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2018年1月22日 (月)

やっぱりEd Bickertは渋いのだ。

"Out of the Past"Ed Bickert Trio(Suckville)

_20180114_3私がギタリスト,Ed Bickertを長年に渡って贔屓にしてきたことはこのブログにも何度か書いてきた。もちろん,それはPaul Desmondとの共演によるところが大きいのは事実だが,Desmond抜きでのBickertのアルバムもかなり好きなのだ。そんな中で,この作品は既に10年以上前にリリースされたEd Bickertの未発表スタジオ音源である。当然,私は出てすぐ買ったはずである。

Ed Bickertは通常テレキャスターを弾いているのだが,どうしてこういう音がテレキャスから出てくるのかは「世界の七不思議」とは言わずとも,かなり不思議なことである。テレキャスはソリッド・ボディで,かっちりした音が出てくるのが通常だが,Ed Bickertが弾くとセミアコ的な,あるいはそれ以上にマイルドな音に聞こえるのだ。そして,それが非常に心地よい。この音にPaul Desmondが惚れたことは間違いないだろう。

そして,ここでのトリオは,晩年のDesmondを支えたあのカナダ人トリオなのだから,悪いはずがない。ジャズによるリラクゼーションとはこういうのを言うのだ。こうした音源がリリース時には30年の時を経て公開されたのだから,これは実にめでたいことである。今やEd Bickertは引退状態(既に現時点で85歳になっているはずである)であり,復帰は望むべくもないが,こうしたアルバムで往時の彼らの演奏に触れることができるのは大いにありがたい。

テンションとは対極にあるようなこういう音楽を必要とすることもあるということで,久しぶりに聞いたこのアルバムでも,Ed Bickertのよさを再確認した。よく知られたスタンダードが並んでいるが,この人はDuke Ellingtonの珍しい曲を演奏することが結構あって,本作でも"I'm Just a Lucky So and So"なんて曲をやっている。こういうところにもミュージシャンとしての見識が表れるよなぁって思うのは贔屓目かもしれないが,いずれにしても趣味のいい人たちである。ということで,星★★★★。

Recorded on January 26 & 27, 1976

Personnel: Ed Bickert(g), Don Thompson(b), Terry Clarke(ds)

2018年1月21日 (日)

いまだに現役で頑張るLarry John McNallyのデビュー・アルバム。

"Larry John McNally" (Arc/Columbia)

_20180114_2Larry John McNally,懐かしい名前である。現在も現役で活動をしていて,アルバムも「細々と」(笑)リリースし続けている。現在はRoger Watersの息子のHarry Watersとバンドを組んでツアーもやっているようであるが,まぁ目立ってはいないな(爆)。この人の場合,本人のアルバムよりも,この人の曲を歌っている人の方がメジャーな場合が多く感じられて,むしろソングライターとしての評価が高いかもしれない。Bonnie Raitt然り,Rod Stewart然りである。

今回はカテゴリーをSSW/フォークとしているが,この人の音楽はよりAOR的だし,この人の声もフォークというよりも,より都会的なセンスを感じさせる。そして,このアルバム,いい曲が揃っているが,私に一番響いたのはメロウな"Sleepy Town"であった。どこかで聞いたような既視感を与える曲調なのだが,それは典型的AOR的な響きを持つからではないかと思ってしまった。

このアルバムも聞くのは本当に久しぶりだったのだが,これは今聞いても結構いいねぇと思える作品であった。こういうジャケにしなければ,もう少し売れたのではないかとも言いたくなるが,いずれにしても未聴の方は聞いてみて損はしない。その後,デモ音源などを加えたデラックス・ヴァージョンが発売されたっていうのには今更驚かされるが...。でもナイスなアルバムであることは間違いない。星★★★★。

それにしても,プロデューサーがJon Lindってのも懐かしい名前であった。元Fifth Avenue BandやHowdy Moonって言っても,わかってくれるのは一定の年齢層以上に決まってるな。

