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2016年6月26日 (日)

Miroslav Vitousが改めてWeather Reportに取り組んだ新作はかなりよい。

"Music of Weather Report" Miroslav Vitous(ECM)

Miroslav_vitousMiroslav Vitousには同じECMレーベルに"Remebering Weather Report"という作品があったが,私は同作については結構否定的な記事を書いている(記事はこちら)。詳しくはそちらの記事をご覧頂きたいが,精神だけを持ち込むのだけでなく,演奏にも相応の反映が合ってもよいと思えたのである。しかし,今回の作品は,”Remembering Weather Report"どころか,"Music of Weather Report"というストレートなタイトルであるから,アプローチにも違いが出ているように思える。

今回の作品は,前作よりはるかにカラフルで,それこそWeather Report的なところを感じさせる要因としてはAydin Esenのキーボードが追加されていることによるところが大きいと思う。そして,2サックス,2ドラムスという変わった編成も,Weather Reportの音の厚みを再構成するには必要だったと解釈すればいいように思える。いずれにしても,最初期のWeather Report的な音が再提示されているような感覚が強い。それはVitousには全く関係のない時代のレパートリーである"Birdland"を再構築した"Birdland Variations"でも同様である。いずれにしても,こういう曲を選んでくるところに,頑固な姿勢を示していたVitousもここではちょっとは丸くなったのかもしれないなぁと思えた。でも録音時期としては"Remembering Weather Report"から大して経過していない頃の録音だが...(笑)。

そういう意味も含めて,気負いを感じさせた"Remembering Weather Report"よりもはるかによくできたアルバムと評価してもいいし,正直これはいいと思えた。星★★★★☆。

本作はMiroslav Vitousの持ち込み音源で,Manfred Eicherの意図は反映されていないように思えるが,それだけ自由度を与えられているということは,VituousはEicherからの信頼が厚いってことになるのだと思う。

Recorded in March and May Robrin 2010, February and March in 2011

Personnel: Miroslav Vitous(b, key), Gary Campbell(ss, ts), Roberto Bonisolo(ss, ts), Aydin Esen(key), Gerald Cleaver(ds), Nasheet Waits(ds)

2016年6月25日 (土)

クソのようなラップによって台無しにされた大西順子の新作。

"Tea Times" 大西順子(Sony Music)

Photo大西順子の新作がリリースされると聞いて,期待値を以てこの新作を聞いたリスナーは少なくないと思う。だが,私は菊地成孔がプロデュースをするという情報を得た段階で若干の不安を抱いていたのだが,今回はその心配が的中してしまったというところである。

私は大西順子のアルバムはほぼ保有しているはずだし,問題作だと言われた"Fragile"もこれはありだと思っていた。復帰後にリリースしたアルバムも高く評価してきたつもりである。だからこそ今回のアルバムには不安もありながら,期待してゲットしたのだが,そんな私の気持ちは8曲目の"Malcom Vibraphone X"で木っ端微塵に打ち砕かれたと言ってよい。

冒頭から,「今風」のRobert Glasper的な音なのはまだ許せる。しかし,"Malcom Vibraphone X"のラップは一体何なのか。リズムには乗れない。更には韻もまともに踏めないのでは,ラップとしての存在意義は全くない。これをポエトリー・リーディングとして開き直るのであれば,それはそれでありかもしれないが,こんな低劣なレベルの歌詞を見て,「詩」だと感じる人間がどれだけいるというのか。

ラップは9曲目の"U Know"にも入ってくるが,これなんて完全にRobert Glasperの焼き直し,あるいはレベルの低いコピーではないかとさえ言いたくなる。私の音楽的な嗜好は,一般の人より間口が広いと思っているので,ラップがダメとかいうことは一切ない(はずだ)。そんな私でもダメなのだから,このアルバムは相当罪作りだと言わざるをえない。とにかく,聞いていてのあまりに不愉快な感覚は,私の記憶にもないレベルのものであり,こんなクソのようなラッパーに参加させた菊地成孔の責任は重いし,それを許した大西順子の責任も否定できない。

