2019年1月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    

2017年おすすめ作

無料ブログはココログ

2019年1月17日 (木)

Michel ColombierによるPhillipe Labro監督作のサントラのコンピレーション盤

"L'Heritier/L'Alpaguer" Michel Colombier (Universal)

_20190113私もいろいろなCDを持っているもんだと思ってしまうが,これなんかなんでこんなものまでって感じのCDである。これはPhillipe Labroが監督した3作品の音楽を集めたオムニバス盤である。3作品のサウンドトラックの全曲が入っている訳ではなく,セレクションとなっている。

Michel Colombierと言えば,豪華なメンツを迎えた自身のリーダー作やFlora Purimのアルバムにより,今でも記憶に残る人である(記事はこちらこちら)。リーダー作の記事にも書いたが,Phillipe Labro監督作品である「相続人」,「潮騒」,そして「危険を買う男」の3作をMichel Colombierは担当しているが,私がこのアルバムを買ったのは,「相続人」のテーマが聞きたかったからである。今聞いても,冒頭に入っている「相続人」のテーマはかなりカッコいい。

実を言うと,私は上記3作のうち,「相続人」だけ見ていないのだが,「潮騒」は梅田の映画館で見て,「危険を買う男」は試写会で見たはずである。だが,私が見た2本がヒットしたって話は聞いたことがないし,内容だってよく覚えていない(爆)。そもそもJean Paul Belmondoは日本ではあまり集客力があるとは思えないし,「潮騒」はYves MontandとKatharine Rossの共演という要素はあっても,それだけではやはり難しいだろう。まぁ,それはさておき,「相続人」のテーマである。正直それ以外はいかにもサントラ的な音なので,こういうのは別に持ってなくてもねぇって感じなのだが,まぁいいや。

昨今のフランス映画熱が高じて,このCDも久しぶりに引っ張り出してきたのだが,まぁ,ご関心のある方はどうぞってところだなぁ。それにしても下の「潮騒」のチラシをよく見てもらうと,Katharine Rossの名前がYves Montandより前に出てるってのが,当時の日本におけるポピュラリティの状況を示しているなぁ。フランス本国(って言うより日本以外)では絶対にありえない(笑)。

Philippe_labro

2019年1月16日 (水)

ようやく到着:Norman SeeffによるJoni Mitchell写真集

"Joni: The Joni Mitchell Sessions" Norman Seeff

Joni発注していた写真集がデリバリーされた。これまで,Norman SeeffはJoni Mitchellのアルバム・ジャケットも飾っており,"Hejira"のカヴァーのポートレートが最も知られているところだろう。Norman Seeffって人は,写真に個性が出る人で,あぁ,これってNorman Seeffだよなぁ,あるいはNorman Seeffっぽいと感じさせる。そんなNorman SeeffはJoni Mitchellと1972年以来,15年間に渡ってフォト・セッションを行ったが,それを集成したのがこの本ということになる。昨年はJoni Mitchellの生誕75周年だった訳だが,それとも同期してのリリースってことになるのだろう。

ここに記録されたJoni Mitchellのイメージを一言で言えば,カッコいい。写真を眺めていて,アーティストとしての存在感が強く出ているなぁと感じざるをえない。

本のサイズが結構でかくて,収納場所に困ってしまうが,これはJoni Mitchellファンであれば,必携の写真集。ということで,Norman Seeffのサイトから販売しているプリントとポスターのイメージを拝借して貼り付けておこう。

Joni_sessions_3

Joni_sessions_2

2019年1月15日 (火)

Quatrette Oblique:ベタな選曲って話もあるが,このメンツには魅かれる。

"Quartette Oblique" (Sunnyside)

_20190112_2FBのお知り合いが取り上げられていて知ったアルバム。昨年秋口のリリースだが,新譜扱いとさせてもらおう。バンド・リーダーのMichael Stephansには申し訳ないが,そのほかのメンツに魅かれて購入したことは間違いない。だってDave Liebman,Marc CoplandにDrew Gressでっせ。

