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2019年8月19日 (月)

まだまだ続くECM未CD化盤聞き:今日はArild Andersen

Lifelines "LifelinesArild AndersenECM

CD化のECMのアルバムを相変わらず聞き続けている私だが、このアルバムを(多分)初めて聞いて、このいかにもECM的なアルバムがなぜCD化されていないのだろうと思ってしまった私である。メンツとしてもピアノのSteve Dobrogosz以外の3人はECMレーベルに欠かすことのできない人たちであり、にもかかわらずなぜ?って感じが強い。まぁ,Arild Andersenの場合,クァルテット音源を"Green in BlueEarly Quartets"としてボックス化するまで入手が困難だったことを考えれば,Manfred Eicherにとって,Arild Andersenの位置づけはそんなもんなのかもしれないが

しかし,奏でられている音楽はまさにECM的。典型的な4ビートではないにもかかわらず,Kenny Wheelerの鋭いラッパの音を聞いているだけで嬉しくなってしまった私である。このアルバムがリリースされたのは1981年のことだが,既にレーベル・カラーを明確に確立していることがはっきり感じられるアルバムであり,ECMレーベル好きのツボにはまること必定と言いたい。ということで評価もついつい甘くなり星★★★★☆。

Recorded in July 1980

Personnel: Arild Andersen(b),Kenny Wheeler(fl-h,cor),Steve Dobrogosz(p),Paul Motian(ds)

2019年8月18日 (日)

元祖Casino Lightsから38年,そしてCasino Lights ‘99からも20年かぁ。ってことで,今日は99年盤。

_20190813-2 ”Casino Lights ’99" Various Artists(Warner Brothers)

元祖"Casino Lights"は81年当時のWarner Brothers所属のミュージシャンが大挙出演したアルバムであったが,ボートラ4曲を追加したCDは実によく聞いた。そして,その続編が出たのが99年のこととなるが,それからももう20年の時が経過してしまったのかと思うと,私も歳をとる訳だ(苦笑)。

この99年版は81年版に比べると,若干メンツが地味ってところがあるが,まぁこの当時のレーベルのスターはFourplayってのはまぁ納得のいくところだろうが,フュージョン系だけでなく,Mark TurnerやKenny Garrettまで入っているのが81年版との違いだろう。それで今回,改めて聞きながらクレジットを見ていて,Kenny GarrettのバンドにChris Daveがいたことか。この当時からビシバシ叩く姿は現在を彷彿とさせて微笑ましい。

サウンド自体を聞いていると,特にディスク1においては81年版よりもよりジャズ的なフレイヴァーが強まっているのも特徴か。Mark Turnerが1曲だけ出てきて"Old Folks"をドラムレスでやったり,Kenny GarrettがいかにもKenny Garrett的に盛り上げるのもそうだし,Kirk Whalumが曲調はポップな"Soweto"でかなり激しくブロウするのは意外でありながら,結構いけている。

Kevin Mahoganyの"Yesterday I Have the Blues"あたりは「いかにも」のフェスティバル向けのどブルーズで,微笑ましいと言わざるをえないし,Ronnie Lawsの"Always There"をセッション的にやるのもベタなチョイスとは言え,フェスティバルならでは。

ディスク2に入るとフュージョン・テイストが増すが,こういう感じで聞く演奏も結構楽しい。Boney Jamesの"All Night Long"なんてよくFMでかかっていたような気がするこれまたいかにもスムーズ・ジャズ的な曲だが,結構曲として魅力的だなぁなんて改めて感心してしまった。Gabriela AndersがGeorge Dukeと場を盛り上げたところで,今回の真打ち,Fourplayの登場となるのだが,これがいけていない。なぜここで本作に収録されているような"Four"のような曲を選んだのか?全然彼らに合っているとは思えないこの曲で,一気にがっくり来てしまう。そもそも私はLarry Carlton時代のFourplayをあまり評価していないところもあるが,これは明らかな選曲ミスだろう。それに続くの"Westchester Lady"がそれっぽい選曲だからこそ,この"Four"の浮き方は尚更って感じである。そして最後が"Watermelon Man"ってのもどうなのかねぇ。お気楽ジャム・セッションの極致で,その場に居合わせていない人間にとっては,イマイチ感が強くなる。