Personnel: Larry John McNally(vo, g), James Gadson(ds), Gary Mallaber(ds), Reggie McBride(b), Keni Burke(b), Kenny Lewis(b), Chuck Domanico(b), Buzzy Feiton(g), Richard Feldman(g), Chuck Bynum(g), Bill Payne(el-p, org, synth), Victor Feldman(el-p, perc), Peter Reilich(el-p), Bruce Malament(el-p), Ricky Kelly(p, el-p, synth), Lenny Castro(perc), Sam Clayton(perc), Valerie Carter(vo), Jon Lind(vo), Marti McCall(vo), Petsye Powell(vo), Margaret Branch(vo), Jude Johnstone(vo), Tom Scott(horn), Jerry Peterson(horn), Lee Thornburg(horn)

2018年1月20日 (土)

久々にStone Allianceを聞く。

"Stone Alliance" (PM)

_20180114このアルバムを聞くのも久しぶりだ。正直言ってしまえば,相当激しい音楽なので,どういうシチュエーションで聞けばいいのか悩む(笑)。まぁ,これはジャズ喫茶向けの音楽で,極力大音量で聞きたい類のものであろう。今回,私は家人のいない隙を狙って,家で結構な音量で聞いたのだが(爆)。

Stone AllianceはGene Parla,Don AllianceとSteve Grossmanというトリオで結成されたバンドである。メンツからも想定される通りの音楽がここでは披露されると言ってよいだろうが,やはりバンドの構成が構成だけに,Steve Grossmanの吹きっぷりに注目が集まるのは当然だろう。そして,彼のファンならずとも,アルバム前半で展開される強烈なテナーにはぞくぞくさせられること確実と言いたい。

だからこそ,LP時代で言えば,A面とB面のテイストの違いにはやや戸惑う。A面がゴリゴリのハイブラウな感じだとすれば,B面はどファンクの"Sweetie-Pie"からして雰囲気が違うし,その後のStevie Wonder作の"Creepin'"は浮いているだろうと思ってしまう。最後は"Samba de Negro"で締めて落とし前を付けるって感じだが,この雰囲気の違いを受け入れられるかどうかでこのアルバムに対する評価は変わると思える。アルバムのレコーディングは曲によって1年間のブランクがあって,そうした面が演奏にも影響しているのではないかとも思える。

私の場合は,LPで言えばA面最後に収められたSteve GrossmanとDon Alliasによる"Duet"に聞かれる白熱のバトルにこそ,このアルバムの最大の価値を見出してしまうのだが,いずれにしても1970年代半ばの雰囲気は伝わってくる。コンベンショナルなジャズが不遇な時期を迎えつつある時期だと思うが,そうした時流に逆らうがのごとき熱い演奏であることは間違いない。星★★★★。

Recorded in June 1975 and June 1976

Personnel: Gene Parla(b, el-p), Don Alliance(ds, perc), Steve Grossman(ts)

2018年1月19日 (金)

昨年12月に観たライブがよくて,今更ながらJon Cowherdの"Mercy"を購入。

"Mercy" Jon Cowherd(ArtistShare/Blue Note)

Jon_cowherd昨年12月のNYC出張時に,たまたま観ることができたJon CowherdのMercy Projectであるが,その時の演奏が非常にタイトで素晴らしいものであった(記事はこちら)ので,そのもととなったこのアルバムが猛烈に気になり,出張中に発注したものがようやく到着した。

アルバム自体は2013年にリリースされたもので,随分と時間が経っているが,それにしてもなかなかのメンツで,ある意味,John PatitucciのElectric Guitar Bandと兄弟みたいな編成である。いずれにしても,よくよく調べてみれば,このアルバムからギターをNYC同様,Steve Cardenasに代えたバンドで来日もしていたんだねぇ。このメンツだったら行きたいと思ったはずだが,そうしなかったのはなぜなのかと思って,当時のブログを確認してみると,彼らが来日した14年の2月にはAaron Parksのソロと,Roy Hargroveのビッグバンドを観に行っている。さすがに当時は月3本というのは...と思っていたに違いないが,今の私なら絶対行っている(笑)。観に行っておけばよかったなぁと思っても後悔先に立たず。

