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2017年おすすめ作

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2019年6月17日 (月)

もはやカテゴライズ不能:Esperanza Spauldingの“12 Little Spells“。

_20190615-2 ”12 Little Spells" Esperanza Spaulding(Concord)

先日,ショップに久々に行ったときに,併せ買いのディスカウントをゲットするために,最後に付け足したのが実はこのアルバムであった。昨年,ストリーミングでリリースされ,音源は以前から聞けたし,今でもストリーミングで聞けるのだから,別に媒体を買わなくてもいいではないかと言われればその通りだが,まぁいいや。

それでもって,既にストリーミングで聞いていても,そこかしこに現れるのは,いかにもEsperanza Spauldingらしいフレージングであったり,彼女の歌いっぷりな訳だが,もはやこれはジャズにカテゴライズする意味はほとんどないと思えるアルバムだと思った。もともと公開されていた12曲に,本作は4曲を追加してフィジカルでリリースしたものだが,強烈なコンセプト・アルバムと呼べるもので,相当好き嫌いはわかれるはずである。

私はこの人の前作"Exposure"(世界7,777枚限定だそうだ)は存在すら知らなかったからもちろん聞いていないし,その前の"Emily's D+Evolution"も保有はしているものの,ブログの記事にはしていない。その一方で,オーチャード・ホールやBlue Note東京でのライブは見ているので気にはしているのだが,どちらかと言えば,私にとってはこの人はライブの方がフィットする感じである。今回のアルバムも,実に良質の音楽とは思えるが,Esperanzaの持つ心地よいファンク・フレイヴァーが明確には打ち出されていないところが,私としては残念にも思えてしまう。

どちらかと言えば,昨今のEsperanza Spauldingは,アーティストとしての創造への欲求が強まっていて,いろいろな取り組みをしているという感じがするが,それが私のようなリスナーの受容度を越えてしまったような気がするということである。そういう意味では全面的には支持できないというのが本音だが,メンバーによる演奏は実によく出来ていて,特にレギュラーで活動しているギターのMatthew Stevensの貢献度が大きい。ということで,私としては試みは評価して星★★★★ぐらいってところか。こういう風に書いていると,私の音楽の嗜好というものが,以前ほど何でもありではなくなって,好みってのが明確になっているように感じるのはやはり加齢のせいってことだろうなぁ(苦笑)。

Personnel: Esperanza Spaulding(vo, p, org, b, orchestral bass drums), Mathew Stevens(g, b, vo), Justin Tyson(ds, org, synth, beats, prog), Aaron Burnett(sax), Burnis Travis(b, vo), Morgan Guerin(b, synth, vo), Corey King(vo), Rob Schwinner(continuum), Eric Reed(fr-h), Laura Weiner(fr-h), Brandon Ridenour(tp), John Blevins(tp), Richard Harris(tb, b-tb), Julietta Curenton(fl, piccolo), Katie Hyun(vln), Sami Merdinian(vln), Margaret Dyer Harris(vla), Yves Dharamraj(cello), Reiki Choir(vo)

2019年6月16日 (日)

Gilberto Gil全面参加のRoberta Sáの新作。

_20190615 "Giro" Roberta Sá(Deck)

Roberta Sáのアルバム,"Delirio"がリリースされたのが2015年10月ぐらいで,このブログに記事をアップしたのが翌年2月のことであった(記事はこちら)。その時にもこの手の音楽についつい惹かれてしまう私は大いにほめたわけだが,それから4年弱の時を経ての新作である。今回のキモはアルバムにGilberto Gilが全面的に参加していることだと思うが,曲作りにも全面的にかかわっているのだから,相当の入れ込み具合である。ついでに4曲目にはJorge Ben Jorも参加して場を盛り立てているが,本質的には相変わらずのRoberta Sáの清楚な声を聞いていればいいって気もする。

本作も実にいいアルバムだと思うのだが,私としてはよりシンプルな音,例えば8曲目"A Vida de Um Casal"のような感じで全編攻めてもらうと更にこのアルバムに評価が高まったのではないかと思える。結局は音に対する好みだと思うのだが,私がブラジル音楽にはメロディ・ラインとシンプリシティを求めてしまう傾向が強いのかもしれないと思ってしまう。そういうことで,3曲目"Cantando as Horas"のような曲にはバックのアレンジが過剰に感じられて,違和感を覚えるのも事実なのだ。

しかし,全編を繰り返し聞いていると,段々味わい深さも増してくる部分もあって,いいアルバムだとは思えてくる。そういう意味でも3曲目の浮いた感じが何とも惜しい。そこを減点して星★★★★としておこう。