ということで,そこそこ聞かせどころもあるが,どう考えても私にとっては81年版の圧勝ってところ。星★★★。

Personnel: Bob James(p, key), James Genus(b), Billy Kilson(ds), Mark Turner(ts), Kenny Garrett(as), Shedrick Mitchell(p), Nat Reeves(b), Chris Dave(ds), Larry Carlton(g), Kirk Whalum(ts), Rick Jackson(key), Mike Manson(b), Kevin Mahogany(vo), George Duke(key), Boney James(ts), Rick Braun(tp), Jeff Johnson(g), Larry Kimpel(b), Ricardo Jordan(ds), Lenny Castro(perc), Ross Bolton(g), Mitchel Forman(key), Gabriela Anders(vo), Mark Stephens(key), Nathan East(b), Harvey Mason(ds)

2019年8月17日 (土)

久々に聞いたMike Mainieriの”Wanderlust”

_20190813"Wanderlust" Mike Mainieri(Warner Brothers→NYC)

なんだかんだと言って,Mike Mainieri関連のアルバムは保有している私だが,彼の持つコンテンポラリーな感覚は同時代のリスナーにカッコいいと思わせるに十分な魅力を持っていたと思っている。"Blue Montreux"然り,Stepsのアルバム然り,深町純とのNY All Starsのライブ盤然りである。もちろん,そういうグループとしてのアルバムのほかにも,彼名義のアルバムも例外ではなく,このアルバムもLP時代から保有していた。実家にはLPはまだあるかもしれないが,今日はCD版である。

Wanderlust 正直なところ,このCD版のジャケは購入意欲をなくさせるといっても過言ではない。私は下に掲示したLP時代のジャケの方がまだましだと思っている(国内盤の再発廉価CDはオリジナル・ジャケットを採用している)。Mainieriとしては煙草が写っているところでジャケをリニューアルしたのかもしれないが,新版のジャケのMainieriの顔の方が煙草より怖いと思ってしまうのは私だけ?(爆)

ここでもMike Mainieriのいつも通りのコンテンポラリーな感覚が出ていて,相応に楽しめる。まぁ,私としてはこのアルバムのレパートリーをライブで再現した"Live at Seventh Avenue South"の方がいいかもなんて思っているのも事実だが,本作のある意味フュージョン・オールスターズみたいなメンツを聞く楽しみってのは間違いなくあるだろう。

本作がリリースされた頃は渡辺香津美のゲスト出演が話題になったと記憶しているが,私が現在保有しているCDには詳しいクレジットが記載されていないため,出番がどこかよくわからない。そこでMike Mainieriの情報が掲載されているNYC Recordのサイトで確認したところ,それはこのCD版では2曲目"Bamboo"ということだが,その曲はJeremy Steigのショーケースみたいなものであり,渡辺香津美の存在感は大したことがない。しかし,まだまだ日本の音楽界は,この程度のゲスト出演でも話題になるというレベルだったのだろう。だが,誰が聞いたって,これならクレジットなしの"Smokin' in the Pit"における"Not Ethiopea"の香津美の方を選ぶだろう。

随分とオリジナルのアルバムと曲順をいじっているのはなんで?って気もするが,まぁどっちがいいかはリスナーが判断すればいいが,私はこのCD版のように”Bullet Train"を冒頭に持ってきたのは正解だと思っている。まぁでもやっぱりSeventh Avenue Southのライブ盤の方がヴィヴィッドな感じがあっていいかな。星★★★☆。