そして,このアルバムであるが,Brian Blade Fellowshipのような感じの曲もありながら,Fellowshipほどはアメリカーナってほどでもない。しかし,曲は結構粒ぞろいで,しかもこのメンツであるから,クォリティの高い演奏は大いに楽しめる。こういう演奏は極力リアルタイムで聞いておかねばならんと反省してしまった。まぁ,このジャケは何とかならんものかと思えるが,音楽ははるかに趣味がよい(爆)。強烈なダイナミズムのようなものは感じないが,コンテンポラリー・ジャズの一つの方向であることは間違いないだろう。星★★★★。

尚,本作はなかなか入手は容易ではないかもしれないが,送料さえ払えば,今でもArtistShareのサイトで購入は可能である。

尚,録音された年が記載されていないが,リリースのタイミングを考えるとおそらく2012年ということにしておこう。

Recorded on December 12-14, 2012

Personnel: Jon Cowherd(p, key), Bill Frisell(g), John Patitucci(b), Brian Blade(ds)

2018年1月18日 (木)

Art Garfunkelの"Watermark"に関する逸話。

"Watermark" Art Garfunkel(Columbia)

Watermark私はArt Garfunkelが結構好きだが,アルバム単位で言うと"Angel Claire"と"Scissors Cut"が好き過ぎて,ほかのアルバムはそれほどプレイバックする機会は少ないというのが実態。むしろほかのアルバムを聞くよりも,ベスト盤を聞いている方が多いかもしれない。

このアルバムに関しては基本的にArtieと相性のよいJimmy Webbの曲がほとんどを占めるということで,大いに期待できるものだったはずだが,曲のクォリティが思ったほど高くないのが意外というか,ちょいと痛い。まぁ,このアルバムにおいて,ひと際目立っているのはPaul SimonとJames Taylorと共演した"(What a) Wonderful World"ってことになるだろうが,Jimmy Webbの曲ではないので,ほかの曲と明らかにテイストが違う。また,この曲がオリジナル・プレスには入っていなかったというから驚きである。

そのオリジナル・プレスに入っていた曲が"Fingerpaint"という曲だが,これがYouTubeで聞いてみると地味。しかもオリジナルLPのB面の曲順は現在の並びと全然違っている。ということで,確かにセールス的には"(What a) Wonderful World"があるかないかで全然違うだろうなぁとは思わせる。こういうのはこのアルバムだけではなくて,"Scissors Cut"でも行われたが,"Scissors Cut"の曲変更は私は明らかに失敗で,オリジナルこそが"Scissors Cut"のあるべき姿と思っている。それに比べれば,まぁこっちはまだ許せると思うのは差し替えられた"Fingerpaint"が決定的な名曲,名演ではないということがある。まぁ,それでも貴重な音源であることは間違いなく,これが収録されているオリジナル盤はそう簡単には見つからないだろうから,ここにもYouTubeから音源を貼り付けておこう。

もう一つ,このアルバムには重要なポイントがある。このアルバムで私が一番いいと思っているのは"Mr. Shuck'n Jive"であるが,ここにPaul Desmondのアルト・サックスが入っていることは,長年のPaul Desmondファンの私としては見逃してはならない事実なのだ。なぜならば,これがPaul Desmondのラスト・レコーディングだからだが,まさに誰がどう聞いてもPaul Desmondと言うべきアルトが聞ける。しかもこういう泣ける曲での出番というのが素晴らしい。

アルバムとしては星★★★☆ぐらいでいいと思うが,いろいろな逸話が出てくるアルバムということになるなぁ。

Personnelは参加ミュージシャン多数なので省略するが,Jimmy Webbが全面的にキーボードを弾いていたり,ゲスト・ミュージシャンも多彩である。

2018年1月17日 (水)

Michael Breckerの非公式ライブ盤を久しぶりに聞く。

"The Michael Brecker Band Live"(Jazz Door)

