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2016年おすすめ作

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2018年6月24日 (日)

Fred Herschとクラリネット・デュオの旧作を今更ながら...。

"Da Vinci" Nico Gori & Fred Hersch (Bee Jazz)

Da_vinci先日,Fred HerschがクラリネットのAnat Cohenと共演したライブ盤についての記事をあっぷした(記事はこちら)が,それに先立ってHerschはクラリネットとのデュオ・アルバムを出していたのを思い出し,今更ながら記事のアップである。

Anat Cohenとのライブも非常にいい出来だったと思うが,このアルバム,選曲のよさもあり,ライブ盤に勝るとも劣らない作品と思える。スタンダード"Old Devil Moon"で幕開けるが,その後,近年のFred Herschのライブにおいても主要なレパートリーになっているFred Herschのオリジナルや"Doce de Coco"のような曲が並んでいるところに,Fred Herschのファンなら嬉しくなってしまうはずである。

パートナーの煮こごり,もとい,Nico Goriは1975年フィレンツェ生まれだそうである。その活動はイタリア国内が中心と思われるが,Fred Herschとのコンビネーションも上々のリリカルなサウンドを奏でている。"Mandevilla"のような曲では牧歌的なところさえ感じさせるが,全編を通して優れた演奏が聞ける。

もちろん,これらの曲の演奏はFred Herschのソロであってもいい訳だが,これはFred Herschの音楽性とも合致した演奏であり,高く評価したくなる一枚である。まぁ,強烈なインタープレイという感じでもないが,落ち着いた大人の対話みたいなものである。

実を言えば,私はこのアルバムはダウンロードで音源を仕入れていたのだが,先日のAnat Cohenとのライブを聞いて,本作を改めて聞いて,曲のよさに再度気づくということで媒体を購入したものである。本作をリリースしたBee Jazzレーベルはフランスの独立レーベルだが,最近は活動が伝わってこないところを見ると,倒産した可能性が高いので,本作も媒体としては入手が難しくなるかもしれないので,今更ながらではあったが,手に入れておいて正解だったかもしれない。星★★★★☆。尚,エンジニアリングは昨今話題になることが多いStefano Amerioである。

Personnel: Nico Gori(cl), Fred Hersch(p)

2018年6月23日 (土)

数々のピアノ曲とSufjan Stevensのオリジナルにしびれる「君の名前で僕を呼んで」のサントラ。

"Call Me by Your Name:Original Motion Picture Soundtrack" Various Artists (Madison Gate)

_20180623以前映画に関する記事もアップした「君の名前で僕を呼んで」(記事はこちら)のサントラである。そこには私は「本作は音楽が素晴らしく,久しぶりにサントラ盤が欲しくなってしまうものであった」と書いたが,有言実行である。

まず,この映画を見ていて,そう思ったのは,映画で流れるピアノ曲の美しさであった。特に冒頭に流れるJohn Adamsの"Hallelujah Junction"に痺れてしまって,サントラが欲しいと思ったのだが,そのほかにも坂本龍一の曲も非常にいい感じであった。だが,この本当にこのサントラを欲しいと思わせたのは,Sufjan Stevensがこの映画のために書き下ろした曲の素晴らしさであったと言っても過言ではない。この映画のためにSufjan Stevensが書いたのは"Mystery of Love"と"Visions of Gideon"の2曲だが,これが本当にいい曲なのだ。更に旧作"The Age of Adz"に収録されていた"Futile Devices"のリミックス・ヴァージョンであるが,こんなにいい曲だったか?と思わせるに十分である。

それ以外は映画の時代背景を反映したディスコ調の曲であるが,それらはさておき,私にとってはピアノ曲とSufjan Stevensがあればこのアルバムは成立である。映画と音楽が一体化した優れた事例である。とにかくここでのSufjan Stevensのオリジナルを聞いて頂ければ,わかってもらえると思う。星★★★★☆。せっかくなので,Sufjan Stevensによる書下ろし2曲を貼り付けておこう。 

2018年6月22日 (金)

まさに枯淡:Chris AndersonとCharlie Hadenのデュオ作。

"None But the Lonely Heart" Chris Anderson & Charlie Haden (Naim)