Personnel: Roberta Sá(vo), Jorge Ben Jor(vo), Gilberto Gil(g), Ben Gil(g), Alberto Continentino(b), Domenico Lancellotti(ds, perc), Pedro Miranda(perc, vo), Yuri Queiroga(g), Danilo Andrade(key), Laurenco Vasconcellos(vib), Pedro Mibielli(arr, vln), Glauco Fernandez(vln), Nicolas Kurassik(vln), Daniel Albuquerque(vla), Iura Ranevsky(cello), Mestrinho(accor), Jorge Continetino(arr, fl), Marion Sette(arr, tb), Diogo Gomes(arr, tp, flh), Raul Mascarenhas(ts, fl), Ze Carlos "Bigorna"(as, fl), Milton Guedes(fl), Joana Queiroz(cl), Milton Guedes(bugpipe), Banda Giro(arr), Felipe Abreu(arr), Alfredo Del-Penho(vo), Joao Cavalcanti(vo)

2019年6月14日 (金)

上海に行って思ったこと。

Photo_18

2泊3日で上海に出張してきた。上海に行くのは結構久しぶりで,多分3年半ぶりぐらいになると思うが,久しぶりに行ってみて,随分街が綺麗になったなぁって感じがした。初めて上海に行ったのはずいぶん昔のことだが,その頃は道路もまだそれほど整備されておらず,タクシー運転手の車幅感覚に感動した覚えがあるが,今やインフラも整備された都会の街であった。

それはさておき,今回,中国に出張ということで,Facebookはつながらないと思っていたのだが,条件次第ではつながることがわかった。それが上海だけなのか,それ以外の都市でもそうなのかは,最近中国に行く機会が減っている私にはわからないが,多分次の条件ならつながるはずだ。

  1. 日本のキャリアのSIMを使っていること
  2. 現地でWIFIではなく,キャリアに接続すること

多分,これだけである。ただ,接続にはポーズがかかったような間が発生するから,当局には間違いなくモニタリングされているんだろうなぁと思いつつ,かまわずアクセスしていた私である。

今回は短い出張だったとは言え,中華料理三昧みたいな生活をしていて,相当胃には厳しい出張だったと言えるが,それでも現地の食は堪能できたと言ってよい。これぞ出張者の役得って気もするが,たった二晩の食事でも,かなりの破壊力で迫ってきた。こういう時の朝食はお粥に限るってことで,最終日の朝もお粥をいただいたわけだが,それでも帰国のフライトでは結構どよ~んとした感じで過ごしていた私である。だから普通なら機内エンタテインメントで映画を見るのが通例の私が,今回は全く映画を見ていないのである。フライトも短いから中途半端だって判断もあったとは言え,ちょっともったいなかったかなと思っている。

まぁ,今後も当分は中国に出張する機会はそんなにないだろうから,今回は今回ってことで。それにしても,空港も随分と変わった感じがして,以前との違いを強く感じた私であった。ということで,写真はホテルから撮った上海の街。近所にあったユニクロのビルが妙に目立っていたなぁ。

それにしても疲れた。いつも通り出張はつらいよってことで。

2019年6月12日 (水)

中古で仕入れたジョンスコ,77年のライブ。

_20190611 "Live" John Scofield(Enja)

このアルバム,昔から存在は知っていても,なかなか縁がなかったものである。それでも,結構ジョンスコらしからぬバンドのメンツも気になるところであったし,一部Apple Musicでも聞けるこのアルバムの曲を聞いて,おぉっ,こんなによかったのかと思って,隙あらば(笑)購入するかと思っていたのも事実である。そして,先日ショップに久しぶりに行ったら,丁度適当な値段での中古があった,あった,ってことでの購入である。

このアルバム,ジョンスコがトリオ・レーベルから初リーダー作を吹き込んだのが1977年だと思うが,それとほぼ時期を同じくして,ドイツのEnjaからリリースされたライブ・アルバムである。だが,私はこのアルバムをジャズ喫茶でもあまり聞いた記憶がないというのが不思議だが,既にこの段階で,ジョンスコの変態的なフレージングは出来上がってしまっている。元からこういう人なのだ。実はEnjaに吹き込んだ81年のライブは既に保有している私だが,ライブ盤としての熱量としてはこっちの方が上ではないかと,今回聞いて思ってしまった。特にCD化の際追加された"Air Pakistan"は強烈。リリカルなピアノと思われがちなRichie Birachが激しいピアノ・プレイを聞かせており,バンドとしてのドライブ感が実にいいねぇ。