_20180107Jazz Doorというのは不思議なレーベルであった。おそらくは放送音源をCD化して販売してしまうのだが,ブートまがいとわかっていても,結構珍しいなぁと思わせる音源があって,ついつい買ってしまうという人が多かったのではないか。今でもこういう商売はHi Hatレーベルに受け継がれていて,決してなくならないところに,根強いニーズってのがあるんだろうとうかがわせる。私もなんだかんだ言って何枚か保有している。これもそうした一枚。

これを購入したのはメンツが強力であるからにほかならないが,Michael BreckerがまだEWIを吹いている頃の演奏で,今にして思えば,私にとってはMike Sternが入っていることがやはり大きい。冒頭はいきなりマイキーのアルバム"Time in Place"から"Gossip"である。アルバムでもMichael Breckerが吹いていたので,その延長線上での演奏という感じだろう。この演奏は89年のライブとあるが,詳細のデータは記述がないが,この年にはほぼこのメンツでツアーをしていたようである。懐かしのLive under the Skyにも89年,Airtoを加えた編成で来日しており,その時の映像が残っているので,貼り付けておこう。ちなみに,89年のLive under the Skyには行ったような気もするのだが,このバンドは見た記憶はない。私が見たのはThe MeetingとSaxophone Workshopであったか?Roberta Flackも見たのか?だが,Tシャツは買った覚えがあるので,間違いなく行っているな(笑)。いずれにしても今にして思えば,89年のプログラムは例年よりは地味だったような気もするが,私がもう少し音楽の嗜好が変わって,マイキーもBreckerも今ぐらいに評価していたら,このバンドの演奏は見たいと思ったはずである。趣味って変わるもんだよなぁとつくづく思う。

そしてこのアルバムであるが,いやいや激しいものである。最後の"Original Rays"におけるBreckerのEWIによるカデンツァから,テナーによるテーマに移行する時の感覚なんて,今聞いてもぞくぞくする。非公式音源ではあるが,音もいいので持っていて損はない。これは媒体では結構高値がついているが,今やストリーミングでも聞けるし,ダウンロードも可能なのだから,そっちで聞いていれば十分ではあるが,89年という時期の彼らの演奏を切り取ったドキュメントとして相応に評価したい。星★★★★。

日本は89年と言えば,バブル経済爛熟期であったが,Live under the Skyというイベントがバブルが崩壊した92年に終焉を迎えたことを,今更ながら感慨深く思い出している私である。

Recorded Live in 1989

Personnel: Michael Brecker(ts, EWI), Mike Stern(g), Joey Calderazzo(p, key), Jeff Andrews(b), Adam Nussbaum(ds)

2018年1月16日 (火)

Ray Lamontagne:この素晴らしき歌唱に浸る。

"Live from Bonnaroo 2005" Ray Lamontagne(RCA)

Bonnaroo私がRay Lamontagneという人に出会ったのは"Till the Sun Turns Black"でのことであった。そこでの歌いっぷりに心底まいってしまい,彼のアルバムは全部買っている。だが,このブログに彼のアルバムについて書いたことがないのは,その後のアルバムが"Till the Sun Turns Black",あるいはデビュー作"Trouble"ほど,私に響いてこなかったということがある。まぁ,ちゃんと聞いていないからだという話もあるが,一聴して「これはっ!」って感じがなかったのである。

だが,今回,久しぶりにこのライブ盤を聞いて,やっぱり凄い歌い手であるという認識を新たにした。デビュー作"Trouble"のリリースが2004年だが,その翌年,米国のBonnaroo Music and Arts Festivalに出演した時の模様を収めたライブ音源である。このBonnarooは日本で言えば,フジ・ロック・フェスティバルのようなものと思えばいいだろうが,デビューの翌年,そのデビュー作からの曲を6曲収めたこのライブEPは,この人の曲の素晴らしさ,歌手としての訴求力を強く感じさせて素晴らしい。