_20180617_3ブログのお知り合いの910さんが,ここのところCharlie Hadenのデュオ・アルバムの記事をアップされていて,そう言えばこんなのもあったなぁということで,久々に聞いたアルバム。

ピアノのChris Andersonは骨化不全症と盲目という二重のハンディキャップを背負いながら,独特なフレージングで,Herbie Hancockにも影響したと言われるミュージシャンである。Chris Andersonのアルバムは決して多くない中,本作はデュオ名人,Charlie Hadenとの共演を果たしたもの。まぁ,Chris Andersonその人そのものの知名度は必ずしも高くないだろうし,これもイギリスのNaimレーベルという地味なレーベルからのものなので,あまり目立つ作品とは言えないかもしれない。

だが,ここでの演奏は,基本的にバラッドで占められたものであり,一言で言えば地味であるが,それこそ渋い。まさに「枯淡」という表現しか思い浮かばない作品である。決してきらびやかな作品ではないし,ワクワクするような感覚のものでもない。しかし,この作品の持つ何とも言えない味わいにはまさに捨て難い魅力がある。

Charlie Hadenはいつもながらのベースって感じで演奏を行っているが,こういうセッティングには本当にぴったりの音を出す人だと思える。そして,Chris Andersonはあるいみクセのあるピアノを弾く人だと思っているが,ここでは非常に抑制された演奏となっており,夜中に聞くには最適だなぁと思わせる。今はなき,Bradley'sなんかでよくこういう演奏をしていたなぁと思いだしてしまう私だが,Bradley'sをこよなく愛していた私にとって,極めてフィット感の高い音楽である。2人の共作のブルーズ1曲以外は,渋めのスタンダードというレパートリーもいいねぇ。

歴史的な名演とかそういう類のものではないが,こういうのを愛すべき小品と言う。星★★★★☆。

Recorded on July 5-7, 1997

Personnel: Chris Anderson(p), Charlie Haden(b)

2018年6月21日 (木)

Mike Stern@Blue Note東京参戦記

C6e84354418b4fabb6b00663c45bcd0d私はMike Sternのファンである。なので,彼が来日するとなれば,ライブには出掛けるし,NYC出張中に55 Barやほかのヴェニューに出ることがわかっていれば,駆けつける。4月のNYC出張中も,後輩を引き連れて55 Barに行った。そのマイキーが小曽根真,Tom Kennedy,Simon PhillipsでBlue Note東京に出演するとあって,今回も行ってきた。

NYCでの演奏でもわかっていたのだが,手の怪我の影響は演奏には出ていないが,手の状態は握手をするのも大変な感じなのは痛々しい。それでも,彼のファンを大事にする明るいキャラで救われている感じがする。

今回もマイキーの演奏は快調そのもの。Tom Kennedyはボトムを支えるだけでなく,ファンキーなソロもよかった。そしてSimon Phillipsは明らかにマイキーとのハードな共演を楽しんでいると思われ,今回も超タイトなドラムスを聞かせてくれた。今回のドラムスの興奮度はBill Evans(サックスの方)のBlue Note東京におけるライブ盤におけるDennis Chambersのドラムスを彷彿とさせるものだった。今回,驚いたのはSimon Phillipsが右手でも左手でもシンバル・レガートを決めていたことだが,それを見て彼は両手利きなのか?と思っていた私である。

642f0b0020b949439312ba580720ebcd ということで,彼らの演奏には全然不満はない。私が不満なのははっきり言って小曽根真である。どうして,マイキーのバンドにほんの短い時間とは言え,クラシカルなサウンドを持ち込まなければならないのか?ああいうのはChick Coreaとやってくれよと言いたい。マイキーも小曽根に合わせてパラパラとフレーズを弾いていたが,マイキーのファンはあんな音は求めていない。Tom KennedyとSimon Phillipsがリーダーたるマイキーの音楽を尊重していたのと真逆である。ピアノをお上品に弾くのは自分のライブでやってくれればいいし,はっきり言うが,全然合っていない。小曽根真はやろうと思えば,ちゃんとアーシーなオルガン・プレイだってできるのは4年前の同じBlue Note東京でのマイキーとの共演でわかっているのに,オルガンさえも大して面白いとも思えず,今回は非常に印象が悪かったと言っておこう。私はどうせなら小曽根真抜きのトリオでやってくれと思っていたというのが本音である。