Personnel: Mike Mainieri(vib, marimba ), Michael Brecker(ts, ss), Don Grolnick(key), Warren Bernhardt(p, synth), Steve Khan(g), 渡辺香津美(g),Marcus Miller(b), Tony Levin(b), Peter Erskine(ds), Jeremy Steig(fl), Randy Brecker(tp), Manolo Badrena(berimbau), Sammy Figueroa(perc), Roger Squitero(perc), Ed Walsh(prog)

2019年8月16日 (金)

携帯サイトの表示がおかしい。

主題の通りなのだが,今日アップした記事について,初期画面の画像が本来の画像と異なる「むらさきのスカートの女」になっているのはなぜだ?当該記事をクリックするとちゃんと“Discreet Music”のものがアップされている。気持ち悪いこと甚しいが,またバグが出てきたってことか?う〜む。

猛暑の中でのアンビエント・ミュージック

_20190812_20190816181101 "Discreet Music" Brian Eno (Obscure→Virgin)

猛暑が続くと出掛ける気にもならないって時に,自分の部屋で何を聞くか。家人の手前,あまりヴォリュームを上げられないリスニング環境においては,ヘッドフォンで音楽を聞いていることもある私だが,スピーカーから音を出して音を聞きたい時もあるということで,そんな時にはこれなら絶対文句を言われないということで,久しぶりに本作を聞いた。

これぞアンビエント・ミュージックと呼ぶべきタイトル・トラックは,ミニマル・ミュージック以上に環境に同化してしまうということで,まさに音が鳴っていることを意識させないとでも言うべきものである。そうした意味で,これは音楽なのかという議論を生む可能性もあるが,ちゃんと音列は構成されているから音楽は音楽である。だが,これを今回やったように小音量で流していると,音が流れているのか流れていないのかさえどうでもよくなる感じというのを久しぶりに体験した。

それに比べれば,後半の”Three Versions of the Canon in D Major by Johan Pachelbel"はあの「パッヘルベルのカノン」を解体,再構築したものであり,まだ音楽的な要素を感じさせるものではあるが,こちらも小音量で流していると,気持ちよくなってきてしまうというある意味ヒーリング・ミュージックのようなものである。

だが,アンビエントという形態に限って言えば,本質的にはタイトル・トラックこそがEnoの狙う世界であろうが,アルバムとしてのプロダクションとしてはこの組み合わせが必要だと感じたということかもしれない。おそらく,LPの時代で言えば,タイトル・トラックが収められたA面ばかり聞いていたリスナーが多かったのではないかと思えるが,後半のVariationも決して悪くない。

猛暑の中,エアコンの効いた部屋で,これを小音量でプレイバックしている自分は一体何者?とも思いたくなってしまうが,それはそれで心地よい体験であった。環境と同化しているという観点で,音楽として評価をする必要は感じないが,実に存在意義のあるアルバムだと思う。

それにしても,ジャケの写真の暗さは半端ではなく,イメージをスキャンしても何のこっちゃみたいな状態だ(笑)。

Personnel:Brian Eno(synth, key), Gavin Bryars(arr, cond), The Cockpit Ensemble(performer)

2019年8月15日 (木)

久しぶりに本を読んだ:「むらさきのスカートの女」

Photo_20190812121101 「むらさきのスカートの女」今村夏子(朝日新聞出版)

現在の住まいに引っ越してからというもの,通勤環境の変化もあって,昨今はあまり本を読まなくなってしまった私であるが,久しぶりに読んだのがこれである。第161回の芥川賞を受賞した作品として,結構注目された作品だろう。

なかなか面白いストーリーだと思うのだが,シュールな展開と言ってもいいかもしれない。「むらさきのスカートの女」をストーカーのように追う一人称の「私」の感情にストーリー中の変化はない一方,「むらさきのスカートの女」の生活パターンの変化により,誰がまともで,誰がまともでないのかがわからなくなるというところに面白さがあると言ってもよい。そういう意味で,私は全然作風は違うが,一体誰が一番の善人なのかと考えさせられた吉田修一の「悪人」をちょっと思い出したりしていた。