やっている曲はMiles関連が3曲にスタンダード2曲,そして,ジョンアバことJohn Abercrombieと,Drew Gressのオリジナルがそれぞれ1曲ずつ。Milesとスタンダードは相当にベタな選曲と言ってもよいのだが,このメンツでやるとどうなるのかは極めて興味深いのだ。そして,まさにこれが一筋縄ではいかない作りである。中でもDave Liebmanのプレイぶりはやはり突出した感じがある。馴染みの曲をやっても普通にはならないのである。同じ"Nardis"でもBill Evansがやる"Nardis"とここでの"Nardis"の違いの顕著なことよ(当たり前だが...)。

Marc Coplandについては,私は相当のファンだと言ってもよいが,正直なところ,管入りのアルバムはあまり食指が動かないというか,私が保有しているアルバムのほとんどはソロかベースとのデュオかトリオという極端な聞き方をしていると言っても過言ではない。それはDave Liebmanとて例外ではない。Marc CoplandはこれまでもDave Liebmanとのアルバムを何枚か残しているが,それでさえ頑ななまでに買わずにおいてきた。そんな私がこのアルバムに興味を抱いたのは,このベタな選曲によるところが大きいのだ。

ここでのMarc Coplandは相変わらずの美的なトーンと言えて,ここでのLiebmanとの共演ぶりには,私がMichael Breckerとの共演盤に感じたような違和感(記事はこちら)はなかった。特にジョンアバ,Drew Gressのオリジナルにおいて,そうしたMarc Coplandの美感が際立ってところだろう。しかし,"So What"ではかなり激しいフレージングを聞かせて,いろいろできるっところを実証している。

惜しむらくは,公式盤にしては録音状態がイマイチなことか。特にドラムスが奥に引っ込んだ感じだが,別に音楽を聞く上では大した問題ではない。ということで,このメンバーによるユニークな解釈を楽しんだ私である。星★★★★。

Recorded Live at the Deer Head Inn on June 3, 2017

Personnel: Michael Stephans(ds), Dave Liebman(ts, ss), Marc Copland(p), Drew Gress(b)

2019年1月14日 (月)

久々にMichael Nymanの"The Piano"を聞く。

"The Piano" Michael Nyman(Virgin)

_20190112 昨年暮れのフィギュア・スケートの「グランプリ・ファイナル」を見ていて,女子で優勝した坂本花織が,フリー・スケーティングでこの音楽を使っていて,へぇ~と思っていた私である。

これは映画「ピアノ・レッスン」のサウンドトラックであるが,全編を通じて,Michael Nymanらしい美しいピアノの響きに満ちたアルバムとなっている。Jane Campionが撮った「ピアノ・レッスン」はカンヌでのパルム・ドールに加え,オスカーでも主演,助演女優賞,脚本賞を獲得した作品だが,昔見た時の印象は非常に沈鬱な雰囲気の映画だなぁと思っていた。多分,ストーリー・ラインを振り返ると,今見ても大して印象は変わらないのではないかと思えてしまう。

そんな映画のサウンドトラックだが,映像やストーリーの暗さと連動した曲調もあれば,"The Piano"というタイトルを物語るような,ピアノの美しさが際立つメイン・テーマのような曲もあり,サウンドトラックという枠を越えて聞かれるべき演奏だと思える。

久しぶりに聞いたが,よくできたサウンドトラック・アルバムであった。

余談であるが,本作でオスカーの助演女優賞を取ったAnna Paquinは後に「X-MEN」シリーズに出てくるが,その時は全然認識してなかったなぁ。

2019年1月13日 (日)

フランス映画熱はまだ続く:「情婦マノン」

「情婦マノン("Manon")」('49,仏)

Manon監督:Henri-Georges Clouzot

出演:Michel Auclair,Cécile Aubry,Serge Reggiani

先日,同じくHenri-Georges Clouzot監督の「悪魔のような女」を見たが,あちらは4KリストアされたBlu-rayだったのに対し,こちらは通常のDVDで,リストアも行われていないものなので,画質には随分違いがあるのはまぁ古い映画だけに仕方ないところである。なんてたってもう70年前の映画なのだ。

それにしても凄いタイトルだなぁと思うのは時代の違いもあるだろうが,「マノン・レスコー」を現代に翻案したこの映画でも,Cécile Aubry演じるマノンは相当の悪女である。にもかかわらず,Michel Auclair演じるロベールがそこまでメロメロになるものかねぇと思ってしまうが,Cécile Aubryのコケティッシュな感じからすると,まぁそういうことも...って感じなのかと思ってしまう。