19ca54a6b36142b2bdba7430de843a21まぁ,それはさておき,ライブ終了後に縁あって楽屋を訪れることができたが,Tom Kennedyもナイスガイなのには本当に嬉しくなった。マイキーもTom Kennedyも本当にいい人たちなのであった。小曽根真の演奏に納得できていなかった私だが,マイキーとTomとの会話で気を取り直したのであった。マイキーは4月に55 Barで会ったのを覚えてるとか言っていたが,ほんまか?と思いつつついつい喜んでいた私である。ってことで,今回の戦利品と「マイキーと私」,「Tom Kennedyと私」の写真をアップしておこう。“Trip”のCDには地味にTom Kennedyのサインも入っているが,わかるかなぁ...。

Live at Blue Note東京 on June 18,2018

Personnel:Mike Stern(g, vo), 小曽根真(p, org), Tom Kennedy(b), Simon Phillips(ds)


2018年6月20日 (水)

日本代表,コロンビア撃破! 嬉しいねぇ。

523cbd14019e4b2da03afb249e92d8d1対戦前にはコロンビアに勝つと思っている日本人が少なかったというのが,今回の日本代表への期待レベルではないかと思うが,勝っちゃったねぇ。見事な,そして嬉しい裏切りだ。

私は出張先の下関のスポーツバーで試合を見ていたのだが,勝ったからよかったものの,ほぼ試合を通して11対10の数的優位に立ちながら,実質的に優位に立てないという点では欲求不満だった私である。つまらないミスもあったし,プレスもサイド・チェンジも十分ではなかったと思う。しかもスポーツバーにいた連中はほとんどサッカーを理解していないと思わせたから,結構私はさめていたが,それでもこの勝利はでかい。勝てば官軍である。また眠れぬ夜が長くなっても仕方ない。

とにもかくにもPKを決めた香川も,決勝点を決めた大迫も見事であった。実は香川のPKのシーンでは天に祈り,決めた瞬間,涙していた私である。いずれにしても次戦はポーランドを倒したセネガル戦だ。次戦は決勝トーナメント進出の鍵を握る重要な一戦だ。次も頑張れニッポンだ!

2018年6月19日 (火)

Jack Wilkins:それにしてもよく指が動くねぇ。

"Keep in Touch" Jack Wilkins - Kenny Drew Jr. Quartet (Claves)

_20180617_2_2先日,Jack Wilkinsの初リーダー作"Windows"をこのブログで取り上げたが,私は結構,Jack Wilkinsのアルバムを律儀に買ってきた方である。正直なところ,アルバム単位で言うと,あまり面白みも感じなくなったので,最近はそういうこともなくなったが,ある程度の枚数は保有している。しかし,一部を除いてすぐに取り出せる場所にはない。その程度の評価が私の中では確立してしまっている。このCDも別の探し物をしていて,気まぐれで取り出してきたもの。

 そんなJack Wikinsのアルバムは好き者が注目するぐらいで,全然盛り上がってこないのは,彼のをきい実力を考えれば,非常に不思議なことである。非常にもったいないことではあるが,まぁそれもどうこう言っても仕方ないのかなぁと思ってしまう。

そのJack Wilkinsのテクニックがまさに素晴らしいものであることは,このアルバムを聞いてもすぐにわかる。スピード感とアーティキュレーションに優れた,コンベンショナルなジャズ・ギターと言ってよいだろう。そこに多少コンテンポラリー感を付加するのも,いかにもJack Wilkins的。ここでも高速フレーズを連発しながら,淀みのないフレージングを展開している。そこに,これまた結構なテクニシャンであるKenny Drew Jr.のピアノが相まって,なかなかにご機嫌な演奏が展開されている。