一般的な感覚で言えば,フォークあるいはSSWの文脈で捉えられるべき演唱であるが,シンプルな演奏,歌唱でありながら,聴衆を惹きつける魅力は十分と思える。私がこの人に感じた魅力はこういうものだったのだなぁということを改めて認識させられた。こういう素晴らしい音楽はもっと取り出しやすいところに置いとけよっていう反省も込めて,星★★★★☆。このディスクそのものはなかなか見つかりにくいかもしれないが,ストリーミングでも聞けるので,ご関心のある方は是非お試しを。

Recorded Live at Bonnaroo Music and Arts Festival on June 10, 2005

Personnel: Ray Lamontagne(vo, g, hca), Chris Thomas(b), Larry Ciancia(ds)

2018年1月15日 (月)

Levon Helm & the RCO All Starsの発掘ライブ盤を聞く。

”Live at the Palladium NYC New Year's Eve 1977" Levon Helm & the RCO All Stars(Levon Helm Studios)

Palladium私は若い頃から渋いシンガー・ソングライター系の音楽を好んで聞いてきたが,当然,その流れでThe Bandあるいはウッドストック系の音楽に触れる機会も多かった。特に大学時代は,その手のレコードを買うために中古番屋に足しげく通ったことも懐かしい。帰省する機会にがればあったで,大阪や神戸のショップにも出没し,その筋のアルバムを探していたのだから,暇なものである(苦笑)。

そんな私がそうした音楽的な嗜好を示すのを加速させたアルバムに"Levon Helm & the RCO All Stars"があるが,本当にこれは好きだった(アルバムに関する記事はこちら)。彼らのライブ・アルバムが突然リリースされたのは2006年のことであるから,もはや10年以上前である。その後,Levon Helmが逝き,Donald "Duck" Dunnが逝ったのを考えると,時の流れを感じざるをえない。そもそもこの音源が録音されてから40年以上の月日が経過しているのだから,当たり前と言えば当たり前なのだが,若い頃からこういう音楽に魅力を感じていたって,どれだけ私は若年寄的だったのかと思ってしまうが,好きなものは好きなのだ。

このライブ音源は,アルバムのプロモーション的なところもあったと思うが,Booker T. Jones以外の主だったメンツが参加しているというのは結構凄いことである。当時のNew York Timesの記事では,この時のライブはかなり批判的に書かれている(ご関心のある方はこちらをどうぞ)が,このアルバムを聞く限り,そんなに酷い演奏だとは思えない。70年代後半という時代がこういうレビューを書かせるのかなぁなんて思うが,私のようにこの手の音楽が好きな人間にとっては何の問題もない。

この演奏が収録されたPalladiumというヴェニューは,Union Squareのそばにあったはずで,在米中に,私は何かの機会でここには一度だけ行ったことがあるはずだ。だが,何で行ったのかがどうしても思い出せない。まぁ,25年以上も前のことになれば,記憶が薄れるのも当然なのだが,何で行ったのかが気になって仕方がない(苦笑)。覚えているものは鮮明に覚えている(少なくとも自分でチケットを取ったものはほとんど忘れていないはず)ので,これは誰かに付き合って行ったってことかもしれない。

いずれにしても,これだけのメンツが揃ってライブをやっていて,その場にいられた人は間違いなく幸せだと思える発掘盤。星★★★★☆。この人たちのライブは本当に聞いてみたかったなぁ。

Recorded Live at the Palladium, NYC on December 31, 1977

Personnel: Levon Helm(ds, vo), Mac Rebennack "Dr. John"(p, key, vo), Paul Butterfield(hca, vo), Fred Carter, Jr.(g), Steve Cropper(g), Donald "Duck" Dunn(b), Howard Johnson(bs, tuba),  Tom Malone(tb), Lou Marini(sax), Alan Rubin(tp)

2018年1月14日 (日)

ジャズ系ブログ界で話題沸騰?今年最初の新譜は本田珠也のIctus Trio。

"Ictus" 本田珠也Ictus Trio(Song X Jazz)

Ictus今年になって全然新譜を買っていなかったのだが,これが今年初の新譜に関する記事ということになる。本作は私のお知り合いの皆さんが取り上げられており,これは聞いておいた方がいいだろうということでの購入である。