映画としては,時代を考えれば,セット撮影の見事さもあれば,強烈な表現もあって,映像としては強い印象を残しただろうということは想像に難くない。ラスト・シーン近くの砂漠のシーンは今見ても強烈なものだということはわかる。

その一方で,この映画が「悪魔のような女」より優れているのかというと,正直なところそんなことはないだろうと思ってしまう。これはどういう映画を好むかという私の嗜好による部分もあると思うが,全体からすれば,「悪魔のような女」のサスペンスに肩入れしたくなる。これは私がHitchcockの映画が好きなこととも通じる部分があるかもしれないが,ここでの「マノン」という女性の造形に嫌悪感を覚えるということも一方で事実である。

この映画は,砂漠のシーンにおける映像のインパクトが非常に強いことが,評価を高める要因となったことは間違いなく,また,ストーリーに見られる不条理な展開が映像同様に強いインパクトを持っていたのだと思える。

ということで,時代を考えた場合の評価と,一本の映画としての単純な評価は異なってくると思うが,私にとっては星★★★★ってところだと思う。

2019年1月12日 (土)

これよ,これよ,これなのよって感じのOndřej Štveráčekのライブ盤

"Live in Prague" Ondřej Štveráček (Stvery)

_20190111 ジャズ界の「おんどれ」君こと,Ondřej Štveráčekの新作がリリースされた。例によって,入手が大変なのかなぁと思っていたら,何のことはない,DUに大量に入荷し,結構売れているではないか。おんどれ君のアルバムについては,前作"Sketches"もDUでは売れていたみたいなので,ついに日本においても,彼にも陽が当たる時が来たかって感じである。

おんどれ君はJohn Coltrane愛を隠さない人だが,この人のアルバムを聞いていると,いつもColtrane的な熱量を感じるところがあって,自分にエネルギーを充填したいと感じる時などには聞きたくなるのが常である。昨今は自身のクァルテットのドラムスにGene Jacksonを迎えて,ますます充実感が強まっているところに,そのクァルテットでのライブ盤が登場した。

一聴して,おんどれ君のテナーはもちろん,ピアノもドラムスも往年のJohn Coltrane Quartet的に響く。冒頭からこれは燃える。おんどれ君のライブと言えば,10年近く前に"Jazz na Hrade"をこのブログで取り上げた(記事はこちら)が,その時と同様の興奮を覚えると言っても過言ではない。まさにこういう音を求めていたって感じのサウンドであり,完全にツボに入ってしまった私である。

とにかく燃える一枚であり,どよ~んとした正月疲れを吹き飛ばすアルバム。概して私はおんどれ君のアルバムへの評価が甘いと思うが,これは星★★★★★としてしまおう。

Recorded Live at Jazz Dock, Prague on October 12, 2017

Personnel: Ondřej Štveráček(ts, ss),Klaudius Kováč(p), Tomáš Baroš(b), Gene Jackson(ds)

2019年1月11日 (金)

正月休みに見たDVD:懐かしの「ポセイドン・アドベンチャー」

「ポセイドン・アドベンチャー("The Poseidon Adventure")」(’72,米,Fox)

Poseidon_adventure監督:Ronald Neame

出演:Gene Hackman,Ernest Borgnine,Red Buttons,Shelley Winters,Carol Lynley,Stella Stevens

正月休み中は,ほとんどTVではスポーツ中継以外興味を持てない私としては,家族が出掛けている間に映画を見続けるという,まぁ不健康な生活を送っていた訳だが,先日ご紹介の「悪魔のような女」の次に見たのが,懐かしのこの映画であった。

この映画のDVDに関しては,購入したのは随分前のはずだが,ちゃんと見ていたかどうかというとかなり怪しい。まぁ有名な映画であるからTV放映の時とかに見ているかもしれないが,全編をちゃんと通して見たかについては,結構記憶が曖昧である。まぁ,でもいいやってところで見たら,なかなか面白い映画であった。ところどころのシーンは記憶にあったから,多分少なくとも1回は何らかの手段で見ているはずだが,やっぱり劇場で見ていないので,その辺は仕方がないところだろう。