まぁ,それでもうまいのはわかるのだが,ちょっと似たような感じの演奏が続く印象があり,もう少しメリハリをつけてもいいような気がするし,こっちもちょっと「おなか一杯」って感じがしてしまうのはちょっと惜しい。それは演奏時間が70分近いということもあるかもしれないが。レパートリーは多岐に渡っており,Kenny Wheelerの"Smatter"なんて曲はかなりいいねぇと思わせるが,アルバムのトーンの一本調子感は否めない。まぁ,それでもちゃんと”If You Could See Me Now"なんてしっとりとやっていてかなりいいし,Jack Wilkinsのアルバムの中では,かなり聞きどころを持ったアルバムであり,もうちょっと手に取りやすいところに置いておこうと思うには十分であった。佳作と言ってよいアルバムとして星★★★★。

Recorded on May 18 & 19

Personnel; Jack Wilkins(g), Kenny Drew Jr.(p), Andy McKee(b), Akira Tana(ds)

2018年6月18日 (月)

Eric Claptonのブルーズ・アルバムならもっといいものができるような...。

"From the Cradle" Eric Clapton (Warner Brothers)

_20180617誰もEric Claptonのブルーズに対する愛情は否定しないだろうし,素晴らしいブルーズ演奏を残していることも認識しているだろう。だが,この1994年にリリースされたこのブルーズ・アルバムはどうもあまり面白くない。

私にとって,このCDがトレイに乗る回数が少ないのは,冒頭の"Blues Before Sunrise" から聞かれる力みまくったClaptonのヴォーカルに行き過ぎ感をおぼえるからだと言っても過言ではない。イントロのスライド・ギターなんてそれこそぶちかまし的で,期待をさせるところが大きいにもかかわらずである。

そして,このアルバムを通じて,Claptonのギターを聞いている限りは,結構かっこいいねぇと思わせるのだが,ヴォーカルを含めた全体の演奏を聞いていると,強く感じる「一丁上がり」的なところが私をさめさせるのである。かなり激しいギター・ソロを聞かせても,私としては一向に高揚感が盛り上がってこない。そして,こういうアルバムに求められるであろう「渋さ」が感じられないところには違和感がぬぐえない私である。ギター・ソロは聞くべきところがあるが,全体では星★★☆ぐらいにしか評価できない。やはりここでのClaptonには力みを感じるというのが正直なところ。これがインスト・アルバムだったらもう少し印象が違っていたかもなぁ。

Personnel: Eric Clapton(vo, g), Dave Bronze(b), Jim Keltner(ds),Andy Fairweather Low(g), Jerry Portnoy(hca), Chris Stainton(key), Roddy Lorimer(tp), Simon Clarke(bs), Tim Sanders(ts), Richie Hayward(perc)

2018年6月16日 (土)

祝ワールドカップ開幕。

C5ec6ba435cf4f4086e2cce860adae70 今年も4年に一度の祝祭の季節がやってきた。今朝早朝には早くもスペイン〜ポルトガルという注目の一戦があり,朝から興奮していた私である。

圧倒的ボール支配のスペインに対し,少ないチャンスを3点につなげたChristiano Ronaldoの戦いは見応え十分。彼らの持つ素晴らしい決定力は日本代表に分けて欲しいって感じである。あのCR7の同点ゴールとなったFKはまさに芸術的。朝からいいものを見せてもらった。

一方,開幕戦のロシアの大勝を見ていて,事前の下馬評はあてにならないってことが,日本代表にも当てはまらないかなぁなんて漠然と思っていた私である。来週火曜日はいよいよ初戦となるコロンビア戦である。ぜひ日本代表にも前線でのプレスを効かせた戦いぶりを期待することにしよう。乾と香川は先発させるだろうが,どのようなフォーメーションでも,とにかくプレスである。頑張れ!日本代表‼︎

2018年6月15日 (金)

Christian McBride's New Jawn@Cotton Club参戦記

Christian_mcbride_at_cotton_club

今日はChristian McBrideの新しいバンドであるNew Jawnのライブを見るために,Cotton Clubに行ってきた。今回は早割チケットみたいなのがあって,3割引きだったのは結構お得感ありである。