Milesのバンド,あるいはデニチェンとのファンク・バンドとも響きは違っても,最初からジョンスコはジョンスコだったのだと改めて感じさせられ,そして実にいいアルバムだと思ってしまった私。私がジョンスコをちゃんと聞き始めたのはGramavisionレーベルの時代からだが,このアルバムを聞き逃していたのは失敗だったと強く感じてしまった。反省も込めて星★★★★☆としよう。

それにしても,"Softly as in a Morning Sunrise"冒頭でのピアノのカデンツァは,実にRichie Beirachらしいと思ってしまった。これも個性ってところだな。

Recorde Live at "Domicile" in Munich on November 4, 1977

Personnel: John Scofield(g), Richie Beirach(p), George Mraz(b), Joe LaBarbera(ds)

2019年6月10日 (月)

久々にショップに行って仕入れたアルバムから,今日はMatt Slocum。

_20190609 "Sanctuary" Matt Slocum(Sunnyside)

最近はほとんどショップに行くこともなくなり,CDを購入する場合でもほぼ通販に依存しているが,先日,久しぶりにライブ前に時間があったので,ショップを覗きに行った。覗きに行くとついつい手が出てしまうということで,何枚かゲットしてきたのだが,そのうちの一枚がこれである。

Matt Slocumって名前は認識していたが,アルバムを購入するのはこれが初めてのはずである。今回は明確にメンツ買い。先日のジョンスコとのライブの記憶も新しいGerald Claytonがピアノ,そしてBrad Mehldau Trioを支えるLarry Grenadierがベースとあっては,これはちょっと期待してしまう。まぁ,よくよく見てみれば,Matt SlocumとGerald Claytonは結構共演作が多く,結構レギュラーに近いかたちで活動しているって感じだろうか。

本作やこれまでのアルバムのジャケを見ると,この人の美的なセンスみたいなものを感じさせるが,ある意味ECMのアルバムにも共通するようなテイストがジャケからは感じられる。当然,ゴリゴリのジャズではないだろうと思って聞き始めてみると,なるほど静謐な響きの中に,リリシズムを感じさせる演奏である。これがなかなかいい。決してダイナミズムに溢れた音楽だとは思わないが,決してカクテル的でもない。丁度いいぐあいのリリシズム,美的感覚と言えばよいだろうか。趣味がいいのである。逆に言えば,ドラマーがリーダーのアルバム,あるいは冒頭のSufijan Stevensの"Romulus"を覗いてMatt Slocumのオリジナルで固められたとはなかなか想像しがたい音が連続する。即ち,これがMatt Slocumの音楽性ってことになるだろう。

全編を通して,響きは一貫しているが,逆に言えば刺激に乏しいって言い方もできるかもしれない。しかし,これは3者のタッチもあるが,相当に趣味のいい音楽として,認知度を高めるためにもちょっと甘いと承知で星★★★★☆としてしまおう。それにしてもGerald ClaytonもMatt Slocumも30代だから,若手と言うよりは中堅って感じかもしれないが,なかなかやるもんだ。

Recorded on August 7 & 8,2018

Personnel: Matt Slocum(ds),Gerald Clayton(p),Larry Grenadier(b)

2019年6月 9日 (日)

Simon Phillips@Blue Note東京参戦記

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またも更新が滞ってしまった。記事をアップするたびにライブ行ってんじゃね?みたいになっているが,仕事の合間に行っているのだ(笑)。Simon Phillipsが来日するとなんだかんだ言って見に行っている私だが,だからと言って上原ひろみとやっているのは見たことはない(きっぱり)。今回はProtocol初作発売30周年ということでの記念ライブみたいな感じだが,本人がそんな気分だったかどうかは謎である。

まぁ、そんなことは別にしても,実にタイトな演奏を聞かせてもらって,大いに楽しんだ私である。正直言ってバンドとしてはリーダーが目立ち過ぎではないかと思えるほどのミックスだったが,それでもSimonのドラミングは実に決まっていたと言っていいだろう。ギターの新人、Alex SillはAllan Holdsworth的あるいはFrank Gsmbale的なスムーズなピッキングで聞かせるところがあったし,サックスのJacob Scesneyだって,ちゃんとジャズのイディオムを吸収しているのはわかるのだが,Simon Phillipsの前では存在感が薄いというのは仕方がないかなぁと思っていた私である。そういうバンドなんだから問題はないのだが。いずれにしても「タイト」っていう表現はSimon Phillipsのためにあると言っても過言ではないと思った一夜。