この映画は船がひっくり返ってからの脱出劇ということで,上下逆さまの美術が見せどころってことになるだろうが,現在のようにCGの技術で何とでもなってしまう時代から比べると,結構シャビーにうつる部分もあるが,この時代ならではのアナログ的な良さってのも感じてしまう。

まぁ映画としては,パニック・シーンの演出なんかからすると「タワーリング・インフェルノ」の前段ってぐらい似ている気もするが,役者陣は若干地味ながら,いい線を揃えているなぁって気がする。主役のGene Hackmanはさておき,儲け役はRed ButtonsとShelley Wintersだろう。特にShelley Wintersはオスカーの助演女優賞を差し上げたくなるような感じで泣かせてもらった(ノミネートはされたが,惜しくも受賞はならず)。ついでに言うと,後に「裸の銃を持つ男」以降はコメディ路線の人と思われているであろうLeslie Nielsenが冷静な船長役を演じているのは意外だが,その当時は多分TVスターだったんだよねぇ。でもタイトルでも別格に扱われていて,そっちの方の意外感が面白かった。

まぁ,映画的には面白くできていると思うが,評価としては星★★★★ってところかなぁ。本作同様,買いっぱなしで見ていないDVDって結構あるはずなので,せっせと見なければ...(苦笑)。

2019年1月10日 (木)

"Trilogy 2":これを今年の新譜と言ってよいのかはさておき...。

"Trilogy 2" Chick Corea(Stretch)

_20190106本作は昨年12月にリリースされたものであり,昨年のベスト・アルバムに挙げられている方もいらっしゃるので,これを新譜として紹介することには若干の抵抗があるが,発売されてから1カ月しか経っていないので,まぁよしとしよう。

Chick CoreaがChristian McBride,Brian Bladeというトリオで"Trilogy"をリリースしたのは2013年のことであったが,私はそのアルバムを購入したものの,このブログに記事もアップしていないし,ちゃんと聞いたかもはっきりしない。実にいい加減なものである。しかし,まぁこのメンツであれば,食指が動くのは当然ってことになるが,音源としては2010年から2016年までの複数のヴェニューでの演奏が収められており,純粋に新しい演奏ばかり集めた訳ではない。

だが,このメンツである。時間が経過しようと,演奏の質に大きな違いが生まれる訳ではなく,全編に渡って,Chick Coreaの超有名オリジナルに加え,スタンダードやモダン・ジャズ・オリジナルが満遍なく収められて,これは十分に楽しめるアルバムとなっている。このトリオで4月には日本にやって来るが,生でも聞いてみたいと思わせる(でもチャージが高いので悩む...)。特にここで聞かれるBrian Bladeの歌心に満ちたドラミングを聞いたら,これは間違いなくよいライブになるだろうと思わせるのだ。

その中でも注目は”Now He Sings, Now He Sobs"のオリジナル以来の再演ということになるらしい。これがなかなかにスリリングな演奏であり,Brian Bladeの鋭い切込みにぞくぞくさせられる。16分を越えるアルバム一番の長尺であり,そして最も聞きごたえがあると言っても過言ではない。

もう1曲,Chick Coreaのこれまでのレパートリーとは明らかに異なる,Stevie Wonderの"Pastime Paradise"も注目されるところであったが,正直なところ,これはChick Coreaに合っていると思えなかった。Christian McBrideがアルコのソロで頑張りを見せようと,私にとっては,これを聞くぐらいならStevie Wonderのオリジナルを聞いている方がずっといいと思えてしまったところに限界も感じる。

もちろんここに収められた演奏が非常によく出来たものであり,質の高い演奏であることは否定しないが,予定調和って言ってしまえばそうとも言える訳で,このメンツならではの,もう一段上の驚きがあってもいいように思えなくもない。特にそう思わせるのはMonkの2曲かなって気がする。なので,私としては満点の演奏とは言えないが,星★★★★には十分値する。ってことで,4月のライブに行くかどうかが悩ましい私である。

Recorded Live at Various Venues in 2010, 2012 and 2016

Personnel: Chick Corea(p), Christian McBride(b), Brian Blade(ds)

2019年1月 9日 (水)

Will Vinson:意欲作=傑作ではないという典型。

"It's Alright with Three" Will Vinson(Criss Cross)