まぁ,これまでのChristian McBrideの活動からすれば,そこそこ埋まるだろうとは思っていたが,だいたい85~90%の入りってところだっただろうか。それでもって,今回のライブであるが,ピアノレスの2管クァルテットということもあり,これってOrnette Colemanを意識しているのではないかという感じもあったのだが,演奏が始まってすぐに,おぉっ,これはスポンテイニアスだと思ってしまった私である。ピアノレスであることにより,演奏の自由度が高まることは想定内であったが,ほぼフリー一歩手前みたいな演奏であり,私は演奏の質には満足していたのだが,どうもCotton Clubというヴェニューに合わないなぁとずっと思っていた。

こういう音楽がフィットするのはNYCであれば,Village Vanguardとかであり,東京ならばPit Innだろうって気がする。Cotton Clubに集う聴衆にも,Cotton Clubという場所そのものにも合っていないのである。冒頭に演奏したのはWayne Shorterの"Sightseeing"だと言っていたが,ってことはWeather Reportでやっていた曲ってことになるが,ほとんどテーマを除けば,それらしい感覚は得られないって感じのなのだ。ビートは自由に変動するし,ドラムスのNasheet Waitsは,相当の煽りを入れる。本当に自由度が高いので,実は一番盛り上がったのが,アンコールでやったOrnette ColemanとPat Methenyが"Song X"で演じた"The Good Life"だったっていうのが象徴的である。この曲,"Song X"の20周年記念盤に収録されている曲だが,Ornetteらしい不思議なメロディ・ラインでありながら,この日,唯一ビートが安定していた曲なのだ。

結局のところ,フリーに近い演奏に慣れていない一般的な聴衆,あるいはCotton Clubというヴェニューを別の目的で使う人々にとっては,イメージと違うってことになってしまうのは仕方あるまい。繰り返すが,私は音楽には全然抵抗はなかったのだが,場所柄どうなのよって疑問だけが強く感じられたのであった。

まぁ"New Jawn"というバンド名はフィラデルフィア地方の表現からすれば"Something New"ってことになるはずなので,まさにChristian McBrideにとっては,これまでとちょっと違う音楽だったということは間違いのない事実である。

そうしたバンドの演奏の中で,ドラムスのNasheet Waitsは以前,Fred Herschと一緒にやっていたとは思えない叩きっぷりなのには驚いた。パワー,スピードを兼ね備えた器用なドラマーであることがわかったのは収穫である。

ただ,どうなのかねぇ。リーダーはMCも兼ねて人当たりがいいのは前からわかっていたが,ラッパのJosh Evansの愛想のなさは,ちょっと行き過ぎではないかと思えた。別に聴衆に媚を売る必要はないが,オーディエンスとのコミュニケーションなりはもう少し大事にする姿勢があってもいいように思える。Nasheet Waitsも同じようなもんだったが,最近のミュージシャンには珍しい不愛想ぶりが際立ったのは残念。Miles Davisだって不愛想だっただろうという人もいるかもしれないが,Josh Evansの実力,そして認知度はこのバンドで一番下なのだ。もう少し謙虚な姿勢を示してもいいと感じてしまう。

いずれにしても,私は音楽自体は聞いていて結構面白いと思っていたが,やっぱり場所の選択は間違ったと言わざるをえないというのが今日の結論。なんだか惜しいねぇ。Christian McBrideのライブとしては,前回聞いたトリオでの演奏の方が圧倒的に楽しかったと思わせてしまうところがもったいないのである。

Live at Cotton Club東京 on June 14, 2018

Personnel: Christian McBride(b), Josh Evans(tp), Marcus Strickland(ts, ss, b-cl), Nasheet Waits (ds)

2018年6月14日 (木)

久しぶりに聞いたら非常に面白かったHelen Merrillの"Brownie"。

"Brownie: Homage to Clifford Brown" Helen Merrill (Verve)

_20180613クロゼットの奥深く(笑)から取り出してきたアルバムである。保有していることはわかっていても,近年,全然聞く機会がなかったこのCDを気まぐれで取り出してきたのだが,久しぶりに聞いたら,これが結構味わい深くてびっくりしてしまった。保有しているCDでこういうのって,実は結構あるのではないかと思うのだが,だからたまにはちゃんと聞かないといかんのである(きっぱり)。