セットリストはブルーノートのサイトによれば次の通りのようだ。上の写真も拝借。

  1. Narmada
  2. All Things Considered
  3. Azores
  4. Moments of Fortune
  5. Pentangle
  6. Celtic Rain(Encore)

Live at Blue Note東京 on June 5, 2019, 2nd Set

Personnel: Simon Phillips(ds), Jacob Scesney(ts, as), Alex Sill(g), Otmaro Ruiz(key), Ernest Tibbs(b)

2019年6月 5日 (水)

改めてのBrad Mehldau@よみうり大手町ホール

Brad-mehldau-solo

改めてBrad Mehldauのソロ・ライブのセット・リストがアップされたので,今一度振り返ってみたい。セット・リストからもわかる通り,冒頭3曲は完全即興だったようである。そこからはBeatles,と言うよりもPaul McCartneyの曲が3曲というのが目を引く。前回のホール公演でもPaulの曲は結構やっていたから,ミュージシャンとしてのシンパシーを感じる部分があるのだろう。私は"Dear Prudence"のようなJohn Lennonレパートリーもやって欲しいところだが,贅沢は言うまい。

そして意外な選曲としては"Linus and Lucy"だろう。今までレコーディングしたこともないはずだが,Brad Mehldauがこんな曲をやるとは思わなかった(と言いつつ,曲名が思い出せていなかった私)。

いずれにしても,前半を即興及びMehldauオリジナルで固め,後半にスタンダードやポップ・チューンを交えるというのがここのところのBrad Mehldauのルーティーンなのかもしれないが,今回は冒頭の3曲が相当の集中力を感じさせるものであり,後半は美的な部分と時折そこにダイナミズムを交えるという絶妙のバランスのライブだったと言ってよいだろう。因みにアンコールは"I Fall in Love Too Easily"からだったと思うが,最後まで集中力の切れないソロ・ピアノを堪能した私である。 ということで,行ってよかった,ファンでよかったと思える満足すべき一夜であった。

<Set List>
Untitled (B. Mehldau)

Untitled (B. Mehldau)
Untitled (B. Mehldau)
Waltz for J.B. (B. Mehldau)
Blackbird (J. Lennon/P. McCartney)
And I Love Her (J. Lennon/P. McCartney)
I Fall in Love Too Easily (J. Kern)
Get Happy (H. Arlin)
Linus and Lucy (V. Guaraldi)
Mother Nature's Son (J. Lennon/P. McCartney)

Live at よみうり大手町ホール on June 3, 2019

Personnel: Brad Mehldau(p)

2019年6月 4日 (火)

Brad Mehldauのソロをよみうり大手町ホールで聞く。

Bm-solo-piano 今回のBrad Mehldauの来日がアナウンスされた時,トリオでのライブとソロでのライブが告知されていた。Brad Mehldauフリークを自認する私としては,これはどっちも行かねばってことになるわけで,先日の東京国際フォーラムでのトリオでのライブに続いて,今回,よみうり大手町ホールでのソロに行ってきた。

読売新聞社東京本社ビルにあるこのホールは,キャパが500人程度,そして今回はPAなしのピアノの生音での演奏となった。冒頭から実にクラシカルな響きのピアノを聞かせて,一瞬,これはどうなるのかと思ったのだが,驚きは2曲目にやって来た。おそらくは即興で演じられた2曲目において,私がかつて聞いたことがないようなタッチをBrad Mehldauが聞かせたと思えたからである。おそらく2曲目は20分近い演奏だったと思うが,聞いていて,まだ長大なソロをやっている頃のKeith Jarrettを彷彿とさせる演奏だっと言っては言い過ぎか。しかし,ここで聞かれたトーンはフォーク,あるいはゴスペル・タッチでのKeithの演奏に結構近いのではないかと思ってしまった。そのほかの曲においても,同じような感覚を覚える瞬間もあったというのが正直なところである。

今回演奏された曲については,インプロヴィゼーションと思しき曲以外は聞いたことがあるのだが,The Beatlesの3曲と“Get Happy”を除くと曲名が思い出せない。そのうち,セットリストがアップされるだろうから,改めてとするが,今回演じられたBeatlesの曲は"Blackbird","And I Love Her",そして"Mother Nature’s Son"だったはずだが,"Blackbird"が原曲の美しさをそのまま反映させた演奏だったのに対し,ほかの2曲にはかなり強烈なカデンツァを施すという感じで,実はそこにもKeithライクな感覚を覚えていた私である。