_20190103アルトを主楽器とするWill Vinsonが,ピアノレス,ベースレスでサックス,ギター,ドラムス/パーカッションという変則的な編成で吹き込んだアルバムである。しかもバックを務めるのがGilad HekselmanとAntonio Sanchezなのだから,これは期待が高まるというのが一般的なリスナーであろう。

こうした変則的な編成でのアルバムであるから,意欲作と呼ぶに相応しいものであるということはわかる。だが,そうした意欲がアルバムのクォリティにまで反映されるかと言えば,決してそんなことはなかったという,よくあるパターンに陥ってしまった作品と言える。リーダーがアルバム・タイトルの如く,「3人でもOKよ」と言ったところで,こっちはそうは思えないのだ。

曲はスタンダードにリーダーのオリジナル,そして懐かしやMarc Johnson Bass Desiresの"Samurai Hee Haw"なんかが収録されている。この辺の選曲はまぁわからないでもないが,このトリオ,あるいはこの編成で何をしたかったのかってのがどう聞いてもよくわからないという感じで,意欲が空回りしている感覚を強く受けた私である。端的に言ってしまえば,必然性がないのだ。

もちろん,このメンツであるから,各々のフレージングには聞きどころもあると思えるものの,私にとっては魅力に乏しい失敗作であり,早くも売却対象となった残念なアルバム。Smalls Liveでの演奏を聞けばわかるように,真っ当な編成で勝負したってちゃんとしたアルバムを作れるのだから,こういうのは一枚で終わりにすべきだと思う。星★★☆。

Recorded on September 20, 2017

Personnel; Will Vinson(as, ss), Gilad Hekselman(g), Antonio Sanchez(ds, perc)

2019年1月 8日 (火)

正月休みの最終日に見た「アリー/スター誕生」

「アリー/スター誕生("A Star Is Born")」('18,米,Warner Brothers)

A_star_is_born監督:Bradley Cooper

出演:Lady Gaga,Bradley Cooper,Sam Eliott,Andrew Dice Clay,Rafi Gavron

正月休みの最終日は,「働き方改革」により世間が仕事モードに入っている1/7だったのだが,せっかくなので,空いているだろう。ということを見越して映画を見に行ったのだが,選んだのが,米国内においてもすこぶる評判のよい本作である。

そもそも本作もリメイクで,4度目というのはかなりのものであるが,古くはJanet Gaynor,Judy Garland,そしてBarbra Streisandが演じてきた役回りを,今回演じるのがLady Gagaってのが注目のポイントであろう。正直言って私はLady Gagaには何の興味もないのだが,なぜこの映画が評価が高いのかを確かめたいというのが,本作を選んだ最大の要因であった。そして,なるほど,これはよく出来た映画だと思えた。

私が何より驚いたのは,Bradley Cooperの音楽的な能力であった。Bradley Cooperが本作で打ち出したアメリカン・ロックが炸裂する感じの音作りは,とても素人とは思えないものであった。Lady Gaga演じるAllyは,Bardley Cooperと歌うシーンでは,楚々とした歌いっぷりであるが,徐々に「スター誕生」モードに入ってくると,曲も歌唱もポップに転じていくのだが,私としてはアメリカン・ロック的なサウンドにおけるLady Gagaでいいではないかと思ってしまったが。そうはいいながら,ラストに歌われる"I'll Never Love Again"におけるLady Gagaの歌唱はまさに絶唱であり,このシーンを見るだけでもこの映画は価値があると思えたぐらいである。

更にこの映画の監督を兼ねたBradley Cooperの手腕も大したものである。これはおそらく最近出演が続くClint Eastwoodの演出術を見習った部分があるのではないかと思わせるが,実に手堅い。更に手腕を磨けば,役者掛け持ちの世界ではBen Affleckといい勝負できるのではないかと思えた。