本田珠也に関しては以前"Planet X"についてこのブログに記事をアップしたことがある(記事はこちら)が,そこでの音楽とは全く異なるもの。違い過ぎやろと言ってしまえばその通りであるが,むしろこういう音楽が日本のミュージシャンによって作られたことに,ある種の驚きさえ感じた私である。ブログのお知り合いのkenさんは「初期ECMの味わいに実に近い」と評されているが,まさにそういう感じなのだ。

そもそもレパートリーの中心を構成するのがCarla Bleyの曲というのが素晴らしい試みであり,そこにスタンダード2曲と,ピアノの佐藤浩一のオリジナルを交えるという構成も,明確な狙いを感じる。Carla Bleyのオリジナルの持つ「甘い毒」みたいな部分と,アバンギャルドな部分を見事に表出しながら,そこにはさまれたスタンダードとオリジナルが何の違和感もなく混在しているのは結構凄いことではないか。スタンダードさえも,彼らの感覚で再構築されたものとなっており,こういう「筋の通った」アルバムは,ミュージシャンたちの強い意志を感じさせて,無条件に支持したくなる。

ただ,誤解を恐れずに言えば,これはある程度ジャズに接してきたリスナーには受け入れられても,これからジャズを聞いてみようというようなリスナーにはちょっと勧めにくいのも事実である。しかし,この心地よさというよりも,ヒリヒリするような緊張感をもたらしながら,美学も兼ね備えた音楽にはしびれてしまった私である。

繰り返しになるが,こうしたアルバムが日本から生まれたことを喜びたい。そして非常に生々しい音で録音されている点も評価して星★★★★★としてしまおう。新年早々縁起がいいわいと言いたくなってしまった。

Recorded on May 16, 2017

Personnel: 本田珠也(ds),佐藤浩一(p),須川崇志(b, cello)

 

2018年1月13日 (土)

保有していることすら忘れていたStefano Bollani盤(爆)。

"Les Fleurs Bleues" Stefano Bollani(Label Bleu)

BollaniCDの保有枚数が増えてくると,どうしてこのCDを保有しているのか全く思い出せないものも出てくる。だからいつも家人に「一生のうちにもう聞かないCDって結構あるんじゃないの?」と聞かれても否定できない。このCDもどういう風に買ったのか全く思い出せないのだが,たまたま棚から発見してプレイバックしてみた。よくよく見れば,リズムはScott ColleyにClarence Pennという魅力的なメンツ。へぇ~(笑)。だが,ソロ・ピアノでの演奏も多く,全面参加ではないので注意が必要である。

Stefano BollaniについてはECMのアルバムやら,Venusレーベルのアルバムを聞いてきたが,本作を聞いて思ったのは,うまいねぇということである。その一方で,多様な要素が詰め込まれた感じがして,Bollaniの本質はどこにあるのか実はよくわからないというのも事実であった。美的な要素,ダイナミズム,アブストラクトな感覚等が混在して,どうも落ち着かない。Juliette Grécoで知られる"Si Tu T'Imagines"では歌っちゃうし...。

私はStefano Bollaniについては,正直言って"Stone in the Water"とか"Mi Ritorni in Mente"のような美感,あるいは甘さを備えたアルバムが好みなので,この多様性はちょっとなぁって感じがする。一曲ごとのクォリティは結構高いので,何でもできてしまうStefano Bollaniってのはわかるのだが,これを聞くなら,私は上述の2枚を聞き続けた方がいいと思える作品。やっぱりどうして買ったのかよくわからん(苦笑)。ということで星★★★が精一杯。

Recorded on May 23,October 21 & 22, 2001

Personnel: Stefano Bollani(p), Scott Colley(b), Clarence Penn(ds)

2018年1月12日 (金)

Franck Avitabileって最近は何をやっているのだろうか?