本作は企画アルバムながら,筋の通った制作ぶりが実によい。タイトル通り,Clifford Brownに捧げたアルバムであるが,これが録音されたのは,EmarcyレーベルにHelen MerrillがClifford Brownと吹き込んだアルバムから40年目という節目であった。それもあって,Clifford Brownゆかりの曲や,二人の共演アルバムにおけるClifford Brownのソロを採譜して,トランペット・アンサンブルで演奏させてしまうという演出も行われている。

このアルバムには4人のトランぺッターが参加しているが,一番いけていないのがWallace Roneyであることは誰が聞いても明らかだろう。ほかの3人と技量が違うというか,イマジネーションに欠けるのである。Tom HarrellやRoy Hargroveと比べれば,歌心においても違いがあり過ぎる。Lew Soloffはアンサンブル・リードって感じの役割が主だったと言ってよいと思うが,ソロに関してははTom HarrellとRoy Hargroveが本当にいい仕事をしている。だからこそ,Wallace Roneyとの落差を感じる私である。

そして,このアルバムを評するとすれば,まさに「味わい」ということであろう。これほどの味わい深さを持っていたという印象はなかったのだが,久しぶりに聞いて自分の審美眼のなさを通過してしまった。まぁ,正直言ってしまうと,Clifford Brownのソロをアンサンブルでなぞるってのは大した魅力を感じないのだが,それでもHelen Merrillの渋い歌唱もあって,このアルバムは私が思っていたよりずっとよいアルバムであった。反省も込めて星★★★★☆としよう。このアルバムが吹き込まれてから四半世紀近くが経過しているが,これこそ温故知新であった。

Recorded on January 21, 22 and 23, 1994

Personnel: Helen Merrill(vo), Tom Harrell(tp, fl-h), Lew Soloff(tp), Roy Hargrove(tp, fl-h), Wallace Roney(tp), Kenny Barron(p), Torrie Zito(key), Rufus Reid(b), Victor Lewis(ds)

2018年6月13日 (水)

大画面で「七人の侍」を見る至福。

「七人の侍」('54,東宝)

Photo監督:黒澤明

出演:三船敏郎,志村喬,木村功,稲葉義男,宮口精二,千秋実,加藤大介,津島恵子

先日,会社を休んでゴルフをする予定だったのだが,天候に恵まれず,ゴルフをキャンセルして,映画を見に行くことにした。前々から「午前10時の映画祭」と題して,新旧の名画を再上映しているのは知っていたのだが,なかなか行く機会に恵まれていなかった。しかし,もう今年で9回目ということで,そこそこ人気がなければ,これだけ続くことはないだろう。もちろん,世の中,映像ソフトはリリースされていて,家庭で見られないこともないのだが,やはり映画館で見る魅力は何ものにも代えがたい。

そして,今回選んだのが「七人の侍」である。私はDVDも保有しているし,いつでも見られるのだが,TVやPCでしか見たことがないので,一度劇場で見たいと思っていたものである。ようやく今回見られたわけだが,1,100円で見られるのであれば,全然文句はない。いずれにしても207分の巨大編である。

映画に関しては何も言うことはないぐらいの傑作であるが,今にして思えば,もう少し尺を短くすることはできたかもしれない。しかし,侍集めがひょいひょい進めば,それはリアリティを失うことになるから,前半については仕方ない部分もあろう。だが,この映画を大画面で見る意義は,後半の戦いのシーンにこそ表れる。特に最後の戦いとなる雨中の激しい戦い,アクション・シーンはまさに歴史に残る名演出と言ってもよいのではないか。今回,大画面で見て,大いに興奮させられた私であった。これは撮影の中井朝一の功績でもある。こんなシーンを撮るのに一体どれぐらいのテイクが必要だったのかは極めて興味深い。

そして,この映画を見ていて,宮口精二のカッコよさを再認識させられた私である。まさにハード・ボイルドなのだが,人間的な優しさとの二面性を見事に示されて,男の中の男と思ってしまった。何度見ても,ここでの宮口精二にはしびれる。