まぁ,そんなに簡単にスターが生まれるのかって気もしないではないが,それでもこれは評判のよさも理解できる作品であった。星★★★★☆。しかし,映画としては「ボヘミアン・ラプソディ」をはるかに上回る質のこの作品が,ゴールデン・グローブで「ボヘミアン・ラプソディ」に敗れたってのはどういう訳か?また,主演女優賞の下馬評も高かったLady GagaはGlen Closeに敗れるってのは,役者としての相手が悪いというところはありつつも,リメイクってのが引っ掛かったのか,あるいはLady Gagaが映画/TV界からの受けが悪いのかって思ってしまう。でもちゃんと評価すべきものは評価した方がいいと思うけどなぁ。

2019年1月 7日 (月)

久々に聞いたStan Getzの"The Dolphin"

"The Dolphin" Stan Getz(Concord)

Stan_getz_the_dolphin_2Stan Getzのアルバムってのはそれこそかなりの数が存在するわけだが,どれを取ってもそれぞれに聞きどころはあると思える。もちろん,全部が全部傑作ってことはないが,平均点は極めて高い人である。50年代の演奏ももちろん素晴らしいが,活動の後期に吹き込んだEmArcyのアルバムなんて実に味わい深い。

そんなGetzがConcordレーベルからアルバムを出すようになったのが80年代前半のことであるが,本作がConcordにおける第1作ってことになるはずだ。本作は,今はなきKeystone Kornerで吹き込まれたライブ音源だが,ライブではこの程度の演奏は当たり前にやっていたはずのGetzだと思うが,派手さはないが,極めて堅実な共演者を得て,Stan Getzらしいフレージングを連発していて,嬉しくなってしまう。

感ずるに,Stan Getzの演奏ってのはあまり熱くなることはないのだが,それでもジャズ的なフレイヴァーを濃厚に感じさせるところがGetzの真骨頂ではないかと思ってしまう。本作は選曲にまた趣味の良さがにじみ出てるよねぇって感じだが,優れた美メロを生み出すJohnny Mandelの2曲,"A Time for Love"と"Close Enough for Love"が選ばれているところがいいよねぇ。こういう演奏を聞くと,Fred HerschのJohnny Mandel集"I Never Told You"が聞きたくなってしまうという副次的な効果も大きいのだ(きっぱり)。それを考えると,Stan GetzとFred Herschの美学には接点があるのではないかとさえ思ってしまう。まぁ,贔屓の引き倒しと言われてしまえばその通りだが,それが何か?と開き直ろう(爆)。

そして,スウィンギーに歌うGetzの「夜千」も最高である。こういう演奏を聞いていると,Stan Getzの魅力に気づくのが私は遅過ぎたって気もするが,これからの人生において,Stan Getzが私の音楽生活を潤いに満ちたものにすることは間違いない。今からでも遅くないのだ。Stan Getzの魅力溢れる好盤として,星★★★★☆。

Recorded Live at the Keystone Korner in March, 1981

Personnel: Stan Getz(ts), Lou Levy(p), Monty Budwig(b), Victor Lewis(ds)

2019年1月 6日 (日)

正月休みにフランス映画にはまる:「悪魔のような女」

「悪魔のような女(Les Diaboliques)」(’55,仏)

Photo監督:Henri-Georges Clouzot

出演:Simone Signoret,Véra Clouzot,Paul Meurisse,Charles Vanel

私はフランス映画に極端な思い入れがある訳でもないのだが,中条省平の「決定版!フランス映画200選」って本を見ると,フランス映画が見たくなってしまうという単純な人間である。ただ,この本がどこに行ったか全然わからなかったのだが,CD売却をすべく在庫の箱をクロゼットで漁っていたら,あった,あった。ってことで,風呂場に持ち込んでこの本を読んでいると,またまたフランス映画が見たくなってしまった。ということで,たまっていたポイントやクーポンを使って何枚かフランス映画のBlu-rayやDVDを仕入れたうちの一枚がこれである。

監督のHenri-Georges Clouzotと言えば「恐怖の報酬」が最も有名だろうが,あれは昔レーザー・ディスクを持っていたなぁってことで,今回は彼の映画でもサスペンス映画として評価の高いこの映画をBlu-rayで入手した。今回4Kリストアが施されて,確かに画面は製作から60年以上経過しているとは思えぬクリアさであった。

それでもって,これは典型的な悪女ものであるが,主役のSimone SignoretとVéra Clouzotの対比が強烈な上に,Véra Clouzotの旦那を演じるPaul Meurisseがえげつなく嫌らしい男を演じていてぞっとしてしまう。そしてそこに飄々と絡むCharles Vanelってのが出来過ぎであるが,Alfred Hitchcockも意識したというのもうなずけるサスペンスフルな演出には,思わずうなってしまった。