"Lumières" Franck Avitabile(Les Vents de Vanves)

_20180106_2私がこのブログでFranck Avitabileの"Paris Sketches"を酷評したのももはやほぼ9年前に遡る(記事はこちら)。ライブ活動はしているようだが,それ以来,彼のリーダー作は途絶えているようだし,最近は何をやっているのかねぇと思ったところで,久々のプレイバックである。

前述の記事にも書いたが,昔の私の同僚が,個人的にもやり取りをされるぐらいのFranck Avitabileのファンで,このアルバムもその方からの頂きものである。ちなみにその方,Avitabile以外ではBarney Wilenのファンという,なかなかのフレンチ・ジャズのマニアであった(笑)。本作はAvitabileの正式デビュー前のもので,中古盤屋でも結構な高値がついている作品であるが,現在は本人のサイトでも手に入るようなので,稀少性はなくなったかもしれない。

だが,ここで聞かれる演奏を聞けば,非常に才能のあるピアニストだってことがよくわかる。私はフランスのジャズというのは若干癖が強いと感じることが多いのだが,ここで聞かれる演奏は極めてストレート・アヘッドなものであり,アドリブで展開されるFranck Avitabileのメロディ・センスも立派なものである。久しぶりに聞いてみて,これなら評価されて然るべきだと再認識したが,それにしては"Paris Sketches"はいけてなかったねぇ。あれが今のところの最新リーダー作というのは惜しい気がするが,やはりミュージシャンはブレてはいけないということの証ということにしよう。いずれにしても,本作はオリジナル曲も粒ぞろいで,なかなかいいと思う。星★★★★。

Recorded on March 22 and 23,1997

Personnel: Franck Avitabile(p),Louis Petruciani(b), Thomas Grimmonprez(ds)

2018年1月11日 (木)

リズムは同じでピアノが変わるとどうか?:ずっと聞いてなかったCarsten Dahl盤

"In Our Own Sweet Way" Carsten Dahl / Mads Vinding / Alex Riel (Storyville)

_20180104_2このメンツを見るだけで反応される方もいるだろう。私が昨年のベストの一枚に挙げた"Yesterdays"のピアノがEnrico PieranunziからCarsten Dahlに代わっただけで,リズムは同じMads VindingとAlex Rielである。ピアノが変わるだけでどんな違いが出るのかが興味深いところであるが,このトリオは3人とも同じデンマーク出身ということで,おそらくはリズム隊にとっても,Pieranunziよりも共演回数は多いだろうし,頻度も高いはずである。それはこのアルバムが2005年から2007年にかけて,Copenhagen Jazzhouseという同じヴェニューにおいて録音されていることからもうかがわれる。

デンマークには優秀なミュージシャンは多数いるが,このトリオはデンマークを代表するジャズ・ミュージシャンにより構成されたトリオということができるであろう,彼の地におけるオール・スターのバンドと言ってよいだろう。

Carsten Dahlについてはこのブログで,Arild Andersen,Jon Chtistensenとのトリオによる"Space Is the Place"を取り上げたことがある(記事はこちら)が,あちらがECM的クールさを持つ演奏だったのに対し,こちらはどちらかと言えば暖かいサウンドと言ってよい。はるかに聞き心地がよく,そしてより多くの層に魅力的に響くはずである。それは本作がDahlのオリジナルで占められた"Space Is the Place"と異なり,トラッドの"Maria gennem torne går"を除いて,よく知られたジャズ・オリジナル,スタンダードを演奏しているからということもあるだろう。

いずれにしても,このアルバムはバラッドとスウィンガーをうまくブレンドさせて,結構楽しめるアルバムである。Enrico Pieranunziほどの抒情性は感じられないかもしれないが,相応に美的センスにも溢れ,寝かしておいたのはよくなかったなぁと反省した次第。まぁ埋もれていたのだから仕方がないが。私としては,やはりEnrico Pieranunziとの共演の方を高く評価するが,これはこれで聞いて損はないアルバム。星★★★★。

Recorded Live at Copenhagen Jazzhouse between 2005 and 2007

Personnel: Carsten Dahl(p), Mads Vinding(b), Alex Riel(ds)