トリオでのライブが,Brad Mehldauのオリジナルと,スタンダードまたはジャズ・オリジナルで占められていたのに対し,Beatlesを3曲やったのは意外なのか,それとも意図的なのかはBrad Mehldauに聞いてみないとわからない。まぁ,それでもあの"Blackbird"は昇天必至の演奏だったと確信している。

今回の演奏については,セットリストが上がってから改めて書くことにしたいが,今回,何よりも残念だったのは私の隣に座っていた女性客である。演奏が始まって,ステージに視線を向けていても飛び込んでくる彼女のスマホのバックライトは,音楽を聞くことへの集中の妨げ以外の何ものでもなかった。私は我慢がならず,彼女にスマホの使用をやめるように依頼した訳だが,なぜステージが始まっているのにLINEだかチャットでのやり取りをしなければならないのか,全く意味不明である。世の中の人間がスマホに支配されているように思える今日この頃だが,映画館でスマホを使うバカと同じぐらいの低劣な行為には業を煮やしていたと言わざるをえない。

もう一つ,運営側に文句を言うならば,サイン会をやるのはいいが,CD購入者先着50人というのはまぁいいとして,サイン会のフロアで知り合いを待つことも許さないというのはどういうことなのか?別にこっちは写真を撮ろうと思っている訳でもないし,迷惑をかけるつもりもないが,ああした運営は人を不愉快にさせるだけだ。

ミュージシャンは基本的にオープンな人が多いから,別にCDの購入者とだけ交流したいと思っている訳ではないはずだ。普通のジャズ・クラブなら気軽に話しかけて,サインにだって応じてくれる人がほとんどである。そもそも私はMehlianaでの来日時に,Brad Mehldauには何枚かのCDにサインをもらっているし,"Elegiac Cycle"の楽譜本にもサインをもらっているので,今回敢えてサイン会に参加する理由もなかったが,訳のわからない,あるいはまったく意味のない排除的な対応は正直言って拝金主義的で感じが悪いのはもちろん,会場担当者の対応も,なぜそこで待っているのがダメなのか全く論理的な説明ができないのは不愉快以外の何ものでもなかった。演奏は素晴らしいものだったと思えるだけに,以上の2点は実に残念であったが,これはBrad Mehldauの責任ではない(きっぱり)。

でも,今回,Brad Mehldauは(いい意味で)別次元に行ってしまったなぁと思っていた私である。それについては改めて書く機会を見つけよう。

Live at よみうり大手町ホール on June 3, 2019

Personnel: Brad Mehldau(p)

2019年6月 3日 (月)

久々に聞いたWarren Zevonの”Sentimental Hygiene”。こんなにヘヴィなアルバムだったか...。

_20190602 "Sentimental Hygiene" Warren Zevon(Virgin)

先日,このブログでWarren Zevonの"The Envoy"を取り上げた時,今度はVirginレーベルのアルバムも聞き直してみるか,みたいなことを書いた(その時の記事はこちら)。このアルバムは私がまだNYCに在住していた頃に現地で購入したもののはずである。NYCにいた頃は手持ちのCDの数も限られていたので,結構な頻度で聞いていたような気もするが,最近は全然聞いていなかったように思う。そして久々に聞いてみると,かなりヘヴィなテイストを持ったロック・アルバムであった。

そもそも冒頭のタイトル・トラックからして,Neil Youngのギター・ソロがいかにも兄貴な感じの激しさなのだが,アルバムのトーンとしても一貫して激しさを感じさせるものだったのは,何とも意外な気がしてしまった。こんな感じだったっけ?って思うのは,いかにこの音源から離れていたことの裏返しだが,これは純粋なロック・アルバムとしていけていると思ってしまった。よくよく見てみれば,バックはほとんどの曲でR.E.M.のメンバーが支えているから,ロック・テイストが強いのも当たり前なのだが,そんなことに今更気づいている私もどうなのよって感じである。

本作は"The Envoy"後にAsylumレーベルとの契約を打ち切られて,レーベルをVirginに移しての第1作になる。アルバムとしては"The Envoy"から5年も経っているから,Warren Zevonにも再起に向けた意気込みが強く,それがこうしたアルバムのトーンに影響を与えたと言えるのではないかと思える。Warren Zevonの声とかには全然変化はないが,間違いなく激しさは増している。感覚的に言えば,Iggy Popの”Brick by Brick"にさえ近い感覚をおぼえてしまった。それは決して悪い意味ではない。私は”Brick by Brick"も相当好きなので,私の好みってことである。だが,最後の"Leave My Monkey Alone"に関しては,テイストが違い過ぎて,これは...って気がする。この曲だけGeorge Clintonがアレンジを施しているが,そういうことならさもありなんだが,やっぱり浮いている。