淡々とストーリーが展開する前半から,激しくストーリーが動く後半と,展開はよく考えられているように思える。そうした意味ではエンタテインメント性を持った純文学と言ってもよいかもしれない。だからと言って,今村夏子の既出の作品まで読みたいという気持ちにまではさせてもらっていないが,読む人によって,いろいろな解釈ができてしまうところが面白いところである。いずれにしても,この一人称で語るような人間とは絶対お近づきになりたくないが(笑)。そういうかたちでも感情移入させるところがうまいんだろうなぁ。星★★★★。

2019年8月14日 (水)

更に続くECM未CD化アルバム聞き:今日はJack DeJohnette’s Directions。

Untitled"Untitled" Jack DeJohnette's Directions(ECM)

ECM/JAPOレーベルの未CD化アルバムのストリーミングに関しては,予定されていた40枚が出揃ったが,まだまだ聞けていないアルバムがある。今日はJack DeJohnetteである。先日,Jack DeJohnette's Directions名義の"New Rags"も取り上げたが,その時にはややとっ散らかった印象とこのブログに書いたが,今回はどうか。本作はその"New Rags"に先立ってリリースされたもので,メンツはほぼ同じながら,Warren Bernhardtのキーボードが加わっているのが違いである。

結論から言ってしまえば,Warren Bernhardtという,Jack DeJohnetteとは合いそうにないようなプレイヤーのキーボード・プレイがいい感じのクッションになっているように感じられた。相変わらず本作においても多様な音楽が試されており,2曲目なんて,無理やりインド・フレイヴァーでやってしまいましたってところもあり,この辺りにはう~むとなってしまった私である。4曲目の"The Vikings Are Coming"というタイトルとは全く印象が異なる牧歌的な曲調もある。そして,最後の"Maribu Reggae"のイントロに至ってはムード・ミュージックかっ?と言いたくなるようなもので,リスナーとしては戸惑うのは"New Rags"と同じ感じである。

まぁ私としてはWarren Bernhardtの生み出すグルーブの分,"New Rags"よりはこっちの方が好きかなぁって気もするが,それでもこちらも相当にとっ散らかった印象はほとんど同じであり,この頃のECMレーベルの作品のプロデュースの質にはまだ問題があったという感じなのだ。Manfred Eicherもまだ若かったってところか。そうは言いながら冒頭の"Flying Sprits"とかは実にカッコいいんだが...。だからこそ何だかもったいないって気がする一枚。星★★★☆。

Recorded in February, 1976

Personnel: Jack DeJohnette(ds, ts), John Abercrombie(g), Alex Foster(ts, ss), Warren Bernhardt(p, el-p, key, perc), Mike Richmond(b)

2019年8月13日 (火)

The Bird and the Bee,4年ぶりの新作は何とVan Halenトリビュート。

_20190811-2 "Interpreting the Masters Vol.2: A Tribute to Van Halen" The Bird and the Bee (No Expectations/Release Me)

ポップな感覚で素晴らしい音源を出し続けるThe Bird and the Beeであるが,メンバーのGreg Kurstinのプロデューサー業が忙しいせいなのか,どうなのかよくわからないが,彼ら自身のアルバムは結構リリースのインターバルが長く,本作も前作の"Recreational Love"以来,約4年ぶりとなる。もともとストリーミングとLPでのリリースであり,CDでリリースされるのは日本だけらしい。

