こうなると完全に「オタク」的なこだわりと言われても仕方がないが,出来がいいのだから誰も文句はつけられない。

また,あまり語られることはないかもしれないが,このアルバムの洗練度を上げた功労者として,Tom Scottのホーン・アレンジメントが挙げられる。私が聞いたロック・アルバムでこれほど粋なホーン・セクションはほかにない。

ということで,このアルバムは様々なミュージシャンがそれぞれの特性を活かし,アルバムに最適な貢献を示すことによって,歴史に残る粋なアルバムとなった。ある意味で究極のレコーディング芸術として星★★★★★である。

Personnel: Donald Fagen(vo, key). Walter Becker(b, g) with Larry Carlton(g),. Lee Ritenour(g), Jay Graydon(g), Steve Khan(g), Dean Parks(g), Chuck Rainey(b), Joe Sample(key), Victor Feldman(key, perc), Michael Omertian(key), Paul Griffin(key), Don Grolnick(key), Paul Hamphrey(ds), Steve Gadd(ds), Bernard Purdie(ds), Rick Marotta(ds), Ed Greene(ds), Jim Keltner(ds), Wayne Shorter(ts), Tom Scott(sax), Peter Christlieb(ts), Tim Schmit(vo), Michael McDonald(vo) and others

2007年4月 1日 (日)

Traveling Wilburysが遂に再発されるそうだ

Travelling_wilburys_1 "Traveling Wilburys Vol.1" Traveling Wilburys (Wilbury)

謎の覆面グループと言われたTraveling Wi;lburysだが,ジャケットを見れば,メンツはバレバレである(書くだけ野暮というものだろう。どこが覆面やねん!と突っ込みをいれたくなる)。それにしても凄いメンバーである。ところが,理由は全くわからないのだが,Wilburys関係のCDは永らく廃盤になっていた。私は,以前このCDを所有していたはずなのだが,どうしても見つからず(誤って売り払った可能性大),再入手をずっと試みたのであるが,ようやく最近になって中古で再入手を果たしたところである。

このCDと第2作"Vol.3"を組み合わせた上に,曲数は少ないものの,未発表曲やレア曲(ルーマニアの孤児救済支援CD収録゛Nobody's Child゛等),更に映像DVDを付加したボックス・セットが6月にRhinoから発売されるらしい。さすが消費者の心がよくわかっているRhinoだが,これでより多くのリスナーがこのアルバムを聞けるようになるのはたいへんめでたいことである。私が購入するかどうかは微妙だが,レア音源と映像のためだけに大枚ははたけないので多分見送るだろうが,それにしても装丁などは気になるところである。

肝腎の音楽の方だが,このメンツにもかかわらず,お互いの個性を尊重しあいながら,「俺が俺が」のエゴを出さないところがまさしく「大人の音楽」である。久々に再聴したが,以前よりこの音楽がずっとよく感じられたのは,私が年を取ったからかもしれない。Wilburysの二人が鬼籍に入った今,残されたメンツでの再編はまず考えられないところだが,80年代後半~90年代前半のスペシャル・プロジェクトとして,彼らのファンには長く記憶されるべき佳品である。星★★★★。

Personnel: Otis Wilbury (key, g, vo), Nelson Wilbury (g, vo), Charlie T. Jnr (g, vo), Lefty Wilbury (g, vo), Lucky Wilbury (g, vo) with Jim Keltner (ds), Jim Horn (sax), Ray Cooper (perc), Ian Wallace (perc)

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