いずれにしても,せっかく再起を期するのに,この地味なジャケはどうだったのかねぇと思ってしまう。これじゃ音楽が刺激的でも,購入意欲が上がらない人多数ではなかったのか。ということで,このアルバムが売れたという話もあまり聞いたことがないなぁ。しかし,これはなかなか
いいアルバムだと思う。星★★★★。

Personnel: Warren Zevon(vo, g, p, key), Peter Buck(g), Neil Young(g), Waddy Wachtel(g), Brian Setzer(g), Blackbird McKnight(g), Mike Campbell(g), Rick Richards(g), David Lindley(lap steel, saz), Darius(sitar), Jai Winding(key), Amp Fiddler(key), Jorge Calderon(b, vo), Mike Millls(b), Tony Levin(b), Leland Sklar(b), Flee(b), Bill Berry(ds), Craig Krampf(ds), Bob Dylan(hca), Don Henley(vo), Stan Lynch(vo), Michael Stipe(vo), Jennifer Warnes(vo)

 

2019年6月 2日 (日)

実に素晴らしかったBrad Mehldau Trio@東京国際フォーラム

Brad-mehldau-trio-live

Brad Mehldauがトリオで来日するのは実に久しぶりのことのはずだ。前回は2012年だから7年ぶりってのは間が空き過ぎではないかと思ってしまうが,MehlianaやJoshua Redmanとのデュオでも来ているので,それほど久々感はない。しかし,前回のトリオ公演には正直言って不満があった私(その時の記事はこちら)なので,今回はPAに左右されない演奏が聞きたいと思って,東京国際フォーラムに乗り込んだ私である。

今回のライブについてはFBページが設けられており,全公演のセットリストがアップされているが,毎日違う曲をやっているようだ。東京国際フォーラムでのセットリストは下記の通りであるが,冒頭の"Sehnsucht"からして,非常に美しい響き,そしてコンサート・ホールらしいPAにまず安心した私である。それにしても,冒頭2曲で完全に聴衆をうっとりさせるのに成功したと思わせるに十分。実に素晴らしい演奏であった。特に私が痺れたのは"From This Moment on"だったが,この演奏を聞いて,Brad MehldauというピアニストはCole Porterの曲と実にマッチするという点である。そして,アンコール前に弾かれた”When I Fall in Love"の終盤のカデンツァの美しいことよ。

そして,アンコール3曲がこれまた素晴らしい。"Tenderly"という曲がこれほど魅力的に響いた経験はなかったと言ってもよいし,"Secret Love"なんて,非常にテンポを落とした形で演奏されつつ,曲の持つ美しさ,あるいは「秘めたる恋」を体現するような演奏には心底まいってしまった私である。

更に,今回はJeff Ballardのドラミングにも感心させれた。このトリオにぴったりなサトルな感覚だけでなく,決してうるさくならないドラミングは彼への評価を一段高めるものだったと言ってよい。Larry Grenadierも結構長いソロ・スペースを与えられていて,実力発揮していたが,私には今回はJeff Ballardが印象に残ったと言っておこう。

私としては7年前のトリオ公演のリベンジを完全に果たしたという感じで,実に満足度の高いライブであった。当然のことながら6/3に予定されているソロ公演への期待は更に高まった私である。

尚,上の写真はおそらくサントリー・ホールでのライブの時のものと思われるが,FBページより拝借したもの。東京国際フォーラムもほぼ同じ感じだった。

<Set List>
Sehnsucht (B. Mehldau)
Gentle John (B. Mehldau)
Bee Blues (B. Mehldau)
Inchworm (F. Loesser)
Backyard (B. Mehldau)
From this Moment on (C. Porter)
When I Fall in Love (V.Young/E. Heyman)

<Encore>
Tenderly (W. Gross)
Secret Love (S. Fain/P.F. Webster)
Long Ago and Far Away (J. Kern, I. Gershwin)

Live at 東京国際フォーラム ホールC on June 1, 2019

Personnel: Brad Mehldau(p), Larry Grenadier(b), Jeff Ballard(ds)

2019年6月 1日 (土)

John Scofield Combo 66@Blue Note東京参戦記:やらかしちまった!