いずれにしても,こんなアクション映画が戦後10年も経っていない日本で撮られていたことは,今にして思えばまさに驚異的。アクション・シーンのスピード感も素晴らしく,文句のつけようがない。星★★★★★。

2018年6月12日 (火)

中古で拾ってきたJazzCityレーベルのDonald Brown盤

"The Sweetest Sound" Donald Brown(JazzCity)

_20180610先日,久々にショップに行って,中古盤を漁っていて見つけたアルバムである。JazzCityってレーベルは愛すべき小品みたいな作品が多くて,見つけるとついつい買ってしまう。このDonald Brown盤はその存在も認識していなかったものだが,安かったこともあり,無条件ゲットである。

Donald Brownは最も注目を浴びたのはArt Blakey & Jazz Messengersに参加していた頃だと思うが,Kenny Garrettとの共演も長いとは言え,やはり地味という印象はぬぐえない。だが,ここでのピアノを聞いていると,実力は十分あることは一聴してわかる。冒頭のCharnette Moffettのベース・ラインから始まるこのアルバムは,リスナーの期待を高めることは確実であろう。

まぁ,その後に続く演奏は,ハード・ドライヴィングではないものの,スウィング感に溢れたものであり,中道的なジャズのよさを感じさせるものだと思える。長らく教鞭を執ることに重きを置いていたため,レコーディング的には華やかなところはあまりないDonald Brownであるが,そうした人にアルバムを吹き込ませるところに,JazzCityレーベルのセンスの良さを感じさせる。

そうは言っても,最後にソロで演じられる"Killing Me Softly with This Song"なんて,いかにもカクテル・ピアノ的で,こういうのはどうなのよ?と思ってしまうが...。それでも,Donald Brownという人に対する注目度を少しでも上げることには貢献したものと思える。アルバムとしてはやっぱり中道中の中道って感じで,星★★★☆。

Recorded in June 1988

Personnel: Donald Brown(p), Charnett Moffett(b), Alan Dawson(ds), Steve Nelson(vib)

 

2018年6月11日 (月)

「万引き家族」は実によく出来た映画であった。

「万引き家族」('18,ギャガ)

Photo監督:是枝裕和

出演:リリー・フランキー,安藤サクラ,松岡茉優,城桧吏,佐々木みゆ,樹木希林,池松壮亮,高良健吾,池脇千鶴

カンヌ映画祭で最高賞のパルム・ドールを受賞した話題作である。珍しくも家人のリクエストがあり,週末に見てきたのだが,これはタイトルからは想像もできないような映画であった。詳しく書くとネタバレになってしまうが,是枝裕和のこれまでの映画とも通じる「家族」がテーマであるが,その内容はかなりほろ苦い。かつ,昨今報じられる児童虐待の問題とも通じるところがあって,身につまされる感覚を覚える部分もある。

映画のポスターには6人の幸せそうな姿が写っているが,映画の中にこのようなシーンは出てこない。これがまさに反語のようにさえ思えてしまった私である。いずれにしても,家族とは何なのとかいうのを改めて考え直したくなるところに,この映画の本質があるわけだが,疑似的な体裁で成り立っている家族が,あまりにももろく崩壊することが描かれるが,それだけでは救いようのない映画となってしまうところに,ちゃんと救いを感じさせるシナリオになっているのがよかった。これは脚本も兼ねた是枝裕和の仕事ぶりを認めなければならない。

演技陣は子役も含めてすべて見事なものであるが,中でも映画後半になってからの安藤サクラの演技が突出している。極論すれば,この映画は安藤サクラの演技を見るだけで価値があると言ってもよいだろう。特に「泣き」のシーンは誰も否定できない力を持っている。これには私も見ていて,本当に感心してしまった。

正直なところ,映画そのものがどんな感じなのかわからず,あまり期待しないで見に行ったのだが,これは見て正解であった。そういう意味では家人に感謝せねば。星★★★★☆。実にいい映画である。かつ松岡茉優は可愛いと声を大にして言っておこう(爆)。

«Fred Hersch & Anat Cohen: Herschの新作ピアノ・トリオ盤よりHerschらしいと言っては言い過ぎか。

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