正直言って,8曲目を聞いて,この曲をリピートしたいと思う人間がこの世の中にいるのかとさえ言いたくなる。あるいはそんな奇特な人がいるのであれば,会いたいもんだ。

7曲目までは相応に聞けると思ったが,8曲目を聞いただけで,私の不快感は限界を越えたと言ってもよい。正直,二度とプレイバックしたいと思わないだろうとさえ思えたのである。こんなクソ・ラッパーを呼んできたのは菊地成孔のはずであり,だからこそ彼の責任は追及しなければならない。 本当に8曲目があるだけで,このアルバムは完全にその存在意義を失ったと思える。

繰り返すが,Robert Glasper風味の大西順子ということであれば,相応に評価の余地もあるかもしれないが,今回ばかりはそんな気持ちにすら一切なれない。プロデューサーである菊地成孔,そして演奏者としての大西順子に猛省を促すためには,本作は無星とせざるをえない。それぐらい,私にとっては腹立たしい。本当に8曲目を聞いていて吐き気を催したのである。そういう事実を菊地も大西も理解すべきである。正直言って日本語はラップに乗りにくいかもしれない。だが,それが問題なのではなく,レベルの低いラップを共存させようとしたところで,そもそも発想が下品である。

こんなアルバム(と言うより"Malcom Vibraphone X")を聞いて,「これはいいや」と思うリスナーが本当にいるのか。つくづくそう思ってしまったが,まじでくだらない。本作は私がいくら大西順子を評価しているとしても,今後,プレイバックのためにCDプレイヤーに乗せることは,間違いなく少数だと思う。あ~あ。

駄盤は駄盤として放っておけばいいはずなのだが...。それすら認められないのは私の加齢による寛容度の欠如が理由かもしれないが,それはそれで仕方あるまい。

2016年6月22日 (水)

Fred Herschの3枚目のトリオ作をSunnysideからゲット。

"Heartsongs" Fred Hersch(Sunnyside)

Heartsongs私はいつも書いている通り,Fred Herschのファンである。私の中ではピアニストとしてはBrad Mehldauが一番なのは間違いないが,ライブに通って,サインを集めているということではFred HerschかMike SternかWayne Krantzかって感じである。Herschとマイキー,Krantzでは全然違うやんけ!と言われればその通りであるが,いいのである。みんな好きなんだから(きっぱり)。

そうは言いながら,Fred Herschのアルバムを全部揃えようとは思っていないのだからいい加減なものだが,先日,Apple Musicで聞いて,これは欲しいと思ってしまったのが本作である。ショップやEコマース・サイトでは現物はなかなか見つからないのだが,灯台下暗しという感で,Sunnysideレーベルのサイトでめでたくゲットである。CDより送料の方が高いのはご愛嬌だが,手に入れられたのだから喜ぶしかない。

ジャケに写るHerschもまだまだ若いが,ここではちょっと個性が違うように感じられるMichael Formanekとの相性が気になるところである。でも聞いてみれば,いつも通りのHerschなのだが,Formanekのオリジナル"Beam Me Up"はやはり異色に響くって感じだろうか。最後のOrnette Colemanの"The Sphinx"もHerschにとっては変わった選曲ではあるが...。

だが,この頃から,リリシズムは十分に表出され,ピアニストとしての実力は十分に発揮されているので,聞いていての安心感は昔からのものだったことを改めて感じる。もちろん,昨今のFred Herschから感じ取れる研ぎ澄まされた美的な感覚とは若干異なるものだとしても,Fred Herschというピアニストの個性は確立されていたと言ってもよいように思う。そして,いい曲を書いているよねえ。本当にこの人は私の琴線に触れる演奏をする人である。ということで,ついついHerschには点数も甘くなり,星★★★★☆。

そんなFred Herschであるが,7月には現行トリオによるVillage Vanguardでのライブ盤がリリース予定である。今回の演奏も,トリオは"Zone"に入ったらしいから,聞いたらまたはまってしまうこと必定だろうなぁ。

Recorded on December 4 & 5, 1989

Personnel: Fred Hersch(p), Mike Formanex(b), Jeff Hirshfield(ds)

2016年6月21日 (火)

本田竹広がRhodesで聞かせる超絶グルーブ。

"Boogie-Boga-Boo" 本田竹広(Funhouse→BMG Japan)