John-scofield-at-blue-note

更新が滞ってしまった。先日,John Scofieldの新バンド,Combo 66のライブを観るために,ブルーノートに行ったのはいいが,またやらかしてしまった私である。実は当日,このステージの前に会社の飲み会があり,酒は控えめにしておこうと思いつつ,結構飲んでしまった。開演10分前に到着した頃は,自分では大丈夫だと思っていたのだが,途中15分ぐらいの記憶がない!セットリストでは”Au Prevave"もやったとのことだが,そこの記憶がない。あの時の感覚で言えば,おそらく15分ぐらいは「落ちて」いたはずである。実に情けない。

それはさておきである。このバンド,実力者の集団である。私はジョンスコのライブはほとんど縁がなく,実際に彼のライブを観たのは,在米中のSweet Basilでのライブに遡るはずだから,既に四半世紀以上前のことである。それ以降も私はジョンスコとはつかず離れずって感じだが,全部買うとか,そういうことではないのだが,このバンドのメンツはやはり魅力的に見える。とは言いながら,今回のライブに行く予習のために買ったもので,それまではストリーミングで聞いていたのだから,えらそうなことは言えない(苦笑)。

そして,今回のライブであるが,おぼえている範囲で言えば,結構響きはオーセンティックだと言ってよいが,ジョンスコの変態的なフレージングは健在。まさにあの響き,One And Onlyである。そして彼を支えるメンツ,やはりレベルが高い。特にBill Stewartの煽りは素晴らしく,バンドをドライブさせる推進力はビルスチュに依存していたと言ってもよいだろう。そしてGerald Clayton。さすがの血筋を感じさせるフレージングには才能を感じさせるもので,ピアノもオルガンもうまいものである。オルガンのペダルは使っていなかったようだが,それでもオルガンから生み出されるブルージーな感覚はジョンスコとの相性もよかったと思う。そして,目立たないながらもしっかりとボトムを支えるVicente Archerって感じで,クァルテットとしては実によく出来た組合せってところであろう。

こういうバンドのライブに接する機会を得ながら,短い時間とは言え,寝落ちしてしまった私は実にアホである。ライブの前に飲み過ぎてはいかんということは,昨年のSimon Phillipsのライブでも経験済みであったにもかかわらず,同じ過ちを繰り返してしまった。反省,反省。尚,上の写真はブルーノートのWebサイトから拝借。

Live at Blue Note東京 on May 29, 2019,2ndセット

Personnel: John Scofield(g), Gerald Clayton(p, org),Vicente Archer(b),Bill Stewart(ds)

2019年5月29日 (水)

Kendrick Scott Oracleの新作:驚きはないが,よく出来たアルバム。

_20190527 "A Wall Becomes a Bridge" Kendrick Scott Oracle(Blue Note)

この記事を書こうと思って,過去の投稿を振り返ってみると,何と私はKendrick Scottのアルバムについては記事をアップしておらず,ライブについてのみ書いていたことがわかって,あれ~,そうなんだ...と独りごちてしまった。そうは言いつつ,Kendrick Scottのライブは1回しか見たことがないし,直近の来日公演も都合がつかず,行けなかった。おそらく,この新作からの曲も演奏したであろうはずのライブだったので,行きたかったのだが,まぁ仕方がない。

Kendrick Scottのアルバムは前作,"We are the Drum"と前々作,"Conviction"を保有しているが,コンテンポラリーなサウンドが展開された,いかにも今のNYC的なジャズ・サウンドが聞けて,実に嬉しかったというのが実感だ。それに続くアルバムであるが,今回はターンテーブルの導入など,今までにない取り組みもあり,コンテンポラリー度はこれまでと同様とも言えるが,ややRobert Glasper的な感覚,あるいはヒップホップ的な感覚が高まったとも言えるかもしれない。それはサウンド・エフェクトを加味していることからも感じられるが,Derrick Hodgeが今回もプロデュースしていることもあれば,やはりRobert Glasperとは一脈通じるところがあるミュージシャンなのだと思える。まぁ,彼らはBlue Note All Starsのアルバムでも共演しているし,二人ともGretchen Parlatoともつながりがあるから,同質性はあると言ってもよいのだろう。

そして,このバンド,メンツのレベルの高さが半端ではないというのが,今回も変わりなく,特にMike Morenoのフレージングは突出した魅力を持っているように聞いた。これはライブで彼らを聞いた時も同じ感覚であり,Oracleのサウンドにおいて,Mike Morenoの果たす重要性を認識できる。その一方,ライブではプッシュが効いているKendrick Scottのドラミングは,今回はちょっと控えめのようにも思えた。彼らの演奏にも驚かなくなったということもあるとは思うが,それでも十分にレベルの高い佳作ではあると思う。ってことで,星★★★★ぐらいにしておこう。