2018年1月10日 (水)

Bobby Watson入りの永井隆雄4のライブ盤が楽しい。

"Live at the Someday" 永井隆雄 (Someday)

_20180104私にとってBobby Watsonについての記憶は結構鮮烈である。まずはその時の話から。私がNYCに在住していたのは1990年8月から1992年の6月という短い期間であったが,そんな期間においても,数多くのライブに接する機会があったことは私にとっては幸せなことだった。当時はニューポート・ジャズ・フェスティバルがJVCジャズ・フェスティバルと言われていたころで,91年のフェスにおけるライブにも何本か足を運んだ。当時のNY Timesの記事をWebで検索してみて,私がBobby Watsonを見たのは”Be-Bop: 40 & Younger"だったことがわかる。40歳以下の中堅,若手ミュージシャンによるセッション・ライブであったのだが,そこにいたのがBobby Watsonである。

NY Timesの記事を紐解いてみると,出演予定者としてはIra Coleman, Billy Drummond, Jon Faddis, James Genus, Christopher Hollyday, Christian McBride, John Marshall, Mulgrew Miller, Lewis Nash, Billy Pierce, Wallace Roney, Renee Rosnes, Bobby Watson, James Williams, Kenny Washington,そしてRoy Hargroveとある。ここに書いてあるメンツが全部出たかについては記憶が定かではないが,その中で最も強烈な印象を残したのがBobby Watsonだったことは間違いない事実なのである。サーキュラー・ブリージングも使った強烈なソロ・フレーズでは,同じアルトのChristopher Hollydayを圧倒し,格の違いを見せつけた。もちろん,Bobby Watsonは早くからJazz Messengersにも参加していたから,キャリアとしても違うって感じだったが,それにしても強烈だったのである。

そんなBobby Watsonであるが,本人のアルバムには正直言ってあまり面白いものがなく,この人は,特にライブの場において,共演者として場をさらう感じがいいのではないかと思っている。本作もそんな感じだと言ってよい。

歯科医との二足の草鞋を履く永井隆雄が,新大久保SomedayにBobby Watsonを迎えたこのライブは,ブローイング・セッション的と言ってしまえばその通りであるが,まぁFeaturingとは言いながらも,実際の主役はBobby Watsonであったということになるだろう。MCもBobby Watsonがやってるしねぇ。いずれにしても,ここに聞かれるBobby Watsonの歌心溢れるソロを聞いていて,91年夏のことを思い出してしまう私である。通常バラッドで演奏される"In a Sentimental Mood"でこれだけ盛り上げてしまうのがBobby Watsonらしい。そして,"E.T.A."の強烈なことよ。いずれにしても楽しいことこの上ないアルバムである。甘いの承知で星★★★★☆。

Recorded Live at Someday on November 29, 1988

Personnel: 永井隆雄(p),Bobby Watson(as), 鈴木良雄(b),磯見博(ds)

2018年1月 9日 (火)

正月休みに読んだ「屍人荘の殺人」だが...。

Photo「屍人荘の殺人」 今村昌弘(東京創元社)

正月休みを使って読んだのが,「このミス」ほかで絶賛されているこの本。気楽に読める本と思って年末に買ったものだが,う~む...。

本格ミステリーとしては論理の組み立てに矛盾はないので,そうした点に注目しながら読んでみると面白いのかもしれないが,この設定はさすがに...って感じであった(ネタバレになるので,詳しく書けない)。ある意味,この設定はギミックそのものであり,次作は一体どうするのよ?と言いたくなるストーリーである。まぁ,そこそこ面白くは読ませてもらったが,この訳のわからない設定を用いなければ,業界ランキングで評価されないのだとすれば,それは実は不幸なことではないかと思わされた一冊。全面否定はしないが,さすがにこれは無理があった。星★★★で十分だろう。

この手のランキングに頼るよりも,自分の審美眼を信じて本は買った方がいいねという事例。特に私の場合は「このミス」とは相性悪いねぇ(苦笑)。

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