そして,驚いたのが今回の新作がVan Halenへのトリビュートだったことである。Vol.1がHall & Oatesトリビュートだったっていうのは心地よいポップを提供するThe Bird and the Beeとしては鉄板の選択だろうが,彼らがなんでVan Halenなのかとも思ってしまう。しかもVan HalenはVan Halenでも,あくまでもDavid Lee Roth入りのVan Halenというのがポイントだろう。確かにDavid Lee Roth在籍時のVan Halenはハード・ロックのフレイヴァーの中に,実にポップな曲調も聞かせていたのは事実だろう。"Jump"なんてその最たる事例だろうが,そういうところにThe Bird and the Beeの2人が強いシンパシーを感じたとしても不思議ではない。

ここでは彼らしいポップな感覚を失うことなく,オリジナルに結構忠実に対応しているのが面白い。逆に当時のVan Halenの音楽のポップな感覚と,現在のThe Bird and the Beeのよりコンテンポラリーなポップ感覚がシンクロしたというところだろうか。実に楽しい。これぞ正しいロックとポップの融合って気がした。このアルバムを聞いて,改めてVan Halenのアルバムを聞きたくなるという効能は間違いなくあるだろう。星★★★★☆。いやぁ,楽しいですわ。

Personnel: The Bird and the Bee【Inara George(vo), Greg Kurstin(p, key, b, ds)】, Beck Hansen(vo), Gabe Noel(b), Justin Meldel-Johnson(b), Omar Hakim(ds), Joey Waronker(ds), David Ralicke(bs, bass-sax, tb), Alex Lilly(vo), Samantha Sidley(vo), Wendy Wang(vo)

2019年8月12日 (月)

静かなるPharoah?

_20190806 "Pharoah" Pharoah Sanders (India Navigation)

このブログには何度か書いているが,私はIndia Navigationレーベルで気になるアルバムは買うというのが基本スタンスである。そうして,今までHamiett BluietteやArther Blythe,Chico Freeman,そして直近ではJay Hoggardのアルバム等を入手してきたのだが,どうしてももう1枚と思っていたのがこのアルバムであった。

そのCD(下にアップしたオリジナルとはジャケ違い)が先日DUの廃盤セールの告知に出ていたが,売れてしまった様子はないということで,新宿のショップに行って入手してきた。正直言って値段はちと高いなぁと思ったものの,ここで入手しておかないと,ネットでも異常なプライシングとなっているアルバムなので,何としても入手せねばということでの購入となった。

Pharoahそしてこのアルバムを今回初めて聞いたのだが,これが主題のような感じで,いつものようなPharoahの咆哮が聞こえるのは2曲目の"Love Will Find a Way"の一部においてのみってところなのにはちょっと驚かされた。むしろ,全体的に言えばこれはレア・グルーブのネタになるかもなぁとさえ思わせる展開である。LPであればA面全てを占めたであろう"Harvest Time"のゆったりした響きには,これがPharoah?ってなるリスナーがいても不思議ではない。

なので,Pharoah Sandersに何を求めるかによって,このアルバムへの評価は随分変わってくると思う。私の中ではPharoah Sandersは雄叫び,咆哮の人なので,そのイメージからするとこのアルバムはかなり印象が違う。だが,スピリチュアルな展開,もしくはグルーブ系の音を好む人からすれば,このアルバムの演奏は高評価になると思える。

私にとっては,これも面白いと思えるのだが,Pharoahにはもう少しブヒブヒやってもらって,笑わせて欲しいなぁなんて不謹慎なことを考えると,存在意義は認めつつ,星★★★☆って感じだろうか。まぁ,入手できただけでも喜ぶことにしよう。

それにしても,これと一緒に買ったのがIrene Kralってどう考えても変態だよなぁ(爆)。

Personnel: Pharoah Sanders(ts, vo, perc), Steve Neil(b), Lawrence Killan(perc), Munoz(g), Jiggs Chase(org), Greg Bandy(ds), Nedria Sanders(harmonium)

2019年8月11日 (日)