そして,Simone Signoretの悪女ぶりの凄まじいことよ。リメイクでその役を演じたのはSharon Stoneのはずだが,悪女役で鳴らしたSharon Stoneも足元にも及ばぬここでのSimone Signoretの悪女ぶりには,参ったという言うしかない。むしろ,カッコいいとさえ思ってしまう。

こういうのが正月早々見るような映画か?と言われれば,絶対違うだろうと思いつつ,これはいいものを見せてもらった。風呂場のシーン,恐過ぎである。これには喜んで星★★★★★としよう。傑作である。こういうことがあると,古い作品もちゃんと見ないといかんということを再認識。

2019年1月 5日 (土)

久しぶりに「ゴールドフィンガー」を見た。

「007/ゴールドフィンガー("Goldfinger")」('64,英/米,UA)

Goldfinger監督:Guy Hamilton

出演:Sean Connery, Honor Blackman,Gert Frobe,Harold Sakata,Bernerd Lee, Desmond Llewelyn

「ゴールドフィンガー」と言ってももちろんヒロミ・ゴーではない(爆)。007シリーズの第3作の本作を正月の箸休めみたいな感じで,久しぶりにDVDで見た。もちろん,私はこの映画を劇場で見たことはない。何度かTVで放映されているのを見てはいたが,子供心にも何度見ても面白いと思っていた。今回,正月休みに何を見ようかなぁと思ってDVDを漁っていて,まぁこれにするかって感じで選んだのが本作。

007シリーズは現在も継続する長期のフランチャイズであるが,私は長年のこのシリーズのファンであることは,このブログにも何度か書いてきた。直近のDaniel CraigによるJames Bondもいいが,それぞれの役者ごとの楽しみ方もあると思っている。前にも書いたかもしれないが,私はRoger Moore時代が一番面白くないと感じている。その一方,やはりSean Conneryの初期の作品はやはり魅力的だったなぁと思っている。ちなみに私はそのSean Conneryも「サンダーボール作戦」辺りまででいいと思っているクチである。

それで,久しぶりにこの映画を再見して,何ともアナログな感じに時の経過を強く感じてしまった。半世紀以上前の映画なんだから当たり前って言えば当たり前だが,何ともクラシックな感じがしてしまって,ついつい笑ってしまう。ストーリーの展開もゆったりしたものだし,なんでやねん?という展開もあるものの,まぁそれは時代の成せる技ってことにして,単純に楽しめばいいと思ってしまう。

ボンド・ガールを演じるHonor Blackmanの鉄火肌な感じもいいが,前半で姉妹を演じながら,あっさり殺されるShirley EatonとTania Malletも結構魅力的。特に前者は金箔を塗ったくられて殺されるというインパクトだけが記憶に残ってしまうのが難点。でもどうして彼女があそこにいることが敵方が知り得たかってのはどう考えても疑問なのだが...(笑)。

それも含めて,シナリオの穴は結構あるものの,ハロルド坂田という悪役の印象も強く,本来の宿敵「ゴールドフィンガー」を演じるGert Frobeより,はるかにインパクトが強いというのもいかがなものかと思いつつ,やっぱり笑える。いい時代だったのである。

ってことで,久しぶりに見ても楽しめてしまったので,星★★★★としてしまおう。我ながらこのシリーズには甘いなぁ。

2019年1月 4日 (金)

どこへ行ったか,Bill Connors?