尚,このアルバムのタイトルはライナーには明示的には書いていないが,アンチ・トランプのメッセージだと思える。

いずれにしても,このバンドの最新ライブは見ておきたかったというのが正直なところだが,後悔先に立たず。

Personnel: Kendrick Scott(ds, vo), John Ellis(ts, ss, b-cl, cl), Taylor Eigsti(p, rhodes), Mike Moreno(g), Joe Sanders(b), DJ Jahi Sundance(turntable)

2019年5月27日 (月)

今回も素晴らしい音場を聞かせるBill Frisell~Thomas Morganのデュオ・ライブ。

_20190526-2 "Epistrophy" Bill Frisell & Thomas Morgan(ECM)

Bill FrisellとThomas Morganのデュオによるライブ,"Small Town"がリリースされたのが2017年のことであった。それから約2年を経て,同時期に同じくVillage Vanguardで録音された姉妹編ライブがリリースされた。前作が出た時,私はVanguardのような場所でこういう演奏が展開されたことに驚きを覚えた(記事はこちら)のだが,今回もメンツが同じなのだから,同一路線であることは当然である。しかし,こうして2枚目が出るってことは,ボツにするには惜し過ぎるとManfred Eicherが感じたからなのかもしれない。まぁ,それも納得できる演奏である。

それにしても面白いレパートリーである。「ラストダンスは私に」とか,「007は二度死ぬ」のテーマ,"You Only Live Twice"とかをやってしまうってのがそもそも普通ではない。だが,こういう曲がタイトル・トラックであるThelonious Monk作"Epistrophy"や"Pannonica"と並んでいても,何の違和感もないってのが逆に凄い。まぁ,前作でも"Goldfinger"をやっていたから,結構007好きなの?と思ってしまう(笑)。年齢からするとビルフリの趣味だろうが...。いずれにしても,"You Only Live Twice"はイントロから,原曲のメロディ・ラインを結構忠実に弾いていて,へぇ~と思ってしまった。こういうのも大いにありだなとも思う。

上述の2曲を除けば,選曲からすれば,結構ジャズ的なチョイスと言うこともできるのだが,サウンドとしては,もはやこれはジャズ的と言うよりも,私にとってはアンビエント的な感覚さえ覚えてしまう。だが,これはやはり中毒性があると感じてしまうアルバムである。甘いの承知で星★★★★☆

Recorded Live at the Village Vanguard in March 2016

Personnel: Bill Frisell(g), Thomas Morgan(b)

2019年5月26日 (日)

真夏のような暑さの中で”Blue”を聞く。

_20190526 "Blue" Joni Mitchell(Reprise)

私はJoni Mitchellのファンだとか言いながら,実はこのブログでは彼女の公式アルバムについてはあまり記事をアップしていない。これまでは"Hejira"と"Miles of Isles"ぐらいしか取り上げていないはずである。だが,そろそろちゃんと彼女のアルバムについて書いた方がいいのではないかと思ってしまったのは,ブログのお知り合いの910さんが,ジャコパス入りのJoni Mitchellのアルバムを連続投稿されていることも影響しているのは間違いない(笑)。

ってことで,外では5月下旬とは思えない暑さが続く中,ピックアップしたのが"Blue"である。これをJoni Mitchellの最高傑作に挙げる人は多いし,世の中の評価も無茶苦茶高い。米国の公共ラジオNPRは本作を”Greatest Album of All Time Made by a Woman"に挙げているぐらいである。私個人的なJoniの最高傑作は"Hejira"ではあるが,このアルバムに収められた曲のクォリティの高さは,"Hejira"とはちょっと違う世界ではあっても,レベル的には同等と言ってよい。私が"Hejira"を評価するのは音楽全体としてだが,個別の表現という意味では"Blue"の方が強烈である。

このアルバムに収められているのは,私小説的心象風景とも言われるが,このアルバムはJoni MitchellとGraham Nash,あるいはJames Taylorとの恋に破れたJoniの感情が表出しているがゆえに,シンガー・ソングライターの世界における金字塔と言っても過言ではない評価を得ているとも思える。歌詞を真面目に読むと,それこそ切なくなるような表現に満ちているが,これぞ音楽による心もようの描出と言ってよいであろう傑作。ここまで来ると純文学。改めて聞いているとグサグサ心に刺さる。星★★★★★以外あるまい。

Personnel: Joni Mitchell(vo, g, p, dulcimar), Stephen Stills(b, g), James Taylor(g), Sneaky Peat Kleinow(pedal steel), Russ Kunkel(ds)

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