忘れないうちにナベサダ@Blue Note東京参戦記

At-blue-note

記憶が薄れないうちに書いておこう。このライブの翌日から韓国に出張していたので,印象は必ずしもヴィヴィッドではないかもしれないが,まぁよかろう。

私がナベサダのライブに行くのは実に久しぶりのことである。人生においても実はそんなに見たことはなく,1回目は高校生の時に行った神戸のジャズ・フェスでのレギュラー・クインテット,2回目が武道館の"How's Everything"のアルバムとなった豪華ライブ,そして3回目がNYC在住中に今はなきBottom Lineで見た当時のレギュラー・グループぐらいのはずである。ということで,少なく見積もっても27年ぶりぐらいのことになるわけだ。

そんな私が今回このライブを観に行く気になったのは偏にメンツである。Russell Ferrante,John Patitucci,そしてSteve Gaddを従えて,アコースティックでもエレクトリックでもできそうだなぁと思っていたが,結論から言えばアコースティックのクァルテットであったが,これが実によかった。

ナベサダは今年でもう86歳になっているが,実に元気なものである。昔に比べると声は細くなったし,アルトのフレージングに危なっかしいところがなかったわけではない。しかし,86歳という年齢を考えれば,実に矍鑠たる演奏であった。そしてナベサダに私が謝りたくなったのは,私は常々彼の書く曲のつまらなさをどうこう言ってきたが,今回演奏された曲を聞いていると,メロディ・ラインも実に魅力的な曲が多いではないか。Charlie Marianoに捧げた”I Miss You When I Think of You"なんて本当によかったし,繰り出すフレージングはまだまだいけると思わせるに十分なもので,恐るべき老人となっていたのには実に驚かされた。

更にナベサダを支える3人も好演で応えていたが,面白かったのは彼らの演奏ぶりをナベサダが子供や孫を見守る感じで見ていたことか(笑)。3人それぞれがよかったのだが,突出してよかったのがJohn Patitucciのソロのメロディアスさだと思った。もちろんRussell FerrateもSteve Gaddもいいに決まっているが,John Patitucciのソロは実によかった。

バンドのメンバーはナベサダにリスペクトを示しつつ,ナベサダは彼らを見守るという感じだが,ナベサダ本人も見守るだけではなく,リーダーとして立派に機能していたことはまさに驚異的。私とナベサダは実は同郷なのだが,故郷の誇りと言ってよいと思わせるに十分な演奏であった。

全くもってお見それしましたと言いたくなった一夜。尚,上の写真はBlue Noteのサイトから拝借。

Live at Blue Note東京 on August 7,2019,2ndセット

Personnel: 渡辺貞夫(as),Russell Ferrante(p), John Patitucci(b), Steve Gadd(ds)

2019年8月 9日 (金)

Famous DoorにSteve Gaddは合わなかった(きっぱり)。

_20190804 "'Bone Straight Ahead" Bill Watrous (Famous Door)

昨今はECMの未CD化アルバムばかり聞いているように思われているかもしれないが,ほかのものも聞いているってことで,今日はこのBill Watrous盤である。今や本作も国内盤が出ているということで,日本のCDマーケットのある意味での普通でないところがはっきりする。それはさておき,このアルバムをリリースしたFamous Doorというレーベルは,70年代に中間派的なアルバムをリリースしていて,隠れファンみたいな人も結構いるのではないかと思う。かく言う私も,Zoot Sims盤を筆頭に,Butch Miles盤,Scott Hamilton盤等は長年のお気に入りである。なので,Famous Door盤を見つけると,ついつい手が出てしまうというところであるが,このアルバムもそうした感じで手に入れたはずである。

このアルバムも,Bill Watrousに加え,Al Cohn,Hank Jones,Milt Hintonという渋い面々が揃っていて,いつものFamous Doorのような感じになるだろうと思っていた。しかし,本作においては,正直言ってSteve Gaddが雰囲気をぶち壊している。私はSteve Gaddは優れたドラマーだと思っているし,4ビートだってちゃんと叩けると思っている。だが,本作においては明らかにスウィング感の不足は否めない。結局のところ,叩けないのではなく,合ってないのである。それゆえに,Famous Doorらしい中間派的な良さというものが,ことSteve Gaddのドラムスからは感じられず,どうにも違和感が消えないのだ。