"Return" Bill Connors(Tone Center)

_20190102_2Bill Connorsって不思議な人である。Al Di Meolaが加入する前のReturn to Foreverのギタリストを務めていたと思っていたら,それとは真逆とも思えるECMレーベルにおける作品群を残すって感じなので,一体何を考えているのやら...。その後,フュージョン路線に復帰してTom KennedyやDave Weckleらともアルバムを吹き込んでいるが,それは未聴である。

そのBill Connorsがリリースした直近の作品がこれのはずである。フュージョン専門みたいなTone Centerレーベルからのアルバムなので,これもフュージョン路線ではあるが,決してハードなフュージョンではないが,だからと言ってスムーズ・ジャズでは決してない。何ともいい意味での中庸感に満ちたアルバムで,気楽にプレイバックするには丁度いいわって感じである。まぁ,音楽としては★★★☆程度には評価できるのは,やっている音楽は違うが,Jeff Lorber Fusionに近い感覚である。

本作のタイトルの"Return"であるが,先述のフュージョン路線のアルバムから20年近くのブランクを経てのリリースであるがゆえに,復帰策としての"Return"であった訳だが,またその後沈黙してしまうのだから,商売っ気がないのか,何なのかよくわからない御仁である。Wikipediaによると現在は音楽レッスン等は行っているようだが,プロとしての演奏活動を継続しているかどうかは全くわからない。まぁ,よほど欲がないのかどうなのか...。

ところで,ここでドラマーのKim Plainfieldと共同プロデュースをしているPat Thrallって,一時期AsiaにもいたPat Thrallと同一人物だと思われるが,何がどうつながっているかわからない音楽業界(笑)。

Personnel: Bill Connors(g), Bill O'Connell(p), Lincoln Goines(b), Kim Plainfield(ds), Myra Casales(perc)

2019年1月 3日 (木)

Meshell Ndegeocelloのカヴァー・アルバムを改めて聞く。超カッコいいねぇ。

"Ventriloquism" Meshell Ndegeocello(Naive)

_20190102これは昨年アップし損なっていたアルバムだが,そもそも最初はストリーミングで聞いていて,いいねぇと思っていたものを年末にフィジカル媒体をゲットして改めて聞いた。

正直言って,ストリーミングで聞いてもよかったが,リアルな媒体で聞くと更にこれがよく聞こえる。端的に言えば,ストリーミングは通勤途上の「ながら聞き」だが,リアルな媒体は,家でのCDのプレイバックゆえに,音楽に対峙する姿勢がそもそも違うということもあるが,実のところ,感覚的な違いは非常に大きかった。とにかく冒頭の"I Wonder If I Take You Home"からしてこのカッコよさは何よと思わせ,マジでしびれる。

正直言って,カヴァー・アルバムって企画が安易だって話はあるのだが,やはりMeshell Nedegeocelloはカヴァーはカヴァーでも,実に強烈である。これを契機にオリジナルも聞いてみたくなるような音楽的な魅力を発露していて,実に素晴らしい。"I Wonder If I Take You Home"に顕著なハードな部分と,スイート(と言っても,彼女の場合はビター・スイートだが...)な部分を共存させ,これは楽しめる。そして,例えば,Tina Turnerの"Private Dancer"やSadeの"Smooth Operator"を歌っても,これはもはや完全にMeshell Nedegeocello色に染まってしまっているのも凄い。

曲は80年代中盤から後半の曲が中心であるが,これほどの曲が揃っていた時代だったのだということを再度確認できるというだけでも,このアルバムは価値がある。こういうアルバムをタイムリーにブログにアップできていない私はアホだとさえ思えてしまった。これを真面目に記事にしていれば,間違いなく昨年のベスト盤に挙げていたと反省してしまった。そうした反省の意味も込めて星★★★★★である。

やはりこの人,何をやっても奥が深い。凄いミュージシャンだと言わざるをえない。ゲスト・ミュージシャンもいることはいるものの,基本はコアとなるバンドの4人で仕上げているところのポイントも極めて高い。こういうアルバムに「腹話術」ってタイトルを付けるセンスも凄いよねぇ。

ってことで,昨年のおすすめ盤リストに今更載せるのは反則だと思いつつ,載せずにいられないってことで

Personnel; Meshell Nedegeocello(vo, b), Chris Bruce(g), Jebin Bruni(key), Abraham Rounds(ds). with Adam Levy(g), Jeff Parker(g), Doyle Bramhall II(g), Kaveh Rastegar(b), Levon Henry(woodwinds), Chris Pierce(hca), Kat Khaleel(vo), Justin Hicks(vo), Jonathan Hoard(vo), Anne Schermerhorn(vo), Eric Shermerhorn(vo)

«今年の1枚目はSahib Shihabから。なんでやねん?(笑)

Amazon検索

2019年おすすめ作

2018年おすすめ作