Photo早いもので,本田竹広が亡くなってもう10年以上が経過した。私は昔のナベサダのグループやネイティブ・サンでの活動で聞いていたぐらいで,その他のアルバムについては,井野信義~森山威男とやったトリオ・アルバム以外は真っ当に聞いたことはない(はずだ)。だが,このアルバム,全編Rhodesを弾き,リズムはPaul Jackson,ドラムスは日野元彦とあって,ついつい再発盤を購入したのであった。今までも聞いていないわけではなかったが,記事としてアップしていなかったもの。

世の中にはRhodesの音が好きな人は結構いて,私もそのうちの一人だが,Rhodesの持つ独特の響きが何とも魅力だと思っている。その一方で,アンチRhodesみたいな人がいるのも事実だが,アコースティック・ピアノとRhodesは別物として捉えれば,腹も立たないはずである。そして,適材適所のシーンでRhodesが使われれば,これほど心地よく響く音はない(きっぱり)。

ここでも強力なリズム・セクションにフロント陣を加え,何とも言えないグルーブを生み出しており,これが相当のカッコよさだということは間違いなく言える。そして,プレイバック中は,難しいことは考えずに身を委ねればいいタイプの音楽である。重量ファンクだけでなく,マイナー・キーでのメロディアスな曲もあり,イケイケだけの音楽でないところもこのアルバムのいいところだと思える。曲が全て最高とは思わないが,全体的にはよく出来たアルバムと言ってよい。そして,Paul Jacksonのベースは,やはりこの人,ファンク・マスターと思わせるに十分なグルーブ感である。

ということで,Rhodes好きの人であれば,決して聞いて損はしないアルバム。身体をゆすりながら聞きましょう(笑)。星★★★★。

Recorded (and Mixed) on May 14-25, 1995

Personnel:本田竹広(rhodes),Paul Jackson(b), 日野元彦(ds),五十嵐一生(tp),臼庭潤(ts),今出宏(hca)

2016年6月20日 (月)

派手なのか地味なのかわからないオールスター・バンド(笑):The Power Quintet

"High Art" The Power Quintet(High Note)

Power_quintet私はなんだかんだと言って,Jeremy Peltを結構贔屓にしている方だが,一時,訳のわからない方向に寄り道しながら,昨今はストレート・アヘッドな世界に回帰しつつあり,今年リリースした""#JIVECULTURE"も(ジャケはさておき)なかなかの好アルバムであった。そんなPeltがプロデューサーとなって録音したオールスター・バンドのアルバムがリリースされた。このメンツを見れば,好き者は間違いなく反応するはずである。Pelt,Steve Nelson,ダニグリ,Peter Washington,そしてビルスチュなのだ。このメンツだけを見ていると,派手なのか地味なのかわからないところはあるが,実力者の集まりであることは間違いない。

演奏は,オールスター・バンドだからと言って,気負ったところがなく,ある意味淡々とプレイしている。メンバーのオリジナルを中心に,スタンダード1曲,Monkチューン1曲というのはまぁこの手のアルバムであれば,妥当な線であろう。正直言って,バンド名とは裏腹に,この人たちはパワーで押し切るようなタイプの人たちではない。ジャズのスリル的な快楽という観点では,もう少しぐわ~っとくるような曲があってもよかったようには思うが,プレイヤーとしてのこの人たちの特性,実力は十分に捉えられていると思う。とにかく破綻がないのである。まぁ,ダニグリのノーブルとも言える音楽を考えれば,それもうなずけない話ではない。

そうした破綻のなさを実力とするか,無難とするかについては議論があるところであるが,ツアーを行った後でのレコーディングのようなので,実力に加えて,このメンツにおけるコンビネーションは確立していたと感じられる演奏である。特に中盤で演じられるPelt作"Sage"とダニグリ作”Mr. Wiggleworm"当たりの流れが私には魅力的に響いた。全編を通して聞いてみると,やはりかなり落ち着いた演奏ということになるが,これはこれでかなりのクォリティなので,一聴の価値はあると思える。いずれにしても,これは夜向きの演奏だなぁ。ってことで,ちょいと甘めの星★★★★。

しかし,この購買意欲をそそらないジャケは何とかならなかったのかねぇ(笑)。

Recorded on December 8, 2015

Personnel: Jeremy Pelt(tp), Steve Nelson(vib), Danny Grissett(p), Peter Washington(b), Bill Stewart(ds)

«バリトン好きご用達? その名も"Baritone Explosion"。

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