本来であれば,Steve Gaddの70年代前半のストレート・アヘッドな演奏ということで,アルバムの価値が上がると思わせるのが普通だが,私の感覚で言えば,Steve Gaddのドラムスがこのアルバムの価値並びに評価を下げたと言わざるをえないのだ。Bill Watrousは,当時の相棒,Danny Stilesともども,いいソロを聞かせているだけにこれはやっぱり惜しいということになるだろう。よってSteveのドラムスゆえに星★★☆。ドラマーがもう少し演奏にマッチした人選であれば★一つは確実に増えていた演奏。これが本当のミスキャストである。

しかしSteve Gaddの名誉のために言っておけば,先日のナベサダとのライブは問題なかったからの,この頃はまだまだ青かったってことだろう。

Recorded on December 15, 1972 and January 4, 1973

Personnel: Bill Watrous(tb), Danny Stiles(tp), Al Cohn(ts), Hank Jones(p), Milt Hinton(b), Steve Gadd(ds)

2019年8月 8日 (木)

黙殺されがちなFleetwood Macのアルバムだが,実は結構好きな”Behind the Mask”。

_20190804-2 "Behind the Mask" Fleetwood Mac(Warner Brothers)

Fleetwood Macっていうのは不思議なバンドである。もともとはブルーズ・バンドとしてスタートして,メンバー・チェンジが行われる度にポップ度が高まるという歴史を歩んできたが,そのピークが"Rumors"から"Tango in the Night"あたりだったのは衆目の一致するところだろう。そして,その屋台骨を支えたと言ってもよいLindsay Buckinghamが一旦脱退した後にリリースされたのが本作である。Lindsay Buckinghamの脱退は,当時のファンにとっては大きなショックを与えた訳だが,私のように実は一番好きなのがChristine McVieという人間にとっては,それほどショッキングな出来事ではなかったと言ってもよい。

だが,多くのファンにとっては,やはりLindsay Buckinghamの不在は大きかったらしく,このアルバムもあまりいい評価は聞いたことがない。しかし,改めて聞いてみると,本作ってそんなにつまらないアルバムか?って思ってしまう。私にとっては結構曲のクォリティも高いし,いいアルバムではないかと思っている。逆に言うと,私はポップ過ぎるよりも,これぐらいの方がアルバムとして塩梅がいいと言うか,気持ちいいと思ってしまうのである。ある意味ロック的なヘヴィーさも加わっている部分があって,典型的なFleetwood Macって感じではない部分があるのも事実だが,それが決して私は悪い方に機能しているとは思えないのである。

結局のところ,Fleetwood Macは黄金期のメンバーの離合集散を繰り返すことになるが,一時期はLindsay Buckinghamがバンドを訴えるというような関係となってしまったが,現在は和解しているらしい。しかし,よくよく考えると,このLindsay Buckingham抜きのラインアップも結構よかったなと思っている私である。"Skies Are Limit"にしろ,"Love Is Dangerous"にしろ,"Save Me"にしろ,曲もいいと思うなぁ。星★★★★。

Personnel: Stevie Nicks(vo), Christine McVie(vo, key), Billy Burnette(g, vo), Rick Vito(g, vo), John McVie(b), Mick Fleetwood(ds, perc), Linsday Buckingham(g), Asanté (perc), Stephen Croes(key, synth, perc)

2019年8月 7日 (水)

ECMの未CD化音源から”Path”:私はこういうのが好きなのだ。

Path "Path" Tom van der Geld / Bill Connors / Roger Janotta (ECM)

未CD化音源のストリーミングの第3回目に公開されたアルバム群の中で,私が気になっていたのが本作である。先日,Tom van der Geldの"Patience"を取り上げた時に,このアルバムについても言及したが,そうしたら今回の公開である。そこにも書いたがBill Connorsが気になってのことである。そして,このアルバムが気になるのはこの楽器編成である。ヴァイブ,ギターにフルート,ソプラノ・サックス,そしてオーボエの持ち換えのトリオなのだ。この編成を見ただけで,おぉっ,ECM的なんて思ってしまうのはきっと私だけではあるまい。

そして,この何とも言えないアンビエントな響きは,まさにECM的と言いたくなるようなものではないか。今回,このアルバムを聞いていて,私がECMに求めるものの中にはこうした響きが含まれると強く感じてしまったのである。リードのRoger Janottaを除いてしまえば,ヴァイブとギターということになるが,それならGary BurtonとRalph Townerの"Matchbook"と同じであり,そういう響きが好きなのは,前々からわかっていた話ではある。しかし,改めて本作を聞いてみて,この心地よさに私は実に嬉しくなっていたのであった。同じTom van der Geldでも"Patience"にはやや辛めの評価しかできなかった私も,これなら全然問題ないし,むしろこれは何回も聞きたくなるような音源だと思ってしまった。いや~,実にECMである。星★★★★☆。

余談ではあるが,このアルバム,なかなかお目にかかることもないが,私は一度だけ今はなき町田のオスカーで本作を見かけたことがある。私の記憶が確かなら,国内盤の帯付きだったと思う。こんな作品まで国内盤が出ていたって,それも凄いことだなぁと今更のように思ってしまう私である。

Recorded in February, 1979

Personnle: Tom van der Geld(vib), Bill Connors(g), Roger Janotta(fl, ss, oboe)

2019年8月 5日 (月)

更に公開されたECMの未CD化アルバムを聞く:今日はEnrico Rava。

Enrico-rava-ah"Ah" Enrico Rava Quartet (ECM)

続々とストリーミングが開始されているECMの未CD化アルバムであるが,今日はEnrico Rava。このアルバムが異色なのはこのジャケットだと思うが,全くECMらしからぬデザインではないか。このアルバムがリリースされた頃にもECMっぽくないなぁと思っていた記憶がある。アップした画像ではわかりにくいのだが,もともとRavaの横顔のバックはきらっきらの銀色だったはずである。それもびっくりするような「光り輝く」銀色だったのである。

Enrico Ravaにはもう1枚,未CD化の"Opening Night"というアルバムがあるが,そっちについては結構このブログで酷評している(記事はこちら)。一方,本作に収められた音は,もはやフリーと言いたくなるようなものもあり,かなり熱い。特に2曲目"Outsider"なんてのは,かなりの激しさで迫ってくる。そういう意味では”Opening Night"よりもずっとよく聞こえる部分もある。だが,このアルバムにおいても,曲によってタイプが異なることにより,一貫性のなさを感じさせるところがあるのは惜しい。

これは私とEnrico Ravaの相性によるものなのかどうかは,昨今彼のアルバムをあまり聞いていないので何とも言えない部分もあるのだが,正直言ってこういうサウンドならECMじゃなくてもいいのではないかと思えるような,モードとフリーの中間のような感じなのである。そうした意味では,ECM好きのリスナーにこういう音楽が受けるのかどうなのかは若干微妙ってところだろう。

まぁ私にとってはこの頃のEnrico Ravaの音楽は響いてこないのかなって感じたのも事実だが,曲が私に合わないところもあるかもしれない。3曲目,4曲目あたりの中だるみ感もあり,ダメってことでもないのだが,積極的にはほめにくい。そういう微妙なアルバム。星★★★。

Recorded in December 1979

Personnel: Enrico Rava(tp),Franco D'Andrea(p), Giovanni Tomasso(b), Bruce Ditmas